目次
1)スライドショー:「どうってことなくはない」写真集?
2)ハリス敗北の弁
3)再掲載①:トランプと英国人のうぬぼれ
4)再掲載➁: 英国大使が見た北朝鮮
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声
7)むささび俳壇
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1)スライドショー: 「どうってことなくはない」写真集?
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Facebookを見ていたら、写真愛好家のコーナーで "simple is beautiful" というのがありました。風景としてはどうってことない作品の集まりなのですが、この場合の "simple" という言葉にはどのような日本語を当てはめればいいのか…?あえて説明するならば「どうってことない」もたくさん集まると「どうってことなくはない」(ややこしい)
になってしまう…とでも言っておきます。いずれにしてもどれもこれも素晴らしい作品ばかりです。 |
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2)ハリス敗北の弁
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アメリカの大統領選挙で、民主党のカマラ・ハリス候補が共和党のトランプに敗れたのですが、むささびが興味を持ったのは、敗れたハリス候補が11月6日に母校のハワード大学で演説を行ったことだった。敗北が決まっている候補者が支持者を前にどのようなことを伝えるのか?アメリカ中が「トランプ勝利」に沸いている中で独立系の
The 19th というメディア機関だけがハリスの「敗北演説」をそのまま伝えていました。
"Good afternoon. Good afternoon everyone, good afternoon. Thank you
all. Thank you, thank you, thank you, thank you..." という言葉で始まるのですが、全文を日本語で掲載するには長すぎるので、むささびの独断と偏見により、面白いと思った部分だけを抜き出しておみせします。全文はここをクリックすると読むことができるし、演説の動画はここをクリックしてお聴きください。 |
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この選挙は私たちが望むような結果にはなりませんでした。私たちが投票を通じて戦いとろうとしたことを獲得する結果にはなりませんでした。しかし、です、皆さん、アメリカの約束がもたらす光は、私たちが諦めないで戦い続ける限りにおいて常に輝き続けます。
- The outcome of this election is not what we wanted, not what we fought
for, not what we voted for, but hear me when I say the light of America’s
promise will always burn bright, as long as we never give up and as long
as we keep fighting.
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皆さん、私はこの選挙および私たちの戦い方を大いに誇りにしています。選挙戦の107日間、私たちはコミュニティを作り、連帯を強めることに意識的な努力をしてきました。様々な背景を持って様々に異なる生活を送る皆さまが一緒になり、国を愛するという一点で団結しました。そこにはアメリカの未来のために戦い団結しようとする熱意がありました。
- Look, I am so proud of the race we ran and the way we ran it — and the way we ran it. Over the 107 days of this campaign, we have been intentional about building community and building coalitions, bringing people together from every walk of life and background, united by love of country, with enthusiasm and joy in our fight for America’s future.
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私たちが団結して戦えたのは、自分たちを分裂させるよりも団結させるような多くの共通点を持っていることが分かったからです。私には皆さんがこのような感情的経験をしていることが理解できます。私にはそれが理解できるけれど、私たちは今回の選挙結果という現実を受け容れなければなりません。私は本日、トランプ次期大統領と言葉を交わし、彼の勝利を祝福しました。私はさらに政権交代に伴う諸々について彼と彼のチームを助けるつもりであり、そうすることで平和的な政権交代が可能になることも伝えました。
- And we did it with the knowledge that we all have so much more in common
than what separates us now. I know folks are feeling and experiencing a
range of emotions right now. I get it, but we must accept the results of
this election. Earlier today, I spoke with President-elect Trump and congratulated
him on his victory. I also told him that we will help him and his team
with their transition and that we will engage in a peaceful transfer of
power.
