我が家には4人(ふつう世の中では4匹と言うが)のワンちゃんがいる。ウチの出窓の下のもの入れで、母親(当然ワンちゃん)が産んだ4つ子である。私はその時助産婦役をやったので、自分の子供のような気がしている。獣医さんにみてもらって生まれてくるのは4頭であることは知っていたので、名前は4人分用意してあった。 一度に小さな子供が4人いて、それが人間の子供ならば自分の名前が4つの中のどれであるのかを覚えるのはそう難しいことではないだろうと思う。
しかし、こちらが何気なく呼んでいる名前を、我々人間の予想より遥かに短期間で小さいのに彼らは自分が誰なのかを覚えてしまったようである。確かに4人の名前の音の響きは4人4様でお互い紛らわしいものはないのであるが、「ボクはSamであってDDじゃないんだね!」と我々に確認することもせずに、どうやって覚えたのか今でも不思議でしょうがない。でも、「Sam!」とこちらが呼んだ時に、他の3人が一斉にSamの方を見る、ということはさすがになく、ただ自分じゃないという顔をするだけである。ここらへんの人間との違いが面白い。
動物が人間の「ことば」を覚える(聞き分ける?)仕組みに興味が引かれる。 老婆心以外のなにものでもないとは思うのであるが、実は私は「さむい」と言う言葉を家では意識して使わないようにしている。Samが「ボクのこと呼んだ?」と勘違いしてわざわざ起きて来たりするとわるいと思っているからである。「今日は冷たい日だね」というのは文法的には正しくないらしいが、私には文法よりもSamの方が大事なのである。
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