musasabi journal
発行:春海二郎・美耶子
第107号 2007年4月1日

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本当に暖かくなりました。今日はエイプリル・フールだから「むささびジャーナル廃刊案内」でもやろうかと思ったのですが止めました。本気にとられて大喜びさせておいて、あとから「 いまのはウソ」というのも申し訳ないですからね。

目次

1)ブレアの「神への信仰」発言報道にクレーム
2) イラクの現状をイラクの人たちは、どう思っているのか?
3)ブレアさんの理想と現実
4)料理を見ると外交が分かる?
5)短信
6)むささびの鳴き声

1)ブレアの「神への信仰」発言報道にクレーム


1ヶ月ほど前(2月27日)のPA通信のサイトを見ていたら、英国の民間放送、ITVが放送したブレアさんとのインタビューが「正確性を欠く」ということで、放送倫理委員会(Ofcom)の批判を受けたという報告がありました。私には非常に面白い報道だと思えたので紹介します。

問題の放送は昨年(2006年)3月に行われたもので、Michael Parkinsonというキャスターがイラク戦争への参加について、ブレアさんに質問した部分が問題になっています。どう問題なのかというと、ブレアさんが、イラク参戦を決定するに当たって、それが「神への信仰(his belief in God )によって行なった」とでも発言したかのような放送をしたということにある。

で、インタビューを再現すると:

Parkinson:つまり、あのような決定(イラク参戦のこと)をするときは、いつも神に祈るということですか?(So you would pray to God whenever you make a decision like that?)

Blair:ええと、私は・・・私としてはそのことは話したくないのですが、つまりその・・・ええ、私としては、そりゃ人間は、人間というのは・・・でも、人間は、もちろん・・つまりその・・・そのことについては、人間というのは良心との闘いというものがあるでしょう。何故なら人びとの命がかかっているんだから(Well I... I don't want to go into... this side of this but it's ... Yeah I, you, you...but you of course, it's... you, you struggle with your own conscience about it because people's lives are affected.)

言うまでもなく、上の私の和訳は彼の英語発言の「意訳」であるわけですが、発言そのものが、文字にすると、殆ど意味をなさない発言になっている。ITVはこの発言を取り上げて「首相はイラク戦争への参加について神への信仰心が重要な役割を果たしたと発言した」(the Prime Minister had said his belief in God played an important part in deciding to go to war)とか「軍事行動を決定するにあたって神に祈った」(Mr Blair prayed over the decision before embarking on military action)と放送してしまったのだそうです。

それに対して、視聴者から「放送はブレアの発言を歪曲して解釈している」(Mr Blair's comments had been wrongly interpreted)というクレームがついたというわけ。これに対してITVは、ブレアさんの答えは、参戦決定については神への信仰心が一定の役割を果たしたということは十分に明らかなことだ、と主張してきた。

ブレアさんは、この発言をする前に、同じインタビューの中で「自分の決定はいずれ神様によって審判されるであろう」という趣旨で次のような発言をしています。

Blair:決定はしなければならないし、その決定とともに生きなければならないでしょう。いずれは審判・・・つまり、こうした事柄について信仰(信念)を持っていればですよ、審判は他の人々によって下されるということも分かっている、と私は思うのです。(That decision has to be taken and has to be lived with, and in the end there is a judgment that, well, if I think you have faith about these things then you realise that judgment is made by other people.)

