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musasabi journal
第127号 2008年1月6日

   
   

2008年最初のむささびジャーナルです。2008年と言われてピンと来なかったけれど、平成でいうと20年なのですね。つまり「昭和」が如何に遠くなったかってことですよね。小渕官房長官が「新しい年号は"平成"であります」と発表した、あの日から20年経つんです。

目次

1)「新年の誓い」をやらない誓い
2)祝日を増やす
3)子供のことに政府が立ち入りすぎる?
4)ブット元首相って誰だったの?
5)短信
6)むささびの鳴き声

1)「新年の誓い」をやらない誓い


BBCのサイトを見ていたら「新年の誓い」(new year resolutions)の守り方という記事が出ておりました。Steve Martinという心理学者が書いたもので、自らに課した誓いを守るためには、「他人に宣言する」「誓いを文字にす る」「誓いを守らないとどんな損をするのかを文字にする」「家族や親しい友人を応援団として巻き込む」等々、い ろいろと原則があるのだそうです。詳しくはここをクリックすると読むことができます。

この人の言っていることは、当たり前すぎて面白くないけれど、それに対する視聴者の反応を見ていると、英国 人も結構マジメなんだと思わされます。いろいろと涙ぐましい努力をしているようなのであります。体重を減ら したい、飲みすぎを止めたい、タバコを止めたい、幸せでいたい・・・いずれもご尤もでありますね。どれも「い まの自分を変えたい!」という願望めいたものであるのですが、どうしても「いまの自己を否定する」という堅 苦しさを伴う。そうなると次のような反応も出て来るわけであります。

私は10年前に「新年の誓いを止める」ことを誓った。その誓いはまだ破られていない。I made a New Year's resolution 10 years ago to stop making New Year's resolutions... So far I haven't broken it.

▼言えてる・・・。OxfordのDaveという人からの書き込みです。これ、考えてみると面白いポイントです。人間と いうものは、つい「誓い」をやりたくなる存在であるということです。誓わないと不安でしゃあない、ということ 。

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2)祝日を増やす


いま英国で祝日を増やそうという動きがあるそうです。12月26日付けのBBCのサイトに出ていたもので、国会議員の半数以上がこれに賛成しているのだとか。現在、英国には祝日が1年に8日あるのですが、欧州ではイチバン祝日が少ない国なのだそうです。フランスは11日、ドイツは15日、スペインは16日で、イチバン多いのはスロベニアの18日。日本の財務省のサイトによると、日本の祝日は2000年の時点で15日、アメリカは97年の資料で10日だそうです。英国が特に変わっているのは、夏とクリスマスの間に祝日が一つもないことで、こんなのは欧州でも英国だけだそうです。

ちょっと可笑しいのは、この祝日増加キャンペーンを行っているのが、旅行会社のThomas Cookであることで、確かに休日が増えれば彼らは得しますからね。国会議員150人にアンケート調査をしたのですが、何故かスコットランド出身の議員の85%がこれに賛成しているのに、イングランド出身の議員は54%、ウェールズ出身者となると51%しか賛成でないという結果になっている。

英国では、日本語のいわゆる「祝日」のことを、何故かbank holidayといいます。何故、「銀行の休日」というのか?分かりませんが、これが最初に始まったのが1871年にBank Holidays Actという法律が出来たときらしい。日本でいうと明治の初期。当初はイングランド、ウェールズ、北アイルランドでは4日、スコットランドで5日だったとのことです。

で、いまの英国におけるbank holidayは次のとおりです。

New Year's Day(1月1日)
Good Friday(イースターサンデーの前の金曜日)
Easter Monday(イースターサンデーの次の月曜日)
May Day Bank Holiday(5月最初の月曜日)
Spring Bank Holiday(5月最後の月曜日)
Summer Bank Holiday(8月最後の月曜日)
Christmas Day(12月25日)
Boxing Day(Christmas Dayの次の週日:通常は12月26日か27日)

イースターは基本的に「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われるため、年によって日付が変わる移動祝日である・・・とWikipediaには出ています。2008年は3月23日がイースターサンデー。ということは3月21日がGood Fridayで同24日がEaster Mondayで、それぞれ祝日ということになります。

