musasabi journal
発行:春海二郎・美耶子
第100号 2006年12月24日

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2006年最後のむささびジャーナルです。今年もいろいろなことがありましたが、ウチで一緒に暮らしていた柴犬のレイちゃんが亡くなりました。「亡くなった」といえば、あの青島幸男さんも亡くなりましたね。これは心底さびしいですね。で、ウチの柴犬ですが、現在ではサムとDDの二人だけになりました。両方とも16才、ケンカするだけのエネルギーがなくなっているようです。

目次

1)ロンドン五輪のコスト
2)英語しかできないモノリンガルの悩み?
3)世界は良くなっている・・・?
4)ラムズフェルド・キッシンジャー・大量破壊兵器・・・
5)短信
6)むささびの鳴き声

1) ロンドン五輪のコスト


昨年7月のIOC総会で、2012年のオリンピックがロンドンで開催されることが決まったときは、ロンドンは沸きかえったのですが、最近のThe Economist誌によると「予想されたこととではあるが、コストがどんどん上がっていっている(Predictably the costs of staging the games are spiralling up)というわけで、五輪開催ともなると「請求書もオリンピック規模(The bill will be Olympic-sized too)」と言われています。

もともとロンドン五輪のコスト見積もりは、会場建設と大会運営も入れて24億ポンド(約5000億円)とされていたのですが、ロンドンのLower Lea Valleyと呼ばれる地域の再開発のための10億ポンドが何故か当初報道されたコストには入っていなかった。が、この地域の再開発がIOCに提出した計画書に入っており、しかも重要な部分として強調されいた。さらに中央政府のジョエル文化大臣が「原材料値上がりで、9億ポンドの追加が必要」と議会に報告した。それで終わりかと思ったら、今度はロンドン議会が「土地価格の高騰のために」再開発費として4億ポンドの追加が必要と発表した。

それやこれやでロンドン五輪の総経費は「47億ポンド(殆ど1兆円)にのぼりそう」(The Economist)なのだそうです。いや、もっとかかるだろうという見方もある。例えば警備費用。2005年7月7日にロンドン・テロが起こったのはロンドン五輪が決まったあとのことだったので、警備費用は「当初の予想以上にかかるだろう」というわけで、それを入れると80億ポンドもありうるという声もある。オリンピック実行委員会( Olympic Delivery Authority)のSir Roy McNultyもロンドン議会で「最初の予算は会場建設についてのきちんとした見積もりが行われていなかったし、完全な会場分析の費用も入っていなかった(the original budget had not included proper costings for the venues or a complete analysis of the sites)」と報告したりしている。

当然のようにロンドン議会のBrian Coleman議長も「五輪関連の見積もりは、あらゆる側面からして混乱しているし、不透明な部分がありすぎる(There's confusion from all angles and no transparency about anything)」と批判しているのですが、要するに「誰にも分からない、というのが実情だ」と嘆いています。

ロンドン五輪の正式な予算は新年早々にも決まるらしいのですが、英国における大規模なインフラ・プロジェクトの過去の混乱の例を考えると、新年に明らかになる予算が最終的なものになるかは、きわめて疑問だとThe Economistは言っているのですが、五輪にかかわっている中央政府の文化省の関係者は「シドニー五輪の場合は、2年前になって初めて予算が正式に決まったくらいだから、それに比べればロンドンはよくやっている」と言っています。

  • ロンドン五輪の組織委員会のサイトはここをクリックすれば見ることができます。
  • ロンドンのあとの夏季五輪(2016年)に東京が名乗りをあげていますね。確か石原慎太郎知事は「東京でオリンピックをやれば国民の士気も上がる」ということを立候補の理由にしていませんでしたっけ?最近では皇太子にも誘致活動に拘わってもらおう・・・なんてことも言い出している。でもねぇ、2008年が北京でアジア、2012年がロンドンで欧州ときて、そのあとに再びアジアなんて考えられますか?当然南北アメリカとかアフリカの方が可能性は圧倒的に高いのでは?にもかかわらず「国民的な士気を盛り上げるため」とかで、殆ど可能性のない誘致運動に力を入れるとか言われると「止めなさい」とも言いにくい。あの人のことだから、否定的なことなど言おうものなら「お前は非国民だ!」などと言われかねない。しかも本人は来年の知事選挙に再度立候補すると言っている。こんな人をかついでいる東京都民は何を考えているんでしょうか!?
2) 英語しかできないモノリンガルの悩み?


