musasabi journal
発行:春海二郎・美耶子
第86号 2006年6月11日 

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北海道庁とか横浜市役所の職員の給料明細書に企業広告が掲載されているってホントですか?知らなかったな。北海道庁の場合、キリンビールの広告なんだそうです。サッポロじゃない。両社とも応募したのですがキリンの方が高い値段を提示したということだそうです。お役所の給料明細に広告を掲載するのはケシカランなんて言いません。おそらく経費節約のつもりなんだろうから。ただ・・・広告主の選択については結構面倒なこともあるんじゃありません?例えば、アイフルだの武富士のような消費者金融が応募したらどうするんでしょうか?「ご利用は計画的に!」なんてメッセージがあるので、職員も無駄遣いしなくなるので、却って望ましいとも言える?でもな、高利貸しからのお金でお役所の経費節約ってのは・・・やっぱまずいか!?でも、お役所としては、広告掲載をどうやって断るんでしょうか?他人事ながら心配ではある。

目次

1)ジャック・ストローの悔い

保守派のオピニオン・マガジン、The Spectatorのサイトを見ていたら、先ごろの内閣改造で外務大臣の職を退いたジャック・ストローとのインタビューが出ていました。「元外相」とのインタビューですが、大半が国内政治、特にブレア後の政権についての話であったので、余り興味は湧かなかった。

が、一つだけイラク戦争の開始直前の2003年2月14日に安保理事国の代表が集った昼食会のことは「絶対忘れられない」(I will never forget)と言っている部分がある。ストロー氏は、あの当時アメリカの国務省(英国でいうと外務省)が国防省との主導権争いに勝てなかったことを非常に悔やんでいるのですが、この昼食会でパウエル国務長官が次のような発言をしたのだそうです。

"Look, we may have military action, but the Americans are good nation-builders. That's what we did after the war in the East with Japan. That's what we did with Germany and that's what we will do again with Iraq."(我々は軍事行動をとるかも知れないが、アメリカは国の再建が得意なのだ。戦後(第二次世界大戦)の日本復興やドイツの復興はアメリカがやったのだ。同じことを我々はイラクで行うのだ)

しかしストロー氏は「イラクの戦後復興に誰が責任を負うのかについて、国務省は負けてしまったのだ」と言っています。実はこの昼食会には、当時の安保理事国であったドイツのフィッシャー外相も出席していたそうでThat's what we did with Germany…という部分はパウエル氏がフィッシャー外相(ドイツはイラク戦争に反対していた)の顔をじっと見ながら発言したのだそうです。

  • 私などにはよく分からないけれど、あの時の主導権争いで国務省がペンタゴンに勝っていたら、それほど事態は変わっていたのでしょうか?パウエルさんの言い分だと、「軍事行動そのものは正解であったが、(国防省の)復興のやり方がまずかったのだ」と聞える。確か戦争前に「軍事行動を起したらイラクという国が消滅しかねない」と、ジャーナリストのアンソニー・サンプソンが警告していたはず。「復興のやり方」という問題だったのですかね。
  • ところで、ストロー元外相は、首相を辞めた後のブレアさんについてa 'very important role on the world stage'(国際舞台で非常に重要な役割を果たすだろう)と言っています。一説にはアナンのあとがまとして国連事務総長のイスを狙っているのではとも言われていますが、ブレアさんは否定しているそうです。

2)ブレアは「思い込みジャーナリスト」?

