第1号 2003年2月23日
home backnumbers むささび鳴き声 美耶子のコラム
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1)ブレア首相の対話集会から抜粋
2)フィンランド通信
3)短信むささびジャーナル
4)むささびMのコラム
5)むささびJのコラム
6)編集後記
1)ブレア首相の対話集会から抜粋: 2月6日BBC Newsnightより
2003年2月6日、BBCでブレア首相をスタジオに呼んで視聴者との対話集会を開きました。話題はイラク戦争。ここに出てくるJEREMY PAXMANはこの番組の司会者です
  • ブッシュのプードル犬

PAXMAN: The question referred to you by the way, Prime Minister, as Vice President and Honourable Member for Texas North. But it's not just him. I mean, when a great world figure like Nelson Mandela calls the British Prime Minister the American Foreign Minister - don't you feel embarrassed?

BLAIR: I've huge respect for Nelson Mandela. But I don't feel that I'm doing the wrong thing and I may not be doing the easy thing but I do believe I'm doing the right thing.

PAXMAN: So when people say you're a poodle..

BLAIR: Yeah, well you know, you can do that and be the Right Hon Member for Texas and all that. Look, it depends whether you want to deal with this at the level of humour and satire or whether you want to try and make sense of what are difficult issues. Now, look, I'm faced with a situation here where you know, we know the history of Iraq, we know these weapons of mass destruction. We can see in our own country for example what is happening with the problems of international terrorism. I simply tell you, you can believe it, don't believe it. Now hang on a minute. I just want to finish this thing. Because this is the reason I'm doing what I'm doing, even though I know that it is difficult and unpopular in certain quarters. It is a matter of time before these issues of chemical biological nuclear weapons which are now increasingly easy to get hold of with irresponsible, unstable states proliferating them. It is a question of time before that comes together with international terrorism in a devastating way for this country and other countries in the world. And, I've said this before, it may be, even if I'm the only person left saying it, I'm going to say it. It's a threat and a danger that we have to confront and there's no reason for these people to have these weapons in this way, there is no reason why they can't co-operate with the UN and these terrorist groups out there they are trying every day as we speak to get hold of this stuff and use it. These are not separate threats, they're related and linked.

いろんなことを言われていますが、ブレアさんとしても言いたいことは言わせてもらおうというわけで懸命ですね。まずLook(いいですか)ときて次にNow look(いいですか、あんた)…とかNow hang on a minute. I just want to finish this thing.(ちょっと待ちなさいよ。これだけは言わせてもらいたい。まだ終わってない!)などと懸命に話してきて、ついに出た(と私が思うのが) And, I've said this before, it may be, even if I'm the only person left saying it, I'm going to say it.(前にも言ったけど、とにかく独りっきりになってもこれだけは言っておく…)というわけです。

  • 「北朝鮮」について

PAXMAN: All right, let's take some of these other countries. I mean, you were asked about North Korea in the Commons last week and you said we have to confront North Korea about its weapons programme. Well when someone shouted when do we stop, you said we stop when the threat to our security is properly and fully dealt with. What does that mean?

BLAIR: It means that in respect of each of the countries that poses a threat with these weapons of mass destruction, we confront them and try and deal with it and you would deal with it in different ways in different countries.

PAXMAN: So you are willing to attack North Korea...

BLAIR: No, I'm not saying that. But what I am saying is that you cannot ignore the risk. North Korea is a country, its people are starving, that is virtually living on the export of ballistic missile technology.Their nuclear scientists are people who are working for other countries as well as North Korea and I'm simply saying to people, if you allow this stuff to proliferate, if you allow it to be traded in, and there are companies so-called supposedly respectable companies in the world trading in this stuff, the terrorists are trying to get hold of it - they will succeed at some point unless we deal with it.

PAXMAN: Prime Minister, you said of Iraq that it was only the threat of force that got the UN weapons inspectors back in there, and you're not prepared to say the same about North Korea which has, as you know, thrown out inspectors.

BLAIR: Well. I'm not saying that in respect of North Korea that I agree with them throwing out the inspectors. What I'm saying is you will adopt different strategies for different countries and the UN as you know will have a discussion about North Korea.

パックスマンが「イラクに対しては軍事力を使って査察を受け入れさせたのに、北朝鮮については武力行使を言わない。北朝鮮は査察官を追い出した国なんですよ」と詰め寄っているのに、首相は「国によっていろいろやり方がある:you will adopt different strategies for different countries」と言っています。何故、北朝鮮の場合は「事情が違う…」とういニュアンスのことになるのか…ここらあたりが私(むささび)にはよく分からない。

  • 結局石油なのでは…?

