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2009年12月6日 |
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2009年もお終いですね。個人的な写真など見せられても面白くもなんともない、と思われることを覚悟で、上の写真、私がいま一緒に暮らしている20才の柴イヌです。デッキでおひさまに当たりながら昼寝をしているところ。全くの寝たきり「超要介護」老犬ですが、そのことに全く悪びれていない様子なのがすごい。 |
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目次
1)気候変動と人口問題の相関関係
2)個人の住宅に監視カメラ
3)学生ビザの規則を再見直し?
4)ドイツの影が薄くなる
5)D・キャメロンの研究⑥:アメリカとの付き合い方
6)どうでも英和辞書
7)むささびの鳴き声
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1)気候変動と人口問題の相関関係 |
国連人口基金( UN Population Fund:UNPF)という組織が最近発表した State of World Population 2009という報告書は、人口問題と気候変動を初めて関連付けたものとして注目されるのだそうです。この組織の事務局長である Thoraya Ahmed Obaidという人が言っています。
この報告書によると、2050年までに世界の人口は現在の60億から90億にまで増えるだろうと予測されている。が、これを80億にまで抑えることができれば、20億トン相当の二酸化炭素の排出を抑えることができると言っています。人間の数が増えれば増えるほど、いろいろなものを消費する量が増え、それがクルマであれ、食料品であれ、二酸化炭素を生む要素になるのだから、世界の人口が80億なのか90億なのかはタイヘンな違いであるわけですね。
英国の Channel 4テレビのサイトで経済問題のブログを書いている Faisal Islamという人がUNPFのこの報告書を取り上げています。彼によると、人口増が起こるのはもっぱら発展途上国ではあるけれど、それらの国々が排出する二酸化炭素の量は、子ども一人当たりで計算すると先進国の子どもらに比べれば圧倒的に少ない。問題はこれらの国々が経済的に発展していく過程で起こる事柄と二酸化炭素の排出量の関係です。
いま世界で年収が8000ドル(約80万円)以上の「中流階級」の人の数は約8億人とされているのですが、2030年までにこの数は20億人に達すると予想されているのだそうです。つまり中流階級的な生活(クルマを所有するとか)、すなわち二酸化炭素の排出量が多いライフスタイルを望むような立場になる人がこれから20年という短期間で8億から20億になるということです。
これだけ考えるとタイヘンだってことになるのですが、これまでの人間の歴史を振り返ると、人々のライフスタイルがリッチなものになるにつれて社会の少子化が進むということが言えるわけですね。つまり発展途上国がリッチになるにつれて人口の増加率も低下するのではないかということです。でも、リッチな生活は二酸化炭素の排出量が多いことは間違いないのだから、人口増加率が低下しても排出量の低下にはつながらない・・・というわけで、「話はかなり複雑」(it’s a complex picture)ではある。
現在のところ気候変動を抑えるためには低炭素車の開発とともに避妊もまた役に立つというのが国連のアプローチのようだ。 |
For now this is a new direction for the UN :the suggestion that condoms
as well as low carbon cars, can limit climate change. |
とFaisal Islamは言っています。ただこの問題がコペンハーゲンの気候変動サミットでオフィシャルな議題にはならないだろうとも言っている。グローバルな排出量削減交渉に関連するディスカッションのみに集中してしまうからです。
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2)個人の住宅に監視カメラ |
11月18日付のDaily Mailによると、ロンドン南にあるクロイドンという町で町役場が住民を対象にCCTV監視カメラを提供することになったのだとか。数年前のロンドンにおけるテロ事件以来、英国では街路にこの種の防犯カメラが設置されているのですが、クロイドンで行われているのは、住民の自宅や敷地内にカメラを設置して、隣近所における防犯対策にあてようという試みです。もちろん住民が希望すればのことですが、すでに設置が始まっている。
個人の住宅や敷地内にこの種のカメラを設置するのは英国でも初めての試みで、Daily Mailは「これが成功すれば、全国的な規模で軽犯罪の監視のためにもCCTV(1台あたり1000ポンド)が使われることになる可能性もあるだろう」(If deemed successful, the £1,000 cameras could be installed across the country to catch low-level offenders)と言っています。
