musasabi journal
発行:春海二郎・美耶子
第102号 2007年1月21日

Back numbers

 

 

正月なんてあったんでしたっけ?というくらいにあっと言う間に1月も下旬にさしかかってしまいました。2007年の2回目(全体では102回目)のむささびジャーナルです。よろしくお願いします。

目次

1)これから「ハピネスの政治」時代が来る?
2)地方民主主義には無関心?な英国人
3)ヒラリーの外交は「倫理的現実主義」?
4)短信
5)むささびの鳴き声

1)これから「ハピネスの政治」時代が来る?


Wellbeingという英語の意味を英英辞書で調べたらgeneral health and happinessとなっていました。肉体的な「健康」と気持ちの上での「幸福感」を一緒にしたような状態のことなんでしょうね。

いまロンドンの官庁街(Whitehall)で仕事をするお役人幹部たちのアタマを悩ませているのが、国民のwellbeing促進するための政策作りなのだそうです。1月7日付けのSunday Timesによると、環境省、運輸省、貿易産業省などのお役人からなるWhitehall Wellbeing Working Group (略してW3G)というグループがその仕事にあたっているのだそうです。

で、そもそもwellbeingってナニ?という定義付けが必要だというわけで、ロンドンのImperial Collegeのビジネススクールに、人間、どんな時にwellbeingを感じるのかという調査を依頼した。その結果の報告を見ると、ちょっと可笑しくて哀しい気持ちになる。例えば・・・:

to chat over the fence to their neighbours:塀越しに隣人とだべる。つまり井戸端会議ですね。これ、ひょっとすると女性に当て嵌まるハピネス!?

to have plenty of sex in a stable relationship:うーん、stable relationshipってのがミソですね。「不倫」じゃダメってこと。

to care about endangered species:絶滅の危機に瀕する生き物の面倒を見る・・・慈善活動ですな。むささびは絶滅の危機にあるんでしょうか?

gardening, praying and going for walks:2番目のpraying(祈る)が教会へ行くってことだとすると、ガーデニング、散歩とあわせて、どちらかというと中流階級のハピネスでしょう。

a good night’s sleep:快眠。でしょうね。何故か快食も快便も入っていない。

more time spent socialising:社交により多くの時間を費やすってわけですが、これあたりは(私の感覚によると)哀しいよね。

being of average height and weight:中肉・中背ってことですが、これは哀しいと同時に可笑しいな。

と、いろいろあるわけですが

personal advancement is far sweeter if denied to others:winning a salary increase boosts happiness more if one's peers lose out(昇進、出世、昇給は誰だって嬉しいけれど、同僚には与えられなくて自分だけがその恩恵に浴した場合、ハピネス感は倍増する)

というのは、私にはピンとこない。ジェラシーの反対ですか?

「子供を持つ」(having children)や「いい学校へ行く」(being well-educated)がハピネスにつながるという「はっきりした証拠」(conclusive evidence)はないそうです。

この報告書を作成したImperial CollegeのDolan教授は、wellbeingの典型を示すことはできるかもしれないが、その促進を「政策」というかたちで実施するについては異論・議論があるだろうと言っています。

It has shown that married people are happier. So what does that mean for politics? Does it follow that we should be encouraging people to marry?(結婚している人はよりハッピーであるとい調査結果はあるけれど、それと政治がどう関係してくるのか?国民に結婚を奨励しようってわけですか?)

言うまでもなくハピネス感覚は個人的なもので、一般化できるようなものではない。ただwellbeingについては、保守党のキャメロン党首が、これからの政治はGDPだけではなくてGWB(general wellbeing:国民の幸せ感)の向上にも眼を向ける必要があると発言したりしており(むささびジャーナル86号参照)、wellbeingを語ることが政治の世界における一種の流行になりつつあるようです。どちらかというと労働党よりの公共サービス関連のシンクタンクであるDEMOSのSimon Parkerという人は次のようにコメントしています。

You are starting to see politicians talking about issues that reflect how life isn’t just about cash...but it’s important to inject a note of realism, there is only a certain amount a government can do.(人生、カネだけじゃないということを反映するような問題について語る政治家が増えてくるだろう。しかしそれには現実論も重要だ。政府に出来ることには限度があるということだ)。

  • そういえば日本でもこの種の議論ってありますよね。「生き甲斐」とか言って。選挙のポスターなどに「生き甲斐を見つけられる社会を作りましょう!」なんてのも見たことがある。何百万人、何千万人のことを考える政治が、wellbeingという全く個人の領域と思われることに関わる・・・そういう時代になっているってことですかね。
2)地方民主主義には無関心?な英国人