MALE: The difference between Korea and Iraq is it purely based on oil, because Iraq's an oil-producing country and Korea isn't.

BLAIR: No, let me just deal with the oil thing because this is one of the... we may be right or we may be wrong, I mean people have their different views about why we're doing this thing.

男性の聴衆が「結局石油なんでは?」というと、ブレアさん「それは絶対違う」と懸命に打ち消しています。we may be right or we may be wrongというような言い方ってよくありますね、日本語でも。

  • 「罪のない人々」が死ぬことについて

PAXMAN: She's asked you about deaths of innocent people, I mean as a Christian how do you feel about innocent people dying? As they always die in war?

APPLAUSE

BLAIR: That is why you avoid war if you possibly can, and that is why we went through the United Nations. Now there were innocent people, I'm afraid as well as guilty that died in Kosovo, and in Afghanistan. But in the end I felt on both occasions we had no option but to do this.

聴衆から「戦争では常に一般市民が巻き添えになる」という指摘があって「キリスト教徒として罪のない人々が死ぬということをどう思っているのか」と司会者が聞いたのに対して、「他に仕方がない…」というニュアンスのことを言っています。 というわけです。ここに入れませんでしたが、イスラム教徒の聴衆から「英国の最近の風潮ではイスラムというと悪の見本みたいに考えられることが多い…」と不満を述べている部分もありました。英国内のイスラム教徒の数は150万と推定されています。人口6000万(本当はもう少し小さいはず)として4%にあたります。確か日本におけるキリスト教徒の数は100万強と聞いたと思います。人口の1%以下。これを考えると4%というのは大変な数ですよね。


2)フィンランド通信
  • 人口520万にサウナ160万!?

フィンランドといえばサウナですが、フィンランド・サウナ協会のオフィシャルホームページによると、フィンランド全土にサウナと呼ばれるものが160万あるそうです。人口が520万であることを考えると、この数は尋常ではありませんね。全人口のほぼ3分の1弱ですよ。日本の人口は1億2000万ですが、温泉は4000万もありませんよね。

サウナは中世のヨーロッパではいたるところにあったんだそうです。それが売春などという好ましからぬ商売と結びついて結局消えてしまった。フィンランドでのみサウナは神聖な場所として扱われてきたといいます。フィンランドでは「サウナにいるのは教会にいるのと同じと思え」という言い伝えもあるんだそうです。その昔はサウナで出産もしたし、病気も治したし、料理までしたとされています。

サウナの入り方についてはご存知の方も多いはずですが、念のために言っておきますと、室温80−100度のサウナに10−20分も入っていると脈拍が120−150くらいになって汗だくになる。そのあたりで身体を冷やすのですが、冷やし方にもいろいろあって、冷水シャワーを浴びたり、湖で泳いだりするのが普通ですが、豪快にやりたい向きは凍結した湖の表面に穴を開けてそこに飛び込むという手もあれば、ひたすら雪のうえで転がりまわってもよいといいます。こういうことを最低2回、「通」ともなると10−15回も繰り返すんだそうです。

私は無理に「通」になりたいとは思いませんね。「凍結した湖の表面に穴を開けてそこに飛び込む…」なんて絶対カンベンして欲しい。ワカサギじゃないんだから…。

  • 人口1000人に携帯752台

サウナの数も凄いけれど、サウナというのが実際にどのようなものであるのかがよく分からない。もっと分かりやすい数字としては携帯電話の加入者数というのがあります。人口1000人あたりで752人で世界でダントツ、インターネットのホスト数(サイトの数のことか?)は人口1000人あたりで200とこれも世界一。

もう一つ「世界一」を挙げると理工科系の学生数が全体の27%(アメリカは14%、先進国の平均は15%)となっています。いかにもハイテクを国是としている国のようです。携帯の普及率についていうと、英国が人口6000万に対して携帯の利用者は4500万人(2001年末)、日本は1億2000万に対して5100万。日本の数字は2000年3月のものなので、今はもっと増えているでしょうね(例えばこの私でさえ持っています。どうやって使うのかがいまいちよく分からないんですが)。

フィンランドの場合は人口の8割…ここでいう「人口」には赤ちゃんも90歳のお年寄りも入っているわけで、日常生活の場で携帯を持っていない人を探すのが大変ということですね。

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3)短信むささびジャーナル

10億分の1の確率を当ててしまった人

南アフリカのゴーテンという町にあるシーザーという名のカジノで最近25万3000ポンドのジャックポットを当てた人がいる。投資金額わずかの14ポンド。まあこれだけなら稀とはいえギャンブルの世界にはよくある話であるけれど、この大当たりをとってしまったバーナー・クルーガーなる44歳のサラリーマン、実は昨年の1月にも同じカジノの同じスロットマシーンで24万ポンドの大穴を当てていたのである。つまり2年連続しかも同じマシーンでジャックポットを当てたことになる。 カジノ側によると同じマシーンで同じようなジャックポットが出るのは10億回に一度の確率なんだそうである。

2年連続の大当たりで記者会見までやってしまったこのサラリーマンは、賞金の使い道について聞かれて「仕事を辞めて家内と3人の子供達と一緒に海外旅行でもやりながらノンビリと余生を送りたい」と語っていた。 44歳で「余生をゆっくり過ごしたい」というのは少し早すぎるのでは?というのは当たらない人間の言うやっかみ的コメント!?

