musasabi journal

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457号 2020/8/30
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BREXIT 美耶子の言い分 美耶子のK9研究 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書

信じられます?明日で8月が終わるのですよ!そういえば最近では夜中に虫の音が聞こえるようになりましたね。2020年とはこれまでは何という年だったのでしょうか?

目次
1)Shinzo Abeって何だったの?
2)香港の民主化を担う27才
3)「友愛」の意味
4)どうでも英和辞書
5)むささびの鳴き声


1) Shinzo Abeって何だったの?



安倍首相の辞任表明について8月28日付のBBCのサイトがケンブリッジ大学のジョン・ニルソン=ライト氏(Dr John Nilsson-Wright)による分析記事を掲載しています。同氏は国際問題研究所(Chatham House)のメンバーでもあるようです。記事の見出しは
  • Shinzo Abe: Revisionist nationalist or pragmatic realist? 安倍晋三:彼は国家主義的な歴史修正主義者なのか?それとも実践的な現実主義者なのか?
となっています。このエッセイはここをクリックすると英文版が、ここをクリックすると和訳版を読むことができます。むささびは英文版の最初の数パラグラフだけ紹介しておきます。


エッセイはまず「安倍晋三という人が誰であったのかについては、国内的にも国際的にも意見が分かれる(divides commentators both within Japan and internationally)としたうえで、次のように書いています。
  • 安倍氏に批判的な人びとから見れば、彼は高齢で保守的な世代の態度を代表する人物ということになる。即ち戦争中の日本の行いを過小に語りつつも、外交面では過度に自己主張が強く、(関連国との間で)トラブルを招きかねないような態度を見せているということだ。 To his critics, Mr Abe represents the attitudes of an older, conservative generation intent on downplaying Japan's wartime record, while pursuing a potentially troubling and overly assertive foreign policy.
  • 安倍氏の支持者に言わせるならば、彼は国際社会における日本の姿を高めることに成功した人物となる。即ち(彼らによれば)安倍氏は、日本にとって極めて正当な望みと世界第三の経済大国としての影響力を調和させることで国益の追求を実行しているということだ。 To his supporters, the prime minister has boosted the country's global standing, realizing its national interests by harmonizing its legitimate ambitions with its clout as the world's third largest economy.
  • 実際にはその両方が安倍氏のイメージとして正しいと言えるのだ。 In truth, both images of Mr Abe are accurate.
つまり安倍さんが政治家としては実に捉えにくい(評価が難しい)存在であるということですよね。ただニルソン=ライト氏は、彼自身の結論として次のように述べています。
  • 安倍氏は国家主義者としての野望に満ちており、少なくともそのある部分は実現したともいえる。が、実際には彼は現実的な政策の実現によって記憶されることになるだろう。Notwithstanding Mr Abe's aspirational, but at best partially realised nationalist ambitions, his pragmatic achievements are likely to be his most enduring legacy.
▼ちょっと古い記事だけど、昨年(2019年)11月23日付の文藝春秋のサイトに東大の御厨貴名誉教授と慶応大学の片山杜秀教授の対談が掲載されており、安倍政権について語られているのですが、御厨の安倍評の中に、いわゆる「右派」との付き合い方について語った部分がある。教授によると、シンゾーはそれまでの自民党幹部と違って右派陣営と堂々と付き合うばかりでなく、彼らをリードさえしていく姿勢だったとのことです。つまり堂々と右翼だった、と。

▼御厨教授は昨日(8月29日)のTBS『報道特集』の中で、安倍さんが「憲法改正を実現できなかったのが残念」という趣旨の発言をしたことについて、「憲法改正を口癖のように繰り返すけれど、何故それが必要なのかについては全く語らない」と言っている。つまり自分と取り巻きの人間だけが分かっていればオーケーという感覚なのでしょうね。

8月28日付のThe Economistのサイトは、この辞任が「とてつもない難題」(formidable problems)をやり残していくと言っている。巨大な財政赤字、人口減少、強圧的な中国そして何をするか分からないアメリカ(unpredictable America)がそれにあたる。そして日本は今、新しいリーダーの下で不確定の時代(a period of uncertainty)に入っていく、と。それらの問題を直視しながら生きて行かなければならないのですが、第一にやらなければならないのがオリンピックの返上であることは間違いない。

