2008年5月はロンドン市長選挙の月です。ご存知のとおり、現在の市長は労働党推薦のKen Livingstoneですが、5月に彼に保守党候補として挑戦するのはBoris
Johnson、第三政党である自民党から出るのはBrian
Paddick。Livingstoneはロンドン市長が選挙で選ばれるようになった2000年に独立候補として立ち、ブレアらが推す労働党候補を破って当選した人です。もともとが労働党左派だったことがブレアらに嫌われたのですが、2004年の選挙では、ブレアらが折れて労働党に復帰したというわけ。
Boris
Johnsonは保守派のオピニオン雑誌、The
Spectatorの編集長で、名門イートン校出身のいわば保守の見本のような人。The
Economistはこの人のことを「エキセントリック」と呼んでいます。自民党のPaddickは元警察官なのですがゲイなのだそうです。この人、南ロンドンのある区の警察署長をやっていたときに、麻薬のカナビスに対して柔軟な態度をとったということで、物議をかもしたことがある。
Livingstone現市長ですが、ロンドン中心部へ乗り入れるクルマを対象にした渋滞税(congestion
charge)を導入し、市営バスの運行ルートを拡大、貧困層のための住宅建設を促進したりなど、いろいろと目立つ業績を上げて人気を博しています。2012年のオリンピックの開催に向けて、中央政府に新しい交通システム建設のための費用負担を約束させたのもLivingstoneです。
何せかなり個性の強い人であることもあって、彼の政治を批判する人も結構いるのだそうです。例えば、渋滞税は市長が言うほどには渋滞緩和に繋がっていないとか、ロンドンの行政府であるGreater
London Authorityの財政基盤である地方税を上げた(ここは確認の必要アリ)ことも評判がよくない。さらに摩天楼を作りたいという彼の「開発好き」(enthusiasm
for development)についても、「市内ばかりに目を向けている」と文句をつける人は多いのだとか。次に問題発言がいろいろある。駐英アメリカ大使が大使館スタッフの渋滞税の支払いを拒んだときに「あのいかさま野郎」((chiselling
little crook)呼び、ユダヤ系の新聞記者を「ナチの親衛隊」と呼んだりした。
と、いろいろあるのですが、Livingstoneが政治家としては手ごわい(formidable)人であることは間違いない(とThe
Economistは言っています)。
一方、保守党のBoris Johnsonも結構物議をかもす人物で、一度は保守党の国会議員をつとめたこともあるのですが、女性関係が理由で、当時のHoward保守党党首によって主要議員(front
bencher)の席から外されたりした。さらには「楽しみ感覚」が過ぎるということで、ロンドンのように、深刻な社会問題が多い大都会の市長には向いていないという人もいる。Johnsonを市長候補に推したのは、保守党のキャメロン党首。Johnson氏がメチャ負けすると、彼を推したキャメロンの面目丸つぶれということになり、市長に当選したとしても、仕事をまともにやらないと、その仕返しが保守党の方に来てしまうと心配する保守党関係者もいるのだそうです。
どっちへ転んでもいいことないという感じですが、1月3日のYouGov世論調査では、Livingstone現市長への支持率は45%、Johnson候補は44%も殆ど並んでいる。だからJohnsonのメチャ負けはないようです。ただBrian
Paddickだけは殆どアウトだそうです。
ロンドンの市長は、東京都知事とかニューヨーク市長などに比べると権限は小さいとされていますが、それでも現在のロンドンの市としての予算は106億ポンド(2600億円)というのは、Livingstoneが最初に市長になった2001-2002年予算が38億ポンドだったことを考えると、仕事そのものは大きくなっている。The
Economistによると、ロンドンの予算の殆どが交通・警察関係に使われるのだそうです。
ロンドンの市長選挙には市民は余り関心がなく、前回(2004年)の投票率は37%だった。しかしLivingstoneとJohnsonという極めて個性の強くて何かと物議をかもす二人の争いは、ロンドン市長選挙としては初めて「手に汗握る」(gripping)ものになるかもしれない、とThe
Economistは言っています。
▼英国の場合、市長が選挙で選ばれるという町は余りない。BBCのサイトによると、現在市長が選挙で選ばれるのは、13市(London,
Bedford, Doncaster, Hackney, Hartlepool, Lewisham, Mansfield,
Middlesbrough, Newham, North Tyneside, Stoke-on-Trent, Torbay
and Watford)だけだとか。それ以外の町での地方自治はどうなっているのかというと、議会で多数を占める政党(与党)が選ぶCouncil
Leaderというのが市長の役割をするのだそうです。日本の首相と同じですね。英国にもアメリカとか日本のように市長を直接選挙で選ぼうという動きもあることはあるけれど「一人の人間に権力が集中しすぎる」(it
concentrates too much power in one person's hands)ということで拒否反応が大きい。
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何故か、私、アフリカが気になるこの頃であります。本当に何も理由はない。で、英国王立アフリカ協会理事であるリチャード・ダウデンという人が、2005年3月のNew
StatesmanにTo
save Africa we must listen to it(アフリカを救いたければアフリカに聞け)という記事を寄稿しています。とりあえずこの記事を読んでみました。
私のような全くの素人には、多少分かりにくいけれど、「アフリカのことはアフリカ人が決めるのだ」というメッセージだけははっきりしています。
それから、アフリカ人たちが最も怒るのは「我々ヨーロッパ人は、植民地主義者であったかもしれないが、アフリカではいいこともしたのだ」という欧米の言い方であるということも強く書いてあります。
とはいえ、この記事をいつものセンで要約するのは無理であります。私自身のアフリカに対する知識がなさすぎます。というわけで、要約ではなく、全部翻訳することにしました。それしか仕方ないからです。もし興味がおありの際は、ここをクリックしてください。うまくいかない場合は、私宛お知らせください。メールで送ります。
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