日本の新聞やテレビでも報道されましたが、英国保守党の新しい党首にデイビッド・キャメロン(David Cameron)という人が選ばれました。全国の保守党員からの郵便投票の結果、キャメロンの得票数が134,446票、対立候補(David
Davis)のそれは64,398票。圧勝です。
この人いくつだと思います?39才ですよ。若さを売り物にしたブレアさんが1994年に労働党の党首選ばれた時の年齢が41だったから、それよりさらに二つ若い党首というわけです。保守派の新聞Daily
Telegraphは、キャメロン党首の登場は保守党支持者によって「10年ぶりの熱狂をもって迎えられた」と伝えています。確かThe
Economistが、保守党員の平均年齢は65を超えていると伝えていたはず。そんな党がよくぞ39才の若者を党首に選んだものですね。
年齢は書いていないけれど、Daily Telegraphのサイトに投書した保守党支持者は、キャメロンに「ブレアの真似だけはしてくれるな」というわけで、「傲慢(arrogance)」「うそつき(mendacity)」「シニシズム(cynicism)」「気短(petulance)」「退屈(vapidity)」「不真面目(profligacy)」などを挙げています。保守派の英国人にとってブレアの何がイヤなのかをよく表わしていると思います。
それはともかく、Daily Telegraphはキャメロンが「サッチャー伝説に終止符を打った」と伝えている点が注目されます。同紙によると、キャメロン党首は保守党を「近代的かつやさしい保守党(modern,
compassionate Conservative)に変革することを重点にしている。そのことによって労働党に奪われた「中間層」を再び保守党に取り戻そうというわけです。具体的には、女性の議員を増やすこと、公共サービスの充実に力を入れること、何でも反対という対立的な姿勢を止めて、よい政策であれば労働党政府のものでも支持する等などが挙げられています。
キャメロン党首の就任演説の中で言った言葉There is such a thing as societyはサッチャー語録の中でも最も有名なものである「この世に社会なんてない(There
is no such thing as society)」からの脱却を宣言したものだ、とDaily Telegraphは言っています。サッチャーさんは「政府に頼るのは止めなさい」と言ったのですが、キャメロン党首は「国家とは別に社会というものはある」と述べたそうです。
この人は、あの名門、イートン校とオックスフォード出身のエリートだそうですが、懸念と言えば「若さ」だそうです。年齢というよりも経験のなさのことで、何せ国会議員になってから5年も経っていない。野党党首としては最も未経験な党首なのだとか。
- サマンサ夫人との間にもうすぐ3人目の子供が生まれるのだそうです。夫人と写っている写真に見る限り、この人の保守党と選挙を戦わねばならない労働党のゴードン・ブラウン(次回の選挙が行われる2009年には58才)はきついかもしれない。この人に比べると、明らかに「じいさん」だもんね。
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