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美耶子の言い分 美耶子のK9研究 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
musasabi journal
第139号 2008年6月22日

   

関東地方は、今日(6月22日)は一日中雨ふりです。梅雨真っ最中です。考えてみると、ことしも半分が過ぎようとしているのですね。雨の日も静かで悪くない・・・。


目次

1)民主主義ランキング:日本は20位、英国は23位
2)ナイフ所持が流行になっている危険
3)地球温暖化は最重要課題ではない
4)天谷直弘さんの不安
5)どうでも英和辞典
6)むささびの鳴き声

1) 民主主義ランキング:日本は20位、英国は23位


The Economistの一部門であるEconomist Intelligence Unit (EIU) のランキングによると、日本は世界で20番目に民主的な国であり、英国は23位だそうです。これはEIUが昨年(2007年)、世界167カ国を対象に集めた情報を基にしたもので、1位はスェーデンで、以下アイスランド、オランダ、ノルウェー、デンマーク、フィンランドという具合で、1〜6位の中の5つが北欧の国となっています。ちなみに167カ国中の167位は北朝鮮、中国は138位、アメリカは17位となっています。

英国が日本よりも民主主義ランキングで低いのが意外な気がしますが、EIUでは判断基準として、

1)選挙制度:複数政党が競い合うやり方で、公明正大な選挙が行われている
2)市民的自由:表現・思想の自由や基本的人権が守られている
3)政府の機能:民主主義的に決められた政策がスムーズに実施されている
4)国民の政治参加:選挙の投票率がそれなりに高い
5)政治文化の成熟度:国民の間に「受身」「無関心」「服従」のような態度が蔓延していない

の5つ挙げ、それぞれを10点満点で採点し、総合点でランク付けしています。例えば、スェーデンの場合は、5)以外は全て10点満点で、総合点は9・88。アメリカは3)と4)が7点台と案外低く総合点は8・22となっている。では日本と英国を比較すると:

 
日本
英国
1)選挙制度
9・17
9・58
2)市民的自由
9・41
9・12
3)政府の機能
7・86
8・57
4)国民の政治参加
5・56
5・00
5)政治文化の成熟度
8・75
8・13
総合点
8・15
8・08

2)と5)では、日本のほうが高いのですね。政治参加については両方とも大して高くないのはうなずける。もう一つうなずける(かもしれない)のは、「政府の機能」の部分が英国の方が高いってこと。日本よりも政策の実施がスムーズに行われているということですよね。これは英国の場合、民主的に選ばれた議会で決められたことは、日本に比べればさっさと実施されるということです。その代わり日本と違って、政権交代がしょっちゅうあるから、一つの政策がダメだと分かったら、その政府は次の選挙で交代という可能性が大いにあるってことですよね。日本の場合、政策実施者であるお役人の力が非常に強くて、そもそも政策決定までにメチャクチャな時間がかかるということかもしれないですね。                   


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2) ナイフ所持が流行になっている危険


いまから約1ヶ月前の5月24日、ロンドンで18歳の青年がナイフで殺されるという事件があった。バーの外での出来事で、ケンカを止めに入って殺されてしまった。The Economistによると、この事件では、5人が負傷した。この日は祝日がらみの週末だったのですが、その週末には同じロンドンのパブでケンカがあって5人が負傷、ノッチンガムでは2人がナイフで刺されて重傷、ブラッドフォードとブリストルではそれぞれ一人ずつ、やはりナイフで殺された。

このように書くと、あたかも英国ではナイフによる殺傷事件が頻発しているかのように響きますが、British Crime Survey (BCS)という政府の犯罪調査機関の統計によると、昨年(2007年)1年間でナイフによる殺人事件は258件。これは10年前の数字と殆ど変わらないのだそうです。

BCSの統計によると、1997年からの10年間に見る限り、暴力事件の数そのものは減っているのですが、その理由は家庭内暴力と知り合い同士のケンカの件数が減ったということが理由で、見知らぬもの同士のケンカは14%も増えているそうです。さらに憂慮されるのは、死に至らない傷害事件が深刻化していることで、見知らぬ人間に暴力をふるわれた結果として、精神的後遺症(トラウマ)が残った被害者は全体の86%で、2002年の74%よりも増えている。

