musasabi journal

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美耶子の言い分 美耶子のK9研究 前澤猛句集
578号 2025/4/20

目次

1)スライドショー:にぎやか、反トランプ
2)あえて人気度比較:ケネディとトランプ
3)再掲載①:ゴルバチョフの憂鬱
4)再掲載➁:世界は良くなっている・・・?
5)英和辞書
6)むささびの鳴き声

1)スライドショー: にぎやか、反トランプ

トランプはアメリカ内外を問わず、若い人たちの間で受けが悪いようですね。BBCのサイトが反トランプのひと時を楽しむ人びとの写真を取り上げています。

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2)あえて人気度比較:ケネディとトランプ

アメリカの世論調査機関、Gallup のサイトが歴代の大統領の人気度を比較しています。米国大統領は1月20日に「正式就任」しますよね。世論調査機関、Gallup ではその日から数えて第一四半期にあたる4月19日までの期間における大統領の人気度を調査しており、下記に掲載するグラフがこれまでの結果を示しているのだそうです。1953年のアイゼンハワーから現在までの大統領の人気度を記録しているのですが、トップはJFケネディ(在任: 1961年1月20日 - 1963年11月22日)だそうです。

トランプ大統領についていうと、第一期目のときの支持率は41%であったけれど、二期目の支持率は45%と高くなっている。ただ4月1日から14日における数字を見ると、半数以上(53%)のアメリカ人が「大統領としては失格:53% of Americans currently disapproving of the way he is handling his job」と見なしている。ただトランプについて明らかなのは政党色で、共和党支持者の90%が彼を支持しているのに対して民主党支持者では支持者は4%しかいない。

アメリカ大統領・初期の人気度

▼トランプにとって悲しいのは、ここに挙げられている大統領への支持率の平均値("average for all presidents")が59%であり、就任初期の頃の大統領へのアメリカ人の感覚は好意的なのが普通なのに、彼については45%しか支持者がいないということでしょうね。
 
 
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3)再掲載①:ゴルバチョフの憂鬱



2010年10月27日付のThe Independent紙がAfghanistan: Russia steps in to help Nato(ロシア、アフガニスタンでNATOを援助)という記事を掲載しました。"The Independent has learnt..."というような書き出しで始まっている記事というのは大体において「特ダネ」であることが多いですよね。「本紙の知るところによると」というのですから・・・。それによると、ロシアはこれまでにもアフガニスタンの軍隊や麻薬撲滅軍の訓練などに取り組んでいるけれど、このほどNATO軍に対してヘリコプターを数十機提供することで原則合意したのだそうです。ロシアといえばアフガニスタンに攻め込んだ結果、今から21年前の1989年、屈辱的撤退を余儀なくされた苦い経験を持っているはずなのに・・・と意外な気持ちでこのニュースを読んだわけ。

で、同じ日のBBCのサイトがゴルバチョフ元ソ連大統領とのインタビュー記事を掲載しています。見出しは「ゴルバチョフ氏、NATOのアフガニスタン勝利はあり得ないと発言」(Gorbachev: Nato victory in Afghanistan impossible)となっています。BBCとのインタビューにおけるゴルバチョフの発言をいくつか紹介します。
  • アメリカがベトナムの二の舞いをしたくないのなら、アフガニスタンにおける撤退以外に選択肢はない(US had no alternative but to withdraw its forces if it wanted to avoid another Vietnam)。
ゴルバチョフによると、ソ連軍の撤退を前にイラン、インド、パキスタン、アメリカとの間で合意ができていたのだそうです。すなわち・・・
  • アフガニスタンが中立で民主的な国となり隣国およびアメリカ、ソ連との友好関係を築くという合意であり、我々はアメリカがこの合意を順守することを希望したのだ。We had hoped America would abide by the agreement that we reached that Afghanistan should be a neutral, democratic country, that would have good relations with its neighbours and with both the US and the USSR.
そして‥
  • アメリカは常にこの合意を支持すると言ってきていた。にもかかわらずアメリカは過激派を訓練することもおこなっていたのだ。この同じ過激グループが現在アフガニスタンやパキスタンでテロ活動を行っているのだ。The Americans always said they supported this, but at the same time they were training militants - the same ones who today are terrorising Afghanistan and more and more of Pakistan.


ゴルバチョフはまた現在のロシアの政治状況について次のように語っています。
  • 非常に心配だ。ロシアは全体主義から民主主義と自由の体制に向かって半分しか進んでいないのであり、戦いはまだ続くだろう。我々の社会には民主主義を怖れ、全体主義の方がいいと考える人々がたくさん存在するということだ。"I am very concerned, we're only half way down the road from a totalitarian regime to democracy and freedom. And the battle continues. There are still many people in our society who fear democracy and would prefer a totalitarian regime.
ゴルバチョフによると、プーチン首相率いる与党は「民主主義から遠のいて権力の座にしがみつくためには何でもするという状態だ」(doing everything it can to move away from democracy, to stay in power)とのことであります。
▼アメリカのアフガニスタン戦争を「ベトナム戦争の二の舞い」と言っているけれど、タリバンとベトコンという民族主義者を相手に戦争しているという点では似ています。ベトナム戦争の前提として「インドシナ半島の共産主義化」があり、アフガニスタン戦争の前提には9・11テロがあったのですよね。アフガニスタン攻撃のそもそもの目的はアルカイダを捕まえるということにあったはずなのに、いつの間にかタリバン攻撃が目的のようになってしまった。

▼ゴルバチョフは、ロシアにおける政治状況は民主主義とか自由などとは程遠いと言っています。素人ながら思うのですが、メドベージェフ大統領が国後島を訪問した理由には国内の政治状況があると考えるのが普通なのでは?

