musasabi journal

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美耶子の言い分 美耶子のK9研究 前澤猛句集
 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
537号 2023/9/24

さすがにほんの少しとはいえ、酷暑が退いた感がありますが、それでもやはり…ですよね。上の写真は場所がはっきりしていないのですが、フィンランドのどこかで撮影されたオーロラです。

目次
1)スライドショー:we are all together
2)眠りの国際比較
3)マードック引退の弁
4)再掲載:英国大使が見た北朝鮮
5)英和辞書:quiet quitting
6)むささびの鳴き声
7)俳句

1)スライドショー: we are all together

今回もBBCのサイトから拝借するものですが、テーマが "together" というのです。「一緒」といういみですよね。動物たちの「一緒」、人間同士の「一緒」から自然現象としての「一緒」まで "together" にも実にいろいろあるものです。いずれにしても「一緒にいる」「一緒にやる」というのは楽しいことではあります。

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2)眠りの国際比較

9月8日付のThe Economistに
  • Which countries get the best night’s sleep? 夜の睡眠が最も優れているのはどの国か?
という見出しの記事が出ていました。睡眠に関する国際比較ですね。結論から言うと
  • Asians sleep later, shorter and less well アジア人は就寝が遅く、睡眠が短くて浅い
のだそうです。
国際睡眠比べ?


The Economistによると、睡眠は人間の生活の3分の1を占める行為であり、人間の生活に不可欠なものであるはずなのに、知られている部分が極めて少ない(surprisingly little is known)のだそうです。特に知られていないのが眠りについての国別統計で、東アジアの人間が欧米人に比べると睡眠時間が短いとされているのですが、国の如何を問わず、眠りの「質」については分かっていない。

そのあたり(眠りの質)に共同でメスを入れようというのが、シンガポール国立大学(National University of Singapore)と眠りの研究に力を入れているオウラ・ヘルス(Oura Health)というフィンランドの企業で、後者は "Oura Ring" の名前で知られる睡眠と健康増進に役立つ特殊な指輪の開発で知られている。この両者が、2021年1月から2022年1月までの1年間にわたって35か国・22万人の睡眠習慣を調査したのだそうです。その結果分かったのは、睡眠のパターン自体が国によって異なるということだった。


この調査によると、アジア諸国の人びとは世界の他の地域の人間よりも約30分も睡眠時間が少ない。反対に最もよく眠るのが北欧諸国(エストニア、フィンランド、アイルランド、オランダなど)と豪州、ニュージーランドの人びとで、平均睡眠時間が7時間なのだとか。さらにアジア諸国の人びとが床に就いてから眠りに入るまでの平均時間は他国の人間よりも35分も遅い。つまりアジア人の場合は床に就いてから眠りに入るまでの時間が長い、と。

The Economistによると、睡眠については「量」(quantity)と「質」(quality)が正比例する傾向が強い。これまでの実験では、睡眠時間の短い人間の方が、不眠に悩まされる時間も短いというのが定説だった。不眠症の人間は床に就いてからじっとして羊の数を数えたりするけれど、もともと睡眠時間が短い人間はそれをやることが少ない…と。それが、今回の調査によると、アジア人は他の人種に比べると就寝時間が遅いだけではなくて、睡眠時間そのものが短く、しかも寝返りを打つ回数も多い。睡眠そのものが落ち着かないということです。「月曜~金曜日の睡眠がそんなに落ち着かないのであれば週末にはよく眠るはずだ」と思われ勝ちであるけれど、実際には土曜・日曜の睡眠時間も非アジア人間の方が約25分間長いという数字が出ている。


今回の調査の結果、「良い睡眠」には、子供のケア、労働、文化活動のような、人間の生活における社会的な要素(social factors)の存在が、以前に考えられていた以上に重要であることが分かったのだそうです。例えばイスラム教の国では「暁の祈り:dawn prayer」を実行することが睡眠を妨げることがあるかもしれない。同じことがスペイン、ギリシャ、イタリアのような地中海沿岸諸国における「昼寝:siesta」についても言えるのではないか、と。今回の調査結果として明らかなことは、「長時間労働と短時間睡眠の間には強い関係がある:a strong relationship between long work hours and short sleep」とがあるということである、と。例えば韓国における平均労働時間は週36.5時間、オランダの場合はこれが27時間とされている。となると…
  • It is little wonder Koreans get 40 minutes less shut-eye per night. つまり、オランダ人と比較すると、韓国人が一晩につき40分目を閉じているいる時間が短いという生活を送っているとしても大して不思議なことではないということだ。
ということになってしまうわけであります。

