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美耶子の言い分 美耶子のK9研究 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
musasabi journal
第128号 2008年1月20日

   
   

寒いですね・・・と言っても、埼玉県や東京は氷点下ということが殆どないので、北海道の皆様からすると、問題にもならないかもしれない。でも寒いことは寒い。最近は夕方になると富士山がくっきり見えることが多いですね。冬は寒くてイヤですが、鍋料理がいろいろ食べられるのは有難い。というわけで、2008年2回目のむささびジャーナルです。

目次

1)日本食礼賛ブログ?
2)日本型サラリーマンの死
3)5月はロンドンの市長選挙
4)アフリカのことはアフリカに聞け
5)成人の日の社説
6)短信
7)むささびの鳴き声

1) 日本食礼賛ブログ?


The Observer紙のサイトを見ていたら、Graham Hollidayという食品担当記者のブログが出ていました。話題は「肥満」です。アメリカのUniversity of Pennsylvaniaの先生のレポートを紹介しているのですが、それによると肥満は国が豊かになると自然に起こることだとのこと。重労働をしなくなり、運動もしない。豊かになると外食も増えて・・・というわけで、マクドナルドのようなファストフードの店が多い町には肥満が多いということらしい。

この点について、Holliday記者は「日本はどうなのか?富裕国の一つだし、マクドナルドの数は約3000店でアメリカについで多い。にもかかわらず日本は肥満率が世界でもイチバン低い国ではないか」と指摘しています。このブログに対してかなりの数の書き込みが掲載されています。特に日本について、それぞれの体験を語っています。

●私の見るところでは、日本人は自己抑制がきいているので、食べ過ぎがないのだ。タクシーの運転手は白い手袋をはめているし、ホテルの受付デスクのスタッフはみんな丁寧だ。そのような人々が、我々のように食いまくるということは想像できない・・・I have seen people in general seem more reserved and in control of themselves, which I think leads to the smaller portions sizes and lack of excess in terms of food consumption. The taxi drivers wear white gloves and suits, the people behind the desks at hotels are eager to please and very 'held in'. I just can't imagine these people gorging like we do here, and I see all the time.

●日本人の自己抑制ということは言えるかもしれない。私も寿司やで「スーパーサイズの寿司はいかが?」などと言われたことがない。I think the restraint point is a pertinent one - I've never been asked if I wanted to supersize my sushi.

●寿司は栄養があって香りもいい。新鮮でビタミンとミネラルが豊富だ。ビッグマックは屠殺場の床からそぎ取ってばかりの肉を食べているようなもの。Sushi - A nutritous food with great flavour. Fresh, full of vitamins and minerals.Big Macs - Scraped freshly from a slaughterhouse floor.

●日本では食品は文化そのものなのだ。その辺が西洋と違う。西洋においては、食品と文化が分かれてしまったことが、ひどい食べ物に繋がったのだ。日本食は天然のファストフードだが、非常に健康的なファストフードなのだ。The fact of the matter is that food is still very much a culture in Japan. This is where the "Western world" has gone wrong. The divorce of food and culture has caused this godawful mess.Japanese food is naturally fast food, but it's exceptionally healthy fast food.

●日本で英語教師をやっていた経験からすると、あの国で肥満が少ないのは、放課後の運動関係の部活が盛んだからと言える。それから子供の多くが歩いて登校するか自転車に乗っているってこともある。Having worked as an English teacher in the public school system in Japan for a year, I think the key to the lower obesity rate is higher activity levels. All school children participate in after-school clubs - often sport - every night of the week. And a lot of children walk and bike to school.

▼「日本では箸を使うから、イヤでもゆっくり食べる。これが健康に繋がっている」と指摘する人もいます。でも、アタシなんか、カツ丼を箸で掻き込む習慣があって妻の美耶子の顰蹙をかっていますが・・・。

▼言うまでもなく、The Observer紙の読者はみんなインテリです。「庶民」ではない。sushiが本当に庶民レベルでも受けているものなのか、私には分からない。とはいえ、このような日本の食文化礼賛は50年前にはなかった。sushiについては「ナマの魚を食する」ということで、みんな「ゲエー」だったのに。国のイメージというのは恐ろしいものでありますね。

