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musasabi journal
第118号 2007年9月2日

   

9月になったとたんに涼しくなりました。普通だと夏がいってしまうのは、どこか寂しさを感じさせるものなのですが、今年の夏は「終わってくれてよかった」としか思えませんね。

目次

1)虫歯は外国で治す!?
2)離婚が減っている
3)ダイアナ妃はカーニバルの女王・・・
4)短信
5)むささびの鳴き声

1)虫歯は外国で治す!?


8月11日付けのDaily Mailを読んでいたらWarning as dental tourism boomsという一段見出しの記事が出ていました。歯の治療を目的とした海外旅行がブームになっているが、それにはいろいろな問題があるよと警告している記事。

この記事によると、年間約3万5000人の英国人が歯の治療のために外国へ行っており、これが来年には5万2500人から7万人まで増えるかもしれないと予測されているのだそうです。行き先としてはポーランドとハンガリーに人気がある。Daily Mailは「英国で受ければ6000ポンドする治療が、東欧では2200ポンドで出来る。つまり交通費別で3800ポンドも安いということになる」と、ブームの背景を説明しています。

何故このようなブームが起きているのかというと、英国の国家保険制度(NHS)から歯科医が脱退するケースが増えており、プライベートな歯科医に治療してもらうと費用が高くてタイヘンということがある。NHSの歯医者に診てもらうには数ヶ月というウェイティングリストも我慢しなければならない。昨年4月にNHSと歯科医の契約のやり方が変更され、昨年の4月から7月までの間にNHS加入の歯医者さんの数が21,111人から19,462にまで減ってしまったのだそうです。

NHSとで歯科医の新しい契約によると、治療費が、イチバン低いもの(レントゲンを取るだけなどで、請求費用は15.50ポンド)、真ん中くらいのもの(詰め物をするなどで42.40ポンド)、最も高いもの(金歯にするなどで189ポンド)の三つに分けられており、歯科医はそれぞれのカテゴリーの治療に応じて決められた全額を払われるという仕組みになっている。それまでは治療の段階ごとに請求書がNHSに送られてくるというシステムをとっていたのですが、それだと「歯科医がやらなくてもいい治療までやって、請求しているのではないか」(dentists were over-treating patients)という疑いが生まれるもとになってしまっているというのが変更の理由なのだそうです。

歯科医に言わせると、新しいシステムの下では予防的な治療(preventive treatment)ができない等の問題があるのだそうです。が、それはともかくとして、英国における歯科治療については、日本歯科医師会のサイトにも「NHS加盟でも80%の医療費が個人の負担になります。そのうえ慢性的な長い順番待ちがあるので、プライベートを選択する人が少なくありません。歯科医師の場合、NHSとプライベートを兼任していることが多いので、予約の際に確認を取られます」と書いてあるとおり、結構高いわけですね。

そこで流行しているのが、ポーランドやハンガリーのような東欧のEU加盟国で治療するという方法です。どのくらい安いのかというと、抜歯の場合、英国のプライベート歯科医で治療すると90ポンドかかるのが、ハンガリーの歯科医でやると30ポンドで済む。60ポンドの差というのは大きいですね。インプラント治療の場合は、5年間の保障付きで英国でやると1800ポンドなのが、ハンガリーでは445ポンドで済むのだそうです。差額1355ポンドです。これらの数字はいずれも歯科治療を行う旅行代理店のサイトに出ていたものです。

消費者マガジンのWhich!は、dental tourismについては「治療をした後のケアのことなどを考えることが必要だ。結局、外国での治療の方が高くつくということもある」と警告しているのですが、根本的には、低所得者でもNHSの歯科医療を受けられるようにならないと解決にはならない。200万人の英国人がNHSでの歯科治療を受けられないでいるという数字も出ています。

▼この種のニュースに接すると、費用が安いということだけで、あっけらかんと治療に出かけてしまう英国人が多いってことに驚きますね。消費者マガジンがアフターケアのことを心配していますが、これは仕組みを作ろうと思えばそれほど難しいとは思えないですね。

▼それから歯医者に行くと、大した治療もされないでおしまいってことがよくありますよね。英語ではこれを歯医者のdrill and fill cultureというのだそうです。「掘って詰めておしまい」ってことですが、drill and fillは笑える。