今年2月までThe Economistの編集長をしていたビル・エモット氏が最近、ロンドンで行われた会合で講演した中で、ブレア首相のことをgonzo journalistのようだと批評していました。gonzo journalistは初めて見る英語であったので、Oxford English Dictionaryをひいてみたところ、gonzo journalismの定義として「真実の情報よりも、読者にショックを与えたり、興奮させたりすることを報道すること」(a reporting in newspapers that tries to shock or excite readers rather than to give true information)とあった。ただ記者本人にはその自覚はなく、あくまでも真実を伝えているつもりになっている。

ブレアさんがgonzo journalistにあたるというのは、イラク攻撃を始めるにあたって、サダム・フセインが大量破壊兵器を有しており、しかもそれを45分以内に発射できると断言した、あのことを言っているわけです。I do think Blair was sincere in his lying, in the sense that he believed he was representing facts that existed.(ブレアはマジメにウソをついた、つまり事実に基づいていると信じてしまった)というのがエモットさんの見方。

大量破壊兵器云々という情報が全くのガセであったということからすると、例の偽メール事件で民主党を辞めた永田さんみたいなものというわけですよね。彼もまたあれを真実と信じており、これを暴露すれば小泉政権が窮地に立つと信じきっていた。

エモットさんはThat, of course, is something that perhaps we should hold governments more accountable for than journalists - they have greater responsibility."とも言っている。つまり「ジャーナリストよりも政府は責任が大きいのだから、より大きな説明責任を求めてしかるべきである」というわけです。尤もこと「イラク」に関する限り、エモット氏のThe Economistも、フセインの大量破壊兵器云々という情報を信用して支持したのも事実。この点について質問されたエモット氏は次のように答えています。

Just looking at what was known at the time, I think between bad options - continuing a sanctions regime that had failed for more than 13 years and was causing misery to the Iraqi people or invading and causing further misery - on the basis of these terrible options it was right that we supported the invasion.(あの当時に知りえたことを考えると、選択は二つしかなく、どのみち好ましい選択の道はなかった。すなわち13年間にわたってイラク国民を苦しめていた政権に対して経済制裁を続けるのか、あるいはイラクに侵攻することで、さらに彼らを苦しめるのかという選択である。こうしたひどい選択肢しかなかったことを考えると、イラク侵攻を支持したのは正しかったと思う)。

つまりThe Economistとしては、イラク爆撃は間違ってはいなかったが、その後の処理が余りにもお粗末、と言いたいらしい。でもイラク攻撃と戦後処理の甘さというのはセットになっているのではありませんか?エモット氏の言い方によると、「戦後処理のために軍隊をもっとたくさん投入すればこんなことにはならなかったのに」と言っているようにも響きます。

gonzo journalistをあえて日本語に訳すと「思い込み記者」ってことになるのでしょうか。ガセネタなのに、ジャーナリスト本人は本当と思いこんでしまっているということです。民主党の永田某という議員が「小泉政権を窮地に立たせる」という目的を持っていて、結果的にはそれが故に偽情報にまで目が眩んでしまった。ブレアさんの場合「サダム追放」という目的が第一にあって、大量破壊兵器のあるなしはあくまでもそのための理由付けに過ぎなかったという点でも似ている。

  • ところでgonzoという言葉はどうやらjournalistにのみ使われるようで、gonzo politiciansという言い方はないようであります。
3)大英勲章なんかいらない!

私は知らないのですが、英国の映画監督でMichael Winnerという人がいて、過去20年以上も殉職した警察官を褒め称えるというキャンペーンをやって来たらしいのですが、そうした彼の功績を称えるべく、大英勲章(OBE)を授与しようとしたところ、これを拒否した、という記事がSunday Times(だったと思う)のサイトに出ていました。まあ、大英勲章を拒否すること自体は、ビートルズもやったことだし、さして珍しくないと思うのですが、拒否のコメントが「OBEなんて、便所掃除にあげるもんだろうが」(An OBE is what you get if you clean the toilets well at King’s Cross station)というものであったので、記事になってしまったのかも。

Winnerさんは今年で70歳。紳士録に、自分の趣味の一つとして「いやなヤツになること(being difficult)」を挙げているくらいだから、かなりの「頑固じじい」なんでしょうな。「アタシの便所掃除人としての業績を認めてくれたのは有難いと思うよ。だけどアタシは、何かを貰いたくて、警察官のためにキャンペーンやってるんじゃないのさ。何にも貰わなくたって結構」とか言っている。

