むささびの鳴き声
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新聞のタブロイド化
2004年6月13日

新聞のサイズでタブロイド版というのがあるのはご存知ですよね。朝日・毎日・読売のような大きな新聞の半分のサイズのもので、日本での代表的なものとしては夕刊フジとか日刊ゲンダイなどがある。英国でいうとSunとかMirrorのような「大衆紙」(popular paper)と呼ばれる新聞がタブロイドで、Times, Guardian, Telegraphなど、いわゆる「高級紙」(quality paper)と呼ばれる新聞はいずれも大判の新聞(broad sheet)であったわけです。

それが最近になってちょっと様変わりしていて、英国ではTimesやIndependent、ドイツではDie Welt、アメリカではChicago Tribuneのような、それまで高級とされてきた新聞がタブロイド化する傾向にあるようなのです。殆どの場合、大判も残しながらタブロイド判も出すという二股なのですが、英国のIndependentなどは従来の大判を全てやめてタブロイドになってしまった。The Economistによると世界の主要新聞約30紙がタブロイド化に移行したか、これを検討しているのだそうです。

実際Independentの場合、小さい判になってから15%も売り上げが伸びているというのだから全面的な移行も当然でしょうね。 何故、タブロイド化するのかというと(当り前ですが)その方が売れるからです。では何故売れるのかというと、若い人たちに受ける・駅売りが売れやすい(電車の中で読みやすい)ということ。英国の場合、Independentはもともとどちらかというと若い層に人気があったけれど発行部数はイチバン小さいものだった。これがTimesあたりになると、お年寄りの読者もかなりいて、これを無視するわけにいかないというので、大判とタブロイドの両方を発行したりしている。

大判を出してきた新聞が、若年層に受けるとわかっていても全面的なタブロイド化に踏み切れない一つの理由が広告収入だそうです。大判に比べて半分のスペースなんだから、当然広告料金も少なくしないと広告主が納得しない。広告収入が少ないとなると、販売収入にあげなければならない。そのためには発行部数を増やさなければ・・・というわけですが、Independentのように22万部という小さな部数でやってきたところは比較的気軽・身軽に変われるTimesは65万部、Telegraphは90万部以上ともなると、なかなか気軽に変えるわけにはいかないということですね。

ただいずれにしても、世界的な傾向として、部数が伸びない新聞業界がこれからの読者である若者を狙ってタブロイド化の方向に動いていることは事実のようです。タブロイドといえば、セックスとスキャンダルのことしか載せない「はきだめ新聞」(gutter press)などと悪口を叩かれてきたものですが、最近では必ずしもサイズでは判断できないことになっているわけです。

では日本でも同じようなことが起きるのかというと、そうはならないと思います。これは私の考えに過ぎないので、それほど当てにはならないかもしれないけれど、日本の普通の新聞は殆どが宅配されていて、駅売りの割合は英国の新聞よりもはるかに低い。そうなるとタブロイド版にしてみても余り変わらない、どころか却って嫌われたりすることになるかもしれない。