musasabi journal
発行:春海二郎・美耶子
第95号 2006年10月15日 

Back numbers

 

ぐっと寒くなりました。10月も半ばです。あっと言う間に今年も終わってしまいそうです。むささびジャーナルの95回目です。よろしくお願いします。

目次
1)少子化時代の子育て論議
2)広がる「郡国主義」?
3)タイの「民主的クーデター」で想ったこと
4)北朝鮮には「厳しい制裁」と「安全な出口」を与えよう
5)「ぶらさがり」の説明責任
6)短信
7)むささびの鳴き声

1)少子化時代の子育て論議


Daily Telegraphという新聞の9月12日号の投書欄に「現代の生活は子供たちをより憂鬱にさせている」(Modern life leads to more depression among children)という見出しの投書が掲載された。投書したのはRoyal Society(日本で言うと学術会議か)のSusan Greenfield理事長のような人を含めた約100人の知識人、それも英国を代表する知識人のグループです。

その投書によると、いまの英国において、depression(憂鬱症)が原因の子供の事件・事故が増えているのだそうで、投書者によると、それは主として一般人や政治家の間における、子供の発育についての理解不足が原因なのだそうです。「子供の脳は発展過程にあるものだ」として次のように書いています。

子供の脳というものは発展途上にあるものなのであり、これまでにない速さで進む技術・文化の変化がもたらす影響に対して、成人のようにはついていけない部分がある。 Since children's brains are still developing, they cannot adjust ? as full-grown adults can ? to the effects of ever more rapid technological and cultural change.

子供たちには、人間が進歩・発展するなかで常に必要としてきたものが必要である。例えば本当の食べ物(ジャンクフードではない)、本当の遊び(テレビゲームのような刺激的なものではない)、世界を実体験すること、彼らにとって大切な実物の大人との日頃からの接触などがそれである。 They still need what developing human beings have always needed, including real food (as opposed to processed "junk"), real play (as opposed to sedentary, screen-based entertainment), first-hand experience of the world they live in and regular interaction with the real-life significant adults in their lives.

投書者たちは現代の子供たちが余りにも早期に競争文化にさらされる中で、「試験の点だけを重視する初等教育カリキュラム」(overly academic test-driven primary curriculum)を生き延びることば要求されており、子供たちが「市場原理」(market forces)によって押しまくられ、電子メディアの発達によって、以前では子供たちには不向きと思われていたようなものにまでさらされている、と嘆いています。

そしてそのような状況の結果として、子供の虐待、自虐行為、他人への暴力などが増加しており、それはもやは受容可能の範囲を超えている、と警告し、最初のステップとして「21世紀の子育て」(child-rearing in the 21st century)について、両親や政治家が子供の福祉向上のためにディスカッションを始めるべきであるとしています。

******子供が増えれば問題も少なくなる******

上記のアピールについて、同じDaily TelegraphでCharles Mooreという人が、やや批判的なエッセイを書いています。題してMore children, less fuss(子供が増えれば問題も少なくなる)というわけで、現代の英国において子供たちが置かれた状況を、進行する少子化と関連して述べています。

まずは統計から、ということで、筆者が生まれた1960ー65年のベビーブームの時期の英国では、1年に約100万人の子供が生まれていたのに、今ではこれが70万人に減っている。つまり統計的には、昔の子供一人が10人の「同世代」に囲まれて育っていたとすると、今ではこれが7人である。同世代が少ないということが子供の成長に与える影響は大きい。

子供の数が少ないということは、子供たちが両親に対してより大きな義務(obligation)を負っているということでもある。また昔に比べると、いまの子供たちははるかに少人数の家庭で育っていることになる。統計によると、1972年の時点で3人以上の子持ち家庭は、全世帯の41%であったのが、現在はこれが23%にまで落ちている。71年と現在を比べると、16才以下の子供が260万人少なく、75才以上の高齢者の数は2倍にまで増えている。

子供の数が減っていることはいろいろな部分で社会的な影響を生んでいるけれど、筆者によると、その一つが、子供というものについての知識が殆ど皆無という大人の数が増えているということで、これが虐待を生んでいるという側面もあるというわけです。