この発言についてParkinson氏が「他の人々とは誰のことを言うのか?」と確認を求めたのに対して、ブレアさんは「他の人々とは、つまり、神というものを信じているとすれば、審判が神によっても下されることがあるということですよ」(By other people, by, if you believe in God, it's made by God as well)と答えている。つまりother peopleとは言いながら、そこに「神」も含まれているというわけです。

以上が発言内容ですが、OfcomはITVの放送について「これらの発言の中で、唯一はっきりしているのは、ブレア氏が参戦決定をするに当たって、自らの良心との闘いがあったということと、彼が正しかったどうかは、歴史と神が決めることである信じているということである」であって、ITVは、ブレアさんの発言についての自分たちの解釈を、あたかも「事実」であるかのように報道したものであり、ニュース報道に要求される「然るべき正確さ」(due accuracy)を欠いていたと言っています。

  • 確かにこのPAの記事に見る限り、Yeah I, you, you...but you of course, it's...とかいう、ブレアさんの「しどろもどろ」(ambiguity)を「お祈りで決めた」と報道するのは、ちょっと乱暴という気がしないでもない。
  • この放送についてはOfcom宛てに10件のクレーム(10 complaints)が届いた、とPAは報道しています。私はこれを勝手に「視聴者」とやっていますが、正直言ってそれがその10件というのが、視聴者なのか、別の誰かであるのか自信はありません。多分視聴者であろうと推測しただけです。
2) イラクの現状をイラクの人たちは、どう思っているのか?


3月24日付けのThe Economistにイラクの現状についての記事が出ており、その中にイラクの人々を対象 にした世論調査の結果が掲載されていました。2年前(2005年)と現在(2007年)の状況についてのイラク 国民の気持ちを比較しています。バグダッドだけでなく全国の約2000人からの回答結果だそうです。いくつかの例を挙げると:

Q1 戦争前(フセイン政権)と戦後のイラクの状況を比較すると
2007
2005

▼戦後の方がはるかに良い

11%
22%
▼どちらかというと戦後の方が良い
27
24
▼同じようなもの
12
13
▼どちらかというと悪くなった
30
21
▼はるかに悪くなった
20
18

つまり現在のイラクの人たちの半数が、「フセイン体制のころより悪くなった」と感じており、フセイン体制のころより「はるかに状況が良くなった」と感じている人は、10人に1人しかいないということになる。

Q2 あなたの近所は安全だと思うか? 
2007
2005
▼非常に安全
26
63
▼あまり安全ではない
41
30
▼まったく安全ではない
33

この数字は、私たちに報道されるイラクを反映していますね。2年前には、10人に6人以上のイラク人が 「非常に安全」と思っており、「まったく安全でない」という人は10人に1人以下という少数派であったの に、人びとの心理状態が全く変わってしまったということですね。

Q3 外国軍(米英など)のイラク駐留をどこまで支持しますか?
2007
2005
▼強く支持する
13
▼どちらかというと支持
16
19
▼どちらかというと反対
32
21
▼強く反対する
46
44
Q4 外国軍(米英など)に対する攻撃を容認しますか?
2007
2005
▼する
51
17
▼しない
49
78

外国軍なんかに居て欲しくないということでは、2年前も今も大して変わらないけれど、ショックだと思うのは、外国軍への攻撃を「容認できる」(acceptable)と感じている人が半数を超えているということ です。2年前には殆どいなかった(17%)し、その頃は10人に8人が「容認できない」と言っていたことを 考えると、事態が改善されているとはとても思えないですよね。

Q5 どのような政治体制がイラクに最も適していると思うか?
2007
2005
▼強い指導者:一人の人間を長とする政府
34
26
▼イスラム国家:宗教原理によって政治家が支配する
22
14
▼民主主義:政府の指導者を変えることができる
43
57

この部分の数字も重大だと思いませんか?2年前には6割近くの人が「民主主義体制」がいいと言ってい たのに、今では殆ど4割にまで落ちている。「一人の強力な指導者がいい」と「イスラムの原理」を合計す ると56%になる。

ブレアさんは「民主主義はグローバルでどこでも、誰にでも通用するものだ」と言っ ていたわけですが、この数字についてはどのように思っているのか?多分「現在の状況では強い指導者 を希求するのも不思議ではない」と言うかもしれない。しかし2年前でも「強力な指導者」「宗教原理的な 政治家」をあわせると4割はいたのですよ。国や社会によっては、ブレアが思っているほど、西欧の「価値」なるものは、全世界に通用するってものではないんでない?