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2) 日本型サラリーマンの死


1月5日付けのThe Economistに掲載されたSayonara, salarymanという記事は、次ぎのようなイントロで始まっています。

かつては(日本)経済の特徴と言われた企業とサラリーマン従業員の家父長的な関係が崩れつつある(Once the cornerstone of the economy, the paternalistic relationship between Japan's companies and their salaried employees is crumbling)

会社のために家庭も子供も顧みず働きに働いてきた日本のサラリーマンは、日本を戦争の廃墟から立ち直らせたヒーローであったけれど、いまやこれが過去のものになりつつある・・・もう何年も我々日本人が語ってきた社会的な変化について報告しています。

かなり長い記事なのですが、基本的には、会社をファミリーと見なし、従業員の帰属意識によって支えられてきた「日本的資本主義」が、派遣社員が登場し、3Kの仕事をする外国人労働者が増えるとともに女性の職場参加が増加するという時代の変化によって、終わりを迎えつつあるという内容になっています。

日本は世界の先進国の中でも、最も平等な社会を有する国の一つではあるが、いまや「ワーキング・プア」が最も多い国の一つでもある。この人たちは、仕事はあっても生活が殆ど成り立たないような状態なのだ(Japan is one of the most egalitarian of the world's rich societies, yet it now has one of the largest shares of "working poor" people who have jobs but can barely make ends meet)。

The Economistの記事は、日本型サラリーマンのルーツについて、厚生労働省の官僚の言葉として、江戸時代の三井家のようなtrading houses(商社)にまでさかのぼるとして、そこでは「従業員が家族として見なされていた」(They considered employees as family)という説明を挙げながら、経済史の研究者の次ぎのような説明も紹介しています。

19世紀末に日本が近代化したとき海外からの技術を導入する必要があった。そのために必要とされたのが、熟練労働力だったが、当時の労働者は移動性に富んでいたので、企業は彼らを囲い込んで自社で訓練するという習慣を始めるようになった。訓練のために投資をするということは、企業は何としてでも労働力を確保しようとしたのだ。When Japan modernised at the end of the 19th century, it needed to import technology from abroad. This new technology created a need for skilled labour in a then highly itinerant workforce. So companies got into the habit of housing and training their employees. And the investment in training meant that companies did everything they could to keep their workers.

日本では大卒は「職業」(career)ではなく「会社」(company)を選んでサラリーマンとなったが、サラリーマンであることは社会的なステイタスと生活の安定を確保することを意味した。会社は従業員のみならずその家族の面倒もみる存在であった。日本はまさに「企業でもっている社会」であったというわけです。

生活そのものが企業丸抱えというやり方は、職場の団結心を確保し、平等な社会を維持するためには、現実的にも有利なシステムであったけれど、個人の能力を伸ばし、責任感を強めるという意味では非効率かつアンフェアなやり方でもあった。「卓越した仕事をしても、少額のボーナスとお辞儀をされるだけで、報われない(exceptional work is unrewarded, other than by a modest bonus and a bow)」のだから。

年寄りサラリーマンたちは、自分たちの過去にノスタルジアを抱いていることもないし、若い世代が自分たちのやり方を拒否することに不満を抱いているわけでもない。個人レベルでは、むしろ、家族よりも仕事を優先し、自分の利益よりも社会的な画一性を重んじるというやり方で、払ってきた犠牲について疑問視するようになっている(they feel neither nostalgia for their past nor frustration at the younger generation's rejection of their ways. In private moments, indeed, the old guard question the sacrifices that led them to put work ahead of family and conformity ahead of their own interests)

The Economistの記事はNobuという名前の若いサラリーマンの次のようなコメントで終わっています。

1945年(終戦)後、日本人には何もなかった。だから同じ目標に向かって、チームとして共に働かなければならなかったのだ。それは成功して日本は成長した。しかしそのような組織ではもううまくいかない。余りにも長い間、変化をすることがなさすぎて錆び付いてしまったのだ(After 1945, we were left with nothing, so we had to work together, with the same goal and as one team. We were a success, and Japan grew. But this organisation doesn't work any more. It has stayed the same for too long. The system has rusted)

