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006 フィンランド・タンゴ!?

タンゴと言えば、どうしたって、これはもう、あなた、フィンランドっきゃない! 5月1日、フィンランド大使館の中庭でMay Day Lunchなる催しが行われ、私とむささびMも招待されて行ってきました。催しと言っても内輪のもので要するにバーベキューと同じで食べて・飲んで・よもやま話をして・歌って・・・という2時間だったのですが、天気が非常に良かったせいもあって心底楽しいものでありました。

が、私もむささびMも意外な発見をした2時間でもありました。 何が「意外」だったのかというと、タンゴです。よもやま話の間中、屋内では四六時中タンゴの音楽が流れていたのです。Why Tango in the Embassy of Finland!?とフィンランドの人に聞いたところWhy not Tango!? It's part of our cultureという答えでした。タンゴと言えばアルゼンチンに決まっていると思っていた我々には、この世にフィンランド・タンゴなるものが存在するということは全く考えてもいませんでした。

私が子供の頃にラジオでタンゴがよく流れていましたね。「藤沢嵐子とかオルケスタ・ティピカ・トーキョー」とか・・・わっかんねぇだろな、今の人には・・・。要するにタンゴも「憧れの西洋音楽」の一つとして大いにもてはやされていたのです。いつの間にか殆ど聞かれなくなってしまいましたね、日本では。それがフィンランド大使館で聞かれるとは思ってもいませんでした。 というわけで好奇心に駆られてあちらのサイトで調べてみると、ありましたね。「フィンランド・タンゴ物語」なるサイトが。

しかもフィンランド外務省の文化局が運営するサイトにあるのだから、これはもう本物に違いない。それによるとタンゴがアルゼンチン生まれの音楽であることに違いはないのですが、1910年代にヨーロッパに流れ込み、フィンランドにも現れたのですが、フィンランド・タンゴなるものがこの世に登場したのは1930年代だそうです。 音楽(メロディー)自体はアルゼンチンのタンゴと変わらないのですが、フィンランド・タンゴの特徴は歌詞にあるというのがヘルシンキ大学のクッコネン教授の見解で、歌詞の多くが「望郷」「遠い国への憧れ」などと言ったテーマに満ちているとのこと。また「移り変わる四季」も重要なテーマとなっているそうです。つまり長い冬が明けて明るい春が来た・・・という喜び。

それから長い秋雨と冬の暗くて長い夜は「失望」のシンボルとして使われているんだとか(フィンランド語が分からないのが残念ですが)。 最近ではフィンランドでもヒットチャートにのることはなくなってしまったタンゴですが、別の見方をするとそれほど普通の文化として浸透してしまったとも言えるわけで、ルーテル派(フィンランドの国教)教会の関係者の中にはフィンランド・タンゴのクラシックとも言える「お伽の国」(Satumaa)という曲を賛美歌に加えようという人もいるくらいなのだそうです(この曲は1955年にUnto Mononenというフィンランド人によって作曲されたものです)。そうなるとフィンランドではタンゴは単なる流行音楽ではないということになります
 

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