ところで、英国は有給休暇の点でもヨーロッパの他の国に比べると少ないそうです。Incomes Data Servicesという機関のサイトによると、英国で認められている年次有給休暇は28日。オランダ(28〜29日)、アイルランド(29日)とともにEUでは最低を争っています。ちなみにEUで有給がイチバン多いのはデンマークの39.5日で、これに続くのがオーストリア(38日)、スウェーデン(36日)などとなっています。但し英国の28日には、bank holidayの8日が入っているので、それを除くと20日(EUが認める最低限度)ということになる。BBCのサイトによると、日本とカナダはたったの10日、アメリカはそもそも決まりがないそうです。

▼日本の場合、祝日が15日あるので、実際には年間25日は休めることになっている。でも「ことになっている」というのと実際に休暇をとっているというのでは違いますよね。厚生労働省の調査では、認められた有給をすべて消化するのは半分以下だとか。このあたりからちゃんとやらないと、日本の近代化は進まないのでは?

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3) 子供のことに政府が立ち入りすぎる?


現在、英国政府が進めている教育政策の一つに「子供たちの計画」(Children's Plan)というものがあります。2007年の12月に、文部大臣が議会に提出したもので、英国を「子供たちが育つのに最高の場所にする(the best place in the world for children to grow up)」ことを目標にしています。

いまさらこんなことを政策目標にするというのも妙な話で、いまの英国が子供たちにとって最高の環境ではないということを認めているようなものですね。この分野については芳しくないニュースが多いのは事実であります。昨年2月に国連のユニセフが発表した報告書では、英国が「先進国の間では、子供たちにとって最悪の環境(the worst place for children in the industrialised world)と決め付けられたりしている。この報告書では、例えば「学校友だちが自分に対して親切で、助けになってくれる」と考えている子供の割合が、英国が最も低いということになっている。

むささびジャーナルでも報告した、例のOECDの教育国際比較なるものでも、英国の子供たちのランクががた落ちという結果になっている。The Economistの12月13日号によると、これ以外にも「子供の貧困」「肥満」「若年妊娠」「若年のアルコールの取りすぎ」等々・・・あるはあるはという感じになっている。

そこで文部省が打ち出したのがChildren's Planという10年計画なのですが、The Economistの表現を借りると「本来なら親がやることを学校にやらせる(to get schools to do many of the things that a good parent would do)」ような政策が多いのだそうです。例えば:

  • 学期中に限り、全ての学校を朝の8時から夕方6時までオープンにして、子供たちにいろいろな部活動を提供する。
  • ソーシャルワーカー、健康管理者、コミュニティ警察などを学校中心活動するようにする。
  • 3〜4歳児のための無料保育のケア時間を12時間から15時間に延長する。

などがあります。 Children's Planはさらに、子供たちが5才になるまでに修得すべき事柄を規定し、学校に対して、進歩具合をモニターするように求めているのですが、その規定が、69項目にわたる「早期教育目標(early-learning goals)」と500以上の「発展道標(development milestones)」など実にきめ細かい。例えば:

  • 出来の悪い子供は手の指と足の指を使って遊ぶべし(under-ones should play with their own fingers and toes)
  • 1歳児は、モノを容器に入れたり出したりすることに熱中するようになるべし(one-year-olds should become absorbed in putting objects in and out of containers)
  • 読み書きは3歳から教え始めなければならない(Three-year-olds must start learning to read and write)

といった具合です。3歳から読み書きをというのは世界的にも極めて早いのだそうですね。

ただ、The Economistによると、この計画については批判も多いそうです。特に就学前の子供のケアをあまりにも枠にはめすぎるたり、学問中心にしてしまうと、大きくなってから情緒不安定とか行動に問題があるという人間になり勝ちだとする学者もいる。それどころか、いまでも就学年齢が早すぎるという声もある。現在のところ就学年齢は4歳だそうです。確かに早い。

何と言ってもChildren's Plan計画の最大の問題は、子供や家庭のことを何から何まで学校がやろうとするということにある、というのがThe Economistの見方で、結局何もうまくいかないということになると警告しています。学校は勉強を教えるところであるべし、というわけで、University of BuckinghamのAlan Smithers教授の次のコメントを紹介しています。

