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第129号 2008年2月3日 | |
もう1月が終わってしまいました。呆然とします。129回目のむささびジャーナルです。プロ野球のキャンプが始まりました。あと1ヶ月もすると早春。最近でも昼が長くなったように思います。はっきり言って、春はいいですね。今日は関東地方が朝から雪です。
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目次 1)交通信号を廃止しよう 2)アメリカで苦戦する無料紙Metro 3)貧乏なのは本人が悪いのだ・・・!? 4)アフリカ:底辺の10億人を引き上げる 5)短信 6)むささびの鳴き声 |
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1)交通信号を廃止しよう | |
交通信号を廃止せよ、というちょっと目にはとんでもない主張を英国で展開している人がいます。ジャーナリストでテレビのプロデューサーでもあるMartin Cassiniという人で、The Timesに寄稿したエッセイの中で、現代都会における交通渋滞の主な原因は交通信号が多すぎることにあると言っている。 このエッセイによると、交通信号が登場する以前は、いわば早い者勝ち(a sort of first-come, first-served)のルールが暗黙のうちに認められていて、交差点にさしかかると、スピードをゆるめ、自分より先に交差点に来ていたクルマや歩行者に譲るという単純な責任(simple responsibility)をみんなで守っていた、というわけです。 現にオランダのDrachtenという町では、24ヶ所の信号が廃止された結果として、クルマの運転時間が半分になり、事故も渋滞も消えてしまったし、アメリカのモンタナ州では、政府が制限速度を廃止したら、事故が30%減っただけではなく、平均運転速度も7マイル(約10キロ)遅くなったという結果が出ている(とこの人は言っています)。 英国では排出されるCO2の30%がクルマの排気ガスであり、そのうち40%がアイドリングが原因となっている。交通信号は環境によくないだけでなく、設置に要する費用が信号一つあたり10万ポンド(??円)、維持費が年間1万ポンドもかかる。にもかかわらずロンドンのリビングストン市長は2001年からこの方、1800ヶ所もの信号を新設している。「誰かが税金を使って大金もうけをしている(Someone is making a lot of money at public expense)と、Cassiniは怒っています。で、この人なりの結論は・・・
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2) アメリカで苦戦する無料紙Metro | |
スウェーデン生まれの無料新聞Metroがストックホルムで発刊されたのが1995年2月。13年も前になるんですね。「広告収入だけで新聞を作る」という発想が画期的だった。Metro Internationalのサイトによると、現在世界23カ国の約100都市でそれぞれのMetroが発行されているとなっています。英国ではDaily Mailなどを発行している新聞社、Associated Newspapersの傘下に入っており、ロンドンなど16都市で発行されています。アジアでは香港と韓国・ソウルにはあるけれど、日本では出ていないようです。 アメリカでは7年前にニューヨーク、ボストン。フィラデルフィアで発行が始まったのですが、1月19日付けのThe Economistによると、イマイチ成功していないのだそうです。他の都市におけるこれまでの経験では、発行後3年で黒字になるはずなのに、アメリカではいまだに赤字が続きで、身売り話も出ているらしい。 ヨーロッパの諸都市(パリ、ロンドン、プラハなど)では、そこそこ成功しているのにアメリカではイマイチという理由の一つとして、この手の新聞の主なる読者が都会の勤め人、すなわち地下鉄・電車・バスなどの公共交通手段の中で読まれるというケースが多いのにアメリカではこの種の通勤手段がそれほど発達していないということが挙げられています。 アメリカのExaminerという新聞社はもともとは有料新聞を発行していたのですが、いまでは無料新聞を発行している。Metroと異なるのは、この社の場合、無料新聞を家庭に配達していることです。当然、その分、人件費がかかるので商売としても高くつくのですが、クルマ社会、アメリカの事情に合ってはいる。 ただThe Economistによると、アメリカにおけるMetro苦戦の理由は他にもある。従来の有料新聞が「意外な強さ」(surprising strength)を保っていることもその一つで、ボストンの有料紙であるBoston Globeの発行部数が38万なのに、Metroのそれは16万部。広告主にとっては魅力が小さい。Metroの記事内容にも問題があるらしい。国際ニュースや(アメリカの)全国ニュースが多いのに対して、他の無料紙は圧倒的にローカルニュースが中心だとのことです。
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3)貧乏なのは本人が悪いのだ・・・!? | |