どこにカメラが設置されたかは外からは見えず、当の住民以外には分からないシステムになっているのですが、Privacy Internationalという国際NPOでは
市民がどこにカメラが設置されているのか分からないような場合は、クロイドンに町議会自体が人権無視の罪で訴えられるべきだ。 |
Unless the public are aware of where these cameras are, I believe this
council should be taken to court for a breach of human rights. |
と言っています。
クロイドンのどのエリアに設置されたのかというDaily Mailの質問に対しては町当局は答えを拒否しています。クロイドン町議会議員のGavin
Barwellという人は「我々としては、CCTVカメラのイチバンいい使い方について検討していきたい」(We'll be working together with the police to put them to best use)としています。
また住民の中にはこのサービスを歓迎する向きもあるようで、近所の「悪がき(louts)」に自宅の庭に小便をされることがしばしばの人などは「隠しカメラなんて素晴らしいアイデアだ。くれるというのなら絶対もらいたい(It's a fantastic idea to fit hidden CCTV. If they offered me one I would
definitely take it)」と言いきっている。
ちなみにBBCなどによると、2006年の数字ですが、英国全土で設置された監視カメラの数は約420万台、国民14人に1台の割だそうです。またPrivacy Internationalの調べによると、英国は世界で最もプライバシーが守られていない国の一つだそうで、中国、マレーシア、シンガポール、ロシアと並んでワースト5に入っているとのことであります。
▼この件を伝えるDaily Mailの記事は"Big Brother is stepping inside Croydon homes"という書き出しになっています。この場合のBig Brotherは「国家権力」のことを擬人化して言ったものです。George Orwellの小説『1984』で使われたもので、国民の生活にいちいち干渉する政府の別名でもある。 |
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3)学生ビザの規則を再見直し? |
11月19日付のThe Economistによると、昨年(2008年)アメリカの大学に入学した外国人学生は672,000人、英国の場合は342,000人だそうです。世界的な不況にもかかわらず英語圏への留学生は減っておらず、中国やインドからの留学生が圧倒的なのだとか。外国人学生協議会(UK Council for International Students:UKCIS)という組織のサイトによると、2007年からの1年間の外国人学生の中では中国人が最高で45,355人、かなりギャップがあって第2位がインドからの者で25,905人。日本人は4,465人で第10位となっている。
英国における外国人留学生の数を2003年と2007年で比較すると20%の増加を記録しているのですが、同じ時期の英国人の大学生の数の増加率(5%)に比べるとかなりシャープな伸びとなっています。
英国の場合、EU諸国からの留学生の授業料は英国人学生と同じですが、EU外の国からの学生はもっと高いお金を払わなければならず、一流大学に留学すると、授業料+住宅費で年間約18,000ポンド(約270万円)となっている。これはアメリカの24,000ポンドに比べればかなり安い。
The Economistによると、英国では今年初めに学生ビザの発給についての規則を変更して、外国人学生の入国を厳しくして以来、ビザの発給を拒否される外国人学生が増えているのだそうです。拒否された学生からの怒りの声が伝わっており、ブラウン政府は学生ビザに関する規則を再度見直すことにしているとのことです。
ブラウンさんがこの規則を見直そうとしているのは、外国人留学生のためを思ってのことではもちろんない。あまりにも厳重に外国人学生を締め出すことが英国にとって損だということがあるからです。
Universities UKという組織によると、外国人学生が払う授業料の合計は年間15億ポンド。これらは英国人の学生が学ぶための資金などに充てられているので、外国人学生が減るのは大学にとっても困る。また授業料とは別に外国人の学生がキャンパス外で消費するお金は24億ポンド。この組織によると、なんやかんや入れて、英国の大学は英国経済に334億ポンドの貢献をしている(One way and another universities contribute £33.4 billion to the national
economy)のだそうであります。
