musasabi journal
発行:春海二郎・美耶子
第98号 2006年11月26日

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ウチの近所のちょっとしたレストランで「憲法9条を守る歌声喫茶」なる企画をやっておりました。最近では、実にいろんな人がいろんなアイデアでイベントをやるので、にぎやかで結構でありますね。11月もお終い、2006年もあと1ヶ月なんですね。98回目のむささびジャーナル、よろしくお願いします。

目次

1)Oxbridge入学のための塾
2)忘れられた下流階級:Poor whites
3)妊娠中絶の許容期間を短縮する
4)杉野明さんの特別講義
5)いじめ自殺報道の残酷
6)短信
7)むささびの鳴き声

1)Oxbridge入学のための塾


むささびジャーナル95号の「短信」で、英国のオックスフォード、ケンブリッジ両大学が、入試の面接試験で、けったいな問題を出して受験生をまごつかせているという報告をしました。いわく「空が青いのは何故か?」「タマゴの形状をなんというのか?」「19世紀の政治家の中でトニー・ブレアにイチバン似ているのは誰か?」等など。

11月2日付けのThe Economistによると、来年のOxbridgeの受け入れ学生数は約6500、これに対して志願者は27,800人ということで、かなりの倍率というわけですが、Oxbridge受験のための塾(admission consultancy)ビジネスが結構儲かっているそうであります。

その名もズバリ、Oxbridge Applicationsという塾は1999年に始まったもので、志願者(合格者ではない)の10人に一人がこの塾のお世話になっているらしい。Oxbridgeの入学願書なんてどんなものか知りませんが、この塾では願書(application)の代筆サービスなるものがあって、これを利用すると120ポンド(約2万5000円)とられる。面接試験のための準備講座を受けると一回でも850ポンド(18万円)も請求されるのであります。

新しくできたOxford Mentoring Schemeなる塾の場合は、390ポンド払うと、オックスフォードの卒業生から面接試験に成功するための指導をしてもらえるんだそうです。

昔からOxbridgeに入る人の多くが、名門私立学校(パブリックスクール)の卒業生であるわけですが、この手の塾のお得意さんには公立学校の卒業生が多い。年商45万ポンドのOxbridge Applicationsのお客さんの3分の2が公立学校の学生だとか。

この種の塾サービスはアメリカには昔からあって、設立68年という歴史を持つKaplanという塾の場合、大学受験者が必ず受けなければならないSATという試験でいい点を取るためのサービス提供をしています。何と年商が14億ドル(7億7000万ポンド)というのですから、英国のそれとは比較にならないようなビジネスというわけです。

Oxbridge Applicationsのようなビジネスは、要するにアメリカが発祥の地であるわけですが、Oxbridgeの関係者は、余りいい顔をしないんだそうですね。「このような企業は、面接試験を必要以上に訳の分からないもので、普通にはできっこないという印象を与えてしまい、結果として、お金持ちでない子弟などが受けなくなる」(These firms portray the interview process as mysterious and intimidating, and this deters potential applicants from poor and minority backgrounds)というのがその理由。

また、そもそもそれらの塾のサービスそのものが疑わしいという声もある。Oxbridge Applicationsでは、そのサービスを受けた学生の入学率は、受けない学生に比べると倍増すると言うけれど、これらの大学の面接試験は「受験生が"教えられる"こと以上のことを試すようにデザインされている」(The interview process is designed to get beyond what a candidate has been taught)とHertford Collegeの英語教授は言っている。

にもかかわらず、Oxbridgeへの入学希望者が今年でさえも前年比で4・3%増えており、これからも増え続けるのではないかとされている。そうなるとこの種の「塾」は今後も伸びていくのではないか、とThe Economistでは言っています。

2) 忘れられた下流階級:Poor whites


当り前ですが、英国にもいわゆる「貧困層」と呼ばれる人たちはいます。貧困ということでは、どちらかというと、黒人やイスラム移民などが注目されがちですが、実は白人貧困層の方が状態が厳しい、ということを10月26日付けの「忘れられた下流階級:プア・ホワイト」(Poor whites:The forgotten underclass)というThe Economistの記事が伝えています。

