焼き魚(?)のご馳走を前に何やら不機嫌そうなネコちゃん…。Googleの検索に"hangry"という言葉を入れたところ、沢山出てきた「関連写真」の一枚がこれだった。"I'm hangry..." というのは、むささびがキャプションとして付け足したもの。
"hangry" というのは "hungry"(空腹) と "angry"(怒り) という単語を結び付けたもので、「おなかがすいてイライラする」という意味ですよね。英語として初めて使われたのは1918年なのだそうですが、ケンブリッジの辞書によると "becoming angry because you are feeling hungry" と説明されています。一つの単語で「腹ペコでイライラ」を表現するような言葉って、日本語には…ないよねぇ! |
目次
1)スライドショー:ケンナのイングランド
2)安倍殺害の"Whydunnit"
3)「『美しい国へ』を読む前に」を再読する
4)英保守党党首:リズかリシか?
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声
7)俳句
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1)スライドショー:ケンナのイングランド
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マイケル・ケンナ(Michael Kenna)という英国の写真家については、むささびジャーナル500号で「四国遍路の旅」というスライドショーを通じて紹介しました。1953年イングランドのランカシャー生まれ、モノクロ写真が専門のようなのですが、もう一つ「風景写真」の専門家のようでもある。とにかく彼の作品には人物が入っていない。今回は彼自身の生まれ故郷でもあるイングランドの風景を集めてみました。 |
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2)安倍殺害の "Whydunnit"
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7月19日付のThe Economistが
- What drove Yamagami Tetsuya to kill Abe Shinzo? 山上徹也を安倍晋三殺害に駆り立てたものは何か?
という見出しの記事を載せています。見出しに並べるようにして "Whydunnit" という言葉を小さく並べている。これは「何故やったのか?」(Why was it done?)の短縮形で、英国英語のスラングのようなものです。この主見出しに並べて「日本中があの無意味なアタックの背後にある動機を探り当てようとしている:Japan searches for motives behind the senseless attack」という説明見出しも掲載しています。 |
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これらの見出しからすると、殺害犯が何故あのような行動に走ったのか?ということを日本中が知りたがっている…と言っているように思える。言うまでもなくThe
Economistの主なる読者は日本人ではないし、日本に関する記事だけに関心があるわけではない。でも情報誌としては、それなりに情報提供の役割を果たさなければ、というので犯行10日後の時点における事件の解明状況を伝えようと試みているのですが、果たして「日本中があの無意味なアタックの背後にある動機を探り当てようとしている」というのは本当のことだろうか?
The Economistの記事は、事件に関連している統一教会という韓国生まれの組織の設立の経緯や安倍晋三氏の祖父にあたる岸信介氏や安倍晋三氏らとの絡みについても説明しているのですが、The
Economistによると、犯行の動機は「統一教会への復讐」という、個人的なものであり、それ以上のものではないと言っている。山上徹也には政治的な思惑は一切ない、と。 |
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The Economistは、日本におけるメディアの報道ぶりについて触れながら、自民党と統一教会の関係とか犯行当日の警備陣の不手際などの話題に邪魔されて、山上徹也という人間をこのような犯行に走らせた「社会的・経済的な力」(socioeconomic forces)の追及までなかなかメディアの手が回らない状態でいる、と言っている。
ただ、The Economistは、それなりに山上徹也という日本人の心理についても追及しようとしている。彼は日本の「不安定な階級」(precarious
class)に属しており、その階級は1980年代のバブル崩壊後、1990年代の終わりから2000年代の初期にかけて形成されたものである、と。山上の場合は父親と兄が自殺、本人も一度はこれを試みたりしている。彼が生活していたエリアは「コミュニティ」と呼ばれるような雰囲気はゼロ、住民同士の付き合いもない。そんな中で仕事を探して孤独な生活を送っていた、と。
つまり元首相殺害という一見政治的に見える、あの犯罪の背後にはそのような日本特有の社会的な背景があるのだ、と言っている(ように思える)。 |
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The Economistによると、最近の日本では多数の命を犠牲にするような悲惨な事件が個人の仕業として起こされている。2019年に京都アニメ・スタジオに放火して36人を殺害した人物、昨年のハロウィンの時に東京の地下鉄で乗客に切りつけて17人を負傷させた人間らも山上徹也とどこか似ている。立正大学の小宮信夫教授(犯罪学)は、これらの暴力行為の共通点として、いずれも彼らなりの「幸福」を求めての犯行であり、逃亡を試みるわけではないし、刑罰を逃れようとするわけでもないことなどを挙げている。その意味では「自爆テロ」(suicide-bombings)との共通点があるようにも見える。
要するに、あの日山上徹也を安倍殺害に駆り立てたものについては、複雑な要因が様々に考えられるけれど、小宮教授は「なぜ自分がそのような犯罪に走ろうと決意したのか、犯罪者自身にもはっきりしないのではないか」とも言っている。で、The
Economistの結論は
- Japan will be left searching for answers long after Mr Yamagami’s trial comes to an end. 日本は、これから山上徹也の裁判自体が終わった後も長い間にわたって答えを求め続けることになるだろう。
ということだそうです。 |
▼このThe Economistの記事が、事件後10日目あたりで書かれたものであることを考えると無理もないことなのかもしれないけれど、事件から3週間、最近では話題の主役がもっぱら「統一教会」に移ってしまって「山上徹也」なんて殆ど話題にもならなくなってしまったのでは?