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2)香港の民主化を担う27才

ドイツの週刊誌、Spiegelのサイト(8月10日)に羅冠聡(英語名:Nathan Law)という香港民主化運動の活動家とのインタビューが掲載されています。題して"We All Know that Danger Is Everywhere"(世界中、危険だらけ)。かなり長いインタビューなので、部分的に抜き出して紹介します。



Q(Spiegel): 貴方が香港を出たのと例の国家安全法の施行とは時期が一致している。この脱出は個人的なものか、政治的なものか?
A(羅冠聡):両方だ。我々のように国際的な運動に取り組んでいる人間は誰でもこの法律には弱いはずだ。
Q:「我々」とは誰のことか?
A:黄之鋒(Joshua Wong)、黎智英(Jimmy Lai)、李柱銘(Martin Lee)らのことだ。現在の香港では活動することが非常に困難になっている。黄之鋒とも相談して、香港の外で活動するには私が最適ということになった。だからこうして自由に話ができるのだ。
▼ここで名前が出た黄之鋒(こう しほう)は民主化団体「学民思潮」のリーダーで香港公開大学社会科学の学生(23才)、黎智英(れい ちえい)は民主活動家であると同時に香港メディア界の大物とされている72才、李柱銘(り ちゅうめい)は、香港の民主派から「民主主義の父」と慕われている人物で1938年生まれの82才。
Q:国家安全法の施行で香港では事情が変わった?
恐怖政治が横行している

A:恐怖政治(politics of fear and terror)とでも言うべきものが広がっている。中国の意図なのだが、あの法律にはいろいろに解釈できる部分が多すぎるので、何がどうなるのかが全く分からない状態なのだ。おそらく香港の警察当局でさえも良く分かっていない部分が多いと思う。なのに香港の民主化や自由化を叫ぶ旗やビラを持っていたというだけで逮捕されたりしている。"Free Hong Kong, revolution of our time.”(自由香港、今こそ革命のときだ)という文言だ。


Q:自分の家族のことは気にならないのか?
A:もちろん気になる!中国本土における国家安全法の施行を見れば分かるが、法律のターゲットは貴方だけではない。家族・友人・同僚ら皆が取り締まりの対象になる。
Q:貴方は最近、ある新聞への投稿の中で、貴方の母親があの文化大革命を自分の眼で見ているが、今の中国で起こりつつあるのはあれと同じではないか、と。それは少し大げさなのでは?あの文化大革命では180万もの人が亡くなっている。
告げ口文化が浸透する

A:自分たちこそが歴史上最も悲劇的な人間だなどとは言いたくないが、今起こっていることを見ると、あの文化大革命と同じようなことが起こっていると言わざるを得ない。例えば国家安全法の中には、もし貴方が他人を当局に売り渡したら、貴方自身の刑が軽くなるというような条文があるのだ。つまり「ご注進文化(reporting culture)」の奨励ということだ。それこそが「文化革命」(cultural revolutions)が最も力を入れる部分だ。人びとがお互いを監視するということ。そうなると社会を信用しなくなるし、人間と人間の間の社会的な絆が破壊されていく。そして全体主義と権力の言葉だけが力を持つようになる。

Q:貴方が描く香港にとっての最悪のシナリオはどのようなものか?
最悪のシナリオとは?

A:民主主義を支持するグループから選挙に立候補する人間が許されなくなること、秘密警察が朝早くやって来て逮捕され、誰にも自分の居場所が分からない状態になること、遠くの収容所に入れられて拷問を受けるようになること、これらはいずれも中国の反体制派に起こったことであり、それが最悪の状態と言える。それを国際問題として国際社会に訴えることが自分の責任だと思っている。

Q:香港を離れて、行き場所としてなぜロンドンを選んだのか?
A:英国は香港と歴史的に関係があり、香港問題について主要な役割を担っている。またロンドンはメディアの中心地でもあり、世界中の人びとに米中関係だけが問題なのではないと訴えるのには最適の場所だから。独裁主義の中国に対抗する価値観で団結するためにもヨーロッパにはもっと参加してもらいたい。
Q:ロンドンはある意味どこへ行っても中国・中国だ。空港から乗るタクシーからピザ屋、サッカー・チームに至るまで、中国資本が関係していないものは殆どないと言ってもいいくらいだ。
「中国資本」は「共産党資本」?