▼上に掲載した「国際睡眠比べ?」というグラフを見ると睡眠時間のパターンが場所によってくっきり違うことがわかりますね。アイルランドを始めとする10カ国では、就寝時間が午後11時半より前であるのに対して、一番下10カ国(アジアが多い)の場合は夜中の12時にかかる国も多い。一番右側の「睡眠時間(分)」を表す数字では、日本人がざっと380分なのに対してアイルランドの人たちは420分です。

▼それにしても Oura Ring なんて聞いたことありました?むささびは今回が初めてなのっですが、ネットを見ると知らない方がおかしいという感じがするほどいろいろと書かれていますね。上の写真にあるリングは、値段が(右から)47,000円、21,450円、47,000円だそうです。ビックカメラ、ヨドバシカメラのような店で売っているなんて(自慢にはならないけれど)全く知りませんでした。

▼Ouraというメーカーはフィンランドの企業らしいのですが、フィンランドという国は時々面白い企業が世界を席捲するものです。今でこそ下火にはなったけれど、携帯のノキアといえば「誰でも知っている」という存在でしたよね。


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3)マードック引退の弁

「メディア王」と言われたルパート・マードック氏が一線を退く意向を明らかにしたことは、日本のメディアでも報道されましたよね。主要メディアを傘下に持つ「ニューズ・コーポレーション」や「FOXコーポレーション」の経営者として、特にアメリカでは大いに知られてきたけれど、1931年オーストラリア生まれ。92才だから、むささびよりちょうど10才年上ということになる。彼が傘下に持つ Wall Street Journal やケーブルTV局の Fox News などは、いずれも共和党系の保守主義で知られている。 

で、英国における保守系メディアの代表格ともいえる週刊誌のthe Spectatorのサイト(9月21日号)が、マードックの自社スタッフ向けの引退の手紙をそのまま掲載しています。その一部をピックアップして紹介します(ここをクリックすると全文が読める)。

私のこれから

ルパート・マードック

我々の企業はそれぞれ私同様に健康そのものである。我々が抱えるチャンスはビジネス上のチャレンジをはるかに超えており、我々の将来についても楽観的である理由に満ち満ちている。自分自身も我が社の未来には楽観的であり、自分自身もその行く末に参加していくつもりなのだ。が、我々が直面する言論の自由、とりわけ思想の自由を勝ち取るための戦いがこれほどの緊張感に満ちていることはかつてない。
  • Our companies are in robust health, as am I. Our opportunities far exceed our commercial challenges. We have every reason to be optimistic about the coming years – I certainly am, and plan to be here to participate in them. But the battle for the freedom of speech and, ultimately, the freedom of thought, has never been more intense.

私の父親は自由を信奉していたし、息子のラクラン(Lachlan)もそのためにすべてを捧げるつもりでいる。利己的な官僚たちは、自分たちの存在理由に疑問を呈する人間たちを黙らせようと必死になっている。エリートたちは自分たちが暮らす雲の上の世界に属していない人間たちにむき出しの敵意を以て向かっており、メディアの世界の殆どが彼らエリートたちと共謀することによって、真実の追求ではなく、彼らエリートたちが発する言葉の拡散に精を出している。
  • My father firmly believed in freedom, and Lachlan is absolutely committed to the cause. Self-serving bureaucracies are seeking to silence those who would question their provenance and purpose. Elites have open contempt for those who are not members of their rarefied class. Most of the media is in cahoots with those elites, peddling political narratives rather than pursuing the truth.