「ひょっとして、OBEじゃ物足りないと思ったんではありませんか?」という記者の質問に対して「まあ、上院議員にでもしてくれるというのなら、かっこいい衣装も着れるし、面白いかもな」(I mean, at least if you go straight to the House of Lords you can wear fancy dress and have a giggle)とおっしゃっております。

Michael Winnerが警察官を称えるキャンペーンを始めたのは、1984年にロンドンのリビヤ大使館付近で、ある警察官が殺されるという事件があって以来のことだとか。昨年4月に、17世紀からこの方、職務中に死亡した警察官1600人を祀る「英国警察官メモリアル(National Police Memorial)」なる碑が出来たときに、彼は女王、ブレア首相と並んで、その除幕式に参加するという栄誉に浴したそうです。

大英勲章について、彼はさらに次のように言っております。

「もちろんちゃんとした人が貰っている場合もあるけどさ、あんなもの貰っているヤツは大体においてくだらないし、国家に対する貢献なんて何もやってない。金儲けと政治だけではないか。そんなヤツらと一緒にされたくないな」(Of course some decent people get it. But when you look at the rubbish who are getting these awards and the absolute non-service they have given to the nation other than financing or working for political parties, you say, "What company am I in?)

  • カワイクないな、この人。だいいちtoilet cleanerたちに失礼ってもんじゃありませんか?イヤなじじい、素直に貰っとけ、と言ってやりたい!
  • ところで大英勲章についてですが、いわゆる大英帝国(British Empire)が与えるものとしては、ウィキペディアによると上から順にKnight or Dame Grand Cross (GBE) 、Knight or Dame Commander (KBE or DBE) 、Commander (CBE)、 Officer (OBE) 、Member (MBE) などがあるようです。つまりOBEは下から2番目。これでしょうね、この人が怒っているのは。BEはいずれもBritish Empireの略。
4)保守党のスローガンはGWB

英国保守党のデイビッド・キャメロン党首が5月22日、ハートフォードシャーで行った演説がちょっとした注目を浴びています。スピーチそのものはここをクリックすれば読むことができますが、注目されたのはIt's time we admitted that there's more to life than money(今こそ認めるべきなのは人生お金だけではないということである)という部分です。政治家であり、次期首相であるかもしれないキャメロンの発言ですから、there's more to life than moneyといっても、個人的な幸福論のことではない。国の在り方として、GDP(国内総生産)のような経済的な向上だけを目指すのではなく、もっと広い意味での「幸福な状態」(GWB - General Well-Being)を目指すのも大切だ、というわけです。

で、このキャメロン演説について、マイケル・ポティロという人がSunday Times紙上で「幸福という理念が政治を変えるかもしれない(The happiness principle could change politics)というエッセイを書いて、前向きに評価しています。ポティロさんはかつてジョン・メージャー保守党政権時代に国防大臣を務めた人で、保守党の若手ホープと目されていたのに、何かのスキャンダルに巻き込まれて政界から身を引いてしまった「元政治家」です。

英国の保守主義というものを考えるうえで、政治家であるキャメロンの演説もさることながら、私としては「もと政治家・もと評論家」であるポティロのエッセイの方に興味を持ってしまった。なるべく手短に紹介します。

これまで英国では、保守党というと「お金儲けを奨励する党」というイメージが強かった。それは1980年代にサッチャーさんがもたらした「貪欲と見さかいのない個人主義の社会」(a society of greed and rampant individualism)の影響によるところが大きい。確かにサッチャーさんは、「貪欲の何が悪いのか」(There is nothing wrong with greed)という有名なセリフを残したわけで、それまでの英国社会に蔓延していた「お金儲けの話などはしたない」というエリート趣味をぶっ壊してしまった、と言われています。が、実はサッチャーさんの思想はそのようなものではない、とポティロ氏は言っています。