私の想像によると、2020年あたりに教育大臣が、新しくてエキサイティングな機関設立の発表を行ったすることになる。その機関は、子供たちに勉強を教えることのみに特化しており、その一点のみを最高のレベルで行うことを特徴とするものである。(I can imagine that in 2020 an education minister will announce an exciting new sort of institution that concentrates exclusively on educating children, and makes a virtue of doing that one thing superlatively)

で、The Economistの結論はというと「不幸とされている英国の子供たちにとっては、あまり干渉しないというのが最善の政策かもしれない」(Doing less for Britain's allegedly unhappy children might be the best policy)ということであります。

▼Children's Planについては、ここをクリックすると出ています。

▼野党の自由民主党のDavid Lawsという教育担当スポークスマンは「ホワイトホールのスクリュードライバーが、全国の学校という学校にまで届かなければいけないのか?(Is it necessary for the Whitehall screwdriver to reach into every school in the country?)」と言っています。ホワイトホールとは日本でいうと「霞ヶ関」のこと。スクリュードライバーという喩えを使っているのは、行政機関による学校の締め付けに対する批判のコメントということでしょう。

▼日本も全く同じような問題を抱えていると思いませんか?文部省が口を出すとロクなことがないということもあるのですが、私個人的には、日本の学校の「部活」なるものは本当に問題だと思いますね。少しは子供を一人にしてくれまへんか?と言いたいわけです。このように言うと、「子供たちがそれを望んでいるではないか」と反論されるのではないかと思うのですが、「子供が何を望もうが知ったことか」というのが私の考えであります。

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4) ブット元首相って誰だったの?


パキスタンのブット元首相が殺されたことについて、12月29日付けのThe IndependentのサイトにRobert Fisk記者による寄稿文が掲載されていました。この人は中東問題の専門家で、分析というよりも現場報告が多い記者ですが、自分の実体験に基づく記事が多いので、英米ではかなり名前の通ったジャーナリストです。The Independentへの寄稿文のタイトルはThey don't blame al-Qa'ida. They blame Musharraf(彼らは、悪いのはアルカイダではなく、ムシャラフだと言っている)となっています。ここでいう「彼ら」とは、ブット暗殺に抗議するパキスタンの人々のことです。

Fisk記者はまず、今回の事件についてのブッシュ米大統領が「過激派(extremists)」と「テロリスト(terrorists)」を非難したことについて、確かにこのようなことをするのは「過激派」であり「テロリスト」であるに決まっており、そのことをとやかく言うことはできない(you can't dispute that)けれど、ブッシュのコメントは、ブット暗殺の背後に「イスラム過激派」(Islamists)が存在するかのような印象を与える。実はそれほど単純なことではない、とFiskは言っています。

Fisk記者は、ブット暗殺についての英国の報道を「子供じみている」(childish coverage)だと批判しています。あまりにもブット元首相を英雄扱いしすぎているというわけで、Tariq Aliというロンドン在住のパキスタン・ジャーナリストがLondon Review of Booksという新聞に投稿したDaughter of the Westというブット元首相に関する記事で触れられているいくつかのエピソードを紹介しています。

ブット元首相の兄弟二人が1981年にパキスタン航空をハイジャックして、パキスタンにおける政治犯の釈放を要求したことがある。彼らの要求は聞き入れられたのですが、それは同じ飛行機にアメリカ人が乗っていたことが理由だとされている。ハイジャック犯の一人であるMurtaza Bhuttoという人は1996年に政治集会から帰ってきたところを警官に撃たれて死亡する。そのときの首相は姉のBenazir Bhuttoであり、殺された弟のMurtazaは、姉に対してパキスタン人民党(PPP)の理念への回帰を要求したり、姉が産業大臣(大いに金になる役職)に自分の夫を指名したことを非難したりしていた。彼女は弟の政治姿勢を快く思っていなかった。Murtaza Bhuttoの殺害についてTariq Aliは次のように書いています。