これからの私には新しい役割がある。私は毎日のように思想上の闘争に深く関わることになるだろう。我が社はコミュニティのような存在であり、私もそのコミュニティの活動的なる一員としてし続けることになる。自分たちが保有する放送局のやることを注意深く見守るであろうし、新聞・ウェブサイト・書籍などを大いなる関心を以て見つめることになるだろう。そうすることで、然るべき哲学・思想・アドバイスを以てあなた方に接することになるのだ。私があなた方の国や企業を訪問する際には、金曜日の夕方であるにも拘わらず会社に残って仕事に精を出す…そのような自分を見てもらうことになるであろう。
  • In my new role, I can guarantee you that I will be involved every day in the contest of ideas. Our companies are communities, and I will be an active member of our community. I will be watching our broadcasts with a critical eye, reading our newspapers and websites and books with much interest, and reaching out to you with thoughts, ideas, and advice. When I visit your countries and companies, you can expect to see me in the office late on a Friday afternoon.

BBCのサイトによると、ルパート・マードックが生まれ育ったのはオーストラリア南部のアデレードという人口120万の町だった。父親が地元の新聞社の経営者で、ルパートはそれを引き継いだのですが、当初から国際メディアの世界に乗り出すことを夢見ていた。ロバート・マン(Robert Manne)というジャーナリスト兼大学教授は若きマードックの野望を次のように表現しています。
  • 彼は自分の内部にある二つの情熱(two passions)を一緒にしたような生きがいのようなものを求めていた。一つは金銭欲であり、もう一つは権力欲である。His genius has been to discover different ways in which his two passions - a desire for money and a thirst for power - can be combined.

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4)再掲載:英国大使が見た北朝鮮

いまいち得体のしれない国である北朝鮮ですが、2023年現在、23カ国が大使館を設置して正式な外交関係を結んでいます。日本やアメリカは入っていないのですが、英国は2001年に平壌に大使館を開いている。むささびジャーナルは261号(2013年2月24日)で『英国大使が見た北朝鮮』という記事を掲載している。筆者はかつて(2006年~2008年)平壌駐在の英国大使を務め、現在は国連を中心に外交コンサルタントをやっているジョン・エヴァラード(John Everard)という人物です。1956年生まれというから、まだ67才です。

そのエヴァラードが自分の眼で見た北朝鮮観察記を "Only Beautiful, Please" というタイトルで出版したのが2012年、その出版記念も兼ねてアメリカのブルッキングス研究所とスタンフォード大学が主催して著者本人を招いた講演会が開かれました。この人の眼で見た北朝鮮の人々の暮らしぶりについてハナシをするという趣旨で開かれたものです。元大使のハナシの中でむささびが最も興味深いと思ったのは北朝鮮の人々の対中国観に触れた部分です。

再掲載:英国大使が見た北朝鮮

むささびジャーナル261号(2013年2月24日)

大使によると、北朝鮮では中国人が非常に嫌われており、それにはいくつかの理由がある。一つには自国が中国に依存しているという現実が面白くないということがある。ただ北朝鮮人の中国嫌いはもっと基本的な部分で、人種的嫌悪感(basic racial antipathy)のようなものがあるのだそうで、
  • 北朝鮮人は何から何まで中国人が嫌いなのだ。変な臭いがするし、礼儀知らずだし、中国人の食べるものはアメリカの食べものよりもひどいと思っている。
さらに北朝鮮人の反中感覚を激しくさせているのが、中国人ビジネスマンの振る舞いである、と大使は言います。数多くの中国人ビジネスマンがさまざまなビジネス目的で北朝鮮に入っているわけですが、特にひどいのは工場を開設して朝鮮人を雇う中国人の態度で、全くゴミ屑扱いするのだそうです。それでも朝鮮人としては出て行けとは言えない。なぜなら中国のお金が必要であり、職場を生んでくれるのも中国人だからです。


John Everardはケンブリッジ大学で中国語を学び、北京大学で経済学を学んでいます。それだけに中国には詳しくて「親しくしている中国人もたくさんいる」(there are a lot of Chinese I really like)と言っているのですが、その彼によると、北朝鮮でビジネスをする中国人だけは「夕食は一緒に食べたくない」(you would not want to go to dinner with)類の人たちだそうであります。

では政府レベルで中国はどの程度北朝鮮に対する影響力を有しているのか?John Everardによると、それほどの影響力がないというのが現実なのだそうです。中国の政府関係者が北朝鮮の政府幹部に対するアクセスは有しているのは事実であり、例えば英国大使の眼から見ても平壌駐在の中国大使が金正日総書記に面会する回数はかなりのものがあった。しかしアクセスがあるということと影響力があるということは全く別のことなのだそうです。