The Economistは米国ワシントン・ポストのKrauthhammerというコラムニストの意見として「我々はイラ ク人に共和国(民主主義)をくれてやったのに、彼らがそれを保つだけの能力がないようだ」(We have given the Iraqis a republic and they do not appear able to keep it)などと伝えています。「そんな言い方はねえだろ」と言いたいですね、この人には。イラク人はアホだと言っているのと同じです よね。勝手に乗り込んできて、さんざ国内を荒しまわって「民主主義」などという、イラク人がそれほどは欲していなかった(かもしれない)ものを押し付けておいて、「こいつらには民主主義などという(高級 なもの)は無理なのかも?」と嘆いたりしている。ほっといてくれ!と言いたいですね。

何故かくもひどい状況になってしまったのか?結論からいうと、「アメリカの考え方は世界中どこでも 通用する」と思いこんでしまったブッシュ、ラムズフェルドらの思慮不足が理由だ、というのがThe Economistの結論。つまりアメリカ政府は、フセインさえ倒せば、あとは自動的にイラク人によって民 主主義が成立するはず、と思い込んでおり、アメリカがそれをやろうなどと夢にも思っていなかった。ラムズフェルドは戦後の復興にこれほどの時間・お金・兵力を使おうなどとは全く考えていなかった。The Economistの意見は次のとおりです。

イラク国民の殆どはサダムの追放を喜んだし、数百万・数千万の人々が選挙で投票もした。もしアメリ カが(イラクの戦後復興という)危険で、とてつもなく物議を呼びそうな事業に対して、謙虚かつ正直に 勇気を持って当たっていたとしたら、今ごろイラクはどうなっていたであろう。ブッシュ政府によるほ ぼ犯罪的ともいえる怠慢のお陰で、いまやそれは誰にも分からなくなってしまった。 (Most Iraqis rejoiced in the toppling of Saddam. They trooped in their millions to vote. What would Iraq be like now if America had approached its perilous, monumentally controversial undertaking with humility, honesty and courage? Thanks to the almost criminal negligence of Mr Bush's administration nobody, now, will ever know.)

3) ブレアさんの理想と現実


前回のむささびジャーナルでForeign Affairsという雑誌に寄稿されたブレアさんの論文について紹介しました。イスラム・テロリストとの闘いについての論文で、これら国際テロとの闘いは「西欧的な価値」(ブレア本人は”グローバルな価値”と呼んでいる)を守るための闘いであり、テロリストに勝つためには、彼らの思想そのものに勝たねばならない。西欧の自由主義や民主主義の方が優れているということを再確認する必要がある・・・と訴える論文でありました。

実は私がこの論文の中で、一番ブレアらしいと思ったのは、論文の締めくくりの次の3つのパラグラフです。

  • 私は首相として9年間務めてきたが、理想主義が減退したこともないし、より悲観的になったということもない。私が、これまで以上に分かってきたことは、「価値観」というものに引っ張られた外交と利益に基盤をおいた外交を区別するのは間違っているということである。グローバライゼイションが相互依存の関係を生み、相互依存関係がうまく行くためには共通の価値観がより必要になってくる。こうして理想主義が現実政治と重なる状況になるのである。( In my nine years as prime minister, I have not become less idealistic or more cynical. I have simply become more persuaded that the distinction between a foreign policy driven by values and one driven by interests is wrong. Globalization begets interdependence, and interdependence begets the necessity of a common value system to make it work. Idealism thus becomes realpolitik. )
  • もちろん、厳しい世界において現実の政治的な決定をするときには後退、欠陥、日和見主義、偽善などはある。だからこそ、これまで人間の進歩というものを推進してきた人間精神のベストな部分こそが、世界の未来に対する希望をもたらすものでもあるのだ。 (None of this eliminates the setbacks, shortfalls, inconsistencies, and hypocrisies that come with practical decision-making in a harsh world. But it does mean that the best of the human spirit, which has pushed the progress of humanity along, is also the best hope for the world's future)
  • であるが故に、この闘いは「価値観をめぐる闘い」であると言いたいのだ。我々(西欧)の価値観こそが我々を導くものなのである。価値観こそが時代を超越して人類の進歩を代弁するものである。我々は自分たちの価値観のために闘い、これを守ってきたのである。新しい時代においては、我々は再度その闘いを進めなければならない時がきていると言えるのだ。( That is why I say this struggle is one about values. Our values are our guide. They represent humanity's progress throughout the ages. At each point we have had to fight for them and defend them. As a new age beckons, it is time to fight for them again.)