Nobuというサラリーマンは、仕事は好きではあるけれど、同じ会社にこのまま勤めるのではなく、独立して事業を起こすことを考えているそうです。

▼私の場合、個人レベルでしかハナシが出来ないのが歯がゆいのでありますが、何故か生まれてこの方「落ちこぼれ」意識を抱いたまま生きてきています。そのような人間からすると、この記事で書かれているような「企業戦士」「モーレツ社員(こんな言葉もありましたよね)」「滅私奉公」のようなサラリーマンのライフスタイルは別世界の出来事であります。これらのお父さんたちは、残業に次ぐ残業、「付き合い」に次ぐ「付き合い」という生活を送っていたのですよね。それはそれで苦しかったかもしれないけれど「会社」というファミリーに帰属しているということで、精神的には快適な意識で暮らしていたのだと、私などは想像します。特に「一流企業」のサラリーマンはそうだったのですよね。

▼The Economistのこの記事を読むと、あたかもその頃の日本のお父さん全てが「会社人間」であったかのように錯覚してしまうけれど、当然のことながら、そのような「会社人間」にさえなれない人々も沢山いたわけです。私もその一人。意図的に会社人間にならなかったのではない。会社に入れてもらえなかっただけです。私のような人間から見ると、会社とは「帰属」するところではなく「除外」する世界であったわけです。

▼この記事とは関係ないかも知れないけれど、私、最近よく聞かれる「派遣社員を正社員にせよ」という風な意見に違和感を覚えるのです。労働条件の悪さという意味で、派遣社員の待遇を改善しろ、というのであれば分かるのですが、あたかも正社員なるものが、バイト、パート、派遣よりも優れているような印象を受けるのが気になってしゃあない(というのは、私のひがみ?)

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3) 5月はロンドンの市長選挙


2008年5月はロンドン市長選挙の月です。ご存知のとおり、現在の市長は労働党推薦のKen Livingstoneですが、5月に彼に保守党候補として挑戦するのはBoris Johnson、第三政党である自民党から出るのはBrian PaddickLivingstoneはロンドン市長が選挙で選ばれるようになった2000年に独立候補として立ち、ブレアらが推す労働党候補を破って当選した人です。もともとが労働党左派だったことがブレアらに嫌われたのですが、2004年の選挙では、ブレアらが折れて労働党に復帰したというわけ。

Boris Johnsonは保守派のオピニオン雑誌、The Spectatorの編集長で、名門イートン校出身のいわば保守の見本のような人。The Economistはこの人のことを「エキセントリック」と呼んでいます。自民党のPaddickは元警察官なのですがゲイなのだそうです。この人、南ロンドンのある区の警察署長をやっていたときに、麻薬のカナビスに対して柔軟な態度をとったということで、物議をかもしたことがある。

Livingstone現市長ですが、ロンドン中心部へ乗り入れるクルマを対象にした渋滞税(congestion charge)を導入し、市営バスの運行ルートを拡大、貧困層のための住宅建設を促進したりなど、いろいろと目立つ業績を上げて人気を博しています。2012年のオリンピックの開催に向けて、中央政府に新しい交通システム建設のための費用負担を約束させたのもLivingstoneです。

何せかなり個性の強い人であることもあって、彼の政治を批判する人も結構いるのだそうです。例えば、渋滞税は市長が言うほどには渋滞緩和に繋がっていないとか、ロンドンの行政府であるGreater London Authorityの財政基盤である地方税を上げた(ここは確認の必要アリ)ことも評判がよくない。さらに摩天楼を作りたいという彼の「開発好き」(enthusiasm for development)についても、「市内ばかりに目を向けている」と文句をつける人は多いのだとか。次に問題発言がいろいろある。駐英アメリカ大使が大使館スタッフの渋滞税の支払いを拒んだときに「あのいかさま野郎」((chiselling little crook)呼び、ユダヤ系の新聞記者を「ナチの親衛隊」と呼んだりした。

と、いろいろあるのですが、Livingstoneが政治家としては手ごわい(formidable)人であることは間違いない(とThe Economistは言っています)。

一方、保守党のBoris Johnsonも結構物議をかもす人物で、一度は保守党の国会議員をつとめたこともあるのですが、女性関係が理由で、当時のHoward保守党党首によって主要議員(front bencher)の席から外されたりした。さらには「楽しみ感覚」が過ぎるということで、ロンドンのように、深刻な社会問題が多い大都会の市長には向いていないという人もいる。Johnsonを市長候補に推したのは、保守党のキャメロン党首。Johnson氏がメチャ負けすると、彼を推したキャメロンの面目丸つぶれということになり、市長に当選したとしても、仕事をまともにやらないと、その仕返しが保守党の方に来てしまうと心配する保守党関係者もいるのだそうです。