日本では今年4月に統一地方選挙が行われます。県知事とか市町村長は住民の投票で選ばれますよね。大統領と同じ。英国の場合、地方の首長を選挙で選ぶという自治体は殆どないんですね。「殆どない」けれど「全くない」というわけではないというのが、いかにも英国らしくてややこしい。1月11日付けのThe Economistがそのあたりのことを書いています。記事のイントロはThe government wants strongmen to run local councilsとなっている。「中央政府は地方自治体が強いリーダーシップの下におかれるべきだと考えている」ということ。結論から言うと、ブレア政府としては、地方の首長は選挙で選ばれるべきだと考えている(けれど現実はそうなっていない)というわけです。

最初から白状してしまうと、この話、非常に複雑怪奇なので、余り細かい説明は止めておきます。というよりも私にはできない。ネット百科事典のWikipediaも英国の地方政治制度はmost complicated(非常に複雑)と言っており、その理由として、長い間の試行錯誤をそのまま反映しているということが挙げられています。そのあたりが非常に英国的でもある。

で、英国の場合、地方自治体の議会(council)で多数を占める与党議員が集って、彼らの中からリーダーを選ぶ。これがcouncil leaderと呼ばれて、日本で言う「首長」のような役割をいます。しかし与党議員の誰がリーダーになるのかについては住民は全く関与しない。リーダーそのものも選挙で選ばれる首長(mayor)ほどの権限がないうえに、任期が1年しかないのですから、事実上、与党の「集団指導体制」のような政治が行われているわけです。

英国の近代化(modernisation)を旗印に政権についたブレアさんは、首長の直接選挙制度を導入しようと試みているのですが、これまでのところ結果は惨憺たるものであったらしい。2000年に法律を作って直接選挙のための住民投票を実施するように試みたのですが、イングランドとウェールズにある376の自治体(districts)のうち、住民投票を実施したのはわずか34カ所、うち直接選挙を導入できたのはたったの12カ所、しかも住民投票の投票率たるや16%という低さであったのだそうです。要するに住民たちに興味がないってことですね。

しかしブレア政府としてはまだ諦めたわけではなく、現在、住民投票を経ずに直接選挙導入を可能にするための法案を国会に提出しています。中央政府の地方自治大臣は「人間、変化を嫌うものだが、変わってしまうと従うものだ」(people always oppose change, then when change happens they all follow it)といっており、the Economistの記事では、選挙で選ばれた市長さんのコメントとして「リーダーでいた時よりもリスクを覚悟の思い切った政治が行えるようになった(I can take more risks than if I were leading a group of people)」と伝えています。

尤もStoke-on-Trentという町などは、一旦は選挙を導入したのですが、現在これを元に戻そうという運動が行われたりしています。反対キャンペーンを張っている人によると、選挙で選ばれた労働党の市長さんが地元の労働党のボスに支配されてしまっているとのことで、ブレアさんの努力が、地方政治を労働党の支配下に置くための策略と見られたりもしています。

ただこれは実体と違うようで、労働党のためにならないケースも多く、選挙のお陰で労働党の牙城が崩れたりした町もある。イングランドで新たに選挙制を導入した12カ所のうち4カ所は無所属(independent)の市長を選んでいます。Middlesbroughという町の市長は元刑事の「ロボ市長」で、地元で大人気、労働党の候補に17000票の差をつけて当選したし、新聞販売店主が当選したMansfieldという町の場合、市長の人気のお陰で、議会までが無所属議員が過半数を占めることになってしまった。Hartlepoolという町の市長は、元サッカーの人気選手で、既に二度目の当選を果たしている。いずれも無所属の人たちです。

とはいえ、選挙制度を導入した町は、376のうちの12カ所に過ぎないわけで、とてもブレアさんの思うようには行っていない。そこでブレア政府としては、市長選挙がだめなら、せめて今のcouncil leaderにより強い権限を与えるために、任期を1年から4年にしようという考えもあるのだそうです。

いろいろと手を打ってもダメなら、「お金でつる(bribery)」という手もある、という事情通もいるとのこと。つまり市長選挙制度を導入した町には、中央政府から政策遂行のための援助金を提供するというもので、「地方民主主義の強化策としては奇妙なやり方ではある」(It would be a curious way to strengthen local democracy)とthe Economistは言っています。

今年はリバプールのほか、ケンブリッジやリーズのような大都市も市制800年を迎えるそうで、それを祝っていろいろなお祭りが行われるらしいのですが、地方自治に関する限り「英国人は、民主主義はお祝いするけれど、実施するものではないと考えているようだ(Democracy, it seems, is something Britons would rather celebrate than practise)というのが、the Economistの皮肉のようです。

