musasabi journal

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 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
568号 2024/12/1


目次

1)スライドショー:スコットランドを見る
2)英国下院、安楽死法案に支持多数
3)ロンドン - カルカッタ :2万マイル(バスの旅
4)再掲載:小沢一郎はどうなってる?
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声
7)むささび俳壇

1)スライドショー: スコットランドを見る

BBCのサイトから拝借したスコットランド関連の写真をお見せします。どちらかというと地味な景色が多いように感じますが、考えてみるとスコットランドというのは、自然であれ「町」であれ、もともとそれほど派手なエリアではないのですよね。

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2)英国下院、安楽死法案に支持多数

「英国下院が安楽死法案に支持多数」という記事は、日本のメディアでもかなり広く報道されましたよね。11月29日付のロイター電(日本語)によると、この法案については下院でも「激論を経て、330人が賛成票を投じ、275人が反対した」というわけで、
  • 英国の世論を二分する緩和ケアの水準を巡る問題に関し、今後数カ月にわたり議論が続けられることになった。
ということになっている。この法案では、医師から余命半年以下と診断されたイングランドとウェールズの精神的に健全な成人の末期患者は、医療の助けを借りて自らの命を絶つことを選ぶ権利が認められる。

賛成派は、この法案が末期患者の死期を巡って、患者本人により多くの裁量を与えるためのものだと主張。一方、反対派は、患者が家族や社会の重荷になることを恐れ、自ら命を絶つべきだと感じるかもしれないと懸念している。


世論調査機関のYouGovのサイトが、この件に関する英国世論の動向を伝えているのですが、"Three quarters support assisted dying law" というわけで、かなりの差で安楽死法案に賛成するという意見が多いようです。
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3)ロンドン - カルカッタ :2万マイル(バスの旅 )

上の写真は "Secret London" というサイトに掲載されているものを借用したものです。バスの車体にはくっきりと "LONDON - CALCUTTA - LONDON" と書かれている。写真そのものは1957年撮影されたものですが、その頃には英国・ロンドンとインドのカルカッタの間を走るバスがあったということですよね。距離にすると2万マイル(約3万キロ)で、50日かけて12か国を通過してのバスの旅であったそうです。


Secret Londonのサイトによると、ロンドン―カルカッタ間のバス旅行は、乗車賃が145ポンドだったのだそうですが、当時の物価が分からないので、この乗車賃が高いのか安いのかよく分からない。それでもこのルートは「ヒッピールート:Hippie Route」と呼ばれていたのだから、どちらかというと「変わった人たち」が楽しむルートだったのでしょうね。

当時としては世界一の遠距離バスルートで、ロンドンを4月15日に出発、カルカッタ到着が6月5日だったというから、50日かかったということですよね。通過した国はドイツ、オーストリア、ユーゴスラビア、ブルガリア、トルコ、イラン、アフガニスタン、パキスタンなどが含まれいたとのことです。


記事によると、バスはかなり乗り心地が楽しめる設計になっており、寝室、扇風機、音楽設備などが備えられていた。言うまでもなく、乗客が寝泊まりするのはバスだけでなく、途中の都市のホテルも含まれていたし、物好きはキャンプを楽しんだりも…。

記事によると、このバス・ルートは途中ルートの政情不安などもあって続かなくなったけれど、1968年にはアンディ・スチュアートなる人物が2階建ての「移動住宅」として買い取り、1976年に営業を終えるまでシドニー(豪州)からインド経由でロンドンまで走るというサービスまで提供したのだそうです。
 

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4)再掲載:小沢一郎はどうなってる?
 

「最近、小沢一郎という政治家の名前を聞かないなぁ」などと思っているのは、政治に疎いむささびだけなのでしょうね。10月27日に行われた衆議院選挙では立憲民主党から立候補して当選しているのですね。恥ずかしながらウィキペディアを頼りに調べると
  • 小沢 一郎は、日本の政治家。立憲民主党所属の衆議院議員。生まれは1942年5月24日 (年齢 82歳)、衆議院議員であった父の佐重喜の突然の逝去により、弁護士となるために通っていた日本大学大学院法学研究科を中退し、政治家となった。
と書いてある。岩手県の生まれ、むささび(1941年7月5日生まれ)より1才だけ若い。失礼しました!