英国人の社会意識を調べる、政府主宰のBritish Social Attitudes Surveyという世論調査によると、この20年間で、社会福祉というものへの考え方が変化してきているのが分かる、とThe Economist(1月26日付)が伝えています。結論から言うと「貧乏人が貧乏なのは、本人が悪いからだ」という考え方が増えてきているということです。 特に言えるのは、失業者に対する厳しい見方が増えていることで「失業対策のための予算を増やすべきだ」と考える人は1986年では40%近くいたのに、2005年にはこれが7%にまで下がっている。「職がないのは、本人が怠慢でやる気がない(lazy and lack of will)から」と考える人が増えているということです。 この調査によると、5分の2の英国人が「暮らしが快適(living comfortably)」としており、「生活が厳しい」という人は、20年前の25%から14%へと下がっている。ということは、「貧困」というものを身近な問題として考える英国人が減っているという意味でもある、とThe Economistは言っています。 かつて福祉国家と言われた英国ですが、現代の英国人は政府によるセーフティーネットについても冷めた見方をするケースが多く、「殆どの英国人が失業手当をもらっている人は、インチキをしている」と考えており、政府による失業手当が就業意欲をそいでしまっていると考えている人が多いとThe Economistは伝えている。 今回の調査結果についてPeter Taylor-Goobyという学者は、英国社会にかつてはあった「仲間意識(fellow feeling)」が薄くなっており、その辺りが大陸ヨーロッパ諸国とは異なると分析しています。この人によると、英国人に見る社会意識の厳しさ・固さは、英国の政治制度によるところも大きいとのことで、完全小選挙区制においては、選挙の勝ち負けがはっきりしてしまい、政治が他の国に比べると「とんがっていて冷酷」(more sharp-edged and crude)なものとなり、それが国民の社会意識にも反映されているとのことです。 The Economistは「英国人の貧困に対する感覚はそれほど変わったわけではなく、変わったのは貧困問題に(政治が)どのように取り組むべきなのかということについての意識なのだ」として、次のように結論しています。
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4)アフリカ:底辺の10億人を引き上げる | |
洞爺湖のG8サミットに陰に隠れて、イマイチ目立ちませんが、今年の5月に日本(横浜)で、アフリカ開発会議(TICAD)が開かれます。だからというわけではないけれど、前回(128号)に続いてアフリカについての記事を紹介します。open democracyというサイトに掲載されていたもので、筆者はオックスフォード大学のポール・コリア教授。アフリカ開発についてのBottom Billion(底辺の10億人:Oxford University Press)という本の著者として知られています。あるアフリカ開発についての専門家から聞いたのですが、Bottom Billionという本は、この分野に係わる人の間で相当な話題を呼んでいるそうです。 コリア教授がBottom Billionで主張しているのは、アフリカを援助するためには、いわゆる金銭援助だけを考えているのでは不十分であり、アフリカの経済成長(特に製造産業)を助けるためのアフリカ優遇制度をしっかり作ることだということです。この記事は、2007年、ドイツで行われたG8首脳会議後に書かれているのですが、コリア教授は、G8首脳たちは肝心の問題を避けてしまったと批判しており、首脳たちは教授の自著であるBottom Billionをちゃんと読めと言っております。 コリア教授の記事を「要約」することは、私にとっては至難の業というわけで、前回同様、全文を訳すことにしました。興味がおありの方はここをクリックしてください。ただ白状すると、私の翻訳が完璧正しいかどうか自信はない。この種の話題って、結構面倒な翻訳上の約束事があるようで、そのあたりになると私の力ではどうにもなりません。が、そのあたりを承知かつ我慢して読んでもらえると、参考にはなるかもしれません。が、なんと言っても教授の記事の原文を読むのがイチバンですよね。原文はopen democracyのサイトに出ています。 |
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5)短信 | |
ゲイ専用老人ホーム ヨーロッパ初のゲイ専用老人ホームがドイツのベルリンにオープンして話題を呼んでいます。4階建て・28室のホームなのですが、売り出し早々満杯という盛況だそうです。建設費は寄付で集めたのですが、ベルリン市長のKlaus Wowereitも支援を表明したのだそうです。この人自身がゲイなのだとか。ホームを設計した建築家のChristian Hammさんは「年を取ってまで世間の眼を気にしながら暮らすのは情けないですからね」と言っています。
あのビートルズが日本で公演したのが1966年6月。1965年にイスラエルでの公演が予定されていたのが、イスラエル政府の要請で中止になったということがあったのですね。もちろん知らなかったけれど・・・。で、このほどイスラエル政府が、ビートルズの生存メンバー(ポール・マッカートニーとリンゴ・スター)に公式に謝罪する手紙を送ることになったそうです。英国の新聞、Daily Telegraphによると、65年当時の中止の理由として、公式には「公演を受け入れるだけの予算がない」ということだったのですが、もう一つの理由として、ビートルズが「イスラエルの若者の心を汚す」と考えた政治家がいたということらしい。