  • 英国の殆どの町には選挙で選ばれたMayor(首長)はいないけれど、どの町にもLord Mayorというのはいる。日本人には(おそらくアメリカ人にも)これが混乱のもとになります。例えば日本から飯能市長がケンブリッジなどを訪問して「市長さんと会いたい」となったときに、おそらく外国からのお客様ってことでLord Mayorと会うのであろうと推測します(はっきりは知らないけれど)。Lord Mayorは形式的には王室から任命された市長で、シンボルとしての役割は果たすけれど、政治的な権力はゼロですからね。多分、ハナシが合わないのでは?
  • ロンドンも昔はLord Mayor of Londonしかいなかったので、日本から東京都知事が訪問したときにはどうしたのでしょうね。いまでこそKen Livingstoneという正真正銘の市長がいるので混乱はないと思うけれど。しかも私の記憶によるとLord Mayor of Londonというのは、金融街であるシティの中でのみ権限を有しているというのだから本当にややこしい。
3)ヒラリーの外交は「倫理的現実主義」?


ETHICAL REALISMという本はサブタイトルがA Vision for America's Role in the World(世界におけるアメリカの役割についての展望)となっているように、アメリカが今日の世界でどう振舞うべきかということを提案しており、「イラクにおいて失敗したのは、単にブッシュ政府の戦略だけではない。世界を見る見方そのものが根本的に間違っていたのである」(What has failed in Iraq has been not just the starategy of the administration of George W Bush, but a whole way of looking at the world)という文章で始まっています。

この本はAnatol Lieven(46才)とJohn Hulsman(39才)による共著なのですが、面白いのは前者がどちらかというとリベラルな言論で知られてきた英国のジャーナリストであるのに対して、後者はつい最近までアメリカのHeritage Foundationという、極めて保守的なシンクタンクに所属していたということ。つまり考え方がかなり違う二人が、共通項として「今のアメリカの外交政策は間違っている」という意識を文字にしたというわけです。

で、LievenとHulsmanが、この本のイントロの部分で言っている「根本的に間違っていたアメリカ人の思い込み」とは次のようなものです。

▼アメリカが強くて正しいが故に世界中に民主主義を広める能力を有している。

▼民主主義を広めるという使命は場合によっては戦争に訴えてでも達成することが可能であり、それが許される。

▼このような使命を追求することは、アメリカの国益を追求することにもなりうる。

▼民主主義の拡大とアメリカの国益というコンビネーションは当然、世界中の「良き人びと」(good people)によって支持されているものである。いろいろな国がそれぞれに異なる政治的な伝統とか国益があったとしても、アメリカを支持するという点においては一致することは間違いない。

共和党のみならず民主党もこのような傲慢な「強いアメリカ信仰」に凝り固まっており、それがイラク戦争の混乱を招いた。これからのアメリカの外交政策のキーワードはprudence(慎重)やhumility(謙虚)でなければならず、アメリカのパワーにも限界があること、アメリカがその国益を追求するように他の国もそれぞれの国益を追求する正当な権利(legitimacy)があるということを認めなければならない。

著者によると、これまでアメリカを支配してきた「ネオコン」あるいは「タカ派リベラル」と呼ばれる人たちは、アメリカ的な自由や民主主義が世界中どの国でも歓迎されるべきものであり、これに反対するような国は(場合によっては)力ずくでこれを受け入れさせるべきであると考えている。この本では彼らは「民主主義者」(democrats)というよりも、民主主義を他国に押し付ける人たちという意味で、「民主化主義者」(democratist)と呼ばれています。

この本によると、アメリカから見れば非民主主義的な国に対しては、自由や民主主義という社会制度を宣教師のように押し付けるのではなく、「偉大なる資本主義的平和」(Great Capitalist Peace)を通じて、それぞれの国の人びとの生活レベルが向上することで、戦争やテロも防止されるというわけです。ソ連が冷戦に破れたのはアメリカが軍事的に屈服させたからではなく、資本主義社会の方がベターであることをアメリカを始めとする西側諸国が実践して見せたからで、ソ連は西側によって「包囲」(contain)されて自ら変わったのだというわけです。今後のアメリカはそのような外交の姿勢を採用しなければならない、と著者は言っており、第二次世界大戦直後のトルーマンやアイゼンハワー大統領が採用した自己抑制的な外交政策を再評価すべきだと言っています。

