musasabi journal

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 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
571号 2025/1/12


目次

1)スライドショー:町へ行こう!
2)米歴代大統領の人気度
3)再掲載①:英国人と快楽欠乏症候群
4)再掲載➁:橋下徹の反・反ポピュリズム論
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声

1)スライドショー: 町へ行こう!


Facebookのサイトを見ていたら "Urban Street Photography" というグループが活動をしていました。自分自身が写真好きであるだけでなく、技術的にも写真家と呼ばれるだけのものを持っている人たちの集団のようでした。このグループについては、かなり前に「むささび」でも紹介したことがある(と思う)けれど、作品数も非常に多いので再度「スライドショー」として取り上げてみることにしました。題して "in the town"。

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2)米歴代大統領の人気度

1月7日付のアメリカの世論調査機関、ギャラップ(Gallup)のサイトに米国大統領の人気度調査が出ています。調査は2024年12月2日から18日にかけて行われたもので、1961年に大統領となったジョン・F・ケネディから数えて64年間に大統領を務めた10人の人気度を調べたもの。それぞれの大統領について
  • 優れている:outstanding
  • 平均以上:above average
  • 平均:average
  • 平均以下:below average
  • 劣る:poor
の5段階に分けた評価が与えられている。

トップはジョン・F・ケネディで「優れている+平均以上=70%」という高い評価を得ている。ロナルド・レーガン(共和党)とバラク・オバマ(民主党)に対する評価も決して低くない。

JF ケネディ(1961 - 1963)以来の大統領の人気度

ちょっと情けないのは現職の大統領であったジョー・バイデンで17%が「平均以下」、37%が「劣る」という評価を与えている。バイデンより評価が低いのは、ウォーター・ゲート事件(1972年)に絡んで大統領を辞さざるを得なかった、あのリチャード・ニクソンだけというわけです。

 
▼むささびが個人的な感覚として不思議な気がするのは、第2位につけているロナルド・レーガンでしょうね。映画俳優でカリフォルニア州知事だった人で、ポピュラーだったかもしれないけれど、それ以上に何かやったんでしたっけ!?
 
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3)再掲載①:英国人と快楽欠乏症候群



むささびジャーナルが出始めたばかりのころに "Pleasure Deficiency Syndrome" という人間の心理状況に関する記事が掲載されています。訳すと「快楽欠乏症候群」ということになる。掲載されたのは2003年11月16日に発行された第20号です。英国人の間に広がる、ある生活感覚について語っているもので、その頃の英国には
  • 「好きなことをやるのは良くない」という罪の意識とか、鉄のような自己規律意識が蔓延していて、何やら世の中全体が信仰心の厚いピューリタン社会、禁欲主義社会のようになりつつあるということですね。
というわけです。約20年前の英国の話です。

英国人と快楽欠乏症候群

むささびジャーナル第20号 2003年11月16日

英国における世論の動向を示す調査で、よく雑誌や新聞で使われるYouGovという機関が近頃2000人の英国人を対象に行った調査によると、英国人の間に「快楽欠乏症候群」(Pleasure Deficiency Syndrome)とでも言うべき兆候が見られるのだそうです。 何のことかというと、要するに「好きなことをやるのは良くない」という罪の意識とか、鉄のような自己規律意識が蔓延していて、何やら世の中全体が信仰心の厚いピューリタン社会、禁欲主義社会のようになりつつあるということです。

例えば好きなチョコレートは食べない、読みたい雑誌は読まない、好みの飲み物は口にしない等など。 YouGovによると、問題はそのような禁欲主義的的ライフスタイルが、労働の生産性を下落させ、友人関係・男女関係をダメにする働きをしているということです。


「好きなことをやらない」理由は何かという問いに対して27%が「費用が高くつく」、26%が「考えたことがない」と答えているのに対して、一番多かったのが「自己規律を守っているのだ」と答えたそうです。 「毎日好きなものを食べ、好きなものを飲んでいる」と答えた人はわずか8%。誕生日とか会社で昇進したとかのお目出度いときでも「はめを外して楽しいことをする」という人もたったの12%。しかも全員が「好きなことやれたらいいだろうな」と思っているにも拘らずやらないという結果が出ている。

女性の人間関係に詳しい心理学者のリンダ・パパドポラスという人によると「快楽欠乏症候群」(略してPDS)の特徴として「仕事における疲労感と退屈感、人生における無力感」なのだそうです。この先生は「常日頃から快楽を十分に楽しんでいないと、人間どこか調子がおかしくなる(malfunctioning)」と言っています。


以上の調査と同時に15人のボランティアを使って彼らの家庭における生活の一部始終を1週間、ビデオで記録することをやってみたのだそうです。その結果、記録され時間の69%を「やりたい」ことではなくて「やらなければならない」ことのために過ごし、「楽しいことをやる」ために過ごした時間は31%であったのだそうです。
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4)再掲載➁:橋下徹の反・反ポピュリズム論

2017年1月22日に発行されたむささびジャーナル363号『橋下徹の反・反ポピュリズム論』という記事が出ています。2017年というと第一期のトランプ政権が誕生した年です。英国では2020年のEU離脱 (BREXIT)に向けて保守派の雰囲気が盛り上がりつつあったときです。「むささび」が掲載したのは、その頃に毎日新聞に掲載された『橋下徹さんに聞く「トランプ現象」』という記事がきっかけだった。