そもそも「貧困」なる言葉の定義にもいろいろありますが、The Economistの記事は「無料の学校給食サービスを受けている子供」のいる家庭ということを挙げています。別のサイトによると、このサービスを受けられるのは、年収14,155ポンド(約300万円)以下の家庭の子供たちとなっているのですが、こと学業成績に関する限り、このクラスの家庭の子供の場合、全国的な学力標準テスト(GCSE)の成績を見ると、白人家庭の子供たちが他の人種の貧困家庭の子供よりも劣るという結果が出ている。The Economistが特に取りあげているのは、イースト・ロンドンにあるBarking and Dagenhamという地区の子供たちで、GCSE5科目で「良い」(good)の成績を収めた生徒は、白人社会では32%しかいないのに、黒人の場合は39%、アジア系の子供になると52%にものぼる。

これについてブリストル大学が全国の貧困家庭の子弟数万人を対象に調査をしたところ、7才の時点では白人と黒人の子供たちにはそれほどの差はなく、英語が分からないが分からない子供が多い、パキスタンやバングラデッシュの子供たちよりは成績が良いという結果になっていたのだそうです。で、これが14才になると、白人の子供が黒人の子供を追い抜き、アジア系よりも成績が良いという結果が出ている。しかし、全国試験で将来の進路が決まる16才になると、何故か白人の子供たちの成績が一番悪くなるのだそうです。このあたりになると、もともと成績がいい中国系、インド系の貧困家庭の子供たちの成績は劇的に伸びるらしい。

何故、白人の子供の場合、14才では悪くないのに16才でガタンと落ちるのか?それは彼らの親たちが教育の意義や価値を余り認めていないということにある。何故そうなのか?子供たちの大半が16才を過ぎて社会に出ても、教育を必要とするような職に就かないということらしい。1950年代にここで子供時代を過ごしたある大人は「学校でやっていることと、大人になってからやることの間に関係などないと思っていた」(We didn't believe there was any connection between our school work and what we would do as adults)と言っている。一生懸命勉強して資格をとったり技能を身につけたりしなくても地元の工場に仕事を見つければよかった、という時代であったということです。

つまり白人の若者の場合は、非白人の子供たちに比べれば、さしたる資格や技能なしで世の中に出ても、そこそこ仕事にありつくことが出来るということです。16才(義務教育の最終年齢)を過ぎたら学校へは行かないという若者は白人の方が多いそうなのです。黒人やアジア系の子供たちには、資格をとってまともな仕事にありつこうとする上昇志向があるというわけです。

技術を持たない白人の若者の就職先はブルーカラーの工場労働が多い。2001年の調査によると、英国における全労働人口の89%が白人男性で占められており、その93%が製造業で働いているのですが、英国では(日本も同じですが)製造業は落ち目傾向がずっと続いている。英国における男性労働者(白人であれ非白人であれ)で製造業に従事しているのはわずか18%。20年前には30%もあった。Dagenhamにあるフォードの自動車工場はその典型で、1970年初めには3万人の労働者が働いていたのに、今では4000人しか雇われていない。しかも同社のこれからのリクルート方針として、GCSEのテストの英語、数学、自然科学の3科目で「良」の成績を収めた者だけを採用しようということになっている。

白人とは対照的に移民とその子弟の就職先は主としてサービス産業か公共部門となっており、パキスタン系を例外として、殆どが職場と住んでいるところが同じ。サービス業や公共部門(お役所など)の職場一番多いのはロンドンですが、2001年の国勢調査によると、インド系の42%、バングラデッシュ系の55%、アフリカ系黒人の79%がロンドンに住んでいるという結果が出ている。多くの移民の一世は余りいい職に恵まれないかもしれないけれど、彼らにしても本国にいたときは中流階級だった人たちが多いので、いずれも教育には極めて熱心で、教育をしっかり受けさせて、英国でも中流階級になろうという意思が強い。

移民たちは英国社会に溶け込もうと懸命に努力して、英国の経済体制に浸透し、ついには完全に溶け込んでしまうという生活を辿っているけれど、白人労働階級のエリアで暮らす貧困白人から見ると、その移民たちも新しい金持ち階級に見えるわけで、The Economistの記事は、そのような地域の地方議員のAsians seem to be the new middle class(アジア系が新しい中流階級のようだ)というコメントを紹介しています。

3)妊娠中絶の許容期間を短縮する?