もともと学生ビザについての規則変更は、学生の資格で入国しておきながら、実際には学校へ行かず、最悪の場合はテロ活動に加わったりする人もいるということから、治安上の理由で厳重化したわけです。新しい規則では、外国人学生を受け入れる大学は質の高い教育をほどこし、学生に対して責任を持つ大学に限られることになっており、その資格を得るために外国人学生を受け入れる大学は内務省の認可を受ける必要があるということになった。
おかげで、かつては4000校が外国人学生を受け入れていたのが、いまでは内務省の認可を得ている大学の数は2000校にまで減っている、と内務省では言っています。
が、BBCの報道によるとヒースロー空港の移民担当官は、認可された大学の中にはかつて偽留学生を受け入れていた大学もあると言っている。またとても大学では学べないと思われるような英語力であるにもかかわらず学生ビザを持ってヒースローに到着するというケースが続出しており、入国ロビーはてんやわんやなのだそうです。
▼要するにビザ発給を厳しくしたのはいいけれど、治安面でも収入面でも役に立たなかったってことですね。ブラウンさんによる学生ビザ規則の再見直しが、内務省(Home Office)と産業・革新・技術省(Department for Business, Innovation and Skills)の両省によって行われる。前者は治安のためになるべく外国人は入国させたくないし、後者は外国人学生が英国内で落とすお金は、英国の大学教育ためにの貴重だと考えている。
▼面白いのは、英国では大学教育(higher education)は産業・革新・技術省というお役所の管轄だということですね。このお役所は、日本で言うと、経済産業省に近いと思うのですが、そのお役所にMinister of State for Higher Education and Intellectual Property(大学教育および知的財産担当副大臣)という人がいる。
▼ところで「社会実情データ図録」というサイトによると、2008年の日本における外国人留学生は123,829人だそうです。ここでも中国がダントツで、約73,000人、英国からの留学生は400人だった。 |
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4)ドイツの影が薄くなる |
3か月ほど前、英国の大学におけるドイツ研究科の閉鎖が相次いでいるという記事が Guardianのサイトに出ていました。
記事によると、英国の大学におけるドイツ研究は過去125年間も続いてきており、特に1950年代にはドイツの経済成長やゲーテ、シラーらの文学に対する関心が高まっていた。が、このところドイツ研究の学生数が減っており、2006-2007年と2007-2008年を比べると約10%減って、現在では4765人にまで減っている。また高校レベルでドイツ語をとる学生も減っている。来年(2010年)の秋の新学期で、ドイツ語の単位を与える大学は116校のうちわずか64校にすぎないのだそうです。
理由はいろいろあって、政府の方針で高校のGCSE(普通教育終了試験で外国語そのものが必修科目ではなくなったこともあるし、ドイツ語は難しいというイメージが定着しているということもある。実際にはスペイン語よりもドイツ語の方が英語に近いにもかかわらず、です。
またレスター大学のIan Robertsドイツ研究部長は、英国人の間にはまだドイツをナチズムに関連して考える傾向があり、ドイツという国に対する「潜在的敵意(latent animosity)」があると言っている。またサルフォード大学のJuliet Wigmore教授は、ドイツという国のイメージが受けないのだと言います。スペインのように「陽のあたる海岸でワインを楽しむ」というイメージでないということなのだそうです。
ロンドンのUniversity Collegeのドイツ語部長であるSusanne Kord教授は「モノリンガルは国際市場における英国の競争力をますます低下させる。国際企業の間では、英国の学生というと英語しかできないというイメージで見られ、企業幹部に登用される機会が少なくなっている」として次のようにコメントしています。ちょっと長いけれど引用してみます。
(外国語を学ばないということで)自分たちのフロントドアを超えて外を見るという能力を失わせようとしている。外国文化を真に理解するためにはその国の言葉を知らなければならない。外国語に触れないということは、グローバルな市民になる能力をなくすということであり、本来知的な人々でも文化的閉鎖症状に陥ってしまう。そうしてこのグローバリゼーションの時代に、しかるべきレベルの知的発達を希求することを放棄し、真の地球市民の一員となる望みまで捨て去ったことになるのだ。 |