▼いまから約60年も前、日本中が「安保闘争」で騒がしかった頃、東京の国会周辺がデモ隊で埋め尽くされた。首相は安倍晋三氏の祖父である岸信介だった。安保反対を叫ぶデモ隊について、岸首相の放った言葉が流行語になった。
- アタシはねぇ、「声なき声」に耳を傾けるんですよ、デモ隊なんてほんの一握りですよ、後楽園を見てご覧なさい、みんな野球見物を楽しんでますよ…
▼その頃、大学内には「原理研究会」というクラブ活動をやっている人たちがいた。あれが「統一教会」だったのですね。岸首相にとっては「原理研究会」もまた「声なき声」だったのかも? |
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3) 「『美しい国へ』を読む前に」を再読する
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今から16年前の2006年9月17日に発行したむささびジャーナル93号に「『美しい国へ』を読む前に・・・」という見出しの記事が載っています。むささびが自分のために書いたもので、当時の安倍晋三首相が書いた『美しい国へ』という本のことを話題にしている。いや正確に言うと、この本について朝日新聞に載った「書評」のことを話題にしています。時期が時期だけに、もう一度掲載させてもらうことにしました。元の原稿に少しだけ手を加えていますので、オリジナルをお読みになりたい方は「むささび93号」をお読みください。 |
『美しい国へ』を読む前に…
むささびジャーナル93号
2006年9月17日 |
安倍晋三さんの書いた『美しい国へ』という本が売れているんだそうですね。私はまだ読んでいません。他に読むべき本があって、なかなか手が回らない。で、朝日新聞の2006年9月5日号の15ページに根本清樹という人(朝日新聞編集委員のようです)の書いた「安倍公約
vs 小沢主義」というエッセイが載っていて、その中で、安倍さんのこの本に触れています。それによると、安倍さんは戦中の特攻隊に触れて、次のように書いているそうであります。
- 「自分のいのちは大切なものである。しかし、ときにはそれをなげうっても守るべき価値が存在するのだ、ということを考えたことがあるだろうか」
そして根本さんは「安倍氏の要求は格段に重く、大きく、そして気高い」と書いています。根本さんによると、安倍さんは「損得を超えた価値のために役に立つ」ことの大切さを訴えているのだそうですが、根本さん自身の意見として次のように書かれています。
- 「政治の現実から損得ずくをなくすことなどできるだろうか。年金の問題にせよ、税制にせよ、この世では無数の利害がぶつかり合っている。<中略>普通の人びとの暮らしには死活的な問題がたくさんある。私たちはそれほど気高くないし、なる必要もない」
私はこの根本さんの書評エッセイを読んで、安倍さんの「特攻隊賛美論」はもちろんのことですが、根本清樹という人の姿勢にも疑問を感じてしまった。安倍さんの本を読んでいないので、なんともいえないけれど、根本さんのエッセイで引用された部分だけからしても、安倍さんが言っているのは「人間、たまには損得を超えて(つまり無私の精神で)行動することもある」ということだけなのに、根本さんは、恰も安倍さんが「政治は損得を超越しなければならない」と主張しているかのように言っている。こういうのを「揚げ足取り」というのではないか。フェアでない。 |
また根本さんのエッセイは「私たちはそれほど気高くないし、なる必要もない」という文で終わっています。つまり「人間、損得を超えていのちを投げ出すほどには気高いものではないし、なる必要もない」と言いたいのですよね、根本さんは。確か韓国の青年が、東京の電車の駅で転落した人を自ら飛び込んで救って、自分は死んでしまった、という事件はなかったでしたっけ?あの行為は「気高い」行為なのでしょうか? |
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私の想像にすぎないので、間違っていたら根本さんにはゴメンネというしかないけれど、彼が「気高くなる必要もない」と言うのは、(特攻隊のように)お上に言われて、「お国(自分が信じてもいないもの)のために」命を投げ出す必要などないってことなんじゃありませんか?だったらそう言えばいいのに・・・。私に分からないのは、何故、この根本さんが「安倍氏の要求は格段に重く、大きく、そして気高い」などと書くのかってことなのでありますよ。安倍さんの要求のどこが「気高い」んです?アホらしいだけのことなんじゃありませんか?