スパイと同じものを食べたいという趣味を持っている人ための料理本

英国のスパイといえばジェームズ・ボンドが属したMI6。で、ドイツの諜報機関はBundesnachrichtendienst (BND)という名前なのだが、このほどこの機関がTop Secret - Schnitzel for Spiesというタイトルの本を出版した。何の本なのかというとスパイが食べる世界の料理についての本なのだそうだ。 世界に点在するドイツのスパイたちからの情報をまとめて編集したもので、中にはちょっとした「話のネタ」風のセクションもある。

例えば砂漠地帯でのスパイ活動の際に非常に極端な気候下でも耐えられるウルトラ高性能スパイカメラを使ったのであるが、それを料理中にトルコ蜂蜜(Turkish honey)が入ったポットの中に落としてしまい、スパイ活動を中断せざるを得なかったという、やってしまった本人にしてみれば実にやるせないエピソードも掲載されている。

で、どのような料理が紹介されているのかというと、チーズとビールを混ぜてペースト風にして黒パンに乗せて食べるもの、ドンゴドンゴと呼ばれる中央アフリカの野菜と魚のシチュウなど。スコットランド駐在のスパイは羊の胃袋を使った詰め物、在イスラエルのエージェントはやたらとナイジェリアのハーブを使った激辛スープ(食したあと数時間は舌が麻痺するという)などを報告している。

この本はBNDが売っているグッズの一環でTシャツなんかも売っているらしい。 が、何故かこの記事を配信した通信社PAは、どうすればこれが購入できるのかには触れていない。まさか「秘密」ではないと思うけど。物好きな人はAmazon comで調べます?これ読んだだけで私にはスパイはじぇったい勤まらないってことが分かります。「梅干入りオニギリ」なんてのは、ないでしょうね…

ブランコの安全性に関するかんかんがくがく

ウィルトシャー(英国)にあるグレート・サマフィールドなる村の広場にあるブランコが除去される運命にあってもめている。というのもこのブランコはEUの安全基準による高さを上回っているんだそうです。BSEN1176という安全基準がそれで、座席と地面の安全な距離関係に関する基準を定めているのであるが、それによると問題のブランコは60cmほど高すぎるんだそうだ。

新しいブランコを入れるには2500ポンド(約40万円)もかかるとかで、村議会のトビー・スタージス議長は「ふざけるのもいい加減にしてもらいたい。ここのブランコはこれまで25年も使われているのにけが人は殆どでたことがない。安全を尊ぶということは分かるが、子供達を甘やかしすぎている」とかんかんに怒っている。

例によってこのPAの記事には「基準よりも60cm高い」とは出ていても、基準というのがどういう高さなのかを言っていないという不親切さがあります。でも子どもにとっては60cmの違いってのは結構大きいと思いません?スタージス議長のおっしゃるほど馬鹿げた規制でもないのでは?

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4)むささびMの「日本語はやさしくない」

近隣に住む外国人に日本語をボランティアで教え始めて2年とちょっとになる。日本語を学ぶ(教える)際の中身というのは、小学校で国語の授業としてやるものとも、中学・高校でやる国文法や古典文法とも、どこか違う。英語で「国語」も「日本語」も日本について言えば両方ともJapaneseなのに・・・。日本語とこのように付き合い出して、改めて「こんなに複雑なことをよく無意識で使っているものだ」と驚くことがしばしばである。

例えば日本語のテンス(時制)には「過去」と「非過去」の2種類しかないなんて、気がつかなかったし、「これ」「それ」「あれ」を正しく使うにはそれぞれの概念がなんであるのかを知らなければ、結構難しいものなんだという事など考えてもみなかった。 時制の使い方と「こ・そ・あ」の使い方で私が個人的に面白いと感じた例を紹介してみよう。まず、次の2つの文の違いは日本人ならばすぐに分かる。

☆日本に来るとき、おみやげを買いました。
☆日本に来たとき、おみやげを買いました。

前者は(おみやげを買ってから日本に来た)のであり、後者は(日本に来てからおみやげを買った)ということだ。それでは、次の文で正しいのはどっちか、果たして瞬時に分かるだろうか。

★家を出るとき、電気を消すのを忘れました。
★家を出たとき、電気を消すのを忘れました。

次に「こ・そ・あ」の使い方についての例文。基本的には、「こ」は話し手に近い場所を指すもので、「そ」は聞き手に近い場所を指すものという共通理解が日本人には無意識にあるとのこと。という理解のもとで、次の文を考えたら可笑しくて思わず笑ってしまった。誰かに背中を掻いてもらう場面を想像して

★A:「ここですか?」
B:「あ、そこ、そこ!」(???)