It threatens our ability to look beyond our front doors. Foreign culture can only truly be accessed through a foreign language. Not having that exposure results in an inability to be a global citizen and limits otherwise intelligent people to cultural parochialism. At that point, we have abandoned, paradoxically in the age of globalisation, the desire to reach a certain level of intellectual development and the wish to truly count as world citizens. |
▼日本語の研究についてはオックスフォード・ブルックス大学の穴井宰子さんという人の報告書『日本研究と日本語教育の連携:英国高等教育において』に詳しく出ていますが、Japaneseを専攻とする学位課程がある大学は、Cambridge, Cardiff, Edinburgh, Leeds, Manchester, Oxfordなど13校あるのだそうです。案外あるんですね。 |
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5)D・キャメロンの研究⑥:アメリカとの付き合い方 |
アメリカにとって英国がどの程度大切な国なのかは分かりませんが、英国にとってアメリカが最も重要な国であることは間違いない。サッチャーさん以来、英国のリーダーがなにかというと口にするのが、英米の「特別な関係」(Special Relationship)です。英国にはきつい言い方かもしれないけれど、アメリカと特別な関係にあるからこそ国際舞台で大きな顔ができるわけです。
で、キャメロンが首相になった場合の英米関係はどうなるのか?ちょっと古いけれど、3年前の2006年9月11日に9・11テロ5周年の集会で演説したキャメロンが「英国はアメリカの奴隷的同盟国であってはならない」(UK must not be a "slavish" ally of the US)という言葉を使ったことでちょっとした話題になったことがある。2006年といえば、ブッシュとブレアが大統領であり首相であったころの話ですが、BBCなどはキャメロン党首が「アメリカも英国も対テロ戦争への見方が非現実的かつ単純すぎる」(US and UK of viewing the "war on terror" in "unrealistic
and simplistic" term)と批判したなどと伝えています。
キャメロンによると、ルーズベルトとチャーチル、サッチャーとレーガン、メージャーとパパ・ブッシュ等々、戦後の英国はアメリカの「弟分」(junior partner)としての役割をうまく果たしてきたけれど、それは「一切文句を言わない同盟国」(uncritical ally)というわけではなかった。それが最近、つまりブレアやブラウンの労働党政権になってからその種の賢明さを失ってしまった。
いまのようなやり方を続けていると、(英国は)目立ちはするかもしれないが、(国際舞台における)さまざまな政策決定に対する本当の影響力は極めて小さいという状態になるかもしれない。我々が正しいバランスというものを早く見つけることは、英国にとってのみならず英米同盟にとってもいいことなのだ。これは反米ということではない。アメリカもそれを望んでいるのだ。 |
I fear that if we continue as at present we may combine the maximum of exposure with the minimum of real influence over decisions. The sooner we rediscover the right balance the better for Britain and our alliance. This is not anti-American. This is what America wants. |
この演説が行われた2006年、まだブレアが首相で、イラク戦争でアメリカのいいなりになる「プードル犬」として人気が失墜していた。そういう時期だから「必要なときにはアメリカに対して物を言うべきだ」というメッセージを発するのも、野党の党首としては当たり前だったのかもしれない。
キャメロン自身はアメリカのイラク攻撃やアフガニスタン攻撃には賛成していたのですが、それを言ってしまうとブレア政権と同じことになってしまうというわけで、米英の外交のやり方は「謙虚さと忍耐強さ(humility and patience)」に欠けており、それが世界の反米感情につながっていると主張しています。イラク戦争については、ある国を独裁から自由な国に変えるためには、政府を転覆して選挙をやればいいってものではないとして、
(自由というものは)簡単に外部から押し付けられるようなものではない。自由は地面から育つのであって、空から模型飛行機で落とせるものではない。 |
It cannot easily be imposed from outside. Liberty grows from the ground
- it cannot be dropped from the air by an unmanned drone. |