筆者はさらに、昔に比べると非常に増えている一人っ子(only child)について、「一人っ子は世の中を、よりシリアスかつ緊張感を以て見る傾向があり、それが多くの場合、創造力を育むこともあるが、孤立感や憂鬱症を生むこともある」(only children tend to view the world more seriously and intensely. This may foster creativity in many, but it also fosters isolation, and probably depression as well)と述べています。

筆者のようにベビーブーム時代に育った人間にとって、世界は常に自分たちのために拡張(expanding)するものだと思って育ってきたが、少子化時代の子供たちは収縮(contracting)する世界に育っているとして、40年前の出生率2・8%の世界が「生命に支配された文化」(culture dominated by life)であったのに対して、現代はむしろ「死に支配された文化」(culture dominated by death)の時代であるというわけです。

このエッセイでCharles Mooreがイチバン言いたかった(と私が推測する)のは次のことなのではないか。

今日の小市民的社会における共通の問題は、一人一人の子供について余りにも心配しすぎる親なのではないか。試験の結果についてとやかく気をもんだり、子供にものを与えすぎたり、女性の労働についての苦労話、それに「安全」ということへのこだわり・・・こうした現象の背後にあるのは、失敗することへの恐怖、失うことへの恐怖なのである。 But the more common problem in our bourgeois society is the parent who feels too much anxiety about each child, not too little. Behind all the fussing about exam results, the provision of often absurdly large numbers of consumer goods, the agonising about women working, and the increasing obsession with safety is a fear of failure and of loss.

筆者によると、昔は子供というものは「いて当たり前」であったのに、今では明朝時代の壺のように「貴重品」扱いされている。You love someone to bits(誰かを徹底的に愛する)という表現が最近では流行っているそうなのですが、Charles MooreはIs that a good way to love anyone, particularly a child?(そのような愛し方は、特に子供について、本当に望ましい愛し方であろうか?)と結んでいます。

  • 2000年の時点での合計特殊出生率は英国が1・64、日本は1・36だそうです。知識人のアピールといい、この記事といい、どの国でも似たような問題に悩んでいるのだということを感じますね。
  • 親が心配しすぎることに問題がある・・・という、この筆者の主張には私も大いに共感しますね。どう考えても子供の面倒を見すぎますよね。だから最近、本当にひとりでポツンとしている子供を見なくなった。非常に良くないことです。子供の野球をリトルリーグとか言って親が「手伝い」に行っているのを見かけるけれど、手始めにあれを止めましょう。
2) 広がる「郡国主義」?


前回の「むささびの鳴き声」で日の丸や君が代に対する自分の個人的感覚について、少しだけ書かせてもらいましたが、9月30日付けのThe Economistによると、英国人はアメリカ人などに比べると国旗(Union Flag)をひるがえすということが少ない国民なのだそうですね。もちろん全く使わないというわけではないし、ワールドカップなどではイングランドのファンがイングランドの旗(St George's flag)を振って大騒ぎすることはある。ただ、私自身の個人的な体験からしても、アメリカ人が何かというと星条旗をひるがえすほどにはUnion Flagは使われないというのは、そうかもしれないですね。

何故そうなのか?The Economistによると「慎重な国民性」(native reserve)と「極右を彷彿とさせる」(lingering associations with the far right)が理由らしい。私の見るところでは、Union Flagがもっている「民族的色彩」があるのではないか。あの旗の中にかつては仲違いをした仲をしていた、イングランド、スコットランドそして北アイルランドが象徴されているということです。

それはともかく、旗をめぐる最近の動きとして目立つのが、英国内の地方の旗なんだそうですね。その典型としてThe Economistが伝えているのが、Devonという郡で使われている郡旗(写真左上)。これが家々の窓や屋根にひるがえっているらしい。本当は国旗以外の旗を飾るについては景観の関係で、お役所の許可が必要らしいのですが、そんなことお構いなしという感じで流行っているらしい。

