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 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
559号 2024/7/28

 このワンちゃん、本日(7月28日)で14才になります。種類はボーダー・コリー、性別はメス、名前はジョイスといいます。むささびたちと暮らしています。

目次

1)スライドショー:トーマス・ヘプカーのアメリカ
2)カマラは勝てるのか?
3)ケネディ家とアメリカ的価値観
4)再掲載:英国人が考える「望ましい社会」
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声
7)俳句

1)スライドショー: トーマス・ヘプカーのアメリカ

トーマス・ヘプカー(Thomas Hoepker)は1936年ドイツ(ミュンヘン)生まれの写真家で、つい最近(2024年7月10日)亡くなった。写真家集団のマグナムに属しているのですが、どの作品を見ても「人間:people」が主人公になっている。今回紹介するのは「1963年」という年に撮影された作品ばかりです。1963年といえば、いまから60年前、あのジョン・F・ケネディ米大統領がテキサス州ダラスで暗殺された年です。気のせいかどの「アメリカ」も哀し気・不機嫌ですが、大学生だったむささびにとっては「あこがれのアメリカ」です。

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2)カマラは勝てるのか?

 
7月24日付の The Insider という英国の政治コラムが "Can Kamala Harris win?: カマラ・ハリスは勝てるのか?" という見出しのエッセイを載せています。書いたのは政治記者のアンドリュー・アドニス(Andrew Adonis)で、かなり長い記事ですが、結論から言うと「やりようによってはカマラにも勝算がある」らしい。
 

アンドリュー・アドニス
「陰の存在」は負ける? トランプの泣き所?
「去り行く側」の象徴 カマラの強み?

「陰の存在」は負ける?


ジョー・バイデンは能力不足( "incapacity)が故に民主党の大統領候補争いから降りざるを得なかったが、果たしてカマラ・ハリスにはトランプを負かすだけの能力があるのだろうか?米国の大統領選では副大統領という立場にあった人間が大統領に立候補すると負けてしまう傾向にある。カマラはこの傾向から逃れることができるのか?

第二次世界大戦以後、副大統領の立場にあった人物が大統領として立候補した人物は3人いるが、大統領選に勝ったのはジョージ・ブッシュ(パパ・ブッシュ)だけ。4人目のジョー・バイデンは8年間も副大統領を務めた後にも関わらず大統領候補としての地位を勝ち取ることができなかった。オバマに負けたのだ。

これは必ずしも「不運:accidental curse」ということではない。4~8年もの間、大統領の「影:shadows」として存在してきた人物がいきなり国民の「リーダー」として活動を始めるのだから、簡単ではない。ナルシストの代表のように言われた、あのリチャード・ニクソンでさえアイゼンハワーの副大統領を務めた後に大統領選に立候補してジョン・F・ケネディに敗れており、リンドン・ジョンソン(民主党大統領)の副大統領だったヒューバート・ハンフリーを負かすまでに8年かかっている。


リチャード・ニクソン
「去り行く側」の象徴

現役副大統領(sitting VPs)については、もう一つ問題がある。舞台を去っていく政府を擬人化する存在となるということだ。競争相手の候補者は、新鮮なイメージで戦うことになる。カマラ・ハリスの場合、最大の問題(huge albatross)は「移民」だろう。しかもそれはトランプにとっては「得意中の得意」(huge albatross) の問題なのだ。

しかしながら戦後の大統領選を振り返って見ると、3つの副大統領同士の争い(1960年:ニクソン vs ケネディ、1968年:ハンフリー(民主)vs ニクソン、2000年:ゴア(民主) vs ブッシュ jr)では負けの差は極めて小さいものであることが分かる。68年のテキサス、2000年のフロリダにおける票の計算がフェアなものであったら、前者ではニクソンが、後者ではゴアが勝っていたであろう。また1988年の選挙では、共和党のパパ・ブッシュ(George HW Bush)と民主党のマイケル・デュカキス(Michael Stanley Dukakis)が争ったが、現職副大統領のブッシュが勝利する結果となっている。

1988年のブッシュ vs デュカキスの二人を比べてみると、デュカキスは明らかに「リベラル・常識的・礼儀正しい」という表現が当たっていた。どれも現代のドナルド・トランプの反対ばかりで、カマラ・ハリスがトランプを破るためには、副大統領になる前(カリフォルニア州検事時代)の自分に返る必要があるだろう。そうすることでトランプを「守勢」にさせることなのだ。

 
中絶推進デモ
トランプの泣き所?