A:欧米は中国資本による投資の意味するところを過小評価してきた。中国には「独立企業」(independent companies)というものが存在しないのだ。企業はどれも中国共産党の命令に耳を傾けなければならないのだ。だから中国とビジネスをするときは国際的なコミュニティが前面に出て、人権尊重を強制的に押し付けて、中国側に責任を持たせなければならない。
Q:英国政府の最近の対中国政策をどう思うか?
A:正しい方向に向かっていると思う。今年最初のころは5G情報ネットワークにはHuaweiを使い続ける方針だったが、コロナウィルスと香港民主化の問題が起こって以来、事情が変わったと思う。しかし中国国内における人権蹂躙問題に対処するためには英国と他の国にもやるべきことがもっとある。

Q:例えば、国際社会はどんなことが出来るのか?
北京五輪をボイコット?

A:例えば2022年の北京冬季五輪をボイコットすること。これは強いメッセージを伝えることになるはずだ。台湾を認めること、ウイグル地区における人権問題を取り上げることもある。ウィグル地区の労働力を使っている企業は自分の国では活動できない・・・と言明することもできるだろう。使える武器はいろいろあるのだ。特にドイツは中国にとって最大の貿易相手国だから、人権問題についても重要な役割を果たすことができる。
Q:ドイツ人は北京政府とのトラブルを避けることしか考えていない・・・。
A:ドイツには失望したなどと我々が言うべきではないが、ベルリンの壁崩壊以後のドイツがリベラルな考え方をする指導的な国であると同時に全体主義と独裁主義への深い理解を有した国であることは分かっている。ただ今のドイツが人権よりも貿易を重視する国となっているということだろう。ただドイツも香港との間で犯人引渡し条約を破棄することはできるだろう。英国も同じことをやっている。
Q:2016年、貴方はが初めて民主化運動出身者として議会に選ばれて宣誓式を行った際にマハトマ・ガンジーの言葉を引用している。「私を鎖でつなぐことは出来るだろうし、拷問によってこの身を破滅することも出来るだろう。しかし私の心までも収監することはできない」という言葉だ。ガンジーは貴方にとって理想の人間か?
 
ガンジーを尊敬する

A:ガンジーもマーティン・ルーサー:キングもネルソン・マンデラも尊敬すべき抵抗運動の担い手だった。彼らからは学ぶべき点が多い。特に苦境に陥ったときの粘り強さ(tenacity)だ。長年にわたって刑務所に入れられるようなことがあっても、冷静かつ断固として自分の選んだ道を進むということ。そのような精神的なパワーは大いに彼らから学ばなければならない。
Q:怖くはないのか?
A:怖いというよりも心配だ。I am worried. ただ怖がらないようにしようと努めてはいる。怖がることで判断を誤ることがあるから。心配なのは黄之鋒のような仲間たちのことだ。それもあって、世界中の人びとに香港から目をそらさないで欲しいと思う。それこそが彼らにとって最強の味方なのだから。It’s the best protection they can hope for.
Q:運動を止める(ギブアップ)ことを考えたことはあるか?
A:香港のために闘おうという気持ちがある限り、ギブアップするということはない。As long as you have the heart and mind to fight for Hong Kong, you’re not giving up.