で、最後に私が日本語を教えているカナダ人から送られて来たメールの一部を紹介しよう。これを読むと外国語を習得するのって大変だなぁとつくずく思う。ローマ字で書いてあるので分かりにくい。しかしこれを日本語で並べてみても、そう簡単には解らない。が、このカナダ人のやる気は素晴らしい。

Harumisama, Sumimasen kono emailwa warui romajini kaita. Demo watshino nihongowa chotto waruito kono emailwa nihongoo wakaranai. Nichiyoubiiwa tanoshimi desune. Nanio motteimasuka. Yaaa hontoni warui desuyo.

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5)ラーメン+ライスの主張

余りかっこのいい話題ではないが、私は昔から麺類とご飯を同時に食するという習慣があり、それが故に家族の間で物笑いのタネになっている。うどん・そば・ラーメン・きしめん・・・麺類なら何でもいい。またご飯の方もオイナリさんあり、チャーハンあり、ただの白飯ありで、殆どなんでもいい。さすがにスパゲティは無理だろう。試したことはないけれど日本とイタリアは合わない。

奥さんの美耶子に言わせると、私の食べ方は炭水化物の取りすぎで身体によくないそうである。また私の子供(と言っても全員成人であるけれど)などは、私と一緒にラーメン屋に行くのを非常に嫌がる。何故なら自分の父親とおぼしき人間が、いとも嬉しげに「ラーメン・ライスと餃子」のようなメニューを平気で注文するのをそばで見ていること自体が堪えられない屈辱なのだそうである。彼らに言わせるとそれは「主食を二つ食べるのと同じ。そんなことをするのは化け物かアホかのどちらかに決まっている」というのである。

しかし、しかしである、そのような彼らこそが食文化の粋が分からない哀れな存在であるということは、むささびジャーナルの受け取り手のようなインテリというか洗練された味覚を持っている人ならお分かりのはずである。タンスイカブツだの何だのという技術用語・科学専門用語を使って、私を言いくるめようという美耶子の魂胆は見え見えというものである。

東京都千代田区内幸町というところにある日本プレスセンタービルの地下へ行ってみろと言いたい。讃岐うどん屋があって、そこでは「キツネうどん・おにぎり」「鍋焼きとチラシ」のようなメニューがわんさとあるのだ。 内幸町と言えば東京の真ん中、あの帝国ホテルから歩いて7分、生易しい学問では絶対に泊まれないあの帝国ホテルからすぐ近くにあるのだ、そのうどん屋は。そのことだけでも、私の愛するあの「うどんとオニギリ」が決して化け物の食事でないことは明らかではないか。帝国ホテルそのものが「ラーメンとライス(あるいはチャーハン)」というメニューを用意しているかどうかについては、私には分からない。仮にそれがなかったとしても、驚くほどのことではあるまい。どんな人間にも間違いというものはあるのだ。

が、しかしである、ウチの柴犬DDには敵わない。彼は何とスパゲッティとライスという取り合わせでも満足して食べるということが分かった。先日、美耶子のいない間に試してみたのである。あっと言う間に平らげてしまい「お代わり」という顔をしたのである。「イヌ畜生」とはよく言ったものである。

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6)編集後記
というわけであります。編集後記までお読み頂き本当に有難うございます。 「試作版」につきましては、「頼むから送らないでくれ」という人はいませんでした。そりゃそうだ、知っている人にそれはやりにくいですよね。そういうときは(私自身もやるように)静かにdeleteされているのでしょう。ホントは「欲しい人だけそのように言ってくれ」とやろうかと思ったんですが、それをやると返信ゼロという危険性があったのでやめました。だめもとでお願いがあるのですが、皆様の中でこのジャーナルに「投稿」してみようという人はいませんか?。Letters to Editorですな。PRあり・匿名あり・何でもあり。ないのは原稿料だけです。場合によっては私が骨身を削ってそれを英文にして「ここだけバイリンガル」に掲載することがあるかもしれません。結構まだ寒いですね。次号がいつ出るのか分かりませんが、それまでお元気で。

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