★今回のおしゃべりの前に、前号で書いたワンちゃん達の誕生場所を「出窓式戸棚の中」と言い換えさせてもらいたい。前号の言い方だとまるで彼らは外で生まれたみたいに勘違いされてしまいそう(やっぱり日本語は難しい?)なので。彼らは12年このかた、外で寝たこともタダの一回だってないだけでなく、雨の日は足が濡れるのを嫌がって庭に出ることもしない人達なのだから。
<ことばを教えること> 実は私、学生時代からも入れると38年間殆ど途切れることなく、しかもかなり細々と中学生・高校生に英語と数学を教え続けている「クチコミ・家庭教師」なのである。その番外編(?)として、小学生に英語を教えたり外国人に日本語を教えたりしていると言ってもいい。そして最近はこの番外編にかなり惹かれている。しかもこの二つには共通点があるように思う。学校の授業とは基本的には関係がなく、従って定期試験などというものに縛られずに済むので、内容もスピードも方法も個人に合わせて自由に調整できるという点がひとつ。
もう一つは両方とも「ことば」を身につける作業であるという点。 原則として「無意識」のうちに自然に身につく「ことば」というものを、「意識的」に身につける又は身につけさせるということの難しさが、「ことば」の醍醐味であり面白さだとも言える。教わる方は十人十色だから、こうすれば必ず全ての人に同じ効果が期待できるという方法などあろう筈がない。あるとすれば「耳にタコができるほどの反復練習」しかないのではないか。文法(理屈)でことばを教えるという方法が語学習得にどの程度効果があるものなのか、、、。
日本にいる最近の外国人は随分上手に日本語を話すようになっているような気がする。外国人が簡単に身に付けられる日本語習得法(or教授法)のマニュアルが何か特別にあるのだろうか?もしあるのなら、その方法を使って日本人に英語を教えたら、英語が話せる日本人ももっと増えるのではないか、と思ったのが、私が日本語を教えることに興味を持ち始めたきっかけであった。使う教科書については、日本語のテキストにも文法中心のものと実践中心のものの2種類であることにおいては、英語の場合と大差はない。日本の学校の英語教育との一番の違いと言えるのは、一つの文型を使ったいわゆる「パターン・プラクティス」をかなりしつこく沢山やる授業であるということである。
そしてどうやらこれが、日本語が話せる外国人が増えている「カギ」のような気がする。つまり逆から言えば英語が話せる日本人が増えない「カギ」とも言えそうなのである。 1クラス30人から40人の1時間授業で、しつこいくらいの口頭練習を現在使われているような英語の教科書だけを使ってやるためには、教師の相当綿密な準備と沢山の良く出来た例文(生徒が退屈しない、実際に使える例文)を準備しなければ、無理である。それが出来る英語教師が果たしてどれくらいいるだろうか、と考えると正直言って疑問である。教師用の充実したマニュアルを作るか、今の英語教科書を思い切ってパターン・プラクティスのしやすいものに変えるか、どちらかしかないと思う。
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