ただカマラ・ハリスには勝利のための大きなチャンスがある。それはトランプ vs ハリスの選挙戦の雌雄を結することになる「人工中絶:abortion」についての政策に関してはトランプが不慣れであることであり、同じことが女性の地位、家族問題についても同じことが言えるということだ。人工中絶の問題は2年前にトランプによって最高裁が群衆で埋め尽くされた。誰もが人工中絶に対して憲法上の保護を与えることを要求していた。トランプの党(共和党)は今や人工中絶の全面的な非合法化を求める党となっている。

「人工中絶」と「個人の自由:personal freedom」が大統領選の格好の争点となっていることは疑いがない。2年前(2022年)の中間選挙は最高裁が中絶の権利保護を否決した直後に行われ、最高裁の決定が女性と家庭の権利の攻撃 であるとする世論が沸き起こったりした。おかげで民主党は想定以上の成績を収めたものだった。

中絶の権利保護は今やアメリカ中で大問題となっており、世論的にはこれに賛成する民主党が常に有利な立場を占めている。トランプおよび共和党は2020年の選挙で勝利し、その時点ではトランプの主張する経済的ポピュリズムや反移民的な姿勢が受けたことは間違いないけれど、そのことは有権者の心の中では重要さを失いつつあることは間違いない。
 

カマラの強み?

現代のアメリカでは「中絶の権利」こそが大衆の関心事となっており、これを話題の中心にする世論調査を行うと、ほぼかならず2対1の割合で民主党が勝利する。カマラ・ハリスの人気は、これまで共和党が有利とされていた州に大きな変化をもたらしている。そのような傾向は大統領府・議会・最高裁のような全国規模の機関を有するワシントンにおいても影響を与えている。

現代のアメリカでカリフォルニア出身の黒人女性検事が「偽善的で悪意に満ちた白人の年寄り反女性主義者:hypocritical, malign, aged, white misogynist」の意見を凌駕できる分野があるとすれば、それは「中絶か家族の権利擁護:abortion and the rights of families」しかないだろう。カマラにとって有利なのは、トランプが社会保障や健康保険のような分野にとって「脅威」にさえなっていることではないか。要するにカマラはトランプが得意なはずのポピュリズムのテーブルをトランプ本人に対して叩きつけることが可能ということなのだ。

カマラに必要なのは、トランプの得意分野でトランプとのポピュリズム議論に勝つことだ。そうすることで「素人:incumbent」はトランプであってカマラではないということをはっきりさせること。そうすればカマラも、従来は弱点とされていたことを強みに変える(then maybe she can break the VP curse)ことができるのだ。
 

▼こんなこと自慢に何もならないけれど、バイデンが指名するまで、むささびは "Kamala Harris"  という名前さえ聞いたことがなかった。このエッセイを読みながら、ひょっとすると "President Harris" というセンもあるかもなぁ、と思ってしまいました。アメリカの有権者も「バイデン vs トランプ」にはうんざりしているのではないかということ。2009年にオバマ大統領が生まれたときのワクワク感のようなものを持っている有権者が結構いるのでは?
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3)ケネディ家とアメリカ的価値観

書評誌:London Review of Books (LRB) のサイト(7月4日)を読んでいたら、"On RFK Jr" (RFK Jrについて)という見出しの書評が出ていました。RFK Jr(Robert F Kennedy Jr) というのはアメリカの弁護士で、今から50年以上も前に殺されたロバート・F・ケネディ司法長官(当時)の息子であると同時に現在のアメリカの大統領選挙に独立系候補として関わっている人物です。この書評はRFK Jrが2018年に書いた "American Values: Lessons I Learned from My Family"(アメリカ的価値観:私が家族から学んだもの)という本について語っているのですが、著者であるRFK Jrという人のアメリカ社会とのかかわりについても語っている。