ナイフによる傷害事件が激増しているわけではないけれど、刃物を持ち歩く若者が増えていることは確かなようで、Youth Justice Boardという機関の推定によると11〜16才の若者の3分の1が刃物を所持している。

社会の方も黙って見ているだけではなく、ロンドンのジョンソン新知事は、警察官による街頭における所持品検査を強化したり、市内でも犯罪多発地域をカバーする「犯罪地図」の作成を計画したりしています。ただ所持品検査をするのが白人警官で、される方が黒人の青年や子供だったりすると、反発を買ったりすることもある。それから犯罪地図を作ることで「危険地域」を「宣伝」したりすると、そのエリアへ行くためには「自衛のための武器は持たなければ・・・」という風潮を助けることにもなってしまう。

どのみち容易い解決などないのですが、若者のナイフ所持を一種の「ものまね(copycat craze)」現象と見る向きもある。裁判官のNicholas Phillipsという人などは、これを「流行(fashion)」だとしており、The Economistなどは、メディアの報道の仕方によって挑発されている部分もあるとしています。ウェールズのある町で19人の若者が連続自殺をするという事件が起こったときに、一つ一つの自殺報道が「感情的」であたかも自殺を美化するようなものであったことが、続発の理由とされた。

The Economistによると、若者がケンカしてナイフで殺害される事件についても、被害者を美化するような報道が目立っており、ウェールズのときと同じような連鎖現象(chain reaction)が進行しているのかもしれない、と言っています。

▼メディアによる報道が連鎖反応を呼ぶという部分、私たちも思い当たりません?「世の中イヤになっていらいらしていた」「誰でもいいから殺したかった」等など、秋葉原の通り魔事件を起こしたあの青年が警察に語ったとされる言葉を何度も何度も繰り返し伝える意味はどこにあるのか?確か最初のころは、彼が送ったとされる携帯電話のメッセージを繰り返し使っていませんでしたっけ?あの報道は、何の意味があるのでしょうか?同じようなことを考えるようになるかもしれない人間に対して「こんな風にやったらいいんでない?」とヒントを与えているような気がしますが・・・。

▼それから、あの青年が警察の取調べで語ったとされる言葉(「あんなの親ではない」「ネットでも無視された」「茨城で起きた殺傷事件を意識していた」等々)を伝えるのに「・・・と供述していることが分かった」という言い方・書き方をするケースが多いですよね。あれも気になるのであります、私には。警察が言っていることを、メディアがそのまま伝えている(ように思える)のが不愉快だし、「・・・が分かった」ではなく、もっとありのままに「・・・と警察が語った(明かした)」と伝えるべきなのではないかと思いますが・・・。「分かった」のではない「(警察に)教えてもらった」のです。

▼またこの青年が派遣社員であったことが、あたかも極めて重要な背景であるかのような伝え方も実におかしいし、不愉快です(その理由は前回述べたので繰り返しません)。最後にこの青年の両親とのインタビューを報道する神経も私などには全く理解の域を超えていますね。


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3) 地球温暖化は最重要課題ではない


保守派のマガジン、The Spectatorの最新サイトにデンマークの経済学者、Bjorn Lomborgとのインタビュー記事が掲載されています。タイトルは「地球温暖化は現代の最重要課題ではない」(Global warming is not our most urgent priority)で、イントロは「限られた資金は地球を救うためではなく、生命を救うために使われた方がいい」(it is better to spend our limited funds on saving lives than on saving the planet)となっています。ちょっと目には法外な主張のように思えますが、読んでみると結構納得がいく(と私などは思いました)。

Lomborgは43才、私は読んだことがないけれど、彼の著書The Skeptical Environmentalist and Cool It!はベストセラーとして知られているとのことなので、多分日本語でも出ているのでしょう。その本を通じて彼が送っているメッセージは、