もう一度言っておきますが、人間、自分の損得を大切に考えるのは当り前ですが、場合によっては、いわゆる「損得」を超えて行動するときだってあるんです。ただそれは、国(というよりも、そのときの為政者が決めたこと)のために(自分が納得もしていないのに)命を捧げるというようなことではないってことなんです。そのようなことは気高くもなんともない。ただ悲惨なだけです。根本さんのいわゆる「普通の人びと」がいつもいつも損得だけを考えて暮らしているわけではないってことなんですよ。 |
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根本さんは、自分を「普通の人びと」の代表みたいに「私たち」などという言葉を使うけれど、それも止めて欲しい。どうせ言うなら「私」とだけ言って欲しい。違う考えの人だっているんだからさ。これ、決して揚げ足取りで言っているのではないのであります。
この根本さんのエッセイは、タイトルにもあるとおり、民主党の小沢一郎さんと安倍晋三さんの考え方の違いのようなものについて語っており、上に紹介した安部さんの「自分のいのち云々」という言葉を精神論だとすると、小沢一郎さんは「政治は精神論ではない」ということで「愛国心の押し付け」を否定しているのだそうです。
プラットフォームから転落した人を見て、線路に飛び降りて助けようとして、自分が死んでしまった韓国の人は、死ぬつもりで飛び込んだわけではない。でも特攻隊は死ぬことが分かっている。安部さんという人は「それ(自分の命)をなげうっても守るべき価値が存在する」などと言っております。クダクダ言いませんが、何なんです、その「価値」というのは!? |
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2022年7月、このむささびジャーナルを作りながらインターネットの世界を散歩していたら「根本清樹」という名前の人に出会いました。「朝日新聞社・役員待遇論説主幹」という肩書になっていたのですが、もう一つ肩書があった。「日本記者クラブ理事長」です。 |
▼「自分の命をなげうってでも守るべき価値=自分の国」などということを自分以外の人間に押し付けて何とも思わない無神経ぶりがむささびには我慢できませんね。 |
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4) 英保守党党首:リズかリシか?
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ボリス・ジョンソンが英国の政権与党である保守党党首の座を去ることになり、現在彼を継ぐ党首の選挙が行われていますよね。これまでは保守党の国会議員の投票によって次期党首(つまり首相)の候補者が二人に絞られてきている。一人はリシ・スーナク(Rishi Sunak)前財務相、もう一人はリズ・トラス(Liz Truss)現外相です。もともと党首候補者は8人いたのですが、保守党下院議員による5回の投票の結果、この二人が「上位2人」として決戦投票に臨むことになった。
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保守党党首選立候補者 |
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上の表は、今回の党首選挙に立候補した議員8人と保守党下院議員(357人)による投票結果。左側に並んでいるのが、保守党下院議員による投票の対象となった立候補者。Rishi
Sunakを筆頭に8人いたのが、5回の投票を経て上位2人(Rishi SunakとLiz Truss)に絞られたというわけ。7月20日に行われた5回目の投票の結果の上位3人の得票数を見てもわかるとおり、3人ともそれほど決定的な多数を獲得したわけではない。 |
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これから8月末までの約1か月間、英国全土で保守党員を対象にする党首選集会が開かれ、スーナクとトラスの二人が全国を回って支持を訴える。で、8月初めから9月2日の間に約16万人いる保守党員がオンラインか郵送で投票、最終結果は9月5日に発表されるという段取りです。二人の候補者をBBCの記事を参考にしながら簡単に紹介しておきます。 |
Liz Truss(リズ・トラス)外務大臣 |
まず現外相のリズ・トラスですが、1975年オックスフォード生まれ(47才)。父親が大学教授(数学)で、母親は看護婦。彼女自身の表現によると、両親ともに「左翼」なのだそうです。1983年(4才のとき)に両親の仕事の関係でスコットランドのペイズリー(Paisley)という町へ引っ越すのですが、その町の小学校の劇団に属した際に彼女の演じたのがマーガレット・サッチャーの役割だった。
大学はオックスフォードで専攻は哲学、政治、経済。学生の頃から政治の世界には参加しており、支持政党は最初の頃は自民党(Liberal Democrats)、後になって保守党支持に変わる。大学卒業後はシェル石油や通信大手のケーブル・アンド・ワイヤレスに会計係として勤めたけれど「心はウェストミンスター(政治の世界)だった」(her heart was set on Westminster)とBBCは伝えている。シェル石油だのケーブル・アンド・ワイヤレスと言えば、誰でもが勤務したがる会社ですよね。 |