また大使によると北朝鮮のエリートたちは、アメリカからの軍事的な脅威は全く感じていない。南の韓国が攻めてくるなどとも考えていない。韓国は単なるアメリカの操り人形にすぎず、アメリカが同意しない限り韓国が北朝鮮を攻めるということはない、と考えられている。


ただ何と言っても北朝鮮が望むのは平壌駐在のアメリカ大使館で、これが開設されたら北朝鮮には大変なインパクトになる(tremendous effect on the country)。但し
  • 北朝鮮が望むのは、まともな貢ぎ物の献上者としてのアメリカ人、人民の天国としての(北朝鮮の)優位性を認めるようなアメリカ人が平壌に存在するということである。
ということで、これは当分の間はムリだろうと言っています。

大使はさらに韓国による、いわゆる「太陽政策」(Sunshine Policy)が却って韓国側の「北」への支援を挫かせるものになった側面があるのではないか、と言っている。韓国人にしてみれば、あれほど援助をしたのに「何があったというのか?約束していたはずのソウルにおける首脳会談さえ開かれなかったではないか」というわけで、韓国サイドには苦い思い(quite a bitter taste)だけが残ってしまった。

大使のハナシには日本と北朝鮮のことについて二つだけ出て来ます。一つはかつて少しは関係が良かった時代に日本から輸入された中古の自転車が今でも立派に活躍していること、もう一つは北朝鮮の人がよく口にすることで、第二次大戦において金日成主席が日本をほとんど片手で(almost singlehandedly)朝鮮半島から追い出したということ。ただ毎年、終戦の季節になるとロシア人が平壌のロシア人兵士の墓に花輪を捧げる儀式をするらしいのですが、その目的はロシアの助けがなかったら北朝鮮が日本に勝つことはなかったはずということを思い起こさせることにある(と大使は言っています)。


最後に、John Everardは北朝鮮が「危機の時代」(periodic crises)にあり、人々が方向感覚を失っている(people are disoriented)として次のように語っています。
  • 北朝鮮は多くの意味で、17世紀~18世紀に啓蒙主義にさらされたヨーロッパと似ている。つまり伝統的な宗教がもたらす確かさが疑問に思われ、目の前の事実・現実によって自分たちの信じてきたものを見直さざるを得なくなっているということだ。これは多くの北朝鮮人にとって実に苦痛であると言えるが、同時にまた新しいもののやり方について語ることを受け容れる状態にあるとも言える。 
むささびのコメント(むささびジャーナル261号)
  • 現代の北朝鮮は既成の権威のようなものへの信仰が揺らいできており、17世紀~18世紀のころのヨーロッパと似ている・・・という大使の観察はとても興味がありますね。最近(2月9日)のThe Economistが北朝鮮特集を掲載しているのですが、その中でも現代の北朝鮮には、かつてに比べると非常に多くの外部からの情報が入ってきており、そうした情報を自分たちの間でシェアすることに北朝鮮の人々が「以前ほどの恐怖感を持たなくなっている」(they are less fearful of sharing that information)と言っている。これ、本当のことかもしれないですね。その一方で、”北朝鮮核実験「反対」、中国各地でデモ”(朝日新聞)というニュースも気になりますね。
  • 英国が北朝鮮との国交を回復したのは2000年のこと。ネット情報によると正式な大使館を置いたのは2001年となっている。Everardによると、平壌に大使館を置くについてはロンドンの外務省でもいろいろと意見があったのだそうなのですが、当時の雰囲気が韓国の「太陽政策」に見るように北朝鮮もかなり雪解けムードであったこともあって、開設派の意見が通ってしまったとのことです。初代の英国大使はDavid Slinnという人、Everardは2代目で現在の大使は5代目でMichael Giffordという人です。
  • John Everardの観察によると、北朝鮮に食糧援助をしている組織としてWorld Food Programmeというのがあり、この組織や韓国から来た食糧援助の場合、大きな袋に組織名や韓国からの援助であるということが分かる大きな文字が入っている。しかし韓国などよりは沢山の食糧を送っているはずの中国の場合はそのような袋を使わないので、それが中国から来たものであることは普通の人には分からない。北朝鮮ではこの大きな袋というのが不足していて、食糧が配布された空き袋がいろいろな場所で使われる。ということはWorld Food Programmeとか韓国の言葉が常に普通の人々の眼に触れるというわけです。
 