世界は環境悲観論者がいうほどにはひどい状態ではない。事態を改善するために極端なことをするよりも、いま何が緊急の課題であるのかをはっきりさせるべきなのだ。殆ど希望の持てないような目的のためにお金の無駄遣いは止めた方がいい。(the world isn’t in nearly as bad a mess as the eco-doomsayers claim it is. And before we do anything too drastic to try to make things better, we ought first to ascertain what its most pressing problems are, rather than throw good money after hopeless causes)

ということです。Lomborgのいわゆる「緊急の課題」リストの中で上位にランクされているのが、発展途上国の子供たちを栄養不良から救うための栄養剤(サプリメント)の普及や免疫力の向上対策などです。子供たちの栄養対策のために6000万ドルを使うと、それによる見返り(健康増進、死亡数の減少、その子供が将来労働力になることによる収入の増加など)は優に10億ドルを超える、と彼は主張しています。このリストの中で、地球温暖化対策などはぐっと下の方にランクされている。

地球温暖化は、人類全体に影響を及ぼすという点で、発展途上国の子供たちの栄養不良よりも重要な問題だから、まずは温暖化問題を片付けることが大切だ・・・と考えがちであるけれど、それは間違っている、とLomborgは言います。

例えば10億ドルというお金で、60万人の子供が死なずにすみ、20億の人々が栄養不良から救われるとすれば、同じお金を使って今世紀末までに地球温暖化を2分間だけ遅らせようとするよりは賢明なお金の使い方だ。(If you can spend a billion dollars and save 600,000 kids from dying and save about two billion people from being malnourished, that’s a lot better than spending the same amount to postpone global warming by about two minutes at the end of the century.)

来年(2009年)、コペンハーゲンで温暖化に関する会議が開かれて、京都議定書の目標達成が検討されることになっているのですが、Lomborgによると、この会議もまた、1997年の京都会議と同様に、炭素排出に関するできっこない「絵空事」の目標設定を検討し合う場になってしまうだろうとのことです。

(絵空事の検討よりも)さらに嘆かわしいのは、温暖化防止に費やすお金で出来るかもしれない画期的な事柄から目をそらしてしまうということであり、またもや10〜20年が無駄にされるのだ。(What is far worse, is that yet again, it will stop us focusing on all the incredible things we actually could do with that money. So we end up wasting another ten or 20 years)

というのがLomborgの嘆きです。

▼地球温暖化というと北極の氷がなくなりつつあるというわけで、絶滅の危機にあるホッキョクグマの映像が流されたりします。非常に分かりやすい。しかしLomborgによると、この議論には誇張がある。1960年代に比較すると、ホッキョクグマのポピュレーションは倍増しているのだそうであります。

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4) 天谷直弘さんの不安


昨年亡くなったアメリカのジャーナリスト、David Halberstamは、アメリカのベトナム政策を検討したThe Best and the Brightest(1972年)という本でピューリッツァー賞を受けた人ですが、1986年に出したThe Reckoningという本は、当時問題になっていた日本車の対米輸出攻勢をテーマにしたもので、日本はもちろんアメリカでもかなりの話題を呼んだものです。

当時のアメリカの世論は、日本車の進出を「不公平貿易」として反発する傾向が強かったのですが、The Reckoningは、何故日本車がアメリカで売れるのかということに焦点を当てたもので、日本の優れた教育水準などに背景の一環を求めたものだったと記憶しています。アメリカ人の間にはびこる「日本叩き」に対して「悪いのはアメリカの方かもしれない」という警鐘を鳴らしたものだったわけです。

そのHalberstamが1991年にThe Next Century(次なる世紀)という小さな本を出している。冷戦終結直後に出されたもので、テーマは、21世紀を10年後に控えたアメリカはどうあるべきか、というものだったのですが、その中でHalberstamは、日本についてかなりのスペース割いています。21世紀の世界で主役の一つになり続けるかもしれない国としての日本を意識してのことなのですが、この本を書くにあたってHalberstamがインタビューした日本人の一人が、通産省の官僚だったNaohiro Amaya(天谷直弘)という人だった。