2024年のアメリカの大統領選がどのようになるのかはよく分からないけれど、この書評記事に関する限り、RFK Jrの父親が殺害されたときの様子を描いた部分に興味を魅かれたので紹介しておきます。父親のロバート・F・ケネディ司法長官が殺されたのは1968年11月22日、ロサンゼルスのホテルでのことでした。

1963年11月に兄のジョン・F・ケネディ(大統領)が暗殺された後、弟のロバート・F・ケネディは1965年1月にニューヨーク州の連邦上院議員となり、それから3年後の1968年6月に民主党の大統領候補指名選挙のキャンペーン中に暗殺された。1968年という年は、アメリカ社会にとって異常な年だった。ケネディ司法長官が暗殺されたのは6月ですが、その2か月ほど前(4月4日)には黒人解放運動の指導者だったマーチン・ルーサー・キングJrがテネシー州メンフィスで殺されている。

ロバート・F・ケネディが民主党の大統領候補指名争いに没頭していたとき、14才だった息子のRFK Jr の心に浮かんだのは「我々の勝ちだ:We’re going to win」という言葉だった。自分の父親が大統領になることで、アメリカは誰にとっても住みよい社会になる…と。


が、1968年、その父親が暗殺されてしまった。場所はロサンゼルスのAmbassador Hotelの中のキッチンのようなところだった。ホテルのスタッフ、選挙運動スタッフなど約70人がその場に居合わせた。銃撃犯はサーハン・サーハン(Sirhan Sirhan)という、中東からの移民青年で、22口径の拳銃をロバート・F・ケネディに向けて発射した。銃を発射しながらサーハン・サーハンは ‘Kennedy, you son of a bitch!’ という憎しみの言葉を発している。

実はその日(1968年11月22日)は第三次中東戦争(Six-Day War)の1周年記念日だった。第三次中東戦争は1967年6月5日から同年6月10日にかけての6日間、イスラエルとエジプト、シリア、ヨルダンの間で行われた戦争だった。結果としてはイスラエルの圧倒的勝利に終わり、国際連合の調停によって停戦した。現代のイスラエルによるガザ攻撃と似ている。

ロバート・F・ケネディは大統領選候補指名争いの中で、中東戦争に関しては自分がイスラエルを支持しており、アメリカがイスラエルに武器を供与することには大いに積極的であることを明らかにしていた。そしてロサンゼルスのユダヤ人たちが中東戦争において自分たちがアラブ人に「勝利した」ことを大いに喜んでおり、そのことにサーハン・サーハンが怒っていたことは報道されていた。


が、この書評記事によると、RFK Jr は、自身の本の中で奇妙なことを書いている。即ち
  • Sirhan might have attempted to shoot his father, but the bullet that actually killed him was fired by a ‘CIA asset’ hiding in the crowd. サーハンが私の父親を殺そうとしたことは事実かもしれないが、実際に父親を撃ったのは群衆の中に隠れていたCIAの一味(CIA asset)だった。
と。RFK Jr によると、仮にサーハン・サーハンが自分の父親を殺したのだとしても、それはCIAにそそのかされての犯行だったということ。
  • CIA metastasised like a cancer, to threaten the very democracy and national security that it was commissioned to safeguard. CIAという悪の味方は「ガンのように広がり、自分たちが守護しなければならないはずの民主主義とアメリカの安全そのものを犯そうとしている。
というわけです。RFK Jr はロシアのウクライナ侵略もCIAのせいであると主張しており、また別の著書(The Wuhan Cover-Up)では、CIAがアメリカにおけるコロナの拡大にまで絡んでいる、としている。
  • 実はこの記事の中でむささびが最も理解に苦しむのはこの部分です。RFK Jr の反CIA感情のようなものがいきなり登場してくる。RFK Jr がなぜCIAというアメリカの政府機関をそこまで疑うのか?