と言っている。これなど「たとえ武力を行使してでも世界中に民主主義を広めよう」というネオコン的発想に対する批判ですね。さらに彼はアメリカによる捕虜に対する虐待にも触れて「我々は同盟国のやりすぎに眼をつぶってはならない(We must not turn a blind eye to the excesses of our allies)」とも言っています。
我々は文明の原理・原則のために戦っているのだ。その戦いを進める方法においてもそうした原理・原則を忘れてはならない。 |
We are fighting for the principles of civilisation - let us not abandon
those principles in the methods we deploy. |
相手がテロリストなら何をやっても構わないというアメリカのやり方に対する批判としか思えないコメントですよね。それでもキャメロンによると、保守党は英米関係の「情熱的サポーター」(passionate supporters)であり、「本能的友人」(instinctive friends)なのだそうであります。
passionateとかinstinctiveとか、何やら言葉だけが先走っているという気がしないでもない。それとこれらの発言はブッシュのアメリカに対するものであって、オバマのアメリカに対するものではない。このあたりのことについて、Foreign Policyという雑誌のDavid Rothkopf氏は、センチメンタリズムとは程遠いオバマ大統領のアメリカとキャメロン首相の英国の関係は、近来になく冷めた(chilly)ものであり、「特別さ加減が少ない」(less special)なものになるであろうと言っている。
英米関係を考える際にキャメロンにとって最も問題になるのは、保守党政権の対ヨーロッパ関係であろう、と言うのはFinancial Timesのコラムニスト、Philip Stephensです。保守党は昔からヨーロッパ大陸に対しては懐疑的な姿勢を持っています。
ワシントンの政府は英国がEUというテントの内部にいるということを望んでいる。アメリカに対する英国の影響力は、英国がどの程度、EUとアメリカの間の架け橋としての役割を果たせるのかにかかっているのだ。 |
Official Washington would prefer Britain to be inside the EU tent and the extent of British "influence" is to some extent determined by the extent to which Britain acts as a kind of bridge between the EU and the USA. |
ということであります。つまりちょっと極端に言うと、EUに対して敵対的な態度をとるような英国は、アメリカにとって付き合う価値のない国であるということですね。
ところで、キャメロンはオバマに二度会っています。最初は大統領選挙に勝利したオバマ上院議員が、昨年(2008年)末にロンドンを訪問したときのこと。このときは、オバマが最初に会ったのがブレア前首相、次にブラウン現首相そして3番目がキャメロンであったのですが、New Statesmanという雑誌によると、オバマのキャメロン評は「何たる軽量級(What a lightweight!)」ということだったのだそうです。
二度目に会ったのは今年(2009年)4月にオバマさんがG20の会合に出席するためにロンドンを訪問したときのこと。そのときのオバマさんについてキャメロンは「気楽に語り合い、意見交換ができる人物」(a very easy person to talk with and exchange views with)と語っていたのですが、それよりもキャメロンが何よりも喜んだのは、きわめて多忙なスケジュールにもかかわらずオバマがキャメロンと会談(約30分)するだけの時間をとったことだった、と政治記者たちが語っていたのだそうです。つまりキャメロンが次期首相になる可能性が極めて大きいということをアメリカ側が認めたということでもあるわけで、もう「軽量級」なんて言わせないってことですね。
▼確かに大西洋をはさんだ英米関係は、ブッシュに比べればヨーロッパ色のうすいオバマが相手ではかなり違ったものにはなるのでしょうね。ブレアがプードル犬とまで揶揄されながらもブッシュと一蓮托生のような道を歩んだのは、ブレアが基本的には英国をヨーロッパの国であると考えていたということなのでしょう。そのヨーロッパで指導的な立場を占めるために、「アメリカと近い」ということを武器にする必要があった。そしてアメリカもまたヨーロッパの一員としての英国だからこそ自分たちの同盟国としての価値があると考えていた。
▼ちなみに最近(12月3日)のPew Research(アメリカの調査機関)がアメリカ外交評議会(Council on Foreign Relations)の会員を対象に「アメリカにとって将来大切な同盟国はどこか?」というアンケート調査を行ったところ、1位は58ポイントの中国、2位は僅差でインド(55ポイント)となっており、以下ブラジル、EU、ロシアときて、次が日本で16ポイント、英国は日本の次で10ポイントだった。外交の専門家の意見です。