Halberstamとのインタビューの中で、天谷さんは1989年のころの日本について、獲物のウサギをまっしぐらに追いかけるドッグレースのハウンド犬に例えて「追いかけてきたウサギが消えてしまい、どうしていいのか分からないでいる状態」だとしています。戦争で敗れてから、欧米に追いつこうと一心不乱にがんばってきて、それに成功したのですが、それでどう動けばいいのか分からないでいる、というわけです。

このころの天谷さんはすでに通産省を退官していて、Halberstamによると、日本の教育改革に情熱を注いでいるところだった。それまでの「暗記中心の詰め込み教育(teaching by rote)」から、「教養(liberal arts)」に力を入れようというのが、天谷さんの目指すところであったのですが、文部省ロビーに押しまくられて苦戦を強いられていた。

Halberstamは、天谷さんが教育改革について自分に語った言葉をいろいろと紹介しています。当然のことながら、コメントはいずれも英語で書かれています。いくつか紹介してみます。

  • いいクルマを生み出すのは、いい人間を生み出すよりはるかに易しい(it is a great deal easier to produce a good car than to produce a good human being)
  • 日本の大学入学試験は、コンピュータのような能力を持つ学生を選択するように作られている。ということは、我々は、これから必要としないような若者を作り出そうと必死になっているということにもなる。彼らができるようなことは、コンピュータが出来てしまう時代になっているのだから。The entrance exam at our universities now is designed to choose students with computerlike capabilities. That means we are geared up to producing people whom we no longer need because the computers will do what they do better than they can do it...
  • 何千年にもわたって、神と貧困が人間を律してきたが、現代では神は死に、貧困もなくなりつつある。これから人間は何によって律せられるのか?For thousands of years God and poverty kept man disciplined. Now, in the modern age, God is dead and poverty is disappearing. How will we be disciplined?

天谷さんは1925年生まれで1994年に死去しています。生きていれば83才です。David Halberstamは1934年生まれ。生きていれば74才だった。

▼私自身がこれらのコメントを面白いと思うには二つ理由があります。まずDavid Halberstamというアメリカのジャーナリストが、日本という国は素晴らしいクルマやテレビやコンピュータを生み出した国であり、これからも見習うべき点のある国ではあるが、やはり日本には日本なりの問題があるということを、日本人自身が認めていることを、アメリカの読者に伝えていたということです。

▼ややこしくて申し訳ない。つまりアメリカの現状を嘆きながら、新興勢力である日本の成功を驚きと称賛の眼で見てはいるけれど、アメリカの知識人である彼には、日本の「成功」にはどこかついていけないところがある、と感じていたのではないか?ということです。

▼次に面白いと思うのは、ものづくりの点では欧米に追いつき・追い越した(とされていた)日本について、天谷直弘という指導者が持っていた不安感の中身についてです。ガリガリの知識詰め込み教育こそが、日本の発展を支えてきたけれど、その種の教育が生む人間や日本には未来はない。だから「幅広い教養人間を生み出す教育を」と言っているのですが、天谷さんのいう「幅広い教養人間」とはどんな人間のことなのか?昔の英国にあったパブリック・スクールの人格教育のようなものをイメージしているように思えてならないわけです。

Halberstamが天谷さんにインタビューしてからほぼ20年が経ちます。その間、日本はどのように変わったのでしょうか?日本の教育は彼のいわゆる「幅広い教養人間」を生み出す方向に向かっているのでしょうか?私の想像によると、天谷さんが考えるような教育をしている学校も少しはあるかもしれないけれど、それは本当に一部のエリート層の人たちのための学校で、圧倒的多数は、本質的には昔と変わらない「詰め込み・画一教育」をやっている。