この本の中で、著者である RFK Jr 自身が "I have cognitive problems, clearly" (自分には明らかに認知上の問題がある)として、「アメリカ的価値観」のような問題を語るには相応しくないと語っているのですが、その一方で自分が将来は大統領選挙に立候補することへの期待は捨てていない。自分の父親がやれなかったことを「やり遂げる:to pick up the flag」つもりでいると言っている。
 
▼この書評記事によると、RFK Jr という人物は「陰謀論者:conspiracist」の傾向が強い。彼に言わせると「アメリカでは政府・メディア・経済界が悪魔を尊敬する一群の小児愛者(ペドファイル)によって支配されており、この小児愛者たちは世界中の小児による性的売買にかかわっている」ということになる。このような発想に賛意を示すアメリカ人は16%にすぎない、と。

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4)再掲載:英国人が考える「望ましい社会」
 

 今から17年前発行したに『むささびジャーナル125号(2007年12月9日)』に<英国人が考える「望ましい社会」>という記事が載っています。MORIという世論調査機関が行ったアンケートの結果についての記事なのですが、ちょっと興味深いのは、このアンケートが大衆紙・The Sunの読者を巻き込んで行われたということです。

The Sunといえば、今も昔も、どぎつい見出しと写真を第一面に掲載して売りものにして政治的には「保守」で知られている。17年前と現在では読者の生活感覚も変化しており、今ほどスマホが幅広く行き渡ってはいなかったはず。そのような時代の感覚を振り返ってみるのも面白いのでは?
 
「望ましい社会」って?

むささびジャーナル125号(2007年12月9日)

世論調査だのアンケートだのというものが、本当にどの程度世の中の実態を反映しているのか、よく分からない けれど、数字が出て来るのでハナシのネタとしては扱いやすいし面白いですよね。例えば昨年(2006年)1月に英 国のMORIという機関が行ったアンケート調査は、Britain Todayというタイトルにふさわしく、英国人の幸福感覚から 政治意識にいたるまで、非常に幅広い調査で、日本との共通点・相違点がいろいろ見えて楽しい。大衆紙、The Sunからの要請で 行った調査なのですが、対象は1001人の成人、うち約280人が「週に少なくとも一度はThe Sunを読む」という人た ちでありました。

英国人の考える「望ましい社会」(ideal society)についてのアンケートは、テーマが「福祉」、「所得」、「教育」の3つ があって、それぞれに二つの「理想」が与えられ、「アナタの考える"理想の社会"に近いのはどちらですか?」とい うのが設問になっています。カッコ内はThe Sunの読者に限定した数字です。 


日本でも議論が盛んな「大きな政府(A)」か「小さな政府(B)」かということですよね。殆ど半々というわけですが 、A)のグループが意外にがんばっているんだ、というのが私の感想です。サッチャーさんからこの方30年、 英国はもっぱらB)を走ってきた。これを称して「近代化」(modernisation)というわけですが、別名「ア メリカ化」(Americanisation)でもある。おそらく世の中が動いている方向はB)なのだろうとは思いますが、A)は英国人たち が自分たちの社会に対するコミュニティ感覚の表れだと思う。それが結構根強いということ。 
 

「平等社会」か、「自由競争社会」か?という議論ですよね。これもほぼ半々ですが、The Sunの読 者に限ると、自由競争よりも、同じような生活レベルという方を大切と思ったいる人が少しだけ多い。これも英 国人のコミュニティ感覚の表れだと思うのですが、ご存知のとおりThe SunはRupert Murdochという社主のサッ チャー流保守主義の色彩が濃い新聞のはず。サッチャーさんの有名な言葉に「強欲であることは悪い事ではない」(There is nothing wrong with greed)というのがあるのですが、読者の庶民感覚はD)ってことなんですかね。 
 

ここがイチバンはっきり分かれましたね。やはり面白いのはThe Sunの読者のかなり多くが、技能教育よりも一 般教育が大切だと考えていることでしょうね。この場合のgeneral educationとは具体的にどのような教育のこ とを言うのか、私にははっきり分からない。が、学校では職業訓練ではなくて、社会とか歴史などを教えること が大切と考えている人が非常に多いってことですよね。20年前には、英国でも「そんなの甘い」と言われたもの ですがね。時代が変わって、The Sunの読者も豊かになったということか?