ただこの郡旗はUnion Flagのような歴史があるわけではなくて、デザインを一般から公募して2003年に作られたもの。一つには隣郡のCornwallが旗を使っているのに対抗して観光目的で作ったということもあるけれど、Devonという郡そのものの無性格さを克服しようという地元の意地もある、とThe Economistは伝えています。同誌によると郡旗ブームはDevonやCornwallにとどまらず、Lincolnshir、Dorsetなどの郡にも広がっているそうです。

ところで英国国旗であるUnion Flagのデザイン上の由来はご存知でありましょうか?詳しくはここをクリックすると出ていますが、ざっと説明しておくと、イングランドがSt Georgeのシンボルとされ、白地に赤の十字架、スコットランドが青地に白の斜め十字架でSt Andrewのシンボル、北アイルランドが白地に赤の斜め十字架でSt Patrickのシンボルとなっています。ウェールズの旗はドラゴンで、St Davidのシンボル。ウェールズの旗のみがUnion Flagの一部になっていないのは、Union Flagができた頃にはウェールズはすでにイングランドと統一されていたから(Wales is not represented in the Union Flag because when the first version of the flag appeared Wales was already united with England, but the Welsh flag is in widespread use throughout that country)とされています。

3) タイの「民主的クーデター」で想ったこと


タイで軍のクーデターが起こり、タクシン首相が追放されてしまいましたね。いまは英国にいるのですよね。私たち夫婦には、とても親しくしているタイの女性がいるので、今度のクーデターについても関心があります。 で、10月3日付の産経新聞に、在バンコクの鈴木真さんというジャーナリストが「”民主的クーデター”の幻想」という記事を書いていました。この記事を読んで、私なりに想うところがあったので、書いておきます。

この記事によると、タイでは1976年に流血を伴うクーデターがあり、その15年後の1991年にも市民に犠牲者が出る軍事クーデターがあったのですが、そのまた15年後の今年、やはり軍の力による政変が起こってしまった。なにやら15年周期でクーデターが起こっているという感じですが、今回のクーデターは流血が全く伴っていないという点で、表面的には前の2回と異なっている。

鈴木さんの報告によると、タイのメディアなども今回の軍の行動については「最も民主的なクーデター」という風に好意的に受け止めている論調が目立つのだそうであります。追い出されたタクシンさんについては「和解不可能なまでに国を分裂させた」と悪評さくさく、「軍の実力行使もやむを得なかった」とする意見が多いらしいのです。

確かに日本からテレビなどで見ていても、バンコクの町は全く平静のようだし、ラジオを聴いていたら「タイでは選挙の代わりにクーデターで政権交代が起こるのです」という(失礼な)日本人の識者によるコメントも放送されておりました。

が、鈴木さんは「"民主的クーデター"というものがある得るのか」として「タクシン氏が民主的でなかったにせよ、武力による権力奪取はやはり民主主義の根幹の否定である」と書いています。そしてクーデターが市民の抵抗にあったり、流血で犠牲者が出ていたとしたら「将来の歯止めにもなるだろう」が、今回は批判の声さえも起こらなかった。しかしそれは「民主的クーデター」などと言って喜んでいていいのか、というのが鈴木さんの記事のポイントで、次のように書かれています。

(流血という)副作用がなかった分、「武力」という麻薬の服用へのためらいが薄れるのではないか。「民主的クーデター」という幻想は今後にそんな懸念を抱かせる。

クーデターは、プミポン国王が軍政を承認したことで成功したようなもので、国王はタイという国の安定にとっては「かけがいのない重し」であることが、このク−デターで改めて示されたというわけです。でも現在の国王はもうすぐ79歳。「この国はいつまで(プミポン国王という)安全装置に頼れるのか」という疑問で、鈴木さんの記事は終わっています。