英国の法律によると、2人の医師の承認があれば、妊娠後24週間までは中絶(abortion)が許される。これは他のヨーロッパの国よりも長いのだそうで、イタリアなどは90日が限度とされている。

The Economistが伝えるところによると、このほど保守党の議員が提出した法案は、現在の24週間を21週間にまで短縮すると同時に、中絶のために病院を訪問してから10日間はcooling-offの期間として担保されなければならない。この場合のcooling-offは「考え直す」ということを意味しています。この法案自体は成立はしなかったのですが、提出した議員も成立を期するというよりも、この問題についての関心を喚起することが目的であっただけにさして失望もしていない。事実、昨年、154人の国会議員を対象にしたアンケート調査が行われたのですが、そのときは63%が期間の短縮に賛成だった。2004年に行われた同じアンケートでは37%だったのだから、期間短縮は徐々に支持を集めているということになる。

実際には英国では、ここ10年ほどの間に妊娠中絶は厳しく制限すべきだという意見が高まりつつある。昨年、Daily Mail紙が行った調査でも、期間短縮に賛成する英国人が75%であったのに対して、反対は25%となっています。いろいろ理由はあるけれど、医療機器の発達でお腹の中の赤ちゃんが本当の人間のように見えるようになったので、中絶に二の足を踏む傾向になってきたこともあるし、早産の子供でも生きる可能性が昔よりは高くなっているので、妊娠期間を長くすることには抵抗が出てきているということもある。

とはいえ、近い将来にいまの法律が変えられる可能性は低いのだそうです。一つには20週間後の中絶というケースは極めて稀なので、あえて法律を変えて必要はないということ。英国では、21週間以上経ってからの中絶は1%以下なのだそうです。

もう一つ言えるのは、胎児における極めて深刻な問題は、ある程度妊娠が進まないとわからないことが多く、実はそれが24週間という長期を許している主なる理由なのだそうです。新生児の安楽死がより広く受け入れられようになれば、将来は事情が変わるかもしれないけれど、当分それはないだろう(probably not soon)というのがThe Economistの結論です。

abortionについてネット百科事典のWikipediaを見ると、いろいろ興味深いことが書いてあります。 アジアを見ると、中国・北朝鮮・ベトナムなどの社会主義国は、動機の如何を問わず全て無条件で合法。ちなみにロシアがソ連と言われていた初期のころ、レーニン時代は合法であったのに、スターリン時代になって人口増加政策によって非合法になった。日本は、中絶の理由次第ですが、ほぼ全ての理由について「3ヶ月までは合法」となっています。

ヨーロッパでは、理由の如何を問わず合法というのは、ベルギー、デンマーク、スウェーデン、ギリシャ、オランダなどなど。英国も殆ど合法ですが、ただ本人が中絶したいというだけではダメ。アイスランドも英国と同じ。カソリックの国であるアイルランドは女性の命にかかわるという時のみ合法で、あとは全て不可。

イスラム教の国が多い中東については、厳しいところが多いのですが、全くアウトという国はない。イラン、レバノン、シリア、イエメンなどが「女性の生命が危ない」という場合を除いては全て非合法。バーレーンは全面的に合法となっています。カナダは全面的に合法、アメリカは州によって違う。世界中で、中絶を全面的非合法としている国はチリ、エルサルバドル、ニカラグア、マルタ、バチカンの5カ国だそうです。

紀元前の哲学者、プラトンとアリストテレスは、事情によっては「強制的中絶」も許されると考え、ヒポクラテスは中絶反対であったそうです。

4)杉野明さんの特別講義


先日、東京女子大学というところで、杉野明という人の「特別講義」を聴講する機会がありました。杉野さんは、かつて日本の外交官として駐英公使や駐チリ大使などを務めた経歴の持ち主なのですが、講義は、第二次世界大戦で日本軍の捕虜になった連合軍兵士たち(英国人も含む)が味わった悲惨な生活と、戦後の英国で外交官としての杉野氏が出会った元捕虜たちと日本のかかわりに語るものでありました。

杉野氏は昨年(2005年)『シンガポール捕虜収容所:戦後60年・時代証言』(明石書房)という本を出版されており、東京女子大での講義も、この本の内容にそったものでした。この講義を通じて杉野さんが女子大生に伝えたかったメッセージは、おそらく当日配布された「講義要旨」というペーパーの次の文章にあると(私は)思います。