但し著者によると、武力行使が全部間違っているというわけではなく、イラク侵攻は間違っていたが、アフガニスタン攻撃は正しかったと主張しています。その理由として、アフガニスタン攻撃は9・11のテロに対するresponseであり、攻撃の規模も9・11テロと釣りあいがとれており、国際社会の支持を得ていたということを挙げています。それに対してイラク戦争は、サダム・フセインのイラクがアメリカに対して差し迫った脅威をもたらしていたわけでもないのに攻撃してしまったから良くなかった・・・ということになる。

警官が殺人の現行犯を追跡する過程で間違って通行人を殺してしまったというのがアフガニスタン戦争。非常に悪い犯罪歴のある人物がおり、過去の経歴からすると、将来も犯罪を犯すに違いないのだからその人物を殺してもよい・・・というのがイラク戦争の理屈である、と著者は言っています。

ETHICAL REALISMというこの本のタイトルは「倫理的現実主義」というわけで、殆ど言葉の矛盾としか思えないのですが、著者たちが訴えているのは、これまでのアメリカの指導者たちが、世界の国々を善と悪という単純な割り切り方で観てきたことへの反省です。それぞれの国にはそれなりの事情や歴史があるということを謙虚に認めることがethical(倫理的)な態度であり、そうしないとアメリカ自身が行き詰ってしまうというのがreality(現実)ということを言いたくて、この本は書かれたようです。

本を紹介するのに「・・・ようです」というのは実に情けないのでありますが、「ナニゴトも力づくではなく穏便にやりましょうや」という、ごく当り前のことを言っているに過ぎない本なのか、私のようなド素人には当り前に見えても国際政治の世界では意味のある本なのか・・・そのあたりのことがはっきり分からないので「ようです」となってしまう。

面白い本だったか?と聞かれれば、イエスと答えるでしょうね。断片的ではありますが、面白いことが書いてあったので・・・。アンダーラインを引いた個所を幾つか挙げてみると・・・。

▼冷戦時代の東西対立と、現在の西側とイスラム社会の関係の違い。冷戦時代には、西側諸国のインテリの中にも社会主義者が沢山いたのに対して、テロとの戦いの場合、欧米のインテリの中にイスラム教の影響下にある人は殆どいないこと。(ウーン、これは言えるかもな)

▼第二次大戦中の日本やドイツに対する爆撃は、人類をナチズムと軍国主義の残酷から守るための「必要な戦争」(necessary war)であったが、ベトナム戦争は、対ソ連共産主義との戦いのうえでは、意味が無いばかりか有害でもあった(irrelevant and even detrimental)とのことです。アメリカはベトナムを共産化させまいとして闘って負けたのですが、30年後の今日、ベトナムの首相などは"市場経済"の道を歩むのだと言っております。つまりアメリカが戦争などしなくても、市場経済社会になっていたのかも・・・。となると何のための戦争だったのか!?

▼イランに核放棄を迫るからには、具体的な形でこの国の安全を保障したり、何らかの見かえりを与える必要がある。イランは核保有国に囲まれていると言ってもいいのだから。つまり対イラン強硬路線は間違いだと言っている。北朝鮮については特に触れていませんが、中国がアジアのキープレーヤーなのだから、アジアの平和(北朝鮮問題も含めて)は中国との協力においてのみ可能だと言っています。

▼もう一つ、この本ではアメリカの民主・共和両党ともに、イラク戦争を支持したという点で間違っていると批判されているのですが、最近のイラク情勢を反映したのか、ヒラリー・クリントンがETHICAL REALISMを賞賛しているのだそうです。John Hulsmanがある雑誌に語ったものです。ヒラリーはひょっとしてブッシュの後の大統領かもしれない・・・。

▼最後に世界におけるアメリカのこれからを考えるときに、この本のように「謙虚」や「慎重」だけでどうなるものではないですよね。American Theocracyという本によると、現在世界中で走っているクルマの数は約5億2000万台、そのうちアメリカ国内で走っているのが約2億台。世界のエネルギーの25%がアメリカによって消費されており、アメリカ人が生活の中で使うエネルギーの量は日本人やヨーロッパ人のそれの2倍、世界の平均の10倍だそうです。イラク戦争も石油利権に絡んでいるといわれたし、現にそのような側面もあるでしょう。

▼つまりイラク戦争は、ファナティックなネオコンがやったというよりも、今のアメリカのライフスタイルを維持するためにやらざるを得なかった・・・というほど極端なことは言いませんが、そのような要素は50%以上はあるんじゃありませんか? ということは、今後のアメリカは倫理的現実主義などと訳の分からないことではなくて、ライフスタイルを「普通の国」なみにすることから始めるっきゃないんでは?