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アメリカ人が自らの夢・大志・希望などを追求する未来を諦めることは決してしないでしょう。そこにおいてはアメリカの婦人たちが自分の身体に関係する決定に参加するのであり、政府が彼らに指図めいたことをすることはしないのです。我々は決して子どもたちが通う学校や道路を銃の暴力から守る戦いを止めないでしょう。我々は民主主義と法の支配、正義の平等などをを守る戦いを止めないでしょう。そこにおいては何人(なにびと)であれ基本的な権利を有すると同時にそれらが尊重されるような社会を守るのです。
- I will never give up the fight for a future where Americans can pursue
their dreams, ambitions and aspirations, where the women of America have
the freedom to make decisions about their own body and not have their government
telling them what to do. We will never give up the fight to protect our
schools and our streets from gun violence and America, we will never give
up the fight for our democracy, for the rule of law, for equal justice,
and for the sacred idea that every one of us, no matter who we are or where
we start out, has certain fundamental rights and freedoms that must be
respected and upheld.
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若い人びとに言いたい。毎日の生活で悲しみや失望感を抱いても構いません。が、分かっておいて欲しいのは将来は必ず良くなるということです。選挙キャンペーンにおいては、勝利のためには戦いが必要と訴えたのです。そして戦いには時間がかかるということです。かと言って勝たないということではない。大切なのは諦めないこと。世の中を良くするための闘いは決してあきらめてはならない。我々には力があるのですよ。
- To the young people who are watching, it is okay to feel sad and disappointed,
but please know it’s going to be okay. On the campaign, I would often say,
when we fight, we win. But here’s the thing, here’s the thing, sometimes
the fight takes a while. That doesn’t mean we won’t win. That doesn’t mean
we won’t win. The important thing is, don’t ever give up. Don’t ever give
up. Don’t ever stop trying to make the world a better place. You have power.
You have power, and don’t you ever listen when anyone tells you something
is impossible because it has never been done before.
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この演説を歴史学者のいわゆる「歴史の法則」について語ることで終わりにします。どのような時代にも必ず存在した法則です。それは『暗いときにこそ星が見える:only
when it is dark enough can you see the stars』ということです。私たちの多くが今や暗黒の時代に入りつつあると感じています。しかし、暗黒の時代にこそ大空を沢山の星で埋め尽くそうではありませんか。楽観主義と信念と真実と奉仕の精神が輝く星です。ハワード大学のモットー
"Veritas et Utilitas: Truth and Service" (真実と奉仕)を忘れないでください。
- And I’ll close with this, there’s an adage and historian once called a
law of history, true of every society across the ages, the adage is, only
when it is dark enough can you see the stars. I know many people feel like
we are entering a dark time, but for the benefit of us all,I hope that
is not the case. But here’s the thing, America, if it is, let us fill the
sky with the light of a billion brilliant stars, the light of optimism,
of faith, of truth and service. H-U [from Howard University’s motto Veritas
et Utilitas, which translates to “Truth and Service”.
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▼これらがすべて「きれいごと」であることは間違いないけれど、敗れたときにこそ「きれいごと」にこだわる必要があるのでは?その意味ではこの集会を組織した人びとの発想は正しかった。メディアの世界では「勝者」のみが語られがちですが…。 |
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3)再掲載①:トランプと英国人のうぬぼれ
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11月16日付の The Spectator のサイトを見ると、トップ記事の見出しが "Without America, Britain’s economy will stall" となっている。「アメリカなしには英国経済は止まってしまう」ということですよね。8年前の2016年、11月10日付の The Spectator
のトップ記事は "Donald Trump’s victory marks the death of liberalism"
という見出しになっていました。The Spectator は日本でいうと「文藝春秋」のようなもので、いわゆる「保守派」の代表格のような雑誌です。この二つの見出しに共通しているのは「保守的」ということだと(むささびは)思うのですが、それでは「保守的って何?」と言われると、分かったようで分からない。
ま、それはともかく2018年1月21日に発行された「むささび」の389号が、当時予定されて大いに話題になっていたトランプ大統領の英国公式訪問が中止されたことについて書いています。情報の出どころはやはり The Spectator だった。 |
むささびジャーナル389号(2018年1月21日)
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何も分かっていない
保守派のマガジン、The Spectatorがトランプの訪英中止についての英国人の反応について「何も分かっていないうぬぼれ人間たち」だとこきおろしています。記事の見出しは
- Britain’s epic vanity: do we really think Trump cares that much about coming
here? 英国の大きなうぬぼれ心:我々は本当にトランプがそれほど熱心にこの国へ来たがっていると思っているのか?