▼「国際化社会で生き抜くために」小学校から英語を教える・・・というのはその一つですね。天谷さんが生きていたら、このことはどのように評価するのでしょうか?私としては「とにかく肉体的・物理的に生きているだけで御の字」という教育をすればいいのに・・・と思ったりしています。「国際化」だの「幅広い教養」だのは、はっきり言ってどうでもいい。 その意味で、 天谷さんの最後のコメント(神と貧困)がとても面白い。

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5)むささびJの、どうでも英和辞典:d-f


divorce:離婚
ちょっと古くて申し訳ないけれど、2007年8月末のBBCのサイトによると、2006年の英国(イングランドとウェールズ)における離婚カプルの数は132,562組、1000組に12・2組の離婚率ということになるのであります。これ、1984年以来の低い数字なのだそうですね。これは政府機関であるOffice for National Statistics(ONS:統計局) の調査が明らかにしたものですが、1984年当時に比べると、最近では結婚しないで一緒に暮らすカプルが多く、その人たちが別れた場合は「離婚」として登録されないのだから追跡のしようがない。つまり必ずしも離婚が減っているということにはならないとも言われています。

離婚の69%が、奥さんが言い出しての離婚であり、離婚理由の最たるものはbehaviourとなっています。behaviour・・・つまり立ち振る舞いですな。夫のbehaviourが我慢ならないってこと・・・?どんな立ち振る舞いなんですかね、英国人の離婚のもとになるのは・・・。まさか、人前でおならをするとか、そんなんじゃないよね!?

それから二度目の結婚が離婚にいたるケースが増えている。離婚カプルの5組に1組が離婚経験者で、25年前に比較すると倍増だそうです。

平均すると結婚後11年半で離婚するケースが一番多いのだそうです。ここ5年間、20代後半のカプルの離婚が一番多く、しかも子供がいるケースの方が多い。20代後半で11年間も結婚しているってことは、メチャクチャ若くして結婚しているってことですかね。

今から16年も前の数字だから、余り意味はないかもしれないけれど、面白いので紹介すると、20歳以上の女性を対象に「結婚しても相手に満足できないときは離婚すればよい」という考え方について調べたところ、英国人の82・8%が「賛成」と答えているのに対して、日本人の場合は44・6%となっています(東京都生活文化局調べ)。いまはどうなっているのか、分からないけれど、私はどう考えても日本の女性の方がまともだと思いますね。


evil :悪
evilとくれば、Axis of Evil(悪の枢軸)に触れないわけにはいかないですね。2002年のアメリカ大統領の一般教書演説(State of the Union)の中でブッシュ大統領が使った言葉で、サダム・フセインの支配下のイラクとイラン、北朝鮮をさすのですが、この言葉を演説原稿の中に入れたのはDavid Frumというブッシュさんのスピーチライターだった。この演説のイラクを名指しで非難する部分で、ブッシュ大統領は
  • (イラクの)政府は文明社会から何かを隠そうとしている体制なのだ。このような国家とそのテロリスト同盟たちこそが悪の枢軸を構成し、世界の平和を脅かそうとしているのだ。This is a regime that has something to hide from the civilized world. States like these, and their terrorist allies, constitute an axis of evil, arming to threaten the peace of the world.

と言っている。ブッシュのお母さんであるバーバラ・ブッシュによると、息子のジョージは、子供のころから悪漢をやっつけるカウボーイごっこが大好きだったそうで、その頃からAxis of Evilという言葉を使っていた・・・とState of Denialの著者であるWashington PostBob Woodwardという記者が伝えています。ただしDavid Frumが書いた一般教書演説のオリジナル原稿ではAxis of Hatred(憎しみの枢軸)という言葉が使われていたのだそうですね。

ちなみにむささびジャーナルの第2号(2003年3月)で、テレビ・ジャーナリストのジェレミー・パックスマンが、ブレア首相のブッシュ支持に関連してDo you believe that there is an axis of evil?としつこく問いただすインタビューが紹介されています。


feeling:感覚
50年も前に流行ったアメリカのフォークソングでLemon Treeというのがあります。その中で、庭に生えているレモンの木を指差しながら、父親が自分の息子に、Most important is to put your faith in what you feel, not in what you seeと言って聞かせる部分があります。「眼に見えることではなくて、心に感じることを信じろ」ということですね。