どっちへ転んでもいいことないという感じですが、1月3日のYouGov世論調査では、Livingstone現市長への支持率は45%、Johnson候補は44%も殆ど並んでいる。だからJohnsonのメチャ負けはないようです。ただBrian Paddickだけは殆どアウトだそうです。

ロンドンの市長は、東京都知事とかニューヨーク市長などに比べると権限は小さいとされていますが、それでも現在のロンドンの市としての予算は106億ポンド(2600億円)というのは、Livingstoneが最初に市長になった2001-2002年予算が38億ポンドだったことを考えると、仕事そのものは大きくなっている。The Economistによると、ロンドンの予算の殆どが交通・警察関係に使われるのだそうです。

ロンドンの市長選挙には市民は余り関心がなく、前回(2004年)の投票率は37%だった。しかしLivingstoneとJohnsonという極めて個性の強くて何かと物議をかもす二人の争いは、ロンドン市長選挙としては初めて「手に汗握る」(gripping)ものになるかもしれない、とThe Economistは言っています。

▼英国の場合、市長が選挙で選ばれるという町は余りない。BBCのサイトによると、現在市長が選挙で選ばれるのは、13市(London, Bedford, Doncaster, Hackney, Hartlepool, Lewisham, Mansfield, Middlesbrough, Newham, North Tyneside, Stoke-on-Trent, Torbay and Watford)だけだとか。それ以外の町での地方自治はどうなっているのかというと、議会で多数を占める政党(与党)が選ぶCouncil Leaderというのが市長の役割をするのだそうです。日本の首相と同じですね。英国にもアメリカとか日本のように市長を直接選挙で選ぼうという動きもあることはあるけれど「一人の人間に権力が集中しすぎる」(it concentrates too much power in one person's hands)ということで拒否反応が大きい。

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4) アフリカのことは、アフリカに聞け


何故か、私、アフリカが気になるこの頃であります。本当に何も理由はない。で、英国王立アフリカ協会理事であるリチャード・ダウデンという人が、2005年3月のNew StatesmanTo save Africa we must listen to it(アフリカを救いたければアフリカに聞け)という記事を寄稿しています。とりあえずこの記事を読んでみました。

私のような全くの素人には、多少分かりにくいけれど、「アフリカのことはアフリカ人が決めるのだ」というメッセージだけははっきりしています。 それから、アフリカ人たちが最も怒るのは「我々ヨーロッパ人は、植民地主義者であったかもしれないが、アフリカではいいこともしたのだ」という欧米の言い方であるということも強く書いてあります。

とはいえ、この記事をいつものセンで要約するのは無理であります。私自身のアフリカに対する知識がなさすぎます。というわけで、要約ではなく、全部翻訳することにしました。それしか仕方ないからです。もし興味がおありの際は、ここをクリックしてください。うまくいかない場合は、私宛お知らせください。メールで送ります。

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5)成人の日の社説


1月14日は成人の日。その日の新聞を見ると、日本経済新聞と毎日新聞以外の4紙(朝日・読売・産経・東京)が、それぞれ新成人に対するメッセージを送る社説を掲載しておりました。なるべく簡単に紹介すると・・・。

産経新聞:大人サイズの自我確立を
その昔は、イエだのムラだのセケンだのという外部の圧力が強かったことがあって、それらと「自分」との葛藤が「自我」を鍛えたものである。が、現代はそれらの圧力が薄くなって、自由になりすぎ、葛藤する機会そのものがない。そのような環境で育つ「自我」は単に自分の世界に閉じこもる「子供の自我」であって「ホンモノの自我」ではない。必要なのは「人の喜びを自分の喜びとし、人の悲しみを自分の悲しみとできる心を育てる」ことであり「自分以外の他者がひしめく世界へ堂々とはばたける大人サイズの自我を確立してほしい」と訴えています。