となっている。
「予行演習」のつもりだった?
英国におけるトランプの評判は全く芳しくない。大統領になる前からその右翼的発言が「英国の価値観にとっての脅威」(threat to British values)だから入国を禁止するべきだという類の議論があったし、大統領就任後はイスラム教徒の入国禁止、エルサレムの首都認知、英国内の極右組織とのツイッター交流 etc 数え上げればきりがないほどで、下院のオンライン署名では「トランプの国賓訪英に反対する」というものに約190万人が署名したり・・・。
そんな状態だから国賓訪問でバッキンガム宮殿に宿泊させるなんてとんでもないという状況だった。そこで(The Spectatorによると)英国のお役人たちが考え付いたのが実験的訪英、つまり訪英はするけれど首相とちょっとだけ顔を合わせておしまいというアイデアで、その中にアメリカ大使館の落成記念式も入っていたらしい。その程度ならロンドンで大規模な反トランプ・デモも起こらない、そのような実験後にいずれは国賓訪問ということで・・・国賓待遇のための予行演習というわけですね。 |
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マクロンを見ろ
ただ、The Spectatorに言わせると、そのような反トランプ世論の中で、そもそもトランプ本人が英国訪問を望んでいないのではないかというハナシが全く出てこないのはおかしい・・・「訪問するとしても一回で充分だ」などとトランプが考えているなどとは英国人は思ってもみない、と。
- 尊大でうぬぼれが強く、どんなにくだらないことでも自分たちの気分を良くするものであれば大切だと思い込む・・・(トランプをめぐる世論は)我々、英国人が持っているこのような性癖を見事に描き出している。
Nothing better illustrates our sense of self-importance, our priggishness,
and our ability to convince ourselves of rubbish if it makes us feel good.
それに対してフランスのマクロンを見ろ、とThe Spectatorは言います。マクロンは「反トランプ」をセールスポイントにして当選したような人物なのに、2017年の革命記念日(7月14日)にトランプをパリに招待しており、パリ市民もそれなりに歓迎していたではないか。国際社会における英国のライバルたちは、英国人のようにくだらない意地をはることはしないのだ・・・と。
特別関係、必要なのは英国
英国内の反トランプ人間たちのお蔭で訪英は中止され、その理由として挙げられたのがアメリカ大使館の移転問題だった。しかし本当の理由が、英国内の反トランプ人間たちが引き起こすであろう大騒ぎ(fuss and fury)を避けたかったことであることは誰でも知っている。英国は自分を歓迎していない・・・アメリカ大統領という世界一のパワフル人間がそのように考え、泣く泣く訪英を中止した・・・多くの英国人はそのように考えたがっている。
昔から大西洋を越えた英米関係は「特別」なものと(英国では)言われきた。しかしEU離脱という事態を考えると、英米の「特別な関係」(the so-called special relationship)を必要としているのは、アメリカではなくて英国の方なのだ、とThe Spectatorは強調している。この記事によるとトランプ本人は英国流の「威風堂々」(pomp and circumstance)たる公的な行事の類が大好きであり、スコットランド人の母親が王室に対して大いに親しみを感じていたと語っているのだそうですが、それは個人としてのトランプのハナシ。アメリカ大統領としての仕事の中では英国は優先順位(priority)の低い国になってしまう。なのに左翼の連中ときたらトランプの訪英が中止になったのは、自分たちが英国の名誉を守るために戦ったからだなどと大喜びしている・・・というわけで
- 我々は、なんと愚かで虚栄心の塊のような国民なのだろう。
What a silly, vain people we are!