日本において英語を小学校から教えようという動きがある一方で、英国においては外国語教育がかなりなおざりにされているということについては、むささびジャーナル第97号でも触れました。これに関連して、The Economistの12月16日号に国際言語としての英語の普及についての面白い記事が掲載されています。

同誌はまず英国人の外国語能力について触れ、外国語で会話ができる英国人はわずか30%(just 30%)であり、EUの中では下から2番目(ビリはハンガリー)なのだそうです。学校教育においても外国語はかなりなおざりにされており、公立学校の殆どが外国語の授業をギブアップ、私立の学校でもこれにならう学校が増えている。16才になると必ず受けなければいけない学力テストであるGCSEでも外国語をとる学生は半分にすぎない。

で、国際言語としての英語の普及についていうと、世界の総人口(約66億)のほぼ4分の1が、程度の差こそあれ英語を話す、とThe Economistは言っています。つまり第二言語として使う人も含めて大体16億人が英語を使うということです。このうち約4億が英語を母国語としている人です。中国で英語を習う人の数は1億8000万であり「日本では5才の児童の5分の1が英会話を習っている」(more than a fifth of Japanese five-year olds now attend classes in English conversation)とのことであります。

と、このように皆が英語を使うようになるってことは、ネイティブスピーカーにとっては結構なことのように思えるかも知れないが、実はそうではないというのがThe Economistの指摘です。英語を第二言語として上手に使う人(バイリンガル)は、英語しか話せないモノリンガルに比べれば国際的な視野が広いということであるからです。

モノリンガルにとってさらに困るのは、英語を第二言語として使う人の間の会話が増えるに従って、従来の生粋の英語でない英語、いわば地球語(Globish)を使うケースが増えているということです。最近IBMの副社長を務めたJean-Paul Nerriereという人が本を出したらしいのですが、それによると、IBMの社内ではGlobishで十分通用してしまっているとのことです。Globishのボキャブラリは1500語で、アメリカ人や英国人なら使いそうなイディオム、略語、ユーモアなどは一切なし。ひたすら基本的に大切な事柄が通じるようにできている。味気ないという意味では、カフェイン抜きのコ−ヒーをもじってdecafenated Englishとも言うべく言語なのだそうであります。韓国人と日本人のスタッフなどは、これで「会話」するのが一番簡単らしい。

  • なるほど・・・そういえば一昨年だったかオックスフォード大学の夏季講座なるものに出たときに、先生が言ってましたね、今や英語はBritishでもAmericanでもなくWorld Englishの時代なんだって。昔、世界言語のエスペラントというのが話題になったことがあったけれど、結局広がらなかったですね。
  • 私も毎日の仕事の中で、非英語圏の人たちと英語で意思疎通を図ることが多いわけですが、これって結構単純でいいんですね。洒落た言い回しだの、微妙なニュアンスなんてどうでもいい。要するにビジネスが出来ればいいんですからね。Globishの世界では、本当に基本的な英語だけで何とかなる。英語の先生も敢えて「ネイティブ・スピーカー」である必要はないんです。この際、Globish Schoolというのをやったら受けるかも?
 
3) 世界は良くなっている・・・?


