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美耶子の言い分
025 WINGのスタート

WINGとはWe Introduce Nihon-Go.の頭文字をとって付けた我々の新しい日本語グループの名称である。言葉を身に付けることは「翼(Wing)」を身につけるのと共通した何かがあるような気もしたのでグループ名を考えているときに思いついたこの名前は自分でも傑作だと自負している。

Wings(複数形)ではなくあくまでもWing(単数形)であるという点も実は「敢えて・・・」と言いたいし、TeachではなくIntroduceというところも実はこのグループの最大の特徴なのだと言いたい。 日本語を母国語としている日本人が、日本語を使って外国人に教えるいわゆる「直説法」というものに、以前から疑問を持っていることは既に書いたことがあるが、それだけではなく、日本語を教えるのは日本語のネイティブ・スピーカーである日本人が絶対だという、いわゆる「(逆)ネイティブ信仰?」を、私にはどうしてもそのまま飲み込むことが出来ないのである。

それで、自分が少し出来るようになった日本語を自分と同じ国の出身者に、共通の母国語を使って使い方や意味を紹介(Introduce)してもらう場として、外国人にも我々のこのWINGの場を活用してもらえたらと考えた。「日本人が教えるいっぽう」というこれまでの日本語ボランティア・グループの常識を、一度変えてみたいと思ったのである。それに、人に何かを教える事によって新たに気付く事もあるし、既に身に付いていることをより一層確実にできることも大いにありうることなので、どちらにしてもプラスではないかと考えたのである。

人の心を表現する言葉は一通りとは限らないだけでなく、100%正しい言葉使いや正確な文法知識を、日本に住む外国人の皆がみんな求めていると思い込むこと自体、余りにも一面的な考え方ではないか・・・。料理のレシピを教え合うように、言葉についても自分のレシピを紹介しあってみてはどうか・・・というのがこのWINGの発想なのである。従って当然WINGのメンバーにはいわゆる資格や権威というものは不要で、必要なのは唯一「自分のレシピを分けてあげたい」という気持ちなのである。

1月19日、いよいよWINGの具体的な活動が開始した。これからこの我々の実験的(?)な試みがどのように機能していくのか、じっくりと見てみたい。何よりも「楽しいと感じながら何かが身に付く・・・」をイチバンに心がけて行きたいと思っている。