というのがThe Spectatorの記事の最後の言葉です。 |
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▼トランプをアホ扱いする英国のその種の「世論」について、The Spectatorは「鼻持ちならない虚栄心に固まった自称・進歩的インテリ」であるとこき下ろしている。ではThe Spectatorは、トランプのどの部分を肯定しているのか?まさか世界一パワフルな国の大統領だから・・・ということではないよね。むささびの見るところによると、トランプを支えているアメリカの草の根人間たちは「虫唾が走るほど汚らわしい」けれど、大統領ともなると世界的な影響力があるのだから、とりあずは笑顔で迎えてあげるのが英国流・・・というのがThe Spectatorの正直な感想なのだろう、と。つまりThe Spectatorの「リベラル・インテリ」批判の方に英国人が抜け切れないでいる哀しい「虚栄心」を見てしまうわけ。 |
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4)再掲載➁: 英国大使が見た北朝鮮
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ロシアのウクライナ侵攻に北朝鮮が加わって話題になっているのですが、2013年2月末に発行された「むささびジャーナル261号」が、かつて平壌に勤務した英国大使が書いた彼の平壌印象記を紹介しています。英国と北朝鮮が正式な国交関係を樹立したのは2000年12月12日のことだった。 |
英国大使が見た北朝鮮
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いまいち得体のしれない国である北朝鮮について、かつて(2006年~2008年)平壌駐在の英国大使を務め、現在は国連を中心に外交コンサルタントをやっているJohn
Everardという人が、自分の眼で見た北朝鮮観察記を"Only Beautiful, Please"というタイトルで出版したのだそうで、この本の出版記念も兼ねて昨年(2012年)6月にアメリカのブルッキングス研究所とスタンフォード大学が主催して筆者を招いた講演会が開かれました。この人の眼で見た北朝鮮の人々の暮らしぶりについて話をするという趣旨で開かれたものです。
北朝鮮人の中国観
元大使のハナシもさることながら、スタンフォード大学における講演録に入っている「質疑応答」の部分が非常に面白い(と思う)。これも非常に長いものなので、全部を紹介するわけにはいきません。私自身が最も興味深いと思った部分のみ紹介します。それは北朝鮮の人々の対中国観に触れた部分です。 |
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大使によると、北朝鮮では中国人が非常に嫌われており、それにはいくつかの理由がある。一つには自国が中国に依存しているという現実が面白くないということがある。ただ北朝鮮人の中国嫌いはもっと基本的な部分で、人種的嫌悪感(basic
racial antipathy)のようなものがあるのだそうで、
- 北朝鮮人は何から何まで中国人が嫌いなのだ。変な臭いがするし、礼儀知らずだし、中国人の食べるものはアメリカの食べものよりもひどいと思っている。North
Koreans do not like Chinese in any form or description. They think they
smell funny. They think they’re rude and they think the food they eat is
even worse than American food.
北朝鮮人をゴミ扱い
さらに北朝鮮人の反中感覚を激しくさせているのが、中国人ビジネスマンの振る舞いである、と大使は言います。数多くの中国人ビジネスマンがさまざまな目的で北朝鮮に入っているわけですが、特にひどいのは工場を開設して朝鮮人を雇う中国人の態度で、全くゴミ屑扱いするのだそうです。それでも朝鮮人としては出て行けとは言えない。なぜなら中国のお金が必要であり、職場を生んでくれるのも中国人だからです。
John Everardはケンブリッジ大学で中国語を学び、北京大学で経済学を学んでいます。それだけに中国には詳しくて「親しくしている中国人もたくさんいる」(there are a lot of Chinese I really like)と言っているのですが、その彼によると、北朝鮮でビジネスをする中国人だけは「夕食は一緒に食べたくない」(you would not want to go to dinner with)類の人たちだそうであります。 |
平壌の英国大使館
ロンドンの北朝鮮大使館 |
では政府レベルで中国はどの程度北朝鮮に対する影響力を有しているのか?John Everardによると、それほどの影響力がないというのが現実なのだそうです。中国の政府関係者が北朝鮮の政府幹部に対するアクセスを有しているのは事実であり、例えば英国大使の眼から見ても平壌駐在の中国大使が金正日総書記に面会する回数はかなりのものがあった。しかし「アクセスがあるということと影響力があるということは全く別のこと」なのだそうです。
米国大使館が欲しい!?