▼最近になって北朝鮮の金正恩・労働党総書記がロシアを訪問、プーチン大統領と親密な会見を行ったことが報じられています。またそれとは別に中国の習近平とプーチンが親密化を図っているというような報道もされているようですね。むささび自身は、この話題についての知識が皆無なのですが、ここに掲載された記事に見る北朝鮮の人びとの中国人観が本当だとすると、ロシア・中国・北朝鮮というのは、それほどすんなりと親密な関係になるとはとても思えませんね。

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5)どうでも英和辞書
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quiet quitting:静かなる辞職

"Quiet quitting" という英語、聞いたことあります?むささびは、8月15日付のBBCのWORKLIFEというコーナーに掲載された、次のような見出しのエッセイを読むまでは全く見たことも聞いたこともありませんでした。
  • 'Quiet quitting is the status quo': Workers are still proud to do the bare minimum 静かな退職は常識…労働者は今もなお必要最低限の仕事をすることで満足している
"quiet" は「静かな」、"quitting" は何かを「止める・辞める」という意味ですよね。で、"静かな退職:quiet quitting" って何?と言われても何だか分からなかったけれど、別のサイト(日本語)に出ていた次の説明で分かりました。
  • 「静かな退職」とは、組織に在籍しながらも契約通りの仕事だけを淡々と行い、退職したかのように精神的な余裕を持って働くこと。米国を中心にトレンドになっているキーワードで、仕事とプライベートの境界線を明確に引き、「仕事は仕事」と割り切ってやりがいや自己実現を求めない働き方のことを指す…。
要するに「静かなる退職」とは「がんばりすぎない働き方」ということのようであります。

BBCのWORKLIFEというサイトによると、"quiet quitting" に関連してアメリカのSNSの世界ではハンター・ケイミ(Hunter Ka’imi)なる人物がスターのような存在らしいのですが、ある有名なテレビショーに出演した彼は次のようなスピーチを行っている。
  • 「静かなる退職」は労働者の権利を擁護する戦いです。私は仕事が人生で一番大切なものであるとは思っていないし、他の人についても同じことが言えると思っている。I believe quiet quitting is a protest for workers’ rights. I don’t find that work is the most important thing in my life, nor do I think it should be the most important thing in anyone’s life.
つまり「何が何でも仕事が一番」という発想よりも「静かなる退職」という姿勢の方が「労働者の権利を擁護する戦い」に近いということなのですよね。


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6)むささびの鳴き声
▼森本あんりという人が書いた『反知性主義』(新潮選書)という本は、帯に「いま世界で最も危険なイデオロギーの根源」と謳っている。ウィキペディアによると、著者の森本さんは「1956年生まれ、日本の神学者、牧師、国際基督教大学名誉教授、現在は東京女子大の学長」でもある。

▼むささびがなぜこの本に興味を持ったのかというと、次のような問いかけを読者に投げているのではないか、と想像するからです。
  • アメリカでは、なぜ反インテリの風潮が強いのか?
  • なぜキリスト教が異様に盛んなのか?
  • なぜ政治が極端な道徳主義に走るのか?
▼今号の「むささび」の3つ目の記事に、「メディア王」と言われるルパート・マードック引退に関するものがありました。記事のコメントの部分で、マードックをよく知るジャーナリストが、マードックを動かしているのは「金銭欲」と「権力欲」と言っている部分がある。そのマードックが最も気が合ったであろうと思うのが、ドナルド・トランプです。で、この二人に共通しているのが「反インテリ」「極端なキリスト教」「極端な道徳主義」である、とむささびは考えているわけです。

▼むささびがこの本に興味を持った理由の一つに、妻の美耶子が「面白い」と言ったからというのがあります。付和雷同の見本のようなもので、彼女にしてみれば不本意かもしれないけれど…。むささびとしては本そのものを読むのはちょっとしんどい…とびびっていたら "Executive Foresight Online" というサイトに森本さんと著作家の山口周さんが「反知性主義」について語り合っている部分が目に入りました。

▼本日(9月24日)は「秋」を感じましたね。お元気で!

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