▼この活動家は過去7年間、民主化運動に取り組んでいるのですが、年齢を知って驚きました。1993年生まれの27才!つまり20才からこの運動に取り組んでいるということです。Spiegelによると、2017年にいわゆる「雨傘運動」(umbrella movement)に参加して香港における自由選挙の実現を訴えて刑務所入りしたこともある。中国政府による国家安全法の施行に伴って香港を出て、現在はロンドンに住んでいるのだそうです。
 

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3)「友愛」の意味


以下に書く記事は、今から11年前の2009年9月に発行したむささびジャーナル171号に掲載したものを短く書き直したものです。この記事で書かれていることは、今の日本にも大いに当てはまると思います。

6月21日にお送りしたむささびジャーナル452号に「揺れない?New York Times」という記事が載っています。NY紙のオピニオン欄に掲載されたある記事について語るものだった。その記事は、アメリカの新聞では "Op-ed" と呼ばれる署名記事だった。"Op-ed" は "opposite the editorial page" の略で「社説と反対側に掲載される記事」のことなのですが、それなりに名の通った外部の人物が自らの意見を表明するために書くもので、誰でも書けるというものではない。もちろん掲載する新聞社の側にもそれなりの意図があるのですが・・・。



今から11年前の2009年8月26日付のNew York Timesの"Op-ed"欄に "A New Path for Japan" という見出しのエッセイが載っています。「日本の新しい進路」という意味ですが、筆者は日本の政治家である "Yukio Hatoyama" となっている。鳩山由紀夫氏はその当時、民主党の代表だったのですが、NYTの記事掲載の約20日後の2009年9月16日に国民新党・社会民主党を連立与党とする第93代内閣総理大臣に就任している。つまりNYTの"Op-ed"エッセイが掲載される時点で間もなく日本の首相になる人物であることがほぼ分かっていたということです。

で、鳩山さんのエッセイの書き出しは次のようになっている。
  • 冷戦後の日本はアメリカがリードする市場原理主義(普通にはグローバル化と呼ばれる)の風に翻弄され続けてきた。資本主義が原理主義的に追求される中で、人間は「目的」(an end)というよりも「手段」(a means)として扱われるようになり、その結果として人間の尊厳は失われてしまった。 In the post-Cold War period, Japan has been continually buffeted by the winds of market fundamentalism in a U.S.-led movement that is more usually called globalization. In the fundamentalist pursuit of capitalism people are treated not as an end but as a means. Consequently, human dignity is lost. 



米ソの冷戦が、まさかというような形でソ連が崩壊して決着がついてしまったおかげで、レーガンやサッチャーのような資本主義者たちは、盲目的に市場原理主義を信仰するようになってしまった。日本では「小さな政府」を支持する自民党の小泉政権(2001-2006年)が市場原理主義とグローバル化のさらなる徹底を求めて国民的な人気を得ていた。が、鳩山さんによると、冷戦終了後の日本社会に関する限り、グローバル経済によって伝統的な産業が傷つき、地方のコミュニティが破壊されてしまった、ということになる。

エッセイの書き出しを見ても分かるように、鳩山由紀夫さん自身は、冷戦の終了を単なる「資本主義の勝利」とは見ておらず、アメリカを中心とする覇権主義が大きな顔をする世の中になることを警戒していたようです。鳩山さんはまたEUやASEANのような地域統合の動きは、いずれも日本の憲法が掲げる平和主義と国際協力の精神にかなうものであり、アメリカと中国の間に位置する日本が追求すべき道であると強調しています。



実はこのエッセイで鳩山さんが最も力を入れて書いている事柄として「友愛」という考え方があります。フランス革命において人間が目指すべきだとされた理念として「自由・平等・博愛」というのがあるけれど、鳩山さんのいう「友愛」は、この中の「博愛」(fraternite)のことです。鳩山さんの祖父である鳩山一郎氏(1954~56年:首相)がオーストリア生まれの国際政治運動家であるクーデンホーフ=カレルギー(1894年~1972年)の著作物を翻訳したことがあるのですが、その際に頻繁に出てきたのが "fraternite" という言葉だった。