  • 狙撃犯が数人、この陰に隠れるように配置され、街灯が消された。事態を察したMurtazaは、手を頭上に上げてクルマから出てきた。彼のボディガードは発砲しないように言われていた。発砲したのは警官の方だった。7人から殺され、Murtazaもその一人だった。致命傷を負わせた弾丸は至近距離から発射された。A number of snipers were positioned in surrounding trees. The street lights had been switched off. Murtaza clearly understood what was happening and got out of his car with his hands raised; his bodyguards were instructed not to open fire. The police opened fire instead and seven men were killed, Murtaza among them. The fatal bullet had been fired at close range.
  • ワナは極めて巧妙に仕掛けられていた。しかしパキスタンではよくあるように、(暗殺)計画はおおざおっぱなものだった。例えば警察の車両登録が間違っていたり、証拠が紛失したり、目撃者が逮捕・拷問されたり、地元のパキスタン人民党系の知事が意味のない催しのためにエジプトに出張させられたり・・・などである。このおおざっぱ加減からしても、首相の弟の処刑が非常に高いレベルで決められたことは明らかだろう。The trap had been carefully laid, but as is the way in Pakistan, the crudeness of the operation ? false entries in police logbooks, lost evidence, witnesses arrested and intimidated, the provincial PPP governor (regarded as untrustworthy) dispatched to a non-event in Egypt, a policeman killed who they feared might talk ? made it obvious that the decision to execute the prime minister’s brother had been taken at a very high level.

Tariq Aliの記事が掲載されたのは、ブット元首相暗殺の約2週間前のことです。筆者が匂わせているのは、11年前の弟の暗殺に姉のBenazir Bhuttoが関与したのではないか、ということですが、The IndependentのFisk記者が、Tariq Aliの記事を紹介することで匂わせているのが、今回のBenazir Bhuttoの暗殺に政府がかかわったかもしれないという可能性です。11年前の暗殺事件後に目撃者の逮捕が相次いだそうで、殺されたMurtaza Bhuttoの娘さん(14才)が、当時のブット首相に「何故殺人犯が逮捕されずに目撃者が逮捕されるのか?」と聞いたところ「アナタは若いから、ものごとが分からないのよ」(Look, you're very young. You don’t understand things)というのが答えだったのだそうです。

The IndependentのFisk記者はまた、今回のブット暗殺の背景にパキスタンの情報機関、Inter Services Intelligence (ISI)のショッキングな力が働いているのではないかと言っています。記者によると、ISIは「金のためなら何でもやる腐敗した残酷な組織」(corrupt, venal and brutal)であり、ムシャラフ現大統領が、タリバンだのアルカイダのような「アメリカの敵(America's enemies)」を懐柔するときに使う組織でもある。

Fiskは次のような自問自答をしています。

ブット元首相のパキスタンへの帰国を阻もうとしたのは誰か? 

答:ムシャラフ将軍
12月に入ってブット支持派を数多く逮捕させたのは誰か?  答:ムシャラフ将軍
12月に入ってブット元首相を自宅監禁にしたのは誰か?  答:ムシャラフ将軍
12月に入って戒厳令をしいたのは誰か?  答:ムシャラフ将軍
ブットを殺害したのは誰か? 答:あー、つまり、そういうことだ Er. Yes. Well quite.

ブット殺害に関連して、パキスタン人民党の支持者たちが行う抗議デモで「ムシャラフこそ殺人者だ」と叫びが聞かれることについて、テレビ報道では「ムシャラフ大統領が十分な警護をしなかったことへの不満」と報道されているけれど、これは間違いで「彼らは、ムシャラフがブットを殺したと信じているから、そのように叫んでいるのだ」(They were shouting this because they believe he killed her)と、Fiskは言っています。 上の自問自答の最後の意味不明なEr. Yes. Well quite.は、そのことを指します。

▼ブット暗殺については、さまざまな人々がさまざまなコメントを行っていると思いますが、この記事で紹介されているTariq AliがLondon Review of Booksに寄稿したDaughter of the Westというエッセイは、ひょっとして必読ものの一つかもしれません。本人がパキスタン人であるということもありますが、殺されたブット首相について実に細かく報告しています。殺害される前に書かれ、掲載されたものなのですが、何やらそれを予告しているようなニュアンスです。

▼Tariq Aliによると、ムシャラフとブットを見合い結婚(arranged marriage)させるべく、仲人の役割を果たしたのがアメリカ国務省のネグロポンテ副長官を中心とするグループ、ブット元首相(花嫁)の付添い人の役割を果たしたのが、英国のブラウン首相であったそうです。

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5)短信


シャックリが止まらない!