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トラスは2001年にはヘムズワース(West Yorkshire)から、2005年にはコルダー・バレー(同)から保守党議員として立候補、両方とも落選。むささびのつたない知識によると、英国の政治の世界では、下院議員に立候補する場合、立候補先(選挙区)を決めるのはロンドンの党本部であって政治家本人ではない。つまり個人的には全く縁のないエリアでも党の命令によって立候補することだって大ありということです。
国会議員としては落選だったけれど、トラスは2006年にグリニッジ(南東ロンドン)の市会議員として当選、2008年にReformと呼ばれる保守系のシンクタンクの副会長として保守系政治家としての仕事に取り組んでいく。そして2010年、デイビッド・キャメロンが党首をつとめる保守党の候補者として北イングランドの南西ノーフォーク選挙区から国会議員として立候補して当選。この頃から党内における評判は高く、キャメロンの「重要候補者リスト:A-list」に載せられていた。 |
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国会議員とし "Britannia Unchained" という本を共著。国家の枠に縛られず自由市場を推進する政策の推進役として名を挙げる。2012年、国会議員歴わずか2年余りで教育担当副大臣(education minister)に就任。政治家としての「出世街道まっしぐら」という感じ。2014年、キャメロン政権の環境大臣に就任。
キャメロン政府が主催した英国のEU加盟継続をめぐる国民投票(2016年6月)では、英国のEU加盟継続を主張、ボリス・ジョンソンらが主張するBREXITには反対していた。が、その後にこれを撤回して「英国における改革に一役買う:shake
up the way things work」としてBREXITを支持するようになった。同じ年、ティリザ・メイ率いる保守党政権にあって財務省の主要政務官に就任した。この地位は政府の財政政策推進で中心的な役割を果たすことになる。2019年、ボリス・ジョンソンの首相就任に伴って貿易大臣(international
trade secretary)に登用され、産業界のリーダーたちとも交わるようになり、2021年9月の内閣改造で外務大臣に抜擢される。 |
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Rishi Sunak(リシ・スーナク)前財務大臣 |
次に2020年2月から今年7月5日まで財務大臣を務めていたリシ・スーナクですが、1980年、サザンプトン生まれ。リズ・トラスより5才若い。父は医者で母は薬剤師なのですが、祖父がインド(パンジャブ)からの移民です。オックスフォード大学リンカーン・カレッジで哲学、政治学、経済学を学び、米スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得、ゴールドマン・サックスのような金融関係の企業に勤務した後、2015年の選挙に保守党から立候補して当選、その後2017年、2019年の選挙でも当選している。
この間、2019年の選挙の際にBBCが主催した7党派の代表による討論会に保守党の代表として参加するなど、若い割にはかなり目立つ活動を行っている。そして2020年には辞任したサジド・ジャヴィド財務相の後釜に任命された。2015年に下院議員に当選してからわずか5年しか経っていない。 |
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で、今年(2022年)4月、コロナ禍のロックダウン期間中に規制違反のパーティーを開いたとして、ジョンソン首相らと共に警察から罰金を命じられたりしたのですが、7月5日には、不祥事が相次ぐジョンソン政権への抗議のため、サジド・ジャヴィド保健相と共に財務相辞任を表明した。そしてジョンソン首相が辞意を表明した翌日の7月8日に党首選挙に出馬した、と。
リシ・スーナクと言えば常に話題になるのが奥さんのアクシャタ・マーティ(Akshata Murty)のこと。1980年生まれだから夫と同じ年なのですが、生まれも国籍もインド、職業はファッション・デザイナーで活躍の舞台はもっぱら英国です。夫婦合わせた資産の合計は7億3000万ポンド(約1000億円以上)、Sunday Times が毎年行う長者番付で、英国内で222番目の金持ちとしてリストアップされている。 |
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▼最近のYouGovの調査が政治家の不人気投票をやっている。候補者はジョンソン首相、スターマー労働党党首の二人と保守党党首候補のリズ・トラスとリシ・スーナクの合計4人。4人に対して好意的な意見を持っているか、マイナスの意見を持っているかを聞いたところ、それぞれのマイナス点は下記のとおりだった。 |