鳩山(由紀夫)さんはNew York Timesに掲載された"Op-ed"エッセイを、クーデンホーフ=カレルギーの“The Totalitarian State Against Man”(人類に敵対する全体主義国家)という著作物に書かれている次の言葉で締めくくっています。
  • 歴史上の偉大な思想は全てユートピアの夢として生まれ、それが現実となって終わっている。ある思想がユートピアの夢のままで終わってしまうのか、それとも現実のものとなるのかは、何人くらいの人間がその理想を信じているか、そしてそれを実現しようとする自分たちの能力を信じているかにかかっているのだ。 All great historical ideas started as a utopian dream and ended with reality. Whether a particular idea remains as a utopian dream or becomes a reality depends on the number of people who believe in the ideal and their ability to act upon it.
実はこの鳩山さんのOp-edエッセイは、民主党の代表(当時)であった彼が日本の雑誌VOICEの2009年9月号に寄稿したエッセイがNew York Timesのサイトに抜粋掲載されたものだった。VOICEに掲載されたエッセイは反米的だというのでアメリカの反発を買っていると(日本のメディアでは)話題になった。それまで延々と続く自民党政権の親米路線こそが日本の生きる道であると信じて疑うことがなかった人びとから見れば、鳩山さんの見解は刺激的にうつったということなのでしょうね。

▼鳩山(由紀夫)さんのNYTへの寄稿文の締めくくりは、政治における理念・理想(ユートピア)の大切さを謳っている(と思う)のですが、このあたりが自民党とは相容れない部分なのではないかと思うわけです。自民党という政党は1955年にそれまでの自由党(吉田茂ら)と日本民主党(鳩山一郎ら)が合併してできたのですが、憲法改正・再軍備などを主張したのは鳩山一郎の方だったのですね。吉田茂らはむしろ憲法改正には消極的で、日米安保条約を基本にする安保路線を推していた。知りませんでした(お恥ずかしい)。いずれにしても自民党という集団は結成当初から、「理念・理想」よりも「現実」を重視する体質だったということですね。

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4) どうでも英和辞書
A-Zの総合索引はこちら 


small talk: 軽いおしゃべり・世間話

"small talk" を英和辞書で見ると、だいたい上のような日本語が出ています。例えばパーティーなどに呼ばれて初対面の人と話をする際の会話というのが "small talk" ですよね。天気の話とか「お国はどちらですか?」とか・・・。ケンブリッジの辞書は "small talk" を次のように定義している。
  • conversation about things which are not important, often between people who do not know each other well. どうでもいいことに関する会話。お互いによく知らない人間同士が交わすケースが多い。
典型的なのが「天気」で、およそ次のような会話が続くことが多い。
  • Great weather today, isn’t it?
  • Is it cold outside?
  • A lot of rain lately.
  • Looks like it’s going to snow today.
もちろんどの言葉もマジメに言っているわけではない。ただ会話のきっかけを探っているだけなのですが、なるべく会話を途切れさせないようにすることが "small talk" のコツらしい。例えば "Is it cold outside?" と言われて、ただ"Yes"とか"No"というだけでは会話が終わってしまう。何かを付け足すことで、相手にも何かを喋るチャンスを与えたいよね。むささびなら "It IS very cold outside. How is the winter in your town?" とでも言うかな?パーティー・エチケットの「専門家」(そんな人がいるんですねぇ!)によると、答えが "Yes/No" で終われるような質問はうまくないのだそうです。

それはともかくSmall Talkで検索してみたら文科省主宰の「小学校外国語活動・外国語 研修ガイドブック」というサイトに行き当たりました。それによるとSmall Talkとは
  • 高学年新教材で設定されている活動である。2 時間に 1 回程度、帯活動で、あるテーマのもと、指導者のまとまった話を聞いたり、ペアで自分の考えや気持ちを伝え合ったりすることである。
なのだそうです。Small Talkの例がいろいろ出ているのですが、一番最初に出てくるのが、教師が生徒に語りかけるSmall Talkです。
  • Hello, everyone. My name is Takeshi. T-a-k-e -s-h-i, Takeshi. Nice to meet you. I’m from Takayama. I like pizza. Pizza is delicious. But I don’t like sweets. I don’t like candy. I don’t like chocolate. How about you? What food do you like?
文科省推薦のSmall Talkというわけですが、「何だこりゃ!?」と思いません?まず "My name is Takeshi" となっているけれど、姓名の「名」のこととしか思えないのですが、なぜ「姓」を言わないのか?名前と出身地(Takayama)を告げたと思ったら、何故かいきなり "I like pizza" とくる。ピザが好きな理由は「美味しいから」(Pizza is delicious)なんですって。そして甘いものはキャンディーもチョコレートも嫌い・・・ときて "How about you? What food do you like?" とたずねるわけ。むささびが小学生だとしたら「余計なお世話だ」(That's none of your business!) と言いたいね。
 