戦争、テロ、核実験、貧困、差別、環境破壊等など、新聞やテレビの報道を見ていると、世の中悪いことだらけで、人類はどう見ても破滅の方向に進んでいるとしか思えない。しかし、それってホントですか?Indur Goklanyというアメリカ人が書いたThe Improving State of the Worldという本によるとThe world is richer and healthierつまり、昔に比べれば世の中ぜんぜん良くなっているのだそうであります。著者は国連の気候変動に関する政府間会議のアメリカ代表をつとめたこともある人です。

まず食糧事情からいうと、貧困国における栄養摂取量は一日平均で2,666カロリーで、これは1960年代に比べると38%の増加で、それを反映してこれらの国々における人口はこの30年ほどで83%も増えているんですね。著者によると、貧困国における慢性的栄養失調率は45年前には3人に一人であったのが、今では17%に下落している。

世界における貧困問題はまだまだ解決には程遠いとはいうものの、1日1ドルで生活している「極端な貧困(extreme poverty)」は、1970年代には世界の全人口の16%であったのが、今では6%に減っている。1日2ドルという貧困人口もかつての39%から18%になっている。

平均寿命についていうと、中世の英国では22才、1800年の頃には産業革命のおかげもあって36才、1950年代では69才ときて、今日の英国人の平均寿命は78才にまで伸びているというわけです。中国の場合、1950年代で41才だったのが今では71才に、インドでは39才から63才にまで伸びている。今から100年ほど前の1900年当時の人類の平均寿命は31才だったのが、今日では67才となっている。

環境問題はどうか。筆者によると1858年、ロンドンのテムズ川が余りにも汚れと臭いがひどかったので、国会が一時閉鎖されるということまであったんですね。これをthe Great Stinkというのだそうです。今では考えられない。「考えられない」といえば1952年にロンドンで発生したスモッグによって4000人の人々が死んだとのことです。「霧のロンドン」どころではない。

著者はさらに、先進国がかつてない規模で自然資源を浪費しているというという「定説」にも疑問を呈しております。例えば現在の発電所で石炭1トンの発電量は100年前の12倍なんだそうです。それから先進国におけるエネルギーの消費量も過去150年間、1年あたり1・3%の割りで減ってきており、2006年の先進国における石油需要は好景気にもかかわらず減っている。

よく言われる地球温暖化問題については、確かにそれによって洪水が起こりやすくなるなどの問題はあるにしても、政府による関与のし過ぎは正当化できない、と著者は言っている。これから発展途上国における生活水準がどんどん向上してくると、温暖化は避けられず、ある程度の二酸化炭素の排出規制は必要かもしれないが、むしろ気温上昇に生活を合わせるほうが経済的(cheaper)だとのことであります。

要するにこの著者によると、文明がますます進歩すると、貧困や栄養失調はこの世から消滅するし、アフリカにおける乳児死亡率も今のアメリカくらいにまで下がるし、平均寿命もアメリカと同じくらいになるであろうとのことです。

  • 以上はThe Improving State of the Worldの内容をかいつまんで紹介したThe Spectator誌の記事を、さらにかいつまんで紹介しました。実は私自身、まだこの本は読んでいません。が、保守派のオピニオンマガジンであるThe Spectatorらしく、過去数百年にわたって人類が達成してきた文明(この場合は西欧文明のこと)というものをもう少し評価してもいいのではないかと言っております。
4)ラムズフェルド・キッシンジャー・大量破壊兵器・・・


国防長官が諸悪の根元?

アメリカのWashington Post紙のジャーナリスト、Bob Woodwardが書いたSTATE OF DENIAL(発行元:Simon & Schuster)という本は、ブッシュ政権によるイラク戦争の遂行と現在も続いている「戦後」への取組みを追跡したドキュメンタリーです。この記者ははるか昔、ニクソン大統領のWatergate scandalの一部始終をスクープしたAll the President's Menという本で有名になった人です。

State of Denialで主人公扱いされているのが、つい最近解任されたラムズフェルド国防長官で、ニュアンスとしてはこの人が「諸悪の根源」という感じで書かれています。この人は、現在のブッシュ政権ができたとき(2001年)に国防長官に任命されたのですが、それ以前にもフォード政権(1975年)でも国防長官を務めたことがある。フォード政権下では史上最年少(43才)、ブッシュ政権では史上最年長(68才)の国防長官になった人です。