イングランドのLincolnに住むChris Sandsという24才の青年が、2007年2月以来、シャックリが止まらずに困っております。PA通信の記事によると、息を止めたり、驚かされたりという昔ながらの方法は全部やったけれど効果なし。もちろん医者へも行ったのですが、CTスキャナーだのナンだのとハイテク治療の効き目もない。医者によると、「肉体的にはシャックリが止まらない状態に慣れてきている」のだそうですが、本人にしてみれば苦しいというわけで、現在、ネットの交際サイトであるMySpaceを通じてヘルプを求めているんだとか。ちなみにシャックリが止まらなかった世界記録は、アメリカのアイオワ州にいたCharles Osborneという人の68年(1922〜1990年)だそうであります。

▼もちろん気の毒なニュースではありますが、世界記録の68年というのはすごい。要するにシャックリが止まらなくても死ぬことはないってこと?

酔っ払い運転に鬼の保安官

酔っ払い運転手にとって、アメリカのアリゾナ州、Maricopa CountyのJoe Arpaio保安官は「全米ナンバワーンのおっかない保安官」(America's toughest sheriff)だそうです。何がおっかないのかというと、罰則が厳しいというか変わっているというか・・・。刑務所に服役中にアルコール関連で死亡した人の埋葬作業を、公衆の目の前でピンクのパンツをはいてチェーンで数珠つなぎにされてやらされるのだそうであります。この郡にはアルコール中毒のホームレスが死亡するケースが多発しているんだとか。「ピンクは好きでないけれど、我慢はできる」というのが、これをやらされた酔っ払い運転手のコメントで、刑務所にいるよりは、ピンクのパンツでも外に出ている方がましなのだそうです。

▼はっきり言って、この保安官、変質者ではないんですかね・・・。

ナビゲータに頼りすぎた失敗?

イングランドのグロスターシャーの社交クラブが、昨年(2007年)のクリスマスにショッピングを楽しむ日帰りバス・ツアーをやった。参加費は150ポンド(約2万円)で行き先はフランスのLilleという町だった。が、50人の参加者が連れて行かれたのが、ベルギーにあるLilleという町だった。バスの運転手がナビゲーションにLilleと入れた際に、ベルギーとフランスにある同じ名前の町が出てきて、間違ってベルギーの方へ行ってしまった。ベルギーのLille(人口15000人)とフランスのLille(人口220000人)はほぼ200キロも離れた位置関係にあったので、フランスの町へ駆けつけたときには店が閉まっていて、買い物も殆どできなかったのだそうです。参加者は「おかしいと思って運転手に言ったのに、まるで聞き入れなかった」と文句を言っています。

▼それにしても、クリスマスの買い物ツアーに「バスを連ねて」フランスへ行くんですね、最近の英国人は・・・。

6)むささびの鳴き声

▼イントロからの続き。最近5人の中学生と話をする機会があったのですが、14才の彼らは平成しか知らないのですよね。私の両親は明治の生まれだったので、大正も意識的に生きた時代であったはず。でも私(昭和16年生まれ)には明治も大正も霧の彼方であった。彼らが、いくら「明治は遠くなりにけり」とか言っても、私には彼らの心情は分からなかった。と、同じことが、あの中学生たちと私に言えるわけでありますよね。

▼全員が携帯を持ち、それで音楽を聴いている。「マジかよ」「どんだけ」「こくる」「ドンマイ的」・・・言葉もさっぱり分からない。「アイツはさ、こくられても、どう対応していいかわかんねえんだよ」って分かります?女の子から「告白」されても、どうしていいか分からないという状態のことだそうです。外国語です、殆ど。

▼その5人に「大晦日に紅白歌合戦を観た人は?」と聞いたところ、4人が「全く観なかった」と答え、一人だけが、歌手の名前を2〜3人(私は全く知らない)あげて、その人たちの歌だけは聴いたと言っておりました。この番組こそ「昭和」の代表選手みたいなものですよね。

▼いつまで続くか、よく分かりませんが、今年もまた、むささびジャーナルにお付き合いをいただき有難うございます。

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