musasabi journal

むささびの鳴き声


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美耶子の言い分 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
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「日本の良さ」を押し付けないで

いつもNHKに対する不満を言いたててばかりでNHKの人には申し訳ないのですが、これもNHKを見ている証拠と思って我慢してもらいましょう。自宅の食堂でパソコンをやりながら背後の居間にあるテレビの音を聴いていたら、「いまや日本のラーメンが世界的にバカ受け」という内容のレポートをやっていました。ニュアンスとしては、「日本の文化がこれだけ愛されているのです。皆さん、日本に自信をもちましょう!」というものだった。見ました?

「ラーメン番組」が終わると9時のニュース。今度はイチローが話題。年間200本安打の記録がついに今年は達成できなかったというわけで、「イチローがアメリカ野球を変えた」というロバート・ホワイティングのコメントやアメリカの子どもたちがイチローのバッティングフォームをマネしているところを紹介したりして「日本人に自信を与えてくれた、イチロー、ありがとう!」というメッセージのレポートでありました。

私、ラーメンはメチャクチャに好きだし、イチローを見るためにシアトルのSafeco Fieldまで行ったほどであります。であるからして、そのイチローがアメリカ人に感銘を与え、パリの人たちが喜んでラーメンを食するということを知って悪い気はしない。が、頼むから「ほら、あんたも日本人でしょ、自信持とうよ、な、な、な!?」という雰囲気の報道だけは止めてほしい。ラーメンやイチローをそのように使って欲しくないわけさ。ラーメンが美味しいのは日本食だからではないし、イチローがすごいのは彼が日本人だからではない。

自分たちの文化が世界的に素晴らしいものであるということを強調する番組はどこの国のテレビにもあります。英国にもわんさとある。日本のテレビ局にだけ「止めろ」というのはアンフェアだから、一切止めろとは言いません。でも一晩で同じニュアンスの報道を二つもやるのだけはカンベンして欲しい。私は日本人であることに自信を失ったことなどないから、「自信持とうよ、な?そうだろ?だろ?」とか言われると、たちの悪い酔っ払いに絡まれているようで気持ち悪いことおびただしい。せっかくのネギ味噌ラーメンがまずくなる。

というようなことを考えていたら、TBSのラジオが日本で暮らすミャンマー人との会話を放送していました。そのミャンマー人は、日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、韓国にちらばって暮らすミャンマー人を対象にアンケート調査をやったのだそうです。一つの国につき50人のミャンマー人が対象です。質問は「アナタはいま住んでいる国にこれからも住みたいですか?」だったのですが、アメリカ、オーストラリアにいるミャンマー人は100%(つまり50人中50人)が「はい、そうしたいです」と答え、カナダにいる人の49人がそのように回答した。韓国にいるミャンマー人の場合は30人が「はい」で、20人が「いいえ」だった。日本はどうだったかというと、「これからも日本で暮らしたい」と答えたのは一人だけで、あとは全員、オーストラリア、アメリカ、カナダなどに移住したいと思っているとのことでありました。[2011/10/9]