彼によるとサッチャーさんは、義務を果たすことが大切だという教わって育てられた人物であり、「金持ちには他者を助ける義務があるということを認識しているものであるし、そうすることで、健全な社会が創造できるのであって、そこでは国家などというものはちょっとした慈善団体に過ぎない(those who got rich would recognise their obligation to help others and that would create a much healthier society than one in which the state was the only fount of charity)」と考えていた。

つまり困った人々を助けるのは、個々の国民の義務であり、それを政府などに委ねるのは間違っている、というのサッチャーさんの考えであったということです。There is no such thing as societyというサッチャーの有名な「失言」(?)の真意はそこにあるのだ、とポティロは言っているわけです。

ポティロはまた「保守党=経済成長政策という図式も必ずしも当たっていない」として、保守党は昔から「神」「田園風景」「博愛主義」「親としての義務」などを大切にする価値観も有しているのだ、と主張しています。むしろ「経済」に傾斜しているのは労働党の方で、カール・マルクスは「人間すべて経済的な動機で動くものだ」と言っているではないかというわけです。

キャメロン党首はGDPを否定しているのではなくて「それだけが唯一の大切ことじゃない」と言っているのだ、として、キャメロンの保守党が次の総選挙で訴えるのは「例えば地球温暖化を防止するためなら経済成長も犠牲にすることもある」ということであろう、というのがポティロ氏の見解。

キャメロン党首が力を入れているのは、国民の間で根付いている「保守党は経済だけを考えている政党」というイメージを払拭することだ、とポティロ氏は言っており、GWB - General Well-Beingという言葉は、存外、政治スローガンとしても国民をひきつけるものになるのではないか・・・とポティロさんは言っています。

このキャメロン演説についてThe Economistは、政策に「幸福」などという個人的なものを持ち込まずに、もっと適切な政策を打ち出すべきだという意見もあるかもしれないが、キャメロン氏の講演後に行われた世論調査では、こと健康・教育についての政策に関する限り、保守党が労働党をリードしていると伝えています。

  • この話題とは直接関係ないけれど、先日ラジオを聴いていたら、日本人の87%が「自分は幸せだ」と感じているという調査結果が出ていると報じていました。ラジオのキャスターも言っていたけれど、これは実に意外ですね。本屋さんに並んでいるベストセラーを見ると、大体において、「今の日本は情けない」「日本はもうすぐ沈没する」などという内容のものが圧倒的に多い。にもかかわらず日本人は幸福感にひたっている。これ、どのように解釈すればいいのでしょうか?
5)短信

英語が分からない警察犬

イングランドのブリストル警察にこのほどリクルートされた警察犬はオランダ生まれのオランダ育ち、どこ ろかオランダで警察犬として訓練を受けたもの。同警察が優秀な警察犬を探してオランダまで行って発掘し てきたものだけに、警察犬としてはまさに「即戦力」なのですが、唯一の問題は言葉。とにかく(当り前です が)すべてオランダ語でしつけられてきただけに、英語で号令を下してもキョトンとするだけだった。で、 ブリストル警察では警察官の方にオランダ語の号令を覚えさせて命令したら上手くいったのだそうです。ち なみに3匹おりまして、名前はアミーゴ、プロフェッサー、ダッチなんだそうです。

  • ウチの柴犬なんて日本語の号令だってキョトンとして「アンタだれ?」という顔して私を見ます。もう15年 も一緒にいるってのにです。情けなくて涙がでてくる。

見栄っ張りのすること

マンチェスターにスコット・アレキザンダーなる100万長者がいるそうなのですが、この人の別名は「英国一 の見栄っ張り男(vaines man in Britain)」なのだそうです。Ultimate Lifestyle Group Incorporatedなる 会社のオーナーらしいのですが、例えば自分の家の外壁いっぱいに自画像を飾ったり、2日に一度はホルモ ン剤を注射しておりこれが年間10万ポンドにものぼる。それだけじゃない。持っているクルマ、ロールスロ イスのファントム、ランボルギーニ、アストンマーティン、ポルシェをそれぞれ1台ずつ、一ヶ月の洋服代 が平均約15000ポンド(300万円以上)等など。というわけで、ついにやってしまったのが、ブルガリアのあ る町そのものを買ってしまったということ。町の名前までアレキザンダーという自分の名前に変えてしまっ たらしい。町の値段は300万ポンド(1ポンド200円程度で換算してください)だったのだとか。「ブルガリア の名前は覚えにくくて」というのが、町名変更の理由だそうです。

  • 企業名のUltimate Lifestyleが凄いですね。「究極のライフスタイル」ってことですから。英国版ホリエモ ン!?