2) 離婚が減っている


8月31日付けのGuardianのサイトによると、英国(イングランドとウェールズ)における離婚率が最近になってかなり減っているそうです。英国統計局の数字によると昨年の離婚数は132,562組、一昨年比で6・5%のダウン、結婚人口1000人あたりで12・2人で、1984年以来の最低だそうであります。

背景としては、結婚年齢が上がっていることや正式に結婚する前に同棲して試してみるというトレンドもあるのですが、離婚後の財産(サラリーも含む)の分配が夫婦で50・50という判決が多いということで、主として男の方が「別れない方が得」と考えるケースが多くなっていることがあるのだそうです。Guardianによると、今年の入ってからも金融関係の大金持ちが奥さんに5000万ポンドも払うように命令されたりしており、ある弁護士事務所の話によると、離婚相談に来る男の多くが財産の平等分配のことを聞いて「じゃこのままでいますよ」(OK, I'll put it on hold)というらしい。

尤も離婚が減ったのは、結婚の数そのものが減っているからだという意見もあり、確かに結婚式の数が2004年の273,100から2005年には246,000にまで減っているという数字もある。確かに減っていますね。

離婚の年齢も上がっているのですね。男の場合、10年前の39.8才から43.4才へ、女の場合は、37.3才から40.9才となっています。これは結婚年齢が上がっていることも理由の一つではないかとされています。

これらの数字はイングランドとウェールズについてのもので、スコットランドでは同じ時期に20%増加しているし、北アイルランドでも8.6%増加している。スコットランドでは法律改正があって、かつては同意による別居2年で離婚と見なされたものが、1年間に短縮された。同意なしの別居を離婚と見なすにはかつては5年が必要だったのが、今では2年の別居で離婚と見なすことができるようになったということだそうです。

▼で、離婚の理由でありますが、2004年の調査では「不倫」(Extra-marital affair)が27%でダントツ、ついで「家庭内の不和:18%」(Family strains)、「虐待:17%」(Abuse)が3大理由となっています。第5位とはいえ、「働きすぎ」(Workaholism)も入っているのですね。

▼ところで厚生労働省のサイトによると離婚率に関する国際比較は次のようになっています。人口1000人あたりで、何人の離婚者がいるかという数字です。いずれも2000年以後の数字ですが、年度が異なる場合もあります。日本は2003年、英国は2000年の数字です。

アメリカ (4・0人)
イギリス(2・6人)
ドイツ (2・4人)
スウェーデン (2・4人)
日本 (2・25人)
フランス (1・9人)
イタリア(0・7人)


 

 
3) ダイアナ妃はカーニバルの女王・・・


1997年8月31日、ダイアナ妃が亡くなったのですよね。ちょうど10年。月日が経つのは本当に早い。10周忌ともなると、いろいろなところで関連行事が行われたし、メディアもいろいろと取り上げています。アメリカのTime8月27日号もその一つで、見出しはRebel Heart(反逆心)となっていて、イントロは次のようになっています。

「はにかみやの花嫁から熱心な活動家へ、ダイアナ妃は自分を変えただけでなく、彼女の国をも変えてしまったのだ」(From shy bride to passionate campaigner, Diana, Pricess of Wales didn't just transform herself--she changed her country)

一方、The Economistの8月25日号は、政治コラムのBagehotでダイアナ妃を取り上げているのですが、トーンがTimeの記事とはちょっと違う。見出しがCarnival queen(カーニバルの女王)ときて、イントロは

「死去から10年、ダイアナ妃の伝説は、考えられていたかもしれないものとは違ったものになっている」(A decade after her death, Princess Diana's legacy is not the one that might have been expected)

というわけです。

Timeの記事は、ダイアナ妃が国を変えただけでなく「彼女はおしゃれな上流階級とは見られることがなく、普通の人間の一人と見られた(She wasn't seen as posh. She was one of the people)」とダイアナ妃を賞賛しているわけですが、The Economistは、「普通の人間とは見られていなかったし、国を変えることもなかった(She wasn't and she didn't)」と逆のことを言っている。

Timeの記者は、彼女がハンセン病やエイズの患者を訪問することに熱心であったことを「普通の人」の例としてあげているのですが、The Economistは「ダイアナの人気は、普通の人々の間を歩き回って、いろいろと奇跡を起こす古代の王族という部分にあったのだ(Diana's appeal rested in part on an ancient archetype: the monarch who walks among the people, working miracles)としている。