ルーマニアにCarpathian Mountainsという山があって、そこに氷で出来た教会があるんだそうです。海抜約2000メートルのところあって、近くの湖からの氷で作ったものなのだとか。噂を聞きつけた人々が結婚式だの洗礼のためにわんさと押し寄せた・・・までは良かったけれど、みんなが使うキャンドルのお陰で教会の内側が溶けはじめたので、キャンドルを使った式の類はやらないことにしたとのことです。
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6)むささびの鳴き声 | |
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「アフリカ援助」という言い逃れ:底辺の10億人を引きあげるには ポール・コリア オックスフォード大学教授 オックスフォード大学アフリカ経済研究所理事 The Aid Evasion: raising the "bottom billion" Paul Collier Professor of Economics at Oxford University Director of the Centre for the Study of African Economies |
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この記事はopendemoracyのサイトに掲載されていたものを日本語に直したものです。日本語に直したのは「むささびジャーナル」の春海二郎、コリア教授の了解を得て掲載するわけではありませんし、翻訳が絶対正しいと保障するものでもありません。正確なところをお知りになりたい方は、ここをクリックして原文(英語)お読みになることをお勧めします。 |
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1960年代からこの方、世界の人口の10億人を抱える国々がますます取り残されるという状態が起こっている。こ のことは将来、手が付けられない社会問題を生むことになるだろう。落ちこぼれ国の殆どがアフリカにある。 2007年6月にドイツで開かれたG8首脳会議でアフリカ支援が議題にのぼったことは正しいことではあったのであ るが、議論がもっぱらアフリカへの援助(aid)というテーマに支配されてしまったのは残念である。援助を増や すこと自体はアフリカにとって助けにはなるかもしれないが、現在の落ちこぼれ状態を逆転させる決定打とはな らない。 実際のところ「援助」は、G8政府が支配する別の諸政策(policy instruments)に比べれば脇役であると言えるのだ 。これらの政策を使えないでいるということが悲劇なのだ。アフリカというと、援助がメディアの話題をさらっ てしまうので、私たちは、自分たちがとるべきアクションの真の潜在性に気が付かないでいるといえる。アフリ カは3つの経済問題に直面しており、それぞれが明確な政策(ポリシー)を必要としている。 貿易上のハードル 第一の問題は、アフリカが労働集約型の製造産業に移行することに失敗したということである。製品輸出に適し た国はケニアを始めいくつもあるのだが、彼らは不幸にして、グローバリゼーションのボートに乗り遅れてしま ったのだ。いまや輸出の製造産業は圧倒的にアジアに集中しており、「密集経済(economies of agglomeration)」 が低コスト生産を可能にしている。例えば、現在世界中で生産されるボタンの60%が中国のQiaotouという町で作 られている。ボタン作りでアフリカはどうして競争していけるというのか? アフリカの沿岸都市は、アジアのような密集経済が構成する入り口(entry threshold)によって、産業の呼び水 を必要としていた。そのためには、アフリカはOECD市場において、一時的にアジアを上回る優遇が必要なの だ。ヨーロッパもアメリカもEBAやAGOAを通じてこれを提供している。即ち欧米はアジアからの製品には 関税をかけているが、アフリカのそれは関税なしで輸入している。
2007年のドイツにおけるG8では「アフリカ」と「貿易政策」が議題にのぼったのだが、貿易政策については、 遅ればせながらドーハ・ラウンドがretrieveされたにもかかわらず、アフリカについては何もならない結果とな った。G8が貿易政策を通じてアフリカを助けることに真剣に取り組むたいというのなら、AGOAとEBAを 統一した共通の仕組みを作ることもできたはずなのである。AGOAもEBAも既存の仕組みなのだから、その 二つが合体するについてWTOとの間では原則上の問題は何もないはずなのである。それどころか、優遇制度を 単純化、一本化することはグローバルな貿易の自由化という精神にもかなっているはずなのである。 成長の妨げ アフリカが直面している第二の問題は、資源が豊かとされる国々の殆どが「長続きする成長」のための絶好のチ ャンスを生かしていないということである。商品価格(commodity price)が商品輸出業者に与える影響について の最近の分析を読むと、商品ブームが去った後の数年間でしっかりした長期的なガバナンスが行われない限り、 商品ブームは壊滅的な効果をもたらすものだということが分かる。現在の商品価格の高値は、新しい発見と相ま って、アフリカにとっては巨大な機会をもたらすはずである。この点、過去の歴史を繰り返すのは悲劇なのであ るが、機構上の改革を通してインセンティブが変わらないと、残念ながら歴史は繰り返されることになるであろ う。 