「トランプ現象」という見出しを通じて橋下さんが語ったのは、当時のメディアが盛んに語っていた「ポピュリズム」は「大衆迎合」という日本語があてられることからしても、否定的に語られることの多い。ただ橋下さんによると、ポピュリズムを批判するメディアや知識人たちの態度は「上から目線」であり、それが大衆に嫌われたのだと主張しています。ポピュリズムを批判する人を批判する、反「反ポピュリズム」論ですね。彼の発言の中からポイントと思われる部分のみ数点ピックアップしてみます。皆さまのディスカッションの材料になるかもしれない・・・。



 1. 悪いのは「既存の政治」
既存のワシントン政治やEUのどこかに問題があるから国民はトランプ氏を大統領に選び、EUからの離脱を判断したのに、(メディアや知識人たちは)その国民の判断を低教育レベルの低所得者の感情的判断だ、ポピュリズムだと徹底的にバカにする。

2. 「良いポピュリズム」もある
国民の多数意思で政治をやっていくのが民主政治です。その場合、国民を徹底的に信じなければなりません。しかし国民の声も絶対的に正しいものではない。だからこそ修正を繰り返しながら正しいものに近づけていく姿勢が必要です。<中略>ポピュリズムが全て悪なのではなく、良いポピュリズムを目指さなければならない。

3. 「専制エリート政治」の方がいいのか?
ポピュリズムを悪とするなら、それと反対側にある「専制エリート政治」の方がいいのか。ポピュリズム、民主政治にはいろんな問題があり、ヒトラーを例に「民主政治は独裁政治につながる」という批判もある。しかし、専制エリート政治を振り返ると、旧ソ連のスターリン、北朝鮮の金一家、アフリカの独裁体制、そして中国と、これらの体制の方がはるかに弊害がある。

4. オバマの核廃絶論
例えば(オバマ氏の)広島訪問の時の核廃絶についての演説に、メディアは拍手喝采しました。でも彼はその裏で、30年間で1兆ドル(約110兆円)かけて旧式の核兵器を近代化する政策を承認しました。「核なき世界へ」というフレーズだけで実現可能性は検証せず称賛するのは危険ですね。

5. 右翼政党をポピュリズムだと一蹴するな
欧米では、国民生活に直結するところで不法移民やテロ、経済格差の問題がある。きれいごとを言っている状況じゃないのに、既存の政治家や知識層はその不平不満をきちんとすくい切れず、国民がノーを突きつけた。(右翼政党の)このような政治運動をポピュリズムだと一蹴せず彼ら彼女らの問題意識を丁寧に探り、合理的な解決策を見いだしていく。それこそが「寛容の精神」じゃないですかね。

6. ポリティカル・コレクトネス
(この選挙でアメリカ社会が分断されてしまったように見えることについて)選挙で分断されたのではなくて、元々そういう状況にあったんですよ。メディアや知識層は「ポリティカル・コレクトネス」というもので無理やり蓋(ふた)をしていただけ。その蓋をトランプ氏が開けちゃったということじゃないですか。社会の不平不満をとにかく隠し続ける政治もあれば、一回蓋を開けて、きちっと対処していく政治もある。僕は後者の方が本来の政治だと思う。きれいごとで蓋をして隠していくことは問題の先送りにしかならないと思いますよ。
 
▼橋下さんはよほどこの話題が得意と見えて、第二期トランプ政権が発足する2025年にも「ポピュリズムは悪くない」論を展開しています。それについては別のところ(「むささびの鳴き声」)で紹介します。

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5)どうでも英和辞書

Internet slang & abbreviations: インターネット上のスラング省略例

むささびなどにはよく分からないけれど、E- mailを始めとするネットの世界ではユーザーの都合による言葉の変更がとてつもない量で起こっているようです。下に書いたのはそのうちのごくごく一部です。ここをクリックすると、いろいろ出ています。はっきり言って、あまり見栄えのいいものではない(と思う)。

AFAIK: As Far As I know FAQ:Frequently Asked Questions
b4: before NP: No problem
BBL: Be Back Later OMG: Oh My Gosh
BTW: By The Way pls: please
CTN: Can't Talk Now  Y: Why
CU: See You YNT: Why Not

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6)むささびの鳴き声
1月6日付のYahoo Newsを見ていたら橋下徹さんの発言で「なぜ西側リーダーは"トランプ大統領"でなければならないか」という記事が出ています。雑誌「プレジデント」(2025年1月17日号)の掲載記事を再編集したものらしいのですが、要するに彼なりの「トランプ礼賛」を通じて「ポピュリズムは悪くない」論を語っているわけです。

▼橋下さんによると、今の世界はロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩総書記など、一筋縄ではいかないツワモノぞろい。
  • この顔ぶれを見てすぐにわかるのは、先進国の学校秀才タイプのリーダーでは到底太刀打ちができない、ということです。この時代にアメリカ国民が再び政権をトランプ氏に託したのは、自然だし賢明な選択だったと思います。
▼というわけです。橋下さんは、プーチンがウクライナでやっていることが正しいと言っているわけではない、と言いながら
  • ただ実存を伴わない理想や正義によって国民生活が破壊されたり、国民の命が奪われたりするなら本末転倒ではないかと言っているのです。時には高邁な理想を脇に置き、相手を交渉のテーブルに着かせる譲歩も必要です。
▼というわけです。むささびによるならば、橋下さんの「実存を伴わない理想や正義」という言葉を読むと眉に唾をしたくなってしまうわけ。寒いですねぇ!早く春が来ないかなあ!

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