東京新聞:「関係ねえ」ではない
世の中には、地球温暖化、年金、食の安全等々、いずれをとっても「関係ねえ」と言ってすまされない問題が山積している。成人の日は「漂流する時代や社会とのかかわりを見いだして、自ら変わり、行動を始める節目」であるというわけで、「関係ねえ」などと言わずに、社会とのかかわりの中で「時間をかけて宿題の答えを見つける」ことを勧めています。

読売新聞:確かな目で責任ある選択を
「大人の仲間入りをしたからには、自分の生き方に責任を持ち、確かな目を養って人生を歩んでいってほしい」という書き出しで、例えば、職業の選択にあたっては「自分の希望に合っているか。性格に向いているか。やりがいが感じられそうか」を見極めること、選挙権の行使という「政治の選択」については「自分たちが求めるのは、どのような社会か。それを託せるのは、どんな政策を掲げている候補か」などをじっくりと考え、「大人としての責任を果たしてもらいたい」と言っています。

朝日新聞:「KY」といわれてもいい
「KY」(空気を読めない)という言葉が示すような「自分たちと違うと感じた相手を排除する」という風潮が拡がると、「まわりに流され、やがて自分の意見さえ持てなくなる」ことを戒めながら、「大人になったら、ぜひ自分の力で考え、自分の足で立ってみよう」と提案しています。ちょっと可笑しいのは、社説の途中で、筆者自身が「長いこと大人をやっているが、自分で考え抜くことがどれほどあったか。自分の意見と思っていることが、実は他人の受け売りではなかったか」と自己反省をしている点です。

というわけです。それぞれの全文はクリックすると読むことができます。が、私なりにまとめると、朝日新聞だけが、多少及び腰とはいえ「自分を大切にしろ」と言っているのに対して、他の新聞は、その「自分」なるものを、他者とか社会とかとの関わりの中で確立しようと言っている。「それが大人というものだ」ってことであります。

新聞の社説を書く人たちって何才くらいの人なのでしょうか?どう若くても40才から上でしょうね。上限は、多分60才・・・かな?いずれにしても、成人式を20〜40年ほど前にお祝いした人たちです。どの社説を読んでも「お説ごもっとも」ですね。おそらくそれは書いた本人たちも分かっているのではないかと、私などは想像するのですが、はっきり言って面白くもなんともない。年寄りが息子・娘(あるいは年のはなれた弟・妹)のような人たちに話しかけると、どうしてもこのような「お説教」になってしまうということであります。

これらの社説を書いた人たち自身は、成人してこの方、20年〜40年間、どれほどこれらの社説が言うように、「自分を大切にしながら世の中とかかわる」生き方をしてきたのだろう?

というわけで、私の採点によるならば、「成人式」などという話題を社説で取り上げなかった毎日新聞と日本経済新聞に軍配を上げたい。 上に挙げた社説を読んで感銘を受けたという新成人がいたら、是非紹介してください。じっくり話しを聞いてみたい。

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6)短信


イヌの言葉をコンピュータで翻訳

ハンガリーのEotvos Universityという大学の学者たちがイヌの鳴き声を人間の言葉に翻訳するコンピュータ・ソフトの開発を行っているのだそうです。barking(吠える)・howling(遠吠え)・yapping(キャンキャン言う)・growl(ウウーッとうなる)など、いろいろあるイヌの「鳴き声」6000種類をそれぞれ分析して「散歩に行きたい」「知らない人が来たから注意した方がいい」「遊びたい」のようなイヌの心理を分析しようというわけ。現在のところ正確さは43%程度ですが、人間でも40%程度の正確さでイヌの感情が分かるということで、「43%では人間と大して変わらない。もっと研究しなければ」というのが、この企画にかかわっているCsaba Molnarという先生のコメントだそうです。

▼ウチの柴犬の老犬は、シチュエーションによって鳴き方が違いますね。余り目が見えないということもあって、ヘンなところにクビを突っ込んで出られないことがしょっちゅうなのですが、そんなときは「ワンッ・ワンッ」と怒ったような鳴き方をします。

海賊の旗を立てるのは違法!?