憶えていますか?彼女が死んだとき、エリザベス女王をはじめとする王室が、ダイアナの死に冷たい態度だったというので、英国民の反王室機運が盛り上がったことが伝えられましたよね。気の早い人は、ひょっとすると共和制になるのでは?とまで言ったりした。The Economistは、この観測も全く間違っていたとして、ダイアナ妃の死の5年後に亡くなったエリザベス皇太后の葬儀や女王の即位50周年の式典には大群衆が詰め掛けたではないか(huge and loyal crowds turned out for the queen mother's funeral, and for the queen's Golden Jubilee)と言っている。また10年後のいま、世論調査でも王室の人気は相変わらず高いし、チャールズ皇太子とカミラさんのことをとやかく言う人もいなくなってしまった。

Time誌の記事を読むと、英国王室が一般に開放的になったのもダイアナ妃のお陰という感じですが、The Economistの記事は、その努力はダイアナ妃が王室に加わる前にすでに女王らによって行われていたとして、1969年のテレビ・ドキュメンタリーを挙げています。エリザベス女王はlet in daylight upon the magic(神秘に日の光を当てる)と言っていたのだそうです。

ダイアナ妃の死によって、英国の政治風土や英国人気質が変わったという人もいる。彼女は人種の違いを超越して好かれていたということもあり、彼女の死は「多民族社会としての英国」が発展する一里塚になったという人もいるけれど、The Economistによると、英国は彼女の登場前からとっくに多民族社会になっていたのだ(ダイアナ妃の死によって、英国の政治風土や英国人気質が変わったという人もいる。彼女は人種の違いを超越して好かれていたということもあり、彼女の死は「多民族社会としての英国」が発展する一里塚になったという人もいるけれど、The Economistによると、英国は彼女の登場前からとっくに多民族社会になっていたのだと言っています。

英国人気質が変わったという部分については、Time誌は、彼女の死を泣き悲しむ英国人たちについて「感情的なインテリジェンス(知性)が冷たいインテレクト(理知)に勝利したのであり、優しさが伝統に勝った」(triumph of emotional intelligence over cold intellect, of compassion over tradition)ことを意味するとしている。

英国人が昔ながらの美徳として語るものにstiff upper-lip(唇を真一文字に結んで苦しみや悲しみに耐えること)があり、ダイアナ妃の死に直面した英国人たちの唇がゆるんだと言う人は確かにいましたね。しかし、この点についてもThe Economistは、そのような見方は誇張であって、感情をむき出しにしないという英国人気質は、あのロンドン・テロ(2005年7月7日)においても十分に発揮されたのだとしています。

ダイアナ妃の死を嘆き悲しむ英国人がロンドンを埋め尽くしたことについて、The Economistは非常に面白い解説をしています。

トニー・ブレアの新労働党が登場し、保守党が去ったという(社会的な)事情もあって、the Mallで泣いたり抱き合ったりという風景は、一般的な雰囲気として、何か大きなものの一部になりたいという願望が存在したことの証拠であるとされてきた。それはまた核社会化を拒み、優しさとコミュニティ感覚を大切にしようということの表れであるともいわれてきた。が、そのような願望そのものがどこかへ消えてしまったようでもある。ブレア氏によって掻き立てられた「熱い期待感」もまた消えてしまったようである。(In part because they coincided with the advent of Tony Blair's New Labour government, and the ejection of a Conservative one, the weeping and hugging in the Mall have been seen as evidence of a general longing to be part of something bigger: of a rejection of social atomisation, an embrace of compassion and communitarianism. Like the fervent hopes Mr Blair aroused, that longing, if it existed, seems to have faded. )

Time誌の記事は、最後の部分で、ダイアナ妃が「弱者の声を代弁して彼らの置かれた状態に注目を向けさせる存在だった。彼女はきっと立派な女王になっていただろう。しかし彼女はもういないのだ」という元王室報道官だった人のコメントを紹介しながら次のような文章で終わっています。

彼女もういないって?現代英国を形作るさまざまなプレッシャーについて少しでも知識のある人ならば、彼女はぜんぜんいなくなってはいないと言うだろう。(Gone? As anyone who knows anything about the strains that make up modern Britain will tell you, that is very far from true)