また大使によると北朝鮮のエリートたちは、アメリカからの軍事的な脅威は全く感じていない。南の韓国が攻めてくるなどとも考えていない。なぜなら韓国は単なるアメリカの操り人形にすぎず、アメリカが同意しない限り韓国が北朝鮮を攻めるということはない、と考えられている。
ただ何と言っても北朝鮮が望むのは平壌駐在のアメリカ大使館で、これが開設されたら北朝鮮には大変なインパクトになる(tremendous effect on the country)。但し
- 北朝鮮が望むのは、まともな貢ぎ物の献上者としてのアメリカ人、人民の天国としての(北朝鮮の)優位性を認めるようなアメリカ人が平壌に存在するということである。One
of the great DPRK ambitions is to have Americans in Pyongyang as proper
tribute-bearers recognizing the superiority of the People’s Paradise.
ということで、これは当分の間はムリだろうと言っています。
大使はさらに韓国による、いわゆる「太陽化政策」(Sunshine Policy)が却って韓国側の「北」への支援を挫かせるものになった側面があるのではないか、と言っている。韓国人にしてみれば、あれほど援助をしたのに「何があったというのか?約束していたはずのソウルにおける首脳会談さえ開かれなかったではないか」というわけで、韓国サイドには苦い思い(quite a bitter taste)だけが残ってしまった。 |
日本製の中古自転車に人気? |
中古の日本製自転車
大使のハナシには日本と北朝鮮のことについて二つだけ出て来ます。一つはかつて少しは関係が良かった時代に日本から輸入された中古の自転車が今でも立派に活躍していること、もう一つは北朝鮮の人がよく口にすることで、第二次大戦において金日成主席が日本をほとんど片手で(almost singlehandedly)朝鮮半島から追い出したということ。ただ毎年、終戦の季節になるとロシア人が平壌のロシア人兵士の墓に花輪を捧げる儀式をするらしいのですが、その目的はロシアの助けがなかったら北朝鮮が日本に勝つことはなかったはずということを思い起こさせることにある(と大使は言っています)。
最後に、John Everardは北朝鮮が「危機の時代」(periodic crises)にあり、人々が方向感覚を失っている(people are disoriented)として次のように語っています。
- 北朝鮮は多くの意味で、17世紀~18世紀に啓蒙主義にさらされたヨーロッパと似ている。つまり伝統的な宗教がもたらす確かさが疑問に思われ、目の前の事実・現実によって自分たちの信じてきたものを見直さざるを得なくなっているということだ。これは多くの北朝鮮人にとって実に苦痛であると言えるが、同時にまた新しいもののやり方について語ることを受け容れる状態にあるとも言える。 In many ways, North Korea is like Europe at the beginning of the Enlightenment, that traditional religious certainties are being questioned and facts are coming to the fore that are making people reassess what they believe. And this is really quite distressing for a lot of North Koreans. It also means that right now that they will be particularly receptive to talking about new ways of doing things.