State of Denialによると、ラムズフェルドが国防長官として最も力をいれたのが、効率的な国防省(ペンタゴン)の運営で、イラク戦争の遂行にあたっても、少ない兵力で短期戦を主張して、大量の兵力で短期戦を、という当時のパウエル国務長官らと対立したとされています。最終的には国防省内部からこの人に対する不満が噴出して辞任に追い込まれたのですが、嫌われた大きな理由として、何でもかんでも自分の管理下におきたがるという性癖があったようです。その最たるものが、戦争後のイラクの安定化を国防省が主導すると言い張ったことにある。パウエル国務長官は、それは国務省の仕事だと主張したのですが、ラムズフェルドの主張が通ってしまった。

ブッシュ政権の2期目(現在)発足にあたって、パウエル国務長官が退任し、大統領特別補佐官であったコンドリーサ・ライスが国務長官に就任する一方、ラムズフェルドはそのまま国防長官として留任してしまったのですが、その際、パウエル国務長官の下で国務副長官をやっていたリチャード・アーミテージがライスに代わって大統領特別補佐官になるように要請された。アーミテージはこれを断ったのですが、その理由として「パウエル氏を解任して、ラムズフェルドを留任させるような政権には協力できない」(I just don't know how I can work in an administration that lets Secretary Powell walk and keeps Mr Rumsfeld)と言ったのだそうです。

キッシンジャーのアドバイス

ところでブッシュ政権がイラクも含めた外交政策について、最も頻繁にアドバイスを求めた人物がヘンリー・キッシンジャーなのだそうです。この人は元国務長官であるばかりでなく、ニクソン大統領の特別補佐官をやっていた人物で、Bob Woodwardによるとブッシュさんの外交政策に目に見えない影響力を持っており、余り外部の人間からアドバイスを求めることをしなかったブッシュさんですが、キッシンジャーだけは別格だった。(ちなみにブッシュとこの人とのミーティングも「自分がセットした」とラムズフェルドは言っているのだそうです。)

キッシンジャーのアタマの中には常にベトナム戦争の体験があるわけですが「アメリカがベトナム戦争に負けたのは、議会と国民の決意が弱かったからだ」ということで、「実はアメリカは1972年の時点であの戦争には勝っていた」(the United States had essentally won the war in 1972)というのが彼の主張であった。昨年(2005年)8月12日付のWashington Post紙への寄稿文の中で、キッシンジャーは、アメリカにとって唯一の「出口戦略」(exit strategy)のようなものがあるとすれば、イラクの内乱分子に勝利すること以外にはない(Victory over the insurgency is the only meaningful exit strategy)と主張している。彼によるとアメリカの議会や国民の間には「困難を避けたがる文化(American culture of avoiding hardship)」があり、ブッシュはイラクにおいてのみならず、アメリカ国内においても断固たる姿勢を貫くことが必要であるというわけです。

キッシンジャーはブッシュ政府のアドバイザーに対して、彼がニクソン大統領に提出した「塩つきピーナッツ・メモ」(salted peanut memo)なるもののコピーを手渡した。1969年9月10日付のメモで、次のようなことが書かれていたのだそうです。

(ベトナムからの)米軍撤退はアメリカ国民にとって塩つきピーナッツのようなものになるだろう。米軍がアメリカに帰還すればするほど、もっと帰還すべきだという声が高まる。(Withdrawal of US troops will become like salted peanuts to the American public; the more US troops come home, the more will be demanded)

キッシンジャーがこのメモのコピーをブッシュ政府のアドバイザーに提供したのは、2005年9月のこと。塩つきピーナッツは食べれば食べるだけ、もっと食べたくなる・・・撤退も同じことだというわけです。この当時、アメリカでは戦争の「ベトナム化」(Vietnamization)ということが言われていた。つまり北ベトナム軍との戦いは、アメリカ軍がやるのではなくて、南ベトナム軍に肩代わりさせるべきだ、という議論です。実は同じことがイラク戦争についても言われていたわけで、キッシンジャーはそれに対する警告として、このメモを提供したのだそうです。

キッシンジャーがイラク戦争を支持した理由は9・11に対する対応として「アフガニスタンだけでは足りない」からであったそうで、イスラム過激派との戦いはタリバンをやっつける程度で終わってはならない。イラク戦争の目的は、彼らに対して大規模な形で教訓を与えることにある。徹底的にやっつけることにある、というわけで、キッシンジャーは、戦争の遂行についてブッシュ政府がぐらぐらしていることを憂慮しており、彼のベトナム体験からすると、「徹底的にやりぬくっきゃない」(stick it out)ということになる。