大きな駅にトイレが一つ

ドイツのワールドカップで世界中がうなされているようですが、PA通信の記事によると、4億5000万ポン ドを費やして完成したベルリン鉄道駅は欧州最大の鉄道駅なのだそうです。が、この駅は問題ありです。ト イレが一つしかないんだそうです。だもんだからすぐにえんえん長蛇の列ができてしまう。特に女性トイレ は全く足りないのだとか。駅当局も「設計の段階でミスがあった。直ちに二つ目のトイレを作ります」と平 謝りなのだとか。

  • ベルリンに限らず、世界の大都市で東京以上に素晴しい駅トイレが完備しているところはあるでしょうか。 ロンドンなんて(10年ほど前の話ですが)、そもそもトイレがないという地下鉄の駅があった。今はどうなっ てます?東京の地下鉄丸の内線・新大塚駅のトイレは実にきれいです。霞ヶ関なんか殆ど毎朝、掃除のおばさんがきれいにしています。
6)むささびの鳴き声

■世の中の諸々に何かと文句をつけるのは、落語に出て来る「横丁のご隠居」みたいでかっこ悪いけれど、言いたいことは言っておきたいし・・・最近、親子殺人とか家庭内暴力などのように、家庭が絡んだ悲劇が頻繁に起こっているわけですが、あるテレビ局の夜のニュース番組を見ていて心底不愉快なのは、そのような事件が起こるたびに、悲劇のファミリーのご近所さんとのインタビュを放送すること。

■大体において、ボカシがかかっていたりして「仲のいいご家庭に見えましたがね・・・」だの「ええ、あそこの息子さんは日頃からちょっと荒れている様子でした・・・」などなど、如何にも深刻ぶってコメントする。ウチの近所などでもよく見かける、井戸端会議でのウワサ話です。何が面白くて、このようなものをテレビで放送するのか、本当に分からない。私には、テレビ局が全国規模の壮大な井戸端会議を主催しているとしか思えないわけです。やめて欲しい、としみじみ思います。

■数号前の「鳴き声」で辻井喬さんの小学校について「子供たちの声が大きくなった」とお伝えしたところ、ある大学で教えている人からのメールによると、その人の教えている大学生たちの声が明らかに小さいそうです。教科書のようなものを読ませると特に小さいのだとか。そのくせ私語は大きいと言っています。その人の観察によると「私的世界(仲間内)では威勢がいいのに、他人と共有する場では自己表現が不得手という解釈もできるかも知れません」とのこと。なるほど。

■実は私、前の職場にいたときに声が大きいので有名でした。とにかく電話の声が職場中響き渡るそうで、ヒソヒソ話は全くできないタイプなんですね。英語で言うbetween you and me(ここだけのハナシだけど・・・)ってのがダメ。上品になれないというのが私のコンプレックスであったわけです。

■自分のコンプレックスはさておき、辻井喬さんの小学校の子供たちについては、声が大きくなった(訓練して大きくしたのではない)のはとてもいいことだと思うのです。声が大きいってことはのびのびしているってことだし、遠慮がないってことです。さらに言うと、生きていることが楽しいってことなんです。いじめなどというものの入る余地が余りないってことでもある。辻井さんは、それを音楽・図工・体育の授業を充実させたことと関連づけています。この三つに関しては言語と違って「国境」がないってことにも注目してください。ついでに言っておくと家庭科(料理)にも国境がありません。

■長々と失礼しました。

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