4)短信


地元パブを応援する

英国のWiltshireにあるDowntonという村のパブ(名前はWhite Horse)に毎晩のように近所の人たちが集ってビールを飲みながら夜を明かす・・・というのはどこにでもある風景。White Horseの場合、実は主人が破産宣告されてしまったことから、パブ経営のライセンスを取り消されてしまった。出来てから600年という歴史を誇るこのパブは、村人の生活には欠かせない。そこで村人たちは、となりのコンビニでビールを買い、それをWhite Horseに持ち込んで飲んでいるというわけ。"I'd never want to drink anywhere else."という村人のコメントをThe Sunが伝えています。

  • 創立600年のパブを経営していながらなんでまた「破産宣告」なんですかね。記事には「個人的な理由」としか書いていない。それはともかく、破産宣告者を盛り上げようってんですから嬉しいよね。

刀飲み込み芸人が負傷・入院

これもthe Sunが伝えるニュースですが、ロンドン郊外にあるクロイドンの町の広場で、約1メートルという刀を飲み込む芸当をやっていた芸人が、間違って自分の喉を切ってしまい緊急入院するという騒ぎがあった。ドイツ生まれのHannibalという30才で、Circus of Horrors(恐怖のサーカス)という集団の一員としてやっていたのですが、向こう3週間は飲みことも食べることもできないんだそうです。本人は「こんなことよくわること。治ったらまた復帰しますよ」と意気軒昂なのですが、今回の「事故」を見た観客の一人が気を失うという騒ぎにまで発展したんだそうです。

  • ちなみにこの人、サーカスに入るまでは国税検査官をやっていたんだそうです。なんでまた刀飲込み師(Sword-swallower)なんかに転向したんですかね。何故か凝ってしまったってこと?よくありますよね、そういうの。

雪が降らないのは気象庁のせい?!

ルーマニアのスノーボード愛好家たちが、最近首都ブカレストの気象庁前に集って、ある座込み集会を開いたのでございます。なんの集会かというと、雪が降らないことに抗議する集会であったのだそうです。今年のヨーロッパは本当に雪が降らないらしいですね。ルーマニアは最近の気温が19℃まであがったりして、スキー場に雪がなくて困っているんだそうです。座り込むスノボー愛好家たちから「抗議文」を受け取った気象庁の係官が「かならず上の者に伝えます」と約束したんだそうです。

  • 「上の者」に伝えたって、降らないものは降らないですよ、言っておきますが・・・。それにしても気温19℃では雪は無理かもな。
5)むささびの鳴き声


●先日、日本記者クラブで東京・杉並区立和田中学の藤原和博校長が会見を行い、和田中における教育のやり方を説明してくれました。この人はリクルートの広報をやっていた人で、公立中学としては初の「民間出身校長」ということで話題になっている人です。彼の教育についてはここをクリックしてもらうと分かると思いますが、一言でいうと、学校付近のご近所さんのお父さんとかおじいさんとかにも教育や学校運営に参加してもらうことで、教師の負担を軽くすることを試みているようです。例えば近所に「ナメクジの研究」で知れらる人がいて、その人に学校にナメクジを持ってきてもらって実際に子供たちに触らせるというようなことをやっている。

●藤原さんがもう一つ言っていたのは、子供たちにハナシをさせること。いじめられて自殺する気になっているのを止めさせるための説得劇を子供たちにやらせる。「オレなんか生きていたって仕方ないんだ」「そんなこと言うなよ・・・」などというやりとりをやるわけです。中には説得できずに「じゃ、勝手に死ねや」ということになったりするケースも。校長先生としては、タブーをもうけることなく子供たちに自分の言葉で語る機会を作りたいとのことでした。

●藤原先生によると、子供たちにホームレスの問題を考えてもらうために、ホンモノのホームレスを連れてきて授業をする計画もあるそうです。彼の話を聴いていて、印象に残ったコメントがあります。「和田中は偏差値では中くらいですが、CSではトップ間違いなし」ということです。CSとはcustomer satisfactionの略。別の言い方をすると、必ずしも秀才揃いというわけではないが、学校生活に納得している子供が多いということになる。「納得」が大切なんでありますよ、ナニゴトも。

●地球温暖化とはいえ、南半球の人以外はやはり寒いですよね、今頃は。でももう1月も下旬です。2月になるとプロ野球のキャンプが始まりますね。今回もお付き合いをいただき有難うございました。 正月なんてあったんでしたっけ?というくらいにあっと言う間に1月も下旬にさしかかってしまいました。

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