これら3つのアンケートを通して見えるように思うのは、英国の人々は一般的に言って、ギスギスの競争社会 にはついていけないと感じているということなのでは? 

▼MORIのアンケートには、「幸福度」調査も含まれています。個人の生活面での幸せ感覚です。「幸福」の定義は ともかくとして、「アンタ、幸せ?」と聞かれて、英国人は次のように答えたそうなのですが、それをアメリ カ人、日本人と比較すると次のようになる。 アメリカはGallup、日本はNTTナビスペースの調べで、いずれも昨年(2006年)行われたものです。
 

▼あなたはこの数字をどう思います?むささびは英米人の数字に「不自然さ」を感じてしまう。「幸せ」の数字が極端に大きくて「不幸」のそれが小さすぎる。日本人の数字はそこそこバランスがとれているように見える。はっきり言うと、英米社会の方が不自然で暮らしにくいのでは?ということ。

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5)どうでも英和辞書
A-Zの総合索引はこちら

yob: 不良・悪ガキ

yobという言葉をCambridgeの辞書で見ると
  • a young man who behaves in a very rude, offensive, and sometimes violent way
という説明が出ています。直訳すると
  • 非常に無礼で攻撃的、時として暴力に訴える行動をとる若者
ということになる。Google のイメージ検索を試してみたら上のような写真が出ていました。

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6)むささびの鳴き声
 
▼いつも「鳴き声」につまると助けを求める北九州・東八幡キリスト教会のサイトの中にある「巻頭言」というコラムを見たら本日(7月28日)付でトランプ銃撃事件について書いていました。題して「『神は自分の側にいた』ということについて」。筆者は奥田知志牧師(だと思う)。

▼奥田牧師によると「キリスト教右派」と呼ばれる人たちは、この事件を機にトランプへの共感をさらに強めたのだそうですが、その理由は(ロイター通信によると)「銃撃を受けながらも致命傷を免れたことについて(中略)『神から祝福された』候補との考えを強めており、選挙戦で宗教的な崇拝を奨励する動きが一段と強まっている」というわけです。巻頭言の牧師はさらに共和党大会におけるトランプ自身の言葉として次のように述べている(と言っている)。
  • (撃たれたが)直後に私は安全だと思った。なぜなら神が私の側についていてくれたからだ…。
▼この部分、むささびはトランプ本人が自分の言葉(英語)でどのように述べたのかが気になって調べたら、トランプ本人は次のように言っていた。
  • ...and yet in a certain way I felt very safe because I had God on my side. I felt that.(NY Times)
▼トランプは「神が私の側についていてくれた(I had God on my side)」と述べたうえで "I felt that" と付け加えている。おそらくトランプとしては自分の言葉が正確に伝わるように念押ししたかったのではないか?とむささびは推測するわけです。

▼この部分について奥田牧師は
  • 「神のおかげで助かった」と言うことは自由だ。「たまたまですやん」と言ってあげたい気もするが。
▼と書いている。つまりトランプに対しては「神のおかげなんかではないかもよ」と言ってみたい、と。しかも(牧師によると)トランプは助かったかもしれないけれど、この銃撃では一人が死亡、二人が重体となっている。つまり「トランプを守った」神はこの3人は放置したということになる。さらに奥田牧師は「射殺された20歳の容疑者を神はどう見ておられたのか」と問いかけたうえで「宗教者はこの問いに向き合うべきだと思う」と呼びかけている。

▼余りにも長くなるので、この辺で止めておきますが、巻頭言の最後の部分で奥田牧師が述べていることはキリスト教徒であろうとなかろうと、重要なポイントだと思うので挙げておきます。
  • 安易に「神が側におられた」と解ったようなことを言うのではなく「なぜ、私のような罪人が生き、彼は死んだのか」という「答えの無い問い」に謙虚に向き合うべきだ。
▼暑いですね。この号の表紙を飾ったボーダー・コリーのジョイスが「お父さん、いい加減でやめた方がいいよ」と言っている(ように見える)。失礼しました!

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