ブレアさんが「理念の宰相」であり「理想を語る政治家」と言われる所以ですね。私が特に興味を持ったのは、2番目の発言です。「世の中、理想どおりには行かないこともあるが、だからと言って理想や理念を捨て去ってはならない」と言っている。個人レベルのこととして言っているのであれば、多分私も頷いてしまうと思います。さらに教会の牧師さんが、人間のあるべき姿を説いているというのであれば、この言い方も悪くはない(と思う)。

しかし政治家であるブレアさんが想いを馳せなければならないのは、そのような崇高なことではなくて、理想だの理念だのとは無縁のところで、「とりあえず生きている」人びとの生活感であり、現実感覚なのではないか、と私は思うわけです。このむささびジャーナルの2番目の記事であるイラク人の世論調査によると、ブレアさんのいう「西欧的=グローバル価値」の一つである、「民主主義的な政治体制」がイラクにおいてはブレアさんが言うほどには絶対的なものとは思われていない。それについて、ワシントン・ポストのコラムニスト、Krauthhammerのように、イラクの人びとを「民主主義という素晴しいものを与えられながら、それを使うだけの能力がない」という表現で見下している(としか思えない)だけでいいのかということです。

私のようなことを言い始めると、理想も理念もなくなって、ひたすら現実に流されることになるのかもしれない(というよりも絶対そうなる)けれど、ブレアさんのような「理念」とか「正義感」こそが、この世の中に悲惨をもたらしてきた「諸悪の根源」とも言えるかもしれない。そのあたりの辛さについて、ブレアさんは「それでも理念は理念だ」と言い切っているわけですが・・・。

 

4) 料理を見ると外交が分かる?


間もなく中国の温家宝首相が日本へやって来ます。さぞや警備だのなんだのと準備がタイヘンでしょうね。『ワインと外交』(西川恵著・新潮新書・700円)によると、中国のVIPが外国を訪問するとき、中国側から受入国に対して実にさまざまな儀典(プロトコール)上の注文が出されるので、ホスト側はタイヘンな苦労をするそうです。

江沢民国家主席が1999年10月に英国を訪問したとき、中国側が英国政府に強く申し入れたのが、人権団体などによる反中国デモの規制であったそうです。エリザベス女王と江沢民さんが乗った馬車は、「秋晴れにもかかわらず」オープンスタイルではなく、窓ガラスもぴったりと閉じられたまま。沿道にはデモ隊も来ていたのですが、片隅に追いやられた。

江沢民さんも町へ出て、英国人と接する機会を持ったので、英国人には好印象を与えることができた。ということで、表面的には無事に訪問は終わったのですが、あとになって過剰警備がマスコミや野党によって批判され、警備当局からも「行き過ぎ」を反省する声も聞え、これを契機に、英国の警備当局は、外国からの要人訪問にあたっては「ソフトな警備」に力を入れるようになったのだそうです。

で、その6年後に今度は胡錦涛主席の訪英があったのですが、このときは英国側の薦めにもかかわらず、胡主席が町へ出て英国民と接するような場面はついに実現しなかった。中国側から、主席が訪問するような場所からはデモ隊などは排除して欲しいという要求があったのに対して、英国の警備当局がソフト路線を曲げなかったので、中国側が「主席の尊厳が傷つけられることは認められない」と主張、結果として、主席は多くの時間を宿泊先のバッキンガム宮殿で過ごすことになった。