中国では9月18日に全国でいっせいに空襲警報のサイレンが鳴り渡る。それは満州事変が起きた日だ。それから15年にわたり中国が日本軍の侵略を受けることになった屈辱の日なのである。この日を知っている日本人はどれだけいるだろうか。もし米国人に「ヒロシマ・ナガサキってなんのこと?」と言われたら、日本人はきっと感情を害するだろう。英国人にとっては、チャンギー(シンガポールにおける英国人捕虜収容所があった場所)について同じことが言える。

太平洋戦争では何百万あるいは何千万という多くの命が失われた。この事実の重みは大きく、われわれはその歴史から逃れることはできない。忘れれば自由になると思うのも大きな間違いだ。被害を受けた人は未来永劫に忘れようとはしないだろう。われわれも過去と正面から向き合ってこそ、歴史の呪縛を解くことができるのである。

つまり「歴史上の事実をちゃんと知ってください」と女子大生に訴えるという内容であったわけですが、杉野氏の話を女子大生と一緒に聴きながら、私は戦争とは最近メディアで話題の高校生の「履修・未履修」のことを考えていました。あの講義を聴いていた女子大生のうち何人ぐらいが受験科目として日本史をとっただろうか?高校で太平洋戦争について何か学んだのだろうか?

今から50年以上も前に高校生であった私は、アタマが悪くてまともな大学に入ることなど最初から諦めており、英語・国語・社会の3科目だけが試験科目という大学を選び、社会としては日本史をとったことを記憶しています。取り立てて理由はありません。世界史だといろいろな国だの地域だのの歴史が出て来てややこしい。日本の歴史だけの方が単純でいいのでは、と思ったということです。

ただその日本史はもっぱら試験に受かることを目的とした勉強ですから、殆どが歴史的な出来事についての年代や人物の暗記でありました。例えば「大化の改新」は「むし五匹」で645年、明治維新は「イヤーロッパクン」で1868年などなど。杉野氏の講義に出て来た「満州事変」も年代暗記はしたかもしれないけれど、何が起こったのかというようなことは、教わったのかも知れないけれど殆ど忘れてしまった。それでも大学には受かったのです。そもそも日本の現代史をどこまでやったのかさえ覚束ない。

で、履修・未履修の騒ぎをニュースで聴いていたら、特に地方の進学校は予備校化が激しくて、大学入学に特化した授業をやることが当り前になっているとのことでした。つまりほぼ50年、全く何も変わっていないということです。あの日、東京女子大の講義を聴いていた学生の中で、満州事変の年代だけでなく、その意味するところまで知っていた人は何人いたのだろうか?自分も偉そうなことは言えた義理では全くないのですが、履修だの未履修と騒いでいるようでは、満州事変の「意味」なんて、とてもとてもということですかね。

  • ところで杉野さんの講義の中身にも多少関係するのですが、96回目のむささびジャーナルで、アメリカのフランシス・フクヤマ氏が彼のブログの中で、日本が自らの「過去」を清算していないという意見を述べていることを紹介しました。実はあのブログに対しては、かなり長文の「反論」コメントが寄せられていたのです。趣旨としては、過去の戦争にまつわる「罪」について、日本だけをとやかく言うのはフェアでないというもので、かなり日本のことを知っているアメリカ人のようです。述べている事柄について、私は100%賛成というわけではないのですが、おそらくアメリカでは少数意見であるとことは間違いない。要約するのが面倒なので、殆どフルで日本語にしてみました。興味のある方はここをクリックしてください。
5)いじめ自殺報道の残酷


先日ラジオを聴いていたら、最近のいじめ自殺の続発現象について、宮崎哲弥さんという社会評論家が「どうすればこれを止められるのか、まったく分からない」というニュアンスでお手上げコメントを語っていました。このことについては、私もちょっとだけとはいえ考えていたことがあるのですが、長ったらしくて思い込みが激しい作文なので、別のところに掲載します。関心のある方はここをクリックしてください。

 

6)短信


教会よりも家具店を信頼!?