資源による収入という「天の恵み」(windfall)は、不可避的にアフリカ諸国の政府に集まるのだから、機構上の変 革のカギは公共支出(public spending)における説明責任(accountability)の有無にあると言っていい。「民主主 義」だけでは充分ではないのだ。最近のナイジェリアにおける経験からしても、選挙というものが如何に恣意的 に行われるものかが分かる。accountabilityは一連の効果的なチェック&バランスがあってこそ可能なのである が、現在のアフリカにはそれが欠けている。何故なら、効果的なチェック&バランスによって利益を得るという インセンティブを持つ人が誰もいないからである。 いま必要なのは、国際基準と行動のための指針(code)を作ることである。資源開発にあたって企業が支払い、資 源国の政府が受け取る金額を透明に公開するための国際基準であるEITI(Extractive Industries Transparency Initiative)は、微々たるものかもしれないが、その第一歩ではある。国際的な金融業務を行う銀行は、アフリ カから腐敗したお金を置いておく場所であり、秘密のベールに包まれたままになっている。お金がテロと関係し ている場合には、銀行は報告の義務を負うが、単に最貧国から来たお金という場合には黙っていることが許され ている。 昔から受け継いだ授かり物((windfall)を管理するためには、適切な預金戦略(saving strategy)が必要で、その ためには国際的な基準作りが必要なのだが、アフリカにはそれがないのだ。Ngozi Okonjo-Iwealaがナイジェリ アの財務大臣に就任したとき、彼女は自分で預金規則を作らなければならなかった。 さらに資源をめぐる利権(consession)を与えるやり方についてさえも作られていない。現在、OECD諸国の企 業は賄賂を贈ることが禁止されているが、それと同じように、資源の採掘事業の権利を獲得するにあたっては、 秘密交渉などではなく、しっかりした規則による入札によって行われるべきなのである。また資源収入から生ま れる公共投資についても、その透明性を担保するようなガイドラインもない。せめて公共投資プロジェクトの競 争入札に関する明確なルールくらいは用意されて然るべきなのだ。ごく最近のこととはいえ、ナイジェリアでは そのようなルールが導入され、その結果としてコストが40%も安くなったということがあるのだ。 天然資源からの収入を開発に使うためには、適切なcheck & balanceが必要で、それはアフリカ自身が行うべき ことではある。しかしそのためになんらかの国際基準というものを作ることは、国内改革を行う際のベンチマー クにもなるし、大いに役に立つはずだ。ナイジェリアでは、改革勢力が現在のEITIを限定的に採用して改革を進 めている。 この問題もドイツにおけるG8サミットの議題にはのぼったのであるが、結果としては「適切なガバナンスを求 める」という当たり障りのないお勧め(bland exhortation)が出たにすぎなかった。G8の指導者たちは、アフリ カの資源輸出国が必要とする規準や規則を作るように国際機関に呼びかけるべきであったのに、それをしなかっ たのである。 不安定のカベ アフリカをめぐる3番目の問題として、多くの国が内戦やクーデターによる国内的な不安定に直面しているとい うことがある。何十年にもわたる経済的な失敗がその理由の一つではあるが、それぞれの国が小さすぎてスケー ルの大きな安全保障経済を育めないということもある。アフリカは、より強力な国際的安全保障体制を必要とし ている。すなわち、紛争後の脆弱な状態にある国を長期間にわたって安全保障する平和維持活動であり、水平線 の彼方を見据えた安全保障である。それらはアフリカ連合が設定するガバナンス規準に基づいたものであるべき だ。その手本となるのが、シェラレオーネ安定のために外部から与えられた安全保障である。これはヨーロッパ がアフリカに与えた最も効果的な安全保障のやり方であると言える。 実は安全保障こそがG8が最も避けたがる問題なのだ。G8はスーダンのダルフール問題などについては、気に かけるようなポーズをとっただけで、アフリカに存在する紛争後の脆弱な状態に対処するための安全保障問題に ついては逃げてしまったのである。恐怖と戦争の間を行ったりきたりする中で、我々は過ちを犯し続けてきた。 1993年のソマリア、94年のルワンダ、そして2003年のイラクといった具合である。 アフリカ問題を語るとき、ヨーロッパではすぐに援助倍増という話になって、貿易上の優遇措置、国際規準、安 全保障などの問題は余り話題にはならない。これらは援助にとって代わるものではない。むしろ援助を下支えす るものであると言えるのだ。このような事柄をファンタジーだと切って捨てないで欲しい。第二次世界大戦後に ヨーロッパがどのように復興したかを考えて欲しい。ヨーロッパは、アメリカによるマーシャル・プランやGATT 、OECD、EC、NATOなどに代表される貿易体制や国際基準、そして安全保障システムなどによって復興したのでは ないのか? 私はBottom Billionという本の中で、G8の指導者たちが、単なるジェスチャーだけの政治を超えて、どのように して、事態を変えるべきなのかについて示したつもりである。が、ドイツにおけるG8指導者たちのパフォーマン スを見ると、私の本を是非読んでもらいたいと言わざるを得ないのだ。 |