大量破壊兵器を持っているふりをしたかった・・・

アメリカと英国がイラク攻撃を行うに当たって、その最大の理由としたのが、サダム・フセインが大量破壊兵器(Weapons of Mass Destrcution: WMD)を所有しているということだった。ブレアさんなどは「サダムは45分以内にWMDを発射できる」とまで言い切ったわけですね。これが結局存在しなかったのですが、アメリカ政府から要請でWMDを見つけるために派遣されたDavid Kayという核査察の専門家が、ブッシュ大統領に呼ばれて聞かれたのは「WMDが本当にないのであれば、何故、サダムは最初から全てをオープンにしなかったのか?」ということだった。

これに対してKay氏は次のように答えたそうです。

サダム・フセインはまさかアメリカ軍が本当に攻めてくるとは思わなかったのではないか。彼がアメリカ軍よりも恐れていたのは、国内のシーア派やクルド人たちの動きだったはずだであるが、シーア派やクルド人は、サダムがWMDを所有しているということを最も恐れていたのだ。(Saddam never believed the US would actually invade. But more important, more than he feared the US, he feared Shiites and Kurds who lived in Iraq. He knew that they in turn feared him because they thought he had WMD)

つまりフセイン大統領としては、国内にいる敵に恐怖心を持たせるために、WMDを持っているふりをする必要があったということです。David Kayはさらに次のように語っています。

一般的に言って、独裁政権が最も恐れるのは外敵ではなく自国民である、ということを分かる必要がある。それが独裁政権というものの歴史なのだ。そこのところを我々は見誤ったのだ。(You know, as you have to recognize, totalitarian regimes generally end up fearing their own people more than they fear external threats. It's just the history of totalitarian regimes. We missed that.)

Bob Woodward記者はState of Denialを「ブッシュは勇ましいトークと楽観主義を振りまきはしたが、イラクの現状についてアメリカ国民に真実を告げることはしなかった。(With all Bush's upbeat talk and optimism, he had not told the American public the truth about what Iraq had become)」という文章で締めくくっています。

  • State of Denialは今年(2006年)の春に出たものなので、ひょっとすると、まだ日本語版が出ていないかもしれません。が、登場人物間の会話が非常に多く、ドキュメンタリー映画を観ているような臨場感を持たせてくれます。ある集会で「イラク人の被害者の数はどのくらいなのか?」と聞かれたブッシュ大統領の答えは「大体3万人ってところ(I would say 30,000, more or less)です」。しかしアメリカ兵の犠牲者数については「大体2140人(We have lost about 2,140)」と答えている。実際の数は2,144人だったのですが、Bob Woodward記者は「アメリカ人の犠牲者数については、かなり正確に答えているのに、イラク人についてはmore or lessかと批判的に報道しています。
  • この本を読んでいて意外な気がしたのは、ブレア首相が殆ど登場しないということです。たった2ヶ所だった。舞台が主としてホワイトハウスとバグダッドなのだから仕方ないのかもしれませんが、それにしても登場人物の会話の中にさえ出てこない。ブッシュさんたちにとって、イラク戦争はまさに「アメリカの・アメリカによる・アメリカのための戦争」であったということでしょうね。日本?出てくるのは、第二次世界大戦における米軍による占領の見本としては2ヶ所ほど出てきますが、小泉さんだのサマワの自衛隊だのについては、まったく・・・。

5)短信


「サンタクロースはいない」ということを教えるのは適切か?