  • で、私がこの記事を読んで何を想ってしまったのかというと、小泉さんの靖国参拝に関連して「昭和天皇もイヤがっていた」という意味のスクープがあって大騒ぎになった、あのことです。タイでは国王のツルの一声で軍が政権を奪取するなどということをメディアも含めた市民が許してしまったけれど、もし小泉さんが、あの新聞スクープの結果として参拝しなかったとしたら、それで良かったんだろうか?」
  • 私には、あのスクープが掲載されたあとのマスメディアの論調の中に「天皇陛下も参拝を拒否しているのだから小泉さんも行くべきではない」という雰囲気があったように思えてならなかったわけです。天皇が何を想っていたかとは無関係に、小泉さんだろうが安部さんだろうが、靖国参拝などやるべきではない・・・そのような論調であるべきだった(と思うわけです)。
  • 後日、アメリカ人の記者から聞いたのですが、あのスクープ報道のあとも実は世論は変わらなかったらしいですね。
  • タクシンさんは「金権体質」「腐敗」等など、「専横ぶりは度を越えていた」と鈴木さんは伝えています。だからと言って軍が出て来るのは、確かにどうかしていますよね。軍も右翼も「問答無用」というのがとても気持ち悪い。
  • 因みに私たちが親しくしているタイの女性はタクシンびいきで、ビジネスウーマンを目指しているようであります。今回のクーデターについて聞くと「前にもそんなことあったわ」と淡々としていたそうであります。

4)北朝鮮には厳しい制裁と安全な出口を与えよう


The Economistの10月12日号が、北朝鮮の核実験について、「誰が金正日を止められるのか?(Who can stop him now?)」というタイトルの社説を掲載しています。結論の部分だけ紹介すると:

世界がこれ以上の核拡散を防ぐためには、拡散をもくろむ国や指導者にホンモノの苦痛を与える必要があり、そのためにはロシアと中国はある程度の利益を放棄しなければならない。イランとの良好な関係は、中東における核拡散を防ぐために犠牲にする価値がある。金正日についていうと、近隣諸国は短期的な安定のために代価を払うという愚に気付くときが来たのである。そうした過ちがこれまでにもコントロールをすり抜けてきた独裁者を助けてきたのだから。独裁者による「核遊び」はアジアにより大きな軍拡競争の火をつけることになり、誰のトクにもならないのだ。中国も韓国も、いまこそ日本に追随して厳しい制裁をバックアップすべきである。譬えそれが体制を転覆させることになったとしても、である。この体制はどのみちいつかは崩壊するだろう。今こそそれに備える時である。

If the world is to prevent the spread of nuclear weapons, the Russians and Chinese will have to give up some serious interests in order to cause real pain to proliferators. Good relations with Iran are worth sacrificing for the bigger aim of preventing a chain reaction of proliferation across the Middle East. As for Mr Kim, the moment has come for his neighbours to see the folly of paying for short-term stability by propping up a dictator who has slipped dangerously out of control, and whose nuclear delinquency threatens to spark a much wider nuclear arms race in Asia. That would be in nobody's interest. Both China and South Korea ought now to follow Japan and back tough sanctions even if these do topple the regime. It will fall one day anyway, and this is the time to prepare.

しかしThe Economistは、厳しい制裁は明確なインセンティブを伴うものでなければならない(Tough sanctions must therefore be coupled with clearer incentives)と主張しています。独裁政権に対しても安全な出口を用意する必要があるということです。彼らが、はっきりと核兵器開発を終えるのであれば、武力で転覆したりはしない(つまりイラクと同じようなことはしない)ということを、彼らに保障するということです。The Economistの記事は、アメリカも犠牲を払う必要があるかもしれないとして、次のような文章で締めくくられています。

民主主義を広めたいと思った(ブッシュ)大統領にとっては、独裁者に保障を与えることなどは簡単にはできないことかもしれない。しかし不完全な世界にあっては、数百万人もの人々を殺すことになる兵器を、独裁者の支配下におくことを防止するために払わなければならない対価かもしれないのだ。

It will not be easy for a president who wanted to spread democracy to do this. But that, in an imperfect world, may be the price of preventing dictators from controlling the weapons that could kill millions.


ところで、北朝鮮の核実験について、英国の新聞はどんな論調なのかと思って、それぞれのサイトの中の社説の部分を斜め読みしてみました。概ね共通しているのは「中国よ、しっかりしろ」というトーンですが、日本の核武装を心配する声もある。それぞれ、核心部分(であると私が考える)だけをピックアップしてみました。

Daily Telegraph
中国は、過去の問題は忘れ、日米と手を取り合わなければならない。そのためには日本と中国が、第二次世界大戦の影について対処しなければならない。が、それは難しいであろう。とはいえ過去ついての対立も現在の必要に比べると隠れてしまうようなものだ。金正日の冒険主義は絶対に包囲されなければならないし、それは中国がやらなければならないことだ。
China must now forget past squabbles and stand shoulder to shoulder with Japan and America. For this to happen, the shadow of the Second World War must be addressed on both sides of the East China Sea. This will be difficult. Yet past antagonism is overshadowed by present need: Mr Kim's adventurism must be contained, and China must do the containing.