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5)むささびの鳴き声 
▼何はともあれ、今号の「むささび俳壇」をご覧ください。安倍政権の終わりに漂う「空しさ」を詠んでいるのですが、一昨日(8月28日)の安倍首相の記者会見の様子を伝えるNHK(テレビ)の音を聴きながら、「空しさ」以外に感じるところ、ありました?キャスターがしきりに繰り返していた「トランプ大統領との個人的な関係」って、ゴルフに興じる以外に何があったというのです?拉致問題に何らの進展もなかったことを、首相は盛んに悔しがっていたけれど、彼が出来たのは、拉致被害者の家族をトランプに「会わせてやる」ことだけだったのでは?


▼彼が何もやらなかったことを責めても仕方ない。彼なりの理由があったのでしょうから。むささびが責めているのは、一昨日のメディアのあの騒ぎぶりなのでございますよ。象徴的だったのは、東京の繁華街で新聞の「号外」を受け取りながらテレビ取材に対して「驚きましたねぇ!」とコメントしていた若い人たちの表情だった。大して驚いてもいないのに、そのように振る舞うことが無難だから驚いてみせただけ。スマホ時代に紙の「号外」を刷りまくる新聞社もどうかしているよね。ちょっと笑えたのは毎日新聞の「プロンプターなしの辞任表明」という見出しです。そんなことしか話題になりようがない記者会見だったというわけです。


▼Yahoo Newsに出ていた安倍首相の辞任表明をどう思うか?というアンケート調査によると「妥当でない」が10%、「どちらとも言えない」が7%で、「妥当だ」という人は83%に上っている。つまり日本人の殆どが「辞めてもしゃあない」と思っていたわけ。NHKを初めとするメディアのはしゃぎぶりには、心からしらけてしまいますね。ついでに言っておくと、オリンピックを実行することが「国民の総意」のような報道はいい加減にしてもらいたい。


▼この「むささび」の3つ目の記事に、かつて鳩山一郎氏が日本人に呼び掛けた「友愛」という言葉のことが出ている。この言葉のことを「きれいごと」とか「甘っちょろい」と批判する人たちがいるけれど、鳩山さんなりに「世の中の在り方」を語る言葉ではあったと想像するし、孫の由紀夫氏も同じつもりで「友愛」を語っているのであろうと思います。一方、安倍晋三という人間が口にしたのは(例えば)「戦後レジームからの脱却」だった。「戦後」から脱却して日本をどこへ連れて行こうとしたのか?平和憲法など放棄して、堂々と適地攻撃を行える・・・そんなところへ連れて行きたかった?日本をそんな国にしたかったってこと。何故そうしたかったのか?そのような「何故」についてシンゾーは何も語らない。「語る必要もない」というアタマで首相としての時を過ごしてきたということですよね。そのような人間を首相として担いできたわけだ、日本人は。


▼立憲民主党の石垣のりこ参院議員が、安倍首相が持病を理由に辞任することについて「大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」を首相総裁に担ぎ続けてきた自民党の「選任責任」は厳しく問われるべき・・・と自分のツイッターで語ったところ「難病・疾病を抱えて生活する人への侮辱だ」という批判が殺到したという記事が出ていました。このツイッター発言の何がそれほど悪いのか?むささびの理解の域を超えますね。持病がありながら国の最高責任者であり続けることについて、シンゾー自身はどのように思っていたのか?それから知っていながら党総裁に選んだ自民党の議員たちは何を思っていたのか?「持病があっても人間が立派であればいいと思った」ってこと?

▼それにしてもこの暑さは・・・お元気で!

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