home | backnumbers | むささびの鳴き声 | 美耶子のコラム |
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第121号 2007年10月14日 | |
プロ野球セ・リーグでジャイアンツが優勝した試合を、日本テレビが中継もしなかったことが話題になっていましたね。ラジオを聴いていたら「最近のプロ野球はつまらなくなった」と言う人がいました。私は「プロ野球」がつまらないというよりも、「プロ野球中継」がつまらないということがあるのではないかと思うのでありますよ。 以下は「鳴き声」でお話するとして・・・。 |
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目次 1)児童福祉ケースワーカーのなり手がない 2)アフリカの悲惨 3)給料が増えているのに使えるお金が少ない 4)Small is beautiful の反対を行く? 5)短信 6)むささびの鳴き声 |
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1)児童福祉ワーカーのなり手がいない | |
英国では児童福祉に取り組むソシアルワーカーが不足しており、中にはワーカーを求めて海外でリクルート活動を行う地方自治体もある、という記事が10月7日付けのObserver紙のサイトに出ていました。 いわゆる問題児、障害児、被虐待児童など、ケアを必要とする子供のための専門ワーカーが不足しているのですが、例えばBirminghamの場合、市役所にこの種のポストが16もあるのになり手がいない。地元の大学で社会福祉を専攻する学生に奨学金を出したり、資格を有するスタッフにはボーナスを支給するなどしているのですが、なかなか見つからない。 この種のワーカーのなり手がいないことの理由として、給料が安いということもあるのですが、仕事そのものがストレスがたまりやすいことが大きな理由として挙げられている。ある町の担当者は
海外からのワーカーのリクルート先としては、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどが挙げられていますが、何故か東欧諸国も含まれている。外国人ワーカーは英国内で再訓練する必要があるわけですが、英国への移住希望者が多い東欧諸国からのワーカーについては「別の問題」(additional problem)もあるそうです。
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2) アフリカの悲惨 | |
NGOのOxfamが最近発行した『Africa's Missing Billions』という報告書によると、冷戦終結(1990年)からこれまでの約18年間、アフリカ諸国で続発している紛争による損害を金額にすると、ざっと3000億ドルにのぼりますが、これはこの17年間で外国からのアフリカ向け援助の総額に相当するものなのだそうです。 Oxfamによると、アフリカ大陸にある国の半数が何らかの形で紛争を経験している。紛争がなかった国と比較すると、乳児の死亡率は50%、栄養失調者の数は15%高く、平均寿命(50才)は約5年低いのだそうです。 例えばコンゴ民主共和国の場合、約10年間にわたって外国からの侵略や国内紛争にさらされているのですが、それによって失われた人命は400万人、経済的損失はこの国のGDPの39%にあたる90億ポンドにのぼっている。 紛争で失われる人命は、戦闘に参加した結果というよりも、紛争がもたらすインフラの破壊に起因する病気や栄養不良によるものが多く、直接戦闘の結果による死者の14倍にものぼっているそうです。 またOxfamによると、紛争の影響の一つとして、周辺国に小火器が流れ込み、それがその国の暴力犯罪などに使われて社会不安を引き起こしているとのこと。最も頻繁に使われるのがカラシニコフというライフルで、アフリカで出回るこのライフルの95%がアフリカ以外の国から持ち込まれている。 報告書は「紛争を終わらせるためには、貧困の撲滅が重要であるに違いないが、武器の売買の取り締まりも大きなインパクトを与えるだろう」として次のように言っています。
▼最近『ルワンダの涙』という映画をビデオ屋さんで借りてきて観ました。ルワンダにおける民族対立の悲劇を描いている映画だった。フツ族がツチ族を大量虐殺するという悲劇で、制作がBBCとなっていたのですが、悪玉と善玉という描き方に正直言ってちょっとクビをかしげてしまった。悪玉はフツ族とこれを背後で助けるフランス、何もしてやらない国連を始めとする「国際社会」という図式です。善玉はというと、被害者であるツチ族は当然なのですが、ルワンダで布教活動をする英国人(?)のカソリック神父。これにどっちつかずながら「良心の呵責」に悩む英国人の若者やBBCの記者・・・。一生懸命作ったBBCには悪いけれど、虐殺された側の悲劇や良心的な人々の悩みのみならず、大量虐殺を行ったフツ族側の心理やフランス側の事情も説明して欲しかった。 ▼ユダヤ人虐殺に走ったナチの心理、中国大陸で残酷な行為に走った日本人の心理、ビルマの軍人たちの心理などを知る必要があるのと同じです。 |
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