英国のExeterというところにある小学校で、クリスマスを間近に控えて「この世にサンタクルースなんかいない」という授業をやって「子供の夢をぶち壊すなんてあんまりだ」と父兄のヒンシュクをかっているそうです。この学校で使われている教材の中に、クリスマスに関連して郵便局へ行き、9〜10才の子供たちに「何故キミのクリスマスの願いが叶わなかったのか」という手紙を書く練習をさせるという部分があったらしい。私は詳しくは知らないのですが、これはRoyal Mail(郵便局)のスタッフの仕事のようなのですね。要するに趣旨としては、クリスマスを機に郵便局の人びとの苦労を知ろうというものであったらしいのですが、これを聞いた両親の中には「子供の夢を壊すもの」として「いずれは分かることとはいえ、それを学校がやる権利は無い」と文句を言っているそうです。ただ父兄の中にはこの授業を支持する人もいて「親にとってサンタがいてくれて有難いのは、子供の願いを叶えられないときにサンタのせいにできるってことだけ」とコメントをする人も。一方、学校当局はこの授業は不適切だったとして謝罪し、「この教材は今後二度と使わない」というコメントを発表しています。

  • 英国では、願いが叶えられない理由をカードで説明したりするんでしょうか?ずいぶん丁寧なんですね。

サンタ歴54年のこだわり

Exeterの子供たちが「サンタはいない」ということを教わっている一方で、同じく英国のBirminghamにあるHeartlands Hospitalという病院で過去23年間、サンタを演じてきている人がいます。78才になるDan Jonesという人で「子供らはみんな私がホンモノのサンタだと思っているし、正直言って、自分でもそう思えるときがある」と言っているのですが、最初にこれをやったのが54年前の24才のときに自分の、娘相手にサンタをやったのがきっかけ。実はこの人、心臓発作17回だけでなく、腎臓もおかしくなっているという健康状態なのですが「サンタの格好をするのは最高だ。これが私のまだ生きていることの秘訣だ」と語っているそうです。

  • この人、ヒゲはホンモノで、毎年7月ごろからクリスマスまで剃らずにためるんだそうです。サンタをやることで自分も生きているというわけです。これはいい話ですよね。

子供のコーラスお断り!?

ノッチンガムにExchange Arcadeというショッピング・センターがあるらしいのですが、その入口のところで近所の幼稚園の子供たちがクリスマス・キャロルを歌っていたら、守衛さんに「うるさいから止めろ」と言われたとのことで、子供の親たちがカンカンに怒っているそうです。守衛さんは「あの子らは歌うよりも騒いでいただけ」と主張しているのですが、子供らは「帰れ」と言われて泣きながら帰ってきた、とThe Sunは報じています。店長さんも「お客のじゃまになっているという報告はなかった」と言っています。

  • 子供の数は23人だったそうです。私、この子供たちは結構騒いでいたんだと思うんですよ。3才から5才の子供が20人も集ってみなさい。うるさいに決まっておる。たださ、守衛さんもさ、そんなにさ、目くじらたてなくてもさ、良かったんでないの!?

6)むささびの鳴き声


▼あのこと、納得いきます?だから、あの税制調査会長の辞任ってやつ。このニュースを一面トップ記事で伝える、私が何故か未だに購読を止めずにいる新聞の夕刊によると「東京都内の一等地の官舎に入居していたことで、政府・与党内から自発的辞任を求める声が相次ぎ・・・」となっている。さらに「家族でない女性との同居」もあって、国民に税負担を求める立場の人としては「道議的責任」に欠ける・・・だから辞任というわけです。

▼本間税制調査会長がこの官舎を使い始めたのは2003年1月だそうです。それからほぼ4年経って、ようやく「ケシカラン!」ですか?何故もっと前に言わなかったんですか?会長ではなかったから?ヒラならいいってこと!?「家族でない女性」と同居していたから?それだって、最近始まったことじゃないんでしょ?なんで急に「不謹慎だ!」なんです?

▼私のような素人にだって、この不自然さが分かる。要するにこの人を税制調査会の会長さんの座から降ろしたい人たちが仕組んだことなんですよね。週刊誌まで使って・・・。新聞社やテレビ局の記者たちは、週刊ポストが書くまで知らなかったんですか?例によって「知ってはいたけど書かなかった」ですか?で、今度はみんなが知っているから、大手を振って書ける・・・?

▼むささびジャーナルも100回目を迎えてしまいました。いつもお付き合いをいただき有難うございます。

▼よいお年をお迎えください!

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