The Independent
米国は日本、韓国、台湾が核武装に走ることがないように説得しなければならない。アメリカ政府は、北朝鮮とは交渉しないと言っているが、結局、ブッシュ政権としては交渉する以外に道はないのではないか。
Somehow Washington must square this circle and dissuade Japan, South Korea and Taiwan from seeking their own nuclear weapons. In the end there may be no alternative to what the Bush administration has said it will never do - negotiate.

The Financial Times
かつて米国のレーガン大統領がソ連のゴルバチョフに対して、火星人からの攻撃に両国がともに直面しなければならないとすれば、米ソの違いなど何でもないではないか、と言ったことがある。現在の世界政治にあって、金正日氏こそが火星人に最も近い。彼の核の脅しが東アジアの大国間の違いを埋めて、地域の安定に役立つとしたら、北朝鮮の独裁者も世界に貢献することになるかもしれない。
Ronald Reagan, former US president, is said to have told Mikhail Gorbachev, former Soviet leader, that the differences between the US and the Soviet Union would pale into insignificance if the two countries were jointly faced with a threat from Mars. Mr Kim is as close to a Martian as anyone in world politics. If his nuclear posturing provokes the big powers in east Asia to bury some of their differences and work together on making the region more secure, the North Korean dictator may ultimately have done the world a favour.

Christian Science Monitor (アメリカ)
日本は憲法で謳われた平和主義を捨て去り、核武装に向けて進むかもしれない。そうなると日本は中国との間で「冷戦」状態に入ることになる。これ以上、北朝鮮を締め上げることは中国にとっては容易ではないかもしれないが、中国という国は小さな隣国から力を使って「尊敬」を押し付けてきた長い歴史がある。この際、その種の圧力は歓迎しよう。
Japan may now abandon its constitutional pacifism and quickly build an atomic arsenal in order to prevent North Korea from possibly using nuclear blackmail against it. Such a major military shift by Tokyo would open its own cold war with China. Squeezing North Korea even more than it has been squeezed by sanctions will not be easy for Beijing. But China has a long history of forcing deference from its smaller neighbors. In this case, such pressure would be welcomed.



5)「ぶらさがり」の説明責任


小泉さんが首相のころに、殆ど毎晩のようにテレビのニュースで立ち話風のインタビューをやっておりました。安部さんも同じようなことをやっている。こういう取材のやり方を、メディア用語で「ぶらさがり」というのだそうです。英語ではdoorstepと言います。英語については「ドアの外でちょっと立ち止まって取材に応じる」という慣習からきた言葉なのだろうと思いますが、日本語の「ぶらさがり」の語源は何なのだろうと思って、サイトをいくつかあたってみたけれど出ていませんでした。「ぶらさがり健康器」は沢山出ていたのですが。で、このことについては、ダラダラ不満が長くなるので、別のところに書いておきます。ここをクリックしてお読みください。


6)短信

Oxbridge入学問題が変化している!?

余りにも自分には縁が無いので知らなかったんですが、オックスフォード大学やケンブリッジ大学に入るときには面接試験てのがあるんですね。PA通信によると、最近のOxbridgeの面接試験ではかなりおふざけめいた質問が出るのだそうです。例えば・・・「人間はどの時点をもって死亡したことになるのか」(At what point is a person dead?)とか 「19世紀の政治家の中でトニー・ブレアにイチバン似ているのは誰か」(Of all 19th-century politicians, who was most like Tony Blair?)など。中には「アンタってカッコイイと思う?」(Are you cool?)なんてのもあるらしい。Oxbridge Applicationsという入学アドバイス会社によると、最近では受験者の知的水準が極めて高いので、並みの質問では見分けられないということがこのヘンな現象の背景なのだそうです。このような質問に的確に答えられるような頭脳を持った人だけがOxbridgeへの入学が叶うってわけ。