昔、受験英語の定番で「"百聞は一見にしかず"を英訳しろ」というのがあったですよね。答はseeing is believingというわけです。日本語の諺の方は「ものごとを百回聞くより、その目で一度見る方が確実だ」という意味になっている。いずれにしても伝聞ではなくて、耳より眼を信じようということですね。Lemon Treeによると、眼よりさらに信用できるのが「感覚」というわけです。Feeling is believingです。

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6)むささびの鳴き声


▼朝日新聞の夕刊に『素粒子』という小さなコラムがあり、最近(6月18日)そのコラムが、鳩山法務大臣が頻繁に死刑を執行することについて

「2カ月間隔でゴーサイン出して新記録達成。またの名、死に神」

と書いて問題になっているのだそうです。つまり鳩山さんが「オレだって好きで死刑やってんじゃねえ。それを死に神呼ばわりするなんて・・・ふざけやがって」と怒りのコメントを発表した。で、それについて朝日新聞には1800件を超える抗議や意見が寄せられた、と毎日新聞のサイトが言っています。

▼朝日新聞のサイト(6月20日)によると、朝日新聞社広報部は「『素粒子』は、世の中の様々な出来事を題材に、短い文章で辛口の批評をするコラムです。鳩山氏や関係者を中傷する意図は全くありません」となっています。

▼私はというと『素粒子』というコラムがあるのは知っていたけれど、殆ど読んだ記憶がない。つまり私のアタマの中には存在していないのも同然であったわけです。だから鳩山さんが、何故そんなにお怒りなのかが分からなかった。どうせ誰も読んでっこないんだから、それほど気にすることは・・・と思っていたわけ。

▼で、このようなことが問題になったものだから、ちょっと気になって、朝日新聞のウェブサイトを見ると、『素粒子』というコラムについて、会社案内のコーナーで次のように紹介してありました。

夕刊一面の、これも売り物コラムです。日々のニュースを「寸鉄人を刺す」の意気込みで切ってみせます。14行と短いだけに、加藤明は早朝から新鮮な素材を探し出そうと新聞の隅々に目を通し、執筆に頭を悩ませています。

▼つまり、加藤明という人が書いたってわけですね?まあ、人それぞれに好き嫌いがあるから、私自身のそれを押し付けるつもりはないけれど、これが本当に「売り物コラム」なんですか?つまり何が売り物になるほど面白いのかがよく分からないってことです。でも鳩山さんがそれほど気にするってことは、読んでいないのは私だけで、実は大いに読まれている「売り物コラム」なのでありましょう。だから鳩山さんも、自分を死神呼ばわりされて黙っているわけにはいかなかったんでしょうね。で、6月21日の『素粒子』には次のように書いてあった。

鳩山法相の件で千通超の抗議をいただく。「法相は職務を全うしているだけ」「死に神とはふざけすぎ」との内容でした。
                        ******
法相のご苦労や、被害者遺族の思いは十分認識しています。それでも、死刑執行の多さをチクリと刺したつもりです。
                        ******
風刺コラムはつくづく難しいと思う。法相らを中傷する意図はまったくありません。表現の方法や技量をもっと磨かねば。

▼事実上の謝罪文ですね。で、言っても仕方ないことなのだけれど、朝日新聞のウェブサイトには、具体的にどのような抗議が寄せられたのか、全く触れられていないのは何故なのでありましょうか?それとも触れていたのに、私が見落としたってこと?だとしたら申し訳ありません。が、本当に抗議が掲載されていないのだとしたら、朝日新聞は、折角のディスカッションの機会を自ら潰してしまったってことになる。ダメだ、こりゃ・・・とか言ってみても始まらない、か。

▼今回もお付き合いをいただき有難うございました。BACK TO TOP梅雨がまだまだ続きそうです。お身体を大切に。