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musasabi journal 63
24 July 2005

皆様こんにちは。ロンドンはどうなっていくのか、毎日ニュースが変わっています。今度はエジプトで爆発・・・。従ってむささびジャーナルの記事も古くなってしまいます。仕方ないですよね、別に新聞のつもりで出しているのではないわけですから。で、全然関係なくて申し訳ありませんが、先日、横浜ベイスターズのクルーン投手が161キロの速球を投げるのをテレビで見ました。というわけで63号のメンヒューは下のようになっています。

@ブレアさんの予期せぬ神格化
Aロンドン・テロとイラクの関連性
B和解は妥協だ
C短信
D編集後記

 

@ブレアさんの予期せぬ神格化


ロンドン・テロから9日後、The Economistの7月16日号の政治コラムBagehotにテロの結果として却って地盤を固めてしまったかのように見えるブレア首相のことが書かれています。題してThe Unexpected apotheosis of Tony Blair(トニー・ブレアの予期せぬ神格化)。

ロンドン五輪の招致成功、サミット前にNGOたちと派手に繰り広げたアフリカの貧困撲滅キャンペーン、サミット、そしてEU議長国のリーダー・・・いいことずくめの後のショックというわけですが、パニックに陥ることなく、ロンドン市民の勇気を称えると同時に英国内のイスラム・コミュニティを擁護するようなコメントを発表したということで、その「指導力」は野党の保守党でさえもブレアさんを賞賛するほどであった。ブレア首相は今や党派を超えた存在にまでなってしまった。 しかも7月16日の時点では、テロとブレアさんのイラク政策を結びつけるような議論は殆どない。

尤もThe Economistによると、保守党がブレアさんを褒めちぎるにはそれなりの計算あるそうです。彼を国民的英雄として崇め奉ることで、労働党から切り離したいということ。そうすることで、次なる選挙(ブレアさんは労働党党首として続投しないと名言している)で、彼の後継者であるゴードン・ブラウン蔵相との「格差」を際立たせて、ブラウンさんのイメージダウンを図ると同時に労働党そのものの弱体化をも期待しているというわけです。 労働党内のブラウン支持者の間には保守党の「ブレア褒めちぎり作戦」を警戒する向きもあるのだそうです。

かつて保守党がサッチャー退陣によってバラバラになってしまったという前例があり、そのことがサッチャーの偉大さを印象付けた観がある。そのことにサッチャーさん自身も妙な満足感を持ったりもした。労働党支持者が心配するのは、後世に名を残したいブレアも同じようなワナにはまるのではないかということ。 しかしThe Economistによると、ブレアがそのようなワナにはまることは、可能性はとしてはあるが現実には起こらない(possible but unlikely)そうです。

サッチャーさんが国内政策における指導力で名を残したのに対して、ブレアさんは国際舞台でこそ華々しいものの、国内政策の実績という点ではサッチャーに比べれば「小さくてあぶなっかしい」(slighter and more fragile)ものがある。ブレアさんとしては、労働党がブラウンさんの下でもう一期政権を担当してもらうことによってこそ、彼の名前も歴史に残るということが分かっている。 「労働党のブラウン支持者たちが心配すべきなのは、ブレアについてではなくて、様々なことの成り行きだ(It's not Mr Blair that should worry the Brownites, but events)」というのがBagehotの結論。

  • この場合の「成り行き」(events)は、労働党の政策(特に国内政策)によって惹起される労働党にとって好ましくない事柄のことであり、ブレア個人についてあれこれ心配する必要はない-という意味であろうと私は解釈しました。この雑誌の英語は難しい!

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Aロンドン・テロとイラクの関連性


7月16日付けのThe Economistがロンドン・テロによってブレア神格化現象が起こってとして、その原因のひとつに、テロとブレアさんのイラク政策を関連付けるような議論が「まだ少ない」ことを挙げています。それはこの時点ではそうであったかもしれないけれど、その後事情が変わってきているようで、この二つをはっきり関連付けるような議論が出てきています。

その一つが英国国際問題研究所(Chatham House)の報告書で、これは日本でも報道されたと思います。この報告書についてはストロー外相あたりが強く反論して「イラク戦争とは無関係の国でもテロは起きているではないか」と言っています。スペイン、トルコ、インドネシア(バリ島)等などがそれに当たります。

一方、 Chatham Houseとは別にSir Barnard Crickという学者がBBCの番組で、テロリストの活動を「宗教的狂信者の行い」とのみ考えるのは間違いだ、と語っています。政治的な側面を見る必要があるということです。Sir Barnardはブレア政府のブレーンの一人であった人で、かなり有名な人であったと記憶しています。日本にも来たことがあります。

Sir Barnard

  • なんでもかんでもイラクと結びつけるのはどうかと思うが、アラブ世界やイスラムの世界では、この種の抗議運動が、1967年の中東戦争後におこなわれた国連決議にイスラエルが従わなかったということがあって以来続いていることは否定できない」(To say it is all to do with the Iraq war is easily refuted, but what is not easily refuted is that these kinds of protests in the Arab and Islamist world have been going on since the failure of Israel to follow UN resolutions after the 1967 war)

として、英国がアメリカの間違った外交政策に追随し、全く逆らおうとしないことに若いインテリ・イスラムが怒っており、

  • アメリカの政策を変えることができないまでも、せめて抗議でもしていれば、イスラム・コミュニティの熱を冷ますことができるのに(Even if we can't change it, protests from people in authority will cool the water of tolerance in some sections of the community)

と言っています。

テロとイラクを関連付けて考えているのはSir Barnardだけではないようで、世論調査によると「ロンドン・テロはブレア首相のイラク政策に責任があると思うか?」という問いに対して33%の人が「大いにある」と答え、「少しある」の31%と合わせると6割以上にのぼっています。「全くない」という人は28%となっています。またこれからも英国で自爆テロがあると考える人は75%で、「ない」という人の11%をはるかに上回っています。

ところでロンドン・テロから1週間後、ケンブリッジ在住の私の知り合い(英国人)がメールをくれて現在の心境を次のように伝えてきました。

  • I was always deeply against the invasion of Iraq. We somehow have to attack the underlying causes of terrorism: no other way has any chance of succeeding in my view. All we can do is go on with our lives and try not to become too fearful.
  • I was standing on a tube going to one of the bombed stations when we were all ordered off the train. I got my 2 pounds refund and spent it on an ice cream in St James's Park!!