  • 臨機応変のテストなんですかね?Are you cool?と聞かれたら何と答えます?私ならもちろんYES!と正直に答えると思うけれど、「何故そう思うのか?」と突っ込まれると困るだろな、これは。それと、英国にも面接アドバイス会社なんてあるんですね。

「13日・金曜日」の意味が薄れている

最近英国で成人約1000人を対象に行ったアンケートによると、不吉とされる「13日・金曜日」の意味が薄くなってきているんだそうであります。4人中3人が「13日・金曜日」だから仕事を休もうなどとは全く考えないと答えたのです。つまり迷信がなくなりつつあるってことですな。日にちの迷信だけではない。英国において滅亡の危機にさらされている不吉な迷信の代表格としては「鏡を壊す」「クロネコが前を横切る」「ハシゴの下をくぐる」などがあるんだそうです。

  • 昔、上岡龍太郎さん(メチャクチャな阪神タイガースびいき)が自宅の居間で足のツメを切りながらテレビを見ていたら阪神の選手がホームランを打って逆転した。で、以後はその選手が出て来るたびに足のツメを切ることにしたら、ついに深爪になってしまったという話がありました。あれも迷信ですよね。そういえばおととい(10月13日)は金曜日だった。

ハエ・ロボット!

Dr Rafal Zbikowski という英国の科学者が取り組んでいるものに、ハエの形をしたロボットの開発があるんだそうで、すでに地上を動くバージョンまではプロトタイプが完成しているんだとか。この博士はクランフィールド大学にある防衛関係のカレッジでこの開発に取り組んでいるから、当然ハエ・ロボットの主な任務も軍事用にあるけれど、地震のときの生き埋め者の発見などにも活躍が見込まれる。Zbikowski博士によると、この「ハエ」は、混雑した建物とかオフィスなどへも侵入して「敵」のコンピュータを破壊する能力もある。洞穴の内部にいるテロリストの攻撃という用途も考えられる・・・とスコッツマン紙が伝えています。完成は「10年以内」だそうであります。

  • うーん、空中を飛ぶ虫のロボットか。ロボトロジーと言えば日本が世界一だと思っておったのに・・・。こうなりゃ、日本は蚊ロボットで勝負するっきゃないな。敵に眠り薬を注射できるシステムを装填させたりして。叩いたら爆発する・・・。フマキラーに弱いのが難点かな。

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7)むささびの鳴き声
  • 今年のプロ野球も殆ど終わってしまいましたね。残るは日ハムと中日の日本シリーズだけ。知らなかったのですが、hamという英語には「大根役者」という意味があるんですね。特にジェスチャーが大袈裟すぎる役者のことをいうのだとか。新庄なんてhamの見本みたいな選手です。でも受けるんですよね、あれが。
  • プロ野球ですが、先日、元西鉄ライオンズの豊田さんが朝日新聞で「プレーオフはナンセンス」という趣旨のエッセイを書いていました。1シーズン100以上の試合をやってようやく1位になったのに、たかだか5試合で負け越した程度で、それがパーになるのは不公平だというわけです。実に当り前の意見ですよね。プレーオフはアメリカのアイデアで、何故プレーオフをやるのかというと、興業収入が生じるからです。今年は日ハムが勝ったから、不公平なことにはならなかったけれど。
  • そういえば中日の優勝が決まったのは確か東京ドームのジャイアンツ戦でしたよね。でも中継はテレビ東京とNHKの衛星だった。4チャンネルではなかった。あの試合、9回(だったかな?)に中日の外人選手がダメ押しホームランを打ったとき、落合監督が泣いておりましたね。まだ試合が終わったわけではないのに、です。落合にしては珍しい。
  • で、全然関係ありませんが、日ハムのゲームを見ていたら、選手のヘルメットに北海道新聞の文字が入っておりました。あれ、新聞社は広告費としていくらくらい払っているのですかね。最近はどの球団もやっているけれど、新聞社の宣伝というのはここしかないのでは?

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