Guardian紙のサイトを見ていたら、英国人の外国語下手についての記事が出ていました。CILTという語学研究促進機関の報告書Talking
World Classによると、欧州大陸の企業幹部の70%が外国語でビジネスを行う能力があるのに対して、英国人の重役の場合はこれが36%に落ちるのだそうです。英国のビジネスマンは、英語のできる相手とのみビジネスをしたがるので、新興国市場に参入することを避けたがる傾向がある、とも言っています。
また欧州委員会(European
Commission)の調査でも、英国人の外国語能力は、ヨーロッパの28カ国中最低と出ているそうです。
CILTの報告書によると、英国の大学卒業生で、外国で働く程度に語学に自信がある人は全体の3分の1、欧州大陸の大卒は3分の2が外国で仕事を見つけるだけの語学力を持っていると思っているのだそうです。しかも英国の大学では1999年から2002年の3年間で外国語を専攻する学生の数が15%も減っているとか。
またDaily Telegraphの記事によると、政府の教育カリキュラムアドバイザーのグループからは、子供たちが学校で外国語を学ばなくなる傾向にあると警告しているのだそうですが、その理由の一つが、昨年9月に14歳の時点で外国語が必須科目でなくなったという政府自身の方針にあるらしい。
私立学校では殆どの学生が16歳まで外国語を学ぶのに、公立学校の場合は外国語を必須科目としているのは、全体の4分の1程度なのだとか。私、正直言って英国の教育制度はややこしくてよく分からないのですが、16歳になるとGCSE(General
Certificate of Secondary Education)という全国学力試験があるらしい。これは中等教育を終えましたということを証明するための試験のようなのですが、試験科目に外国語を入れる生徒は、公立学校の場合は20%を下回るのだそうです。
何故、外国語を取らないのかというと「難しいから」というのがイチバンに挙げられる理由だそうで、GCSEの受験科目としてはドラマとかメディア・スタディのような「易しい」科目に人気が集まるのだそうです。
英国産業連盟の関係者も、外国語習得の必要性を強調していますが、先ごろ英国を離れたドイツ大使も、英国における外国語教育の低下については警鐘を鳴らしており、The
greatest task probably lies in raising the awareness of the British
public. In the home country of English, the world language, the
task of persuasion is especially difficult.(普通の英国人たちが認識を新たにする必要があるが、世界共通語と言われる英語が母国語だけに、普通の人たちに分かってもらうのは特に難しい)と言っています。
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