西川さんによると、外国の賓客が泊まっている間は、プロトコールのうえから、エリザベス女王は一歩も外へ出られないのだそうです。つまり胡主席が宿泊した3日間、ずーっと宮殿にいっぱなしというわけで「女王にとっては悪夢の3日間」と新聞に書かれたりした。

で、何故中国政府の人たちが「儀礼」にそれほどこだわるのかってこと。もちろん主席のような人が、デモ隊に囲まれたりすることによる国際的なイメージダウンということもあるけれど、西川さんによると、「外国訪問は、中国の首脳たちにとって、国内の権力基盤を強化する重要な機会」なのだそうで、江沢民さんや胡錦涛さんらにとっては、外国で大歓迎されているところを、中国の国内に向けて見せつけることで、中国国内の人々に対して「権力の所在を見せる」ということが大切なことと考えられている。つまり英国の人たちと握手しながら、心は中国のテレビに映るであろう自分の姿とそれを見る自分の政治的ライバルのことでいっぱいってことです。

ところで『ワインと外交』は、国賓のような人を迎えて行われる晩餐会だの昼食会だのでは、どのような食事や飲み物が供されているのかということについて書かれているのですが、約50種類のメニューが具体的に紹介されています。が、これは料理の本ではなくて、料理にこめられた外交上のメッセージを考えようという本です。

例えば2005年2月21日、ブリュッセルにあるアメリカ大使の公邸で開かれたブッシュ大統領とフランスのシラク大統領による夕食会。イラク戦争をめぐって関係がおかしくなっていた両国関係を修復させようという意図で行われたのですが、西川さんの本によると、その夕食会のメニューは次のとおりです。

オマール海老のリゾット(トリュフのソースで)
牛肉のフィレ(ボルドレーズ・ソースで)
野菜サラダとフレンチフライ
チョコレートのアイスクリーム

このうち「ボルドレーズ・ソース」は「仏ボルドー風ソース」という意味だから、言ってみればフランス料理。付け合せのフレンチフライはマクドナルドにも見られる典型的なアメリカの食べ物ですが、イラク戦争に反対のフランスにハラを立てたアメリカが「自由(フリーダム)フライ」と言い換えたりしたこともありましたよね。

西川さんによると、アメリカ大使の公邸のこのメニューは「米仏の料理と飲物のマリアージュ(結合)を通して"両国関係の素晴しさ"を示そうとした」のだそうです。しかも、ブッシュさんはポテトを食べるときに「これはフレンチフライだ」と言ったのだとか。つまり「フリーダム・フライなんて言いませんから、仲良くしようじゃありませんか」というメッセージであったのだということになる?

  • 外交問題を論じた本は無数にあるし、晩餐会料理などのウンチクを語る本も山ほどあるけれど、料理やワインだけをテーマに国際政治を語る本なんてあまり聞いたことないのは、私の無知のいたすところですかね。
  • それから、この本とは直接関係ありませんが、何故、フライドポテトのことを「フレンチフライ」と言うのですかね?多分フランス人が考えついた食べ物だからなのだと推測しますが、何故か日本のマクドナルドではフレンチとは言いませんね。よく分かりませんが、あれ、美味しいですよね。私が好んで食することのできる唯一のアメリカの食べ物です。

 

5)短信


救急車にポルシェを使う

ブルガリアの保健省が、遠隔地における救急目的とした救急車にポルシェを32台採用して国民的なヒ ンシュクを買っています。1台1500万円以上もするクルマを救急車に採用するとは、何を考えとる んじゃ!というわけですが、これが世界銀行からの借入金を使ったともなるとますますおかしい。「世 界銀行からの借金なら、もっと別の用途があるはず」という批判が相次いでいる。保健省では、入札を したらポルシェが一番安かったから・・・といっているのですが。

  • それはともかく、救急車てえものは一台いくらくらいするんでしょうか?