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▼現代の北朝鮮は既成の権威のようなものへの信仰が揺らいできており、17世紀~18世紀のころのヨーロッパと似ている・・・という大使の観察はとても興味がありますね。最近(2月9日)のThe
Economistが北朝鮮特集を掲載しているのですが、その中でも現代の北朝鮮には、かつてに比べると非常に多くの外部からの情報が入ってきており、そうした情報を自分たちの間でシェアすることに北朝鮮の人々が「以前ほどの恐怖感を持たなくなっている」(they
are less fearful of sharing that information)と言っている。これ、本当のことかもしれないですね。その一方で、”北朝鮮核実験「反対」、中国各地でデモ”(朝日新聞)というニュースも気になりますね。核実験をめぐる中朝関係については中国情報を詳しく掲載している浅井基文さんのブログも参考になります。
▼英国が北朝鮮との国交を回復したのは2000年のこと。正式な大使館を置いたのは2002年ですが、Everardによると、平壌に大使館を置くについてはロンドンの外務省でもいろいろと意見があったのだそうなのですが、当時の雰囲気が韓国の「太陽政策」に見るように北朝鮮もかなり雪解けムードであったこともあって、開設派の意見が通ってしまったとのことです。初代の英国大使はDavid Slinnという人、Everardは2代目で現在の大使は5代目でMichael Giffordという人です。
▼John Everardの観察によると、北朝鮮に食糧援助をしている組織としてWorld Food Programmeというのがあり、この組織や韓国から来た食糧援助の場合、大きな袋に組織名や韓国からの援助であるということが分かる大きな文字が入っている。しかし韓国などよりは沢山の食糧を送っているはずの中国の場合はそのような袋を使わないので、それが中国から来たものであることは普通の人には分からない。北朝鮮ではこの大きな袋というのが不足していて、食糧が配布された空き袋がいろいろな場所で使われる。ということはWorld Food Programmeとか韓国の言葉が常に普通の人々の眼に触れるというわけです。 |
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5)どうでも英和辞書 <A-Zの総合索引はこちら>
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MAHA :アメリカを健康に
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ドナルド・トランプの口癖に "Make America Great Again" というのがありますよね。略して MAGA
というわけ。そのトランプ政府の厚生担当大臣に就任したのが、あのロバート・F・ケネディ Jrで、「厚生担当大臣」を英語で言うと "Department
of Health and Human Services" ということになる。となると彼の仕事はアメリカ人の健康を預かること、つまり
"Make America Healthy Again: MAHA" であるとメディアが言っています。
ただこの人事には疑問符もついている。この人はワクチンの普及に否定的な態度をとり続けているのだそうですね。”long advanced the debunked idea that vaccines cause autism"(長い間否定されてきたワクチンが自閉症を誘発するという発想)と書かれたりもしている。 |
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6)むささびの鳴き声
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▼一週間ほど前のYahooに、かつて都知事を務めた舛添要一さんが「石破首相は安倍氏よりトランプ氏と良好関係築く」と断言したという記事が出ていました。なぜ二人の関係について「断言」までできるのか?それは(舛添さんによると)宗教のおかげである、と。「トランプも石破さんもキリスト教徒、だから…」というわけ。トランプとううまく付き合えた日本の首相の例として挙げられるのは故安倍晋三さんですが、安倍さんの場合はゴルフができたことが強みだった、と。
▼舛添さんによると、石破氏もトランプ氏もキリスト教プロテスタント長老派の信者なのだそうで、「だから行ったときに同じ聖書(を持って行って)、『私もこの宗派なんです』と、『同じ神様信じてます』で、全部終わる」のだとか。舛添さんはさらに続けてつぎのようにも言っている。
- 日本と宗教の重み違いますよ。プロテスタントの国ですよ。(石破氏は)そのプロテスタントの洗礼を受けて神を今も信じている、『自分が総理になったのは神のご意思だ』って言ってるんですよ
▼舛添氏とのインタビューの司会を務めた 人間が「トランプは石破首相がキリスト教徒であることを知らないのでは?」と聞いたところ舛添氏は次のように断言しています。
- わかりません。知らなければ日本大使館がさぼってるということ。ないし、外務省がさぼってる。
▼我が家においては、ミセス・むささびと3人の子どもたち(年齢的には全員おとなですが)はキリスト教徒ですが、むささびはそうではない。それにしてもトランプにしても石破さんにしても、お互いが同じ宗派であることが「政治」という世界(教会ではない)で舛添さんが言うような意味を持つのでしょうか?舛添さんご自身はどうなんです?
▼だんだん寒くなりますね。そろそろ失礼します。 |
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7)むささび俳壇
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