それはともかく今から15年前の2009年8月16日に発行したむささびジャーナル169号に『小沢一郎がThe Economistの読者に訴えたこと』という見出しの記事が掲載されています。その記事によると、小沢さんは以前にThe Economistに自分の名前で投稿したことがあったのですね。1996年3月9日付の雑誌に掲載されたもので、この記事を投稿したときの小沢さんは新進党(New Frontier Party)の党首だった。エッセイのタイトルは "The Third Opening" (第三の改革)で、イントロは次のようになっています。
  • Ichiro Ozawa believes that Japan, for the third time in little over a century, needs radical reform. In this article, he explains why he finds the prospect exhilarating. 小沢一郎氏は日本は100年少しの間で3度目のラディカルな改革を必要としていると考えている。この記事では、彼がなぜ改革の展望が胸を躍らせるようなものなのかを説明している。


エッセイの本文は一人称で書かれています。小沢さんによると、第一の開国が幕末から明治維新、第二のそれが第二次世界大戦の終了時、そしていま(1996年)、日本は「第三の開国」(Third Opening)を必要としているというわけです。それは欧米から求められている市場の開放であり、国際社会において経済力にふさわしい役割を果たすということなのですが、日本自身の課題として「家族的で村落的な社会」(cosy village nature of Japanese society)という性格を乗り越える必要があると主張しています。

エッセイは非常に長いものだし、小沢さんの日本改造論はこれまでにもメディアによって語られているので、ここで要約してもあまり意味がない。そこでこのエッセイの中でも小沢さんがイチバン伝えたかった部分なのではないかと、むささびが想像する個所のみを紹介してみます。

「規制はやむを得ない」

まず規制緩和について、「日本は1000年以上にわたって規制社会(regulated society)であったうえに、国土は小さくて人間だけが沢山おり、しかも天然資源がほとんどないという社会なのだ」として、そのような社会では、みんなが少しのものを分け合う「欠乏の経済」(economy of scarcity)が支配するのであって、規制はやむを得ない(there have to be regulations)と言っています。

そして「現代においては公平(fairness)や平等(equality)が、個人の自由(individual freedom)よりも優先されている」と言ってから次のように主張しています。
  • We are a society without vast gaps between rich and poor, management and workers. We would like to keep it so, but not at the cost of stifling personal freedom and individual initiative. 日本は貧富の差がそれほどでなく、経営者と労働者という分け隔ても大きくはない社会であり、我々(新進党)はそのような日本を堅持したいと考えている。しかし、だからといって個人の自由やそれぞれの自発性を犠牲にしてもいいというのではない。
(むささびは)この部分がまず面白いと思うわけです。「貧富の差のない公平な社会」を維持することに重点を置くのであればpersonal freedom(個人の自由)だのindividual initiative(それぞれの自発性)の方は少々犠牲になっても仕方ない・・・という方が理屈としては合っているのに、小沢さんは後者を犠牲にした「公平な社会」は意味がないと言っているように(むささびには)思える。どちらかというと、公平や平等よりも自由に重きを置いている(ように見える)。


次に「規制社会」についてさらに面白いことを言っています。長くなるけれど、まあお付き合いを。
  • I know that most Japanese still feel uncomfortable and disoriented by the prospect of living in a society with few regulations and where each person will have to be more self-reliant and take greater responsibility for his or her own actions. 殆どの日本人は、規制のない社会、すなわちそれぞれが自立し、自らの行動に対してより大きな責任を持つことが要求されるような社会で暮らすということに居心地の悪さと場違いさを感じるであろう、ということが私には分かっている。
と言ったうえで「しかし21世紀に突入する日本にとっては、これしか生き延びる術はないのだ(Nevertheless, there is no other way for Japan to move into the 21st century and survive)」と結論づけています。つまり規制の緩和と個人の自由や自発性が尊重される社会を目指すと言っているわけです。