それやこれやしているうちに、ロンドンでさらに2度もテロ騒ぎがあったわけですが、上に挙げた世論調査では「過激派イスラムは国外追放すべきか?」という問いもありました。それに対する回答は「追放すべき」が71%で「滞在を許すべき」が22%でありました。22%という数字は案外大きいと思いませんか?

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B和解は妥協だ


山梨学院大学・小菅信子教授の『戦後和解』(中公新書・740円)によると「過去に根差した感情対立の解決としての戦後和解のエッセンスは、未来の平和と友好とを担保にした高邁な妥協である」そうです。『戦後和解』は日本と英国の間の和解のプロセスを語りながら、日本と中国との和解の可能性を探ろうとするものです。例によって私の読後感をここに掲載するのは、長ったらしくて気が引けるので別のところに載せておきます。ここをクリックしてください。

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C短信


トイレットペーパーの強盗団

ロシアのサンクト・ペテログルブとモスクワを結ぶ道路で警官を装った強盗が相次いでいるそうです。但し強奪するものが妙に所帯じみているのが特徴で、つい最近のものは大量のトイレットペーパーを輸送中のトラック3台が襲われたケース。トラックの目の前にいきなり「警官」数人が飛び出してきてトラックを停止させる。ナニゴトかと降りてきた運転手を別の車に連れ込んで、そのまま付近の森へ連れて行って置き去りにする。その間にトイレットペーパーを載せたトラックは強盗にハイジャックというわけ。警察によると、ここ数ヶ月でソーセージ、豚肉、コーヒーなどを輸送中のトラックが襲われているのだとか。

  • トイレットペーパーはともかくソーセージや豚肉のような「戦利品」はどうやってお金にするんですかね。有名なロシアの闇市場なのでしょうか?いずれにしても、あまりカッコイイ強盗ではない。

警察にいたずら電話で逮捕

日本で警察を呼ぶ電話は110ですよね。ドイツは999(らしい)。最近、用もないのに、999のダイヤルを回し続けた男が逮捕された、というニュース(かな!?)。デュッセルドルフに住む45歳の男で、何故いたずら電話なんかしたのかというと、「オペレータの声を聞きたかった」というのが理由。最初に間違って999を押してしまったときに電話口に出た女性オペレータの声に恋をしてしまった。「実にセクシーな声だったので、つい・・・」とか言っています。ちなみに逮捕の理由ですが「警察の時間を無駄に使った」という罪なのだとか。この人、いつも決まった公衆電話から999をかけていたらしく、ついに逆探知で捕まってしまったそうです。「酔っ払って・・・つい・・・」などと言っているそうです。

  • 決まった公衆電話を使うなんて・・・携帯を使えばよかったのに。そういえば携帯ってのは逆探知できるんでしょうか?

ミミなしパン

英国のパン・メーカーが画期的な食パンを開発したそうであります。どう画期的かというと、ミミがないということです。パンのミミのことはcrustというのですが、このパンの商品名はInvisible Crust。これを開発するのに2年かかったとのことです。何でまたミミなしパンの開発なの?実は英国では3分の1の親が子供の要求に応じて、パンの耳を切り捨ててあげているという調査があるらしい。その面倒を省けるパンなら売れるかも・・・メーカーでは、ミミなしパンの製造方法について「外側が焦げないように低温で焼く」としか言っていません。

  • パンの耳は美味しいのに。ご飯のオコゲと同じ。それを切り捨ててあげるなんて、信じられない。

2匹のイタチの会話(付け足しジョーク)

バーで2匹のイタチ(weasels)が酒を飲んでいるというシーンを想像してください。あえて翻訳はつけません。

Two weasels are sitting on a bar stool.
One starts to insult the other one. He screams, "I slept with your mother!"
The bar gets quiet as everyone listens to see what the other weasel will do.
The first again yells, "I SLEPT WITH YOUR MOTHER!"
The other says, "Go home dad, you're drunk."

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D編集後記

●ロンドンテロの後の英国人の対イスラム感覚と、地下鉄サリン事件後の日本人の対オウム感覚は同じなのか・違うのか?違うとすればどう違うのか?同じ、あるいは似ているとすればどのように似ているのか?気になります。何故かというと、ロンドンテロ後、私が毎日通勤で使う西武線の池袋駅のゴミ箱が除去も封鎖もされていないのです。「だから危機意識が足りない!」などというつもりはありません。ただオウムの時は実にゴミ箱はバッチリ封鎖されていたのに比較すると、ちょっと違うなと思ったりもする。●イントロのところでお知らせした横浜ベイスターズのクルーン投手による161キロですが、意外にも相手の阪神タイガースの打者は空振りしなかったのです。ファウルを打った。つまりバットに当てたのであります。161キロともなると本当は空振りするはずなのです。というわけで、あれホントに161キロだったのでしょうか!?ひょっとして機械の間違いなのでは?という疑問を呈した人はメディアにはいなかったみたいです●いつもお付き合いを頂き有難うございます。これからが本当に暑くなります。お体に気をつけて・・・。

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letters to musasabi journal