オームの密輸入で逮捕

ロシアにウラベスチェンスクというところにある飛行場で、オウムを不正輸入しようとして捕まった女 性がいます。中国からの飛行機に乗ってきたのですが、9羽ものオウムを自分の身体にまきつけ、オー バーコートをまとってごまかそうとして見つかった。オウムの種類がきわめて稀なものであったところ から「ひと商売」をたくらんだのがアウトになってしまったわけ。オウムの嘴を紐でしばって鳴かない( しゃべらない?)ように苦労して仕組んだのですが、コートが妙にもごもご動くのを不審に思った税関の お役人に見つかってしまった。

  • オウムって結構大きいんじゃありませんか?それを9羽も身体に結びつけるのもタイヘンだったでし ょうね。

テスコも禁酒伝統には勝てず

英国のスーパーの大手、テスコがBournvilleという町のショップでアルコール飲料を売ろうとしたとこ ろ地元住民の反対で、あえなくギブアップしたそうです。Bournvilleという町はバーミンガムの近くに あり、もともとクェーカー教徒が作った町として知られていたのですが、菓子メーカーのキャドバリー の創設者であるGeorge Cadburyが、100年前に最初のチョコレート工場を作ったところだった。クェ ーカーの町だけに禁酒は厳重でパブなどもないそうです。テスコとしては、1日3時間だけということ でアルコール販売の許可申請をしたのですが、1000人にのぼる地元民の反対署名であえなくギブアップ ということになった。

  • 私はアルコールは大して好きでないから、いいといえばいいけれど、でも町としてはつまらないんじゃない?
6)むささびの鳴き声


▼いつかの「鳴き声」で紹介したアメリカ人ジャーナリスト、ロバート・ホワイティングによると、ジャイアンツが東京ドームに対して払う球場の使用料金は1ゲームにつき3000万円をはるかに超える額だそうです。日ハムが札幌ドームに払う額は約800万円。これが高いのか安いのかはともかく、アメリカ大リーグの場合、ボルチモア・オリオールズはタダで地元の球場を使用しているし、井口選手のいるシカゴ・ホワイトソックスは何とかいう地元球場に年間1ドル払っているんだそうです。

▼アメリカの場合は球場の多く(全部ではない)が公の施設で、税金によって建てられ運営されている。球団は「われわれのチーム」だからタダで使ってもいいというわけです。日本の場合は、東京ドームとジャイアンツ(読売)は別会社だから、使うときはしかるべき料金を払わなければならない。これでは球団経営もタイヘンです。

▼同じくホワイティングのハナシによると、テレビの放映権料は、アメリカの場合は(いろいろ細かい例外はあるけれど)原則的に、全てコミッショナーの事務所に入り、それが後に大リーグの各球団にばらまかれるのだそうです。で、昨年は大リーグの全球団が3000万ドルというお金を貰った。

▼日本はどうかというと、ジャイアンツの放映権料が1試合あたり1億円。1億ですよ!この収入はすべてジャイアンツに入る。千葉ロッテ・マリーンズの放映権料はいくらだと思います?15万円。そう、15万円です。15万ドルではない。ホンマかいな!?

▼ハナシは変わりますが、PASMOとかいうカードができて、これがあれば地下鉄にも乗れるし、買い物もできるらしい。で、最近、駅で定期券を買おうとしたら「PASMOになさいますか?」と言われ「あ、いえ、結構です。普通の定期をください」と言いました。定期代払ってカードを買って、定期以外の目的で使ったら、あとになって「定期代が足りません」とか言われるんだろうと思ったわけです。

▼妻の美耶子にそのことを話したら「そりゃそうよね。そういうものは信用しないほうがいい」ということで意見が一致したわけです。が、あとから聞いてみると、定期代以外に入金しない限り、他の買い物はできないんですってね。つまり定期がなくなることはない・・・知らなかったな、それは。