スェーデンで行われたアンケート調査によると、スウェーデン人が毎日の生活の中で最も信頼しているは家具販売で知られるイケア・ショップなのだそうです。スウェーデンにはSwedish Churchという教会があり、国民の5分の4がその会員であると言っているのに、今回のアンケートでは、この教会を信頼している人は46%で、イケアの80%を大きく下回っている。ちなみに信頼度という点からすると、教会より信頼度が高いものとして、クルマのVolvo(69%)、家電メーカーのエリクソン(59%)、クルマのサーブ(57%)などがあったそうです。

  • 何を称して「信頼」というのかがよく分からないけれど、日本にもオープンしたイケアがそれほどスウェーデン人の生活に根を下ろしているってことでしょうね。

英国一ついてない男

英国のDoncasterなる町の近くに住むJohn Lyne氏(54才)が最近道を歩いていて、マンホールに落ちるという事故にあったのですが、地元紙によると、この人は英国でも最もついてない男(Britain's unluckiest man)という称号の所有者らしく、これまでにも雷に2回打たれたり、炭鉱で働いていたときに落盤事故で瀕死の目に遭ったち、という具合。子供のころに馬から落ちてもう少しでクルマに轢かれそうになったこともある。10代のころには、木から落ちて腕を折り、病院に担ぎ込まれたのですが、退院しれから乗ったバスが衝突事故を起して、病院で手当てされた腕をもう一度折るという事故にあったことも。今回のマンホール墜落は16回目の「事故」なのだそうですが、本人によると「13日の金曜日は特に気をつけている」とのことであります。

  • マンホール事故で背中と左足と両ひざを負傷したのですが「生きていてよかった」(just glad to be alive)と、本人は喜んでいるのだそうです。ものは考えようですよね。

クリスマスの飾りつけ禁止令

イースト・ロンドンのTower Hamlets区役所は役所の建物内におけるクリスマスの飾りつけを禁止されているらしいですね。このあたりは、イーストエンドと呼ばれて、東京の下町のような雰囲気で知られているらしいのですが、今回の禁止令の理由として省エネということもあるのですが、それよりも「飾りつけを行っているときに、デコレーションが落ちてきてスタッフがケガをする可能性がある」(There's a concern people might hurt themselves trying to attach hanging decorations from the ceiling)とうことが主な理由らしいです。

  • なんのこっちゃ、これ!?
7)むささびの鳴き声

▼私、毎朝、東京・池袋から地下鉄丸の内線というのに乗って通勤するのですが、必ず駅のアナウンスが「お急ぎのところまことに申し訳ございません。次の電車が途中混雑のため遅れております。いましばらくお待ちください・・・」という趣旨の放送をする。これが結構うるさいわけでありますよ。しかもこの放送は毎朝必ずやる。遅れといってもたかだか2〜3分のことなんです。謝るほどのことか、と思うし、ああも毎朝毎朝同じことを謝られると、本気で謝っているんだろうか?と疑ってみたくなる。あれは何のつもりなのか、営団地下鉄に是非聞いてみたい。

▼で、池袋から霞ヶ関まで乗るわけですが、お隣の新大塚と霞ヶ関の駅のトイレに入ったことあります?これがキレイなんです。霞ヶ関のトイレの場合、私の出勤時間と掃除の時間が同じと見えて、殆ど必ず掃除のおばさんが仕事をしています。誰がなんつったって東京の公衆トイレの充実ぶりは、本当に素晴しいですよね。それほど海外の都会を知っているわけではないけれど、私の経験に関する限りロンドンが最悪の部類に入ることは間違いない。

▼でもロンドンの地下鉄のアナウンスは東京のそれほどは頻繁でないし、うるさくもない。公衆トイレを充実させるのには巨額の費用が必要ですが、余計なアナウンスを止めるということは、ちょっと「常識」ってやつを使うだけで済みます。(ということはロンドン地下鉄の公衆トイレの向上は殆ど望めないってことになる)。

▼アナウンスで思い出しましたが、ウチの近くに西武ライオンズの球場があるのですが、打者が観客席に入るようなファウルボールを打つたびに「お客様、ファウルボールにはお気をつけください」という場内放送があるんです。これも必ずある。ただ大体の場合、この放送はファウルボールが観客席に落ちるのとほぼ同じタイミングで行われるんであります。どうやって気をつけるんだよ・・・!?

▼今回もお付き合いをいただき有難うございました。もう完全に冬ですね。お身体に気をつけてお過ごしください。

 

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