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▼普通の英国人約5000人を対象にしたもので、トラスとスーナクの「不人気度」は殆ど同じ、スターマーの場合は労働党のリーダーだから、現在の話題からずれているので、この不人気度が低いから人気度が高いということにはならない。何といってもボリスの不人気はダントツですね。
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5)どうでも英和辞書
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face blindness: 失顔症
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「失顔症」なんて言葉、聞いたことあります?むささびは、英国のMetroという新聞のサイトで次のような見出しの記事を見るまでは聞いたことがありませんでした。
他人の顔が識別できなくなる症状のことで、学名を "prosopagnosia" というらしい。要するん自分以外の人間を顔で認識することができなくなる病で、自分の家族・友人のような人びとの顔も分からなくなる。大体50人に一人くらいの割合でこの症状に悩まされる人がいるのですが、生まれつきの場合もあるし、急に取りつかれることもある。いずれにしても、過去に何度も会ったことがあるのに「え~と、どこかでお目にかかりました?」という言葉を発せざるを得ず、相手が気を悪くしてしまうこともしばしばだとか。
この種の障害を持つのって、仕方ないこととはいえ苦しいですよね。むささびの場合、色の識別に弱い。色盲というやつ。子どもの頃、小学校の友だち(女の子)から「ジロちゃんの描いた絵って、どうして空が紫色なの?」と言われるときの悲しさは、本人でないと分からない。もちろんその言葉を発する女の子には何の悪気もない。 |
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6)むささびの鳴き声
▼二番目の安倍殺害に関する「何故?」(Whydunnit)にもう少し拘ってみたい。The Economistの記事が立正大学教授の言葉として伝えている「暴力的な犯罪者たちは自分がなぜその行為に走るのかが自分でも分からない」というのは重大だと思います。この部分はさらに追及する必要がある。その意味では、安倍殺害を統一教会との関連で考えるよりも、山上徹也という人の心理の問題として考えるということです。
▼で、むささびがいつも「お世話」になる北九州の東八幡キリスト教会のサイトにある「巻頭言」(7月24日付)が「身内の責任-無縁社会の果てに」というタイトルのエッセイを掲載、ずばりこの問題を語っています。この中で容疑者自身が事件直前にあるジャーナリストに宛てたとされる手紙が紹介されています。例えば次のような文章:
- 私と統一教会の因縁は約三〇年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の十代は過ぎ去りました。
▼The Economistの記事で紹介されている立正大学の先生は、最近の日本で起こる暴力事件の犯人たちは「自分がなぜその行為に走るのかが自分でも分からない」状態であると言うけれど、この「巻頭言」に出ている山上徹也は、統一教会への復讐のために「喉から手が出るほど銃が欲しい」と思い、銃への渇望は激しくて
- その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました。
▼と書いているほどである、と。山上徹也の手紙は「カルト宗教にのめり込む母親に対して成す術がない苦しさ」を訴えているのですが、この「巻頭言」が指摘するのは、そのような苦しさを抱える人間に対して「それは身内の問題だ」と一線を画すかのような態度をとる「社会」の側の問題です。「巻頭言」は次のように訴える。
- 私たちは、「自己責任」「身内の責任」と言うことで関わることを敬遠してきた。幼い頃から母を奪われ、振り回され続けた「息子」がどれだけ孤立状態であったかを考えることもこの事件の重要な視点であると思う。
▼もちろん、だからと言って相手を銃撃してもいいということにはならないけれど、「他の家庭の問題だから」というので無関心を決め込む世間、どう見てもまともではない宗教団体と関係を保ち続ける政治家・政党…これらの存在のことを考えると
- 罪は憎むが、彼が陥った孤独の深淵に広がる闇の深さを私は思わざるを得ない。
▼と「巻頭言」の筆者は言っています。このあたりで止めておきますが、昨日(7月30日)、TBSテレビの『報道特集』という番組がアメリカにおける統一教会を話題にしていました。むささびがいま一番知りたいと思うのは、この組織の韓国における活動と韓国人たちがそれをどのように評価しているのかということです。
▼この辺で失礼します。ところで、ミンミンゼミって、夕方もかなり暗くなってから鳴くんでしたっけ!? |
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