目指すは小選挙区制と二大政党制
最後に、規制が緩和され、個人の自由が優先される社会における政治のあり方について次のように主張しています。
  • We have to move from decisions by consensus, so called, into the essence of democracy, decision-making by the majority, with the minority accepting those decisions in the belief that today's minority will become tomorrow's majority. 日本はいわゆる「コンセンサスによって物事を決める」というやり方から本質的に民主主義的なやり方に進まなければならない。それは「多数決」というやり方である。少数派は多数決による決定を受け入れると同時に、今日の少数も明日の多数になるということを信じるということである。
つまり小選挙区制による選挙と二大政党制の実現ということですね。自民党流の「話し合い」によるコンセンサス政治との決別宣言です。

▼以上は小沢さんの投稿原稿のほんの一部です。いうまでもなく日本語は私が勝手に翻訳しただけのものです。私の日本語がどうなっているということよりも、小沢さんという人のアタマの中がどのような英語でThe Economistという雑誌の読者に伝わったのかということをお知らせするのが私の目的です。

▼このエッセイを読むと、ひょっとしてこういうのを「マニフェスト」というのではないかと思ったりします。具体的な政策とか有権者との「約束」のような身近なものではなく、理念とか理想を語るということです。だから抽象的にならざるを得ない。マルクス・エンゲルスの「共産党宣言」(Communist Manifesto)もこのような感じであったはずです。

▼それにしても、この寄稿を読む限り、「小泉改革」を10年早く宣言してしまった、という感じがしないでもない。このような寄稿の場合、小沢さん自身がどの程度まで書くものなのか、私には分からないけれど、掲載前にしっかり見て自分の考えを反映したものかどうかをチェックしたはずですよね。そうだとすると、市場開放と自由貿易を信奉するThe Economistのような雑誌がいかに小沢さんに期待したかが分かりますね。

▼日本のメディアは、民主党の鳩山さんについて「小沢院政に陥るな」とか言っているけれど、私の 想像によると、外国の首脳たちは小沢さんの「第三の開国」は「日本の政治家の発言にしては分かりやすいじゃん?」と思っているのではないか・・・。

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5)どうでも英和辞書

 <A-Zの総合索引はこちら>

I'm done: もう、うんざり


'Refused service yet again with my guide dog -
I'm done speaking out'

BBCのサイトを見ていたら、上のような写真とキャプションが出ていました。男性は25才で盲導犬の訓練を仕事にしている。彼が連れているのは訓練中のショーンという名前のワンちゃんなのですが、この写真はロンドン市内のあるレストランから出てきたところを撮影したものです。
  • 盲導犬と一緒に店に入ろうとしたら断られました。その話をするのは、もううんざりですよ。
盲導犬としての訓練を受け、その資格を有しているにもかかわらず、入店や乗車を拒否するのは法律違反なのですね。このコメント中の "I'm done" はあとに続く言葉の中身を「もううんざり」と怒っていることを意味します。

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6)むささびの鳴き声

▼NHKの早朝ニュース番組を聴いていたら、アメリカ東部のニューハンプシャー州で暮らす視聴者との会話を放送していました。午前6時前の時間帯だったこともあって、ぼんやり聴いていたのですが、ニューハンプシャーという州には「州のモットー」とでも呼ぶべきスローガンのようなものがあって、州が主宰する諸々には必ずこれがついて回るのだそうです。

▼例えば上のコイン。”NEW HAMPSHIRE 1788” という文字があって、その下に次のような文章が掲載されています。
  • LIVE FREE OR DIE
▼日本語に直すと「自由に生きる、さもなくば死を」ということに。アメリカで話をするNHKの視聴者によると、ニューハンプシャー州では、例えば州が発行する運転免許証などにもこのモットーが刷り込まれているのだそうです。ちなみにUSA TODAY のサイトには次のようなモットーが例示されています。
  • Idaho: Let It Be Perpetual 自由は永遠なれ
  • Arkansass: the People Rule 人民が支配する
  • Alaska: North to the Future 未来は北に
  • California: EUREKA
  • Colorado:Nothing without providence or deity 全てに神の意志が宿る
▼というわけで今年も終わりですね。例によって(凝りもせず?)干し柿を40個ほど軒下に吊るしています。
 

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7)むささび俳壇 
 
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