ハンプシャーに住むキャロル・クラークという47才の女性は、船に乗るのが大好き。彼女の趣味を知っている友人が、彼女に海賊の旗(骸骨のマークが入ったあれ)をプレゼントした。大喜びの彼女、自分の庭に「マスト」を立てて、骸骨の旗を翻して楽しんでいたのですが、地元のお役所から旗を撤去するように命じられた。どうやら広告看板の規制にひっかかったらしい。お役人の説明によると「役所の許可を得ないで立ててもいい旗は、国旗か地元郡や市の旗だけ」だった。「まさか(it's daft)、冗談かと思ったわ」とキャロルは怒っています。 昨年(2007年)、スタッフォードシャーというところで、子供の誕生日のお祝いに海賊の旗を立てようとしたら、「近所から文句が出た」ということで、お役所がこれを許可しなかったのですが、両親が許可申請(75ポンドもかかる)を提出してようやくオーケーになったというハナシがありましたね。

▼日本の場合もこのくらいの規制をしてもよろしいんじゃありませんか、というようなひどい看板が乱立していますよね。でも・・・骸骨旗は、撤収することはないんじゃないんですか?

透明トースター

英国のInventablesという会社がデザインした透明トースターの画期的な点は、パンの焦げ具合が目で分かるので、ちょうどいいころに取り出せることだそうです。heating glassという特殊なガラス材を使っており、パンを焦がすのもガラスの温度によるのだそうです。ちなみに、出勤前の朝食用にトースターを使う人は、いちいち焦げ具合を目で確かめたりする暇はない。そんな人のためにタイマーもついているんだそうです。ただ問題点は、一度に一枚だけしか焼けないということで、これが解決されれば市場に登場するかも。

▼でも、ウチのトースターは横から入れるシステムですが、焦げ具合は今でも窓を通して見ることが出来るけどなぁ。

 

 

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7)むささびの鳴き声
▼ウェブサイトにもいろいろあるものですね。私が面白がって見たくなるのが「ランキング」サイト。「おいしいラーメン」から「飼ってみたいペット」まで、あるはあるは。「実は…使い方を間違えていたコトバランキング」なんてのもある。日本語を、分かったつもりで使っていても実は間違って解釈している、というのはよくある。このサイトに出ているベスト(ワーストか?)20は次のとおりです。
言葉
正しい意味
誤解%
@役不足
能力に対して、役目が軽すぎること。
100
A情けは人の為ならず
情けを人にかけておけば、巡り巡って自分によい報いが来るということ。
94.8
B気が置けない
気遣いする必要がない。遠慮がない。
94.3
Cなし崩し
物事を少しずつ済ませていくこと。
91.4
D半時(はんとき)
1時間
88.8
E檄(げき)を飛ばす
自分の主張や考えを広く人々に知らせて同意を求めること。
85.7
Fぞっとしない
感心しない。うれしくない。
82.8
G憮然(ぶぜん)
失望してぼんやりしているようすの意味
75.3
Hしおどき
物事を行うのに最も良いとき
73.2
Iセレブ
名士。有名人。
68.8
J失笑する
おかしさをこらえることができず吹き出すこと。
67.7
Kさわり
話の中心となる部分。聞かせどころ。
63.8
L奇特な人
おこないが感心なさま。けなげなさま。
60.4
M一姫二太郎
最初が女の子、次に男の子が生まれるのが理想
54.2
N閑話休題
横道にそれた話を本題に戻す
50.5
O煮詰まる
議論や考えが出尽くし、結論の出る状態になること。
45.6
Pすべからく
「ぜひとも」「当然…すべきである」
42.4
Q世間ずれ
実社会で苦労を重ね、世間の裏表を知り尽くして悪賢くなったこと
40.4
R敷居が高い
不義理・不面目なことなどがあって、その人の家に行きにくい。
35.4
Sやおら

静かにあるいはおもむろに動作をするようす。

31.8


▼白状すると、私の理解が正しかったのは2,3,7,8,10,18,19,20の8つだけ。例えば@の「役不足」は、自分の能力を低く考えること、即ち「そんな難しいこと、アタイにはできません。とてもじゃないけど、役不足です」という風に使うのだと思っておりました。このランキングサイトには、他にもいろいろあります。

▼もう少しすると、プロ野球のキャンプが始まりますね。そうすると、春も近いってことになる。英国では、冬だってのに洪水の危険におびえている地方があるらしいですね。寒いのに洪水というのは、日本では考えられないコンビネーションですね。今回もお付き合いをいただき有難うございました。


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