それに対してThe Economistの結びは次のとおりです。

ダイアナが生きていたら、いずれは美しさも面白さも減った人間になり、おそらく不幸の度合いも少なくなっていただろう。彼女は死ぬことによって「心の女王」として不死の存在になってしまった。しかし彼女は、カーニバルの女王であったというのが、本当のところだろう。つまりほんの一時だけ無秩序をもたらした王族ということであり、それが過ぎ去ったあとには、昔ながらの秩序が不変どころか、もっと強いものになって厳然と残っているのである。(Had she lived, Diana would eventually have become less beautiful, less interesting, perhaps less unhappy. By dying, she immortalised herself as the “queen of hearts”. But in truth she became a carnival queen: monarch of a temporary disorder that, when it passed, left the old order intact, or stronger.

▼つまりThe Economistは、あのときのロンドンを埋め尽くした群集が泣いたり、抱き合ったりしていた、あれを「カーニバル」だというわけです。ほんのひとときの「優しさとコミュニティ感覚」を楽しんでいたとも言える。これ、当たっていると、私は思いますね。 あの当時、ブレアさんが言ったPeople's Princessという言葉が、カーニバルにぴったりだったのですよね。この言葉は、ブレアさんが自分で作ったもので、きわめて自然に口をついてでたものなのだそうですが、ホントですかね。

▼で、いま英国人が何を感じているのか?BBCのサイトへの「書き込み」を見ても分かれていますね。「メディアの報道やや人びとの悲しみの表現は気味が悪いと感じた」(I found all the media hype and public shows of grief rather distasteful)という人もいるし、「彼女の死に方によって多くの人々が心底傷ついたのだ」(her untimely death genuinely hurt people)という人もいる。私が個人的に共感を覚えるのは前者の方なのですが、後者のような人々もたくさんいます。

▼で、直接関係ないことなのですが、日本のテレビのサスペンス・ドラマの殺人事件などで、遺族が死体安置所などで「対面」して、よよと泣き崩れる場面がほぼ絶対と言っていいほどある。あれはしらける。 出来れば人前で泣いたりしないほうがいい。

▼Timeの記事で面白いと思ったのは、英国という国ついて「グローバルな文化に対して不釣合いなほどの影響力を持つ国」(a nation with a disproportionate impact on global culture)と言っていることです。アメリカが影響力を持つのは、パワーを考えれば分かるけれど、なんで英国が?ということですよね。

4)短信


鶏の手術に50万円

南ウェールズに住むビッキーとサムという夫婦がイチバン大事にしているのがペットの鶏。名前はリリー、Rhode Island Redという種類のもので年齢は3才。普段は屋内で暮らしているのですが、ある日庭で遊んでいて、鉄条網に足をひっかけて負傷してしまった。ギブスをはめて治療しないと命にかかわると獣医に言われ、払ったお金が2000ポンド(約50万円)だったとか。さらにリリーは「うつ病」(depression)と診断され、一人で自宅に残されるときは必ずテレビをオンにしておくことが必要と言われたのだそうです。もちろん獣医のアドバイスを忠実に守ったおかげで「彼女のくちばしに笑みが戻ったんだから、よかったんじゃない?」(it was worth it to see the smile back on her beak)と、奥さんのビッキーは言っている(とDaily Mailが伝えています)。

▼「くちばしに笑みが戻った」なんてこと、分かるんですかね!?鶏がくちばしをゆがめた姿なんて見たことない。

ヨガはキリスト教会には合わない

Daily Mirrorによると、サマセットという村の教会がヨガ教室の会場に使われることを拒んで問題になっているそうです。理由はヨガが非キリスト教的(un-Christian)で、子供たちの精神生活に悪い影響を与えるということ。使用を申し込んだ41歳の女性は「ヨガは宗教には関係なしに何千年という歴史があるのよ。ただ子供たちが動物みたいな動きで体操するだけなのに・・・」と文句を言っているのですが、断ったバプチスト教会の牧師さんはに「ヨガは我々とは違う精神生活を教えている。教会でやるのならキリスト教の精神(エトス)に沿ったものでないと・・・」と言っています。