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4)再掲載➁:世の中よくなっている・・・?


この記事は「むささびジャーナル100号」に掲載されたものを再度お読み頂くものです。記事は古いかもしれないけれど、話題は全く古くなっていない。

戦争、テロ、核実験、貧困、差別、環境破壊等など、新聞やテレビの報道を見ていると、世の中悪いことだらけで、人類はどう見ても破滅の方向に進んでいるとしか思えない。しかし、それってホントですか?Indur Goklanyというアメリカ人が書いたThe Improving State of the Worldという本によるとThe world is richer and healthierつまり、昔に比べれば世の中ぜんぜん良くなっているのだそうであります。著者は国連の気候変動に関する政府間会議のアメリカ代表をつとめたこともある人です。

世の中よくなっている?
むささびジャーナル100号(2006年12月24日)

Indur Goklany:インデュル・M・ゴクラニー

まず食糧事情からいうと、貧困国における栄養摂取量は一日平均で2,666カロリーで、これは1960年代に比べると38%の増加で、それを反映してこれらの国々における人口はこの30年ほどで83%も増えているんですね。著者によると、貧困国における慢性的栄養失調率は45年前には3人に一人であったのが、今では17%に下落している。

世界における貧困問題はまだまだ解決には程遠いとはいうものの、1日1ドルで生活している「極端な貧困(extreme poverty)」は、1970年代には世界の全人口の16%であったのが、今では6%に減っている。1日2ドルという貧困人口もかつての39%から18%になっている。

平均寿命についていうと、中世の英国では22才、1800年の頃には産業革命のおかげもあって36才、1950年代では69才ときて、今日の英国人の平均寿命は78才にまで伸びているというわけです。中国の場合、1950年代で41才だったのが今では71才に、インドでは39才から63才にまで伸びている。今から100年ほど前の1900年当時の人類の平均寿命は31才だったのが、今日では67才となっている。


環境問題はどうか。筆者によると1858年、ロンドンのテムズ川が余りにも汚れと臭いがひどかったので、国会が一時閉鎖されるということまであったんですね。これをthe Great Stinkというのだそうです。今では考えられない。「考えられない」といえば1952年にロンドンで発生したスモッグによって4000人の人々が死んだとのことです。「霧のロンドン」どころではない。

著者はさらに、先進国がかつてない規模で自然資源を浪費しているというという「定説」にも疑問を呈しております。例えば現在の発電所で石炭1トンの発電量は100年前の12倍なんだそうです。それから先進国におけるエネルギーの消費量も過去150年間、1年あたり1・3%の割りで減ってきており、2006年の先進国における石油需要は好景気にもかかわらず減っている。

よく言われる地球温暖化問題については、確かにそれによって洪水が起こりやすくなるなどの問題はあるにしても、政府による関与のし過ぎは正当化できない、と著者は言っている。これから発展途上国における生活水準がどんどん向上してくると、温暖化は避けられず、ある程度の二酸化炭素の排出規制は必要かもしれないが、むしろ気温上昇に生活を合わせるほうが経済的(cheaper)だとのことであります。

要するにこの著者によると、文明がますます進歩すると、貧困や栄養失調はこの世から消滅するし、アフリカにおける乳児死亡率も今のアメリカくらいにまで下がるし、平均寿命もアメリカと同じくらいになるであろうとのことです。

以上はThe Improving State of the Worldの内容をかいつまんで紹介したThe Spectator誌の記事を、さらにかいつまんで紹介しました。実は私自身、まだこの本は読んでいません。が、保守派のオピニオンマガジンであるThe Spectatorらしく、過去数百年にわたって人類が達成してきた文明(この場合は西欧文明のこと)というものをもう少し評価してもいいのではないかと言っております。
 
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5)どうでも英和辞書

game of chicken:ゲーム・オブ・チキン

ゲーム・オブ・チキン(game of chicken)とは、自動車を真正面からぶつけ合い、どちらが衝突せずにギリギリの位置で止まれるかを競うゲームのこと。度胸試しのためのゲームや、ゲーム理論におけるモデルを指す。世界中の国々に関税をかけまくるドナルド・トランプのやり方については、これぞ「チキン・ゲーム」として危険視する向きが多い。

 
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6)むささびの鳴き声

▼今日(4月20日)はイースター(復活祭)です。日本ではあまり知られていないけれどキリスト教徒の国にとっては特別な日です。インターネットを頼りに調べていくと、イースターとは、十字架にかけられて亡くなったキリストが、その3日目に復活したことを祝う「復活祭」なのだそうで、国によっては学校が数週間休みになる国もあるそうです。つまり毎年4月20日と決まっているわけではないのですね。

▼キリスト者としてのユニークな言動が気になる北九州の東八幡キリスト教会の奥田知志(ともし)牧師がイースターに関連してどのようなことを語っているのか?ここをクリックすると教会主宰のYouTubeチャネルがあって、本日は奥田牧師がイースターについて解説していました。

▼牧師の言葉の中でむささびが一番強く印象付けられたのは「あきらめることをあきらめる」ということであり、牧師に言わせるとイエス・キリストは「世界一あきらめの悪い男」ということになる。

▼ぐんぐん春(夏?)めいてきましたね。今号の表紙ですが、ネコちゃんを囲んでいる花は「ネモフィラ」という名前だそうです。



 
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