▼ヨガって、体操の一種なんだと思っていました。教会で座禅なんてのもアウトなんでしょうね、当然。

水の出ない噴水

サウス・ロンドンにPeckham Rye Parkという公園があるのですが、このほどその中にビクトリア時代のものを再現する噴水ができたのですが、見た目は立派な噴水なのに水が出てこない。これを作った地元の区役所では「あれはモニュメントであって、本物の稼動する噴水として作られたものではありません」と説明している。ただ「歴史的モニュメントであってもなくても、水が出ない噴水など作る意味がない」というのがもっぱらの評判だとDaily Mirrorが伝えています。

▼宝くじ財団の基金によって作られたんだそうです。怒るで、しまいに・・・!。
5)むささびの鳴き声


▼8月25日付けのある新聞の社説を読んで笑ってしまいました。「朝青龍騒動―突っ張り合いは終わりだ 」というタイトルです。まず

心の病は本人にしかわからないことが多い。他人にはささいなことでも、大きな苦痛と感じることが ある。しかも、医師が診断し、母国で療養させるべきだ、というのだから、ここは早く帰国を認めた方 がいい。

と言ってから、地方巡業をさぼった朝青龍について、

日頃から無断で帰国したり、粗暴な振る舞いを繰り返したりしたのも、目に余る。日本で相撲を続け ようというのなら、およそ横綱らしからぬ行動は慎まなければならない。

と小言を言っています。さらに相撲協会に対して、

もっと丁寧に意思疎通を図っていれば、朝青龍との関係もこれほどこじれることはなかっただろう。

と注文しています。

▼この新聞のいつものセンですが、「Aも悪いけれど、Bも良くない」と言ってから、「もっと丁寧な意 思疎通を」という何だかよく分からないことに落ち着く。私の記憶によると、昔からですね、この新聞 のこのやり方は。「毒にも薬にもならない」ってやつですね。 英語でなんと言うのか?Neither poison nor medicineかな!?「自民党も悪いが、社会党も大人になれ」「戦争反対は結構だが暴力デモもよくない」等など、悪く ないのは自分だけってことです。

▼私、夏の酷暑の中で、ぼんやりテレビを見ていたのですが、よくも飽きずにあれだけやるもんだ、と 思うくらい、朝青龍のニュースをやっておりました。朝青龍のマンションの外には四六時中、テレビの レポーターやらカメラマンたちがわんさと見張っている。普通の神経ではとても外出は出来ない。なのにレポー ターは「横綱は自室に閉じこもったままです。何を考えているんでしょうか?」と報告する。自分たち がいなければ外出もしたであろうに、です。

▼私によるならば「仮病使って巡業をさぼったくらい、なんだってのさ」ということなのでありますが、 問題がここまでこじれた理由の一つがメディアの行き過ぎ取材・報道にあるってことも言っておきたい 。モンゴル行きの飛行機の中、到着後の空港等など、何だってあんなに群がるんですかね。

▼それから、いわゆる「国技の精神」が守られないことで、我々に何か不都合でもあるんですか?懸賞金を左手で受け取ろうが、右手でやろうが、どうでもいいんでないの!?

▼酷暑のワイドショーでやっていたもう一つの話題が、小池百合子・防衛大臣とお役人のすったもんだ 事件でした。憶えてます?事務次官をクビにした事件。クビにされたお役人が言うのには「新聞の記事 で初めて知った。寝耳に水だ」とのこと。で、小池さんは「(この件について)二度も携帯に電話したのに出なかった」 と言っていた。「大臣からの電話にすぐに出ないのは危機管理の点でも問題だ」という小池さんのコメ ントを暑い中でさんざ聴かされたのであります。

▼大臣の電話にすぐに応じないお役人はまずいのかもしれないけれど、だからと言って、お役人よりもまず 新聞記者に人事の話をしてもいいってことにはならないんじゃありませんか?この程度の常識は、私で も分かります。小池さんは、防衛省を辞めるに当たってI shall returnと言ったのだそうですね。

▼で、私の結論。小池さんは帰ってこなくてもいい。You do not need to return...朝青龍も帰ってこない方がいいと思うのですが、それは朝青龍のためを思ってのことであります。You should not return...日本で相撲をとる以外に生きる術はないんですか?

むささびジャーナルへのメッセージ