▼外交のことなど何も分からないむささびジャーナルではありますが、鳩山さんが、どちらかというとアジアに眼を向けた外交を展開しようとしており、東アジア共同体構想なるものを推進していることが、あたかも日米関係に悪いことのように言う人がいるけれど、本当にそうなのでありましょうか?アメリカにとって英国という国がヨーロッパ大陸とアメリカとの架け橋としてのみ存在価値があるのと同じように、日本もまたアメリカにとって、中国を始めとするアジアとの架け橋としてのみ価値があると考えるのはさしてメチャクチャなことではないように思えるのですが・・・。 |
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6)どうでも英和辞書 |
the elephant in the room:タブー
象のようなでかい動物が部屋にいれば見えないわけないですよね。でもあえて見えないふりをするような話題のことを「部屋の中の象」というんだそうですね。知らなかった。気候変動に取り組むためには、人口問題と取り組む必要があることは専門家なら誰でも分かっていること。なのになぜか誰も触れたがらないし、コペンハーゲンのサミットでも触れられないだろう・・・" that's the elephant in the room"と英国のChanel 4テレビのブログが言っています。
なぜそれがタブー視されるのかというと、それを語り始めると女性の権利の問題だの避妊器具の普及だのという問題にまで発展せざるを得なくなり収拾がつかなくなるからです。二酸化炭素の排出規制の話でもしておいた方が話が進むだろうってこと。でも、いずれはこの問題に取り組まざるを得なくなる・・・ that's the elephant in the roomというわけであります。
hamsters: ハムスター
Go Go Hamstersなんて知ってました?アメリカ生まれのおもちゃで、電池を 入れると鳴き声を発する interactive hamsterで、英国では今年のクリスマスの最大の売れ筋なのだそうであります。余りにも売れすぎて、品薄状態で、輸入元では「一人で大量に買うのは止めて欲しい」と呼びかけているらしい。大量に買い込んでネットで高値で売る人たちがいるんですね。店で買うと10ポンドなのに、ネットでは30ポンドもする。たしか英国では10年前にポケモンブームってのがありましたね。英国から日本へ来た人が「ポケモンならなんでもいい」というので買いこんでいたのを憶えております。
war weary:戦争疲れ
wearyは「疲れた」とか「イヤになっている」という意味の形容詞ですね。 a weary smileは「疲れたような笑い」だし「待ちくたびれた」は I have had a weary waitです。つまり war wearyは「厭戦気分になっている」ということです。12月4日、ブラッセルで開かれたNATOの外相会議に出席したアメリカのヒラリー・クリントン国務長官が、NATO諸国に対してアフガニスタンへの軍隊の増派を要請したときに口にしたのが "Today, our people are weary of war"(いまアメリカ国民は戦争疲れしている)という言葉だった。もちろんその後に
This is our fight, together. And we must finish it together.これは我々共同の戦いなのです。みんなで終わらせなければなりません。 |
と付け加えたのですが・・・。オバマさんが3万人を増派すると決めたあとだけにNATOも無視するわけにいかず、結局7000人の増派を決めたというわけであります。アメリカがベトナムで負けたのも、結局はアメリカ人自身がwar wearyだったからだし、日本が第二次世界大戦に負けたのも同じことだと思いません?問題はタリバンだのアルカイーダだのの側にwar weary感覚があるのかということですね。ないよね、たぶん。それからアフガニスタンについてwar wearyなのはアメリカ人だけではありません。世論調査などに見る限りヨーロッパだってうんざりしています。
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7)むささびの鳴き声 |
▼この写真は北海道余市町の子供たちの記念撮影です。いまから7年前の2002年にイングリッシュオークという小さな木を植えたことをきっかけに、同じ子供たちが集まって毎年一度記念撮影をしています。今年で8回目。2011年には10回記念ということになる。北の町の気長プロジェクトにご注目を!
▼無責任な放言と思われるかもしれないのがしゃくではあるけれど、やはり書いておきたいのは、行政刷新会議の「事業仕分け」という作業の中で、科学技術関連の予算について削減や廃止だのが相次いでいることについて、科学者たちがカンカンに怒っているという報道が盛んに行われましたね。「(仕分け委員は)歴史という法廷に立つ覚悟ができているのか問いたい」と言ったノーベル賞受賞者もいました。
▼このことについて、自民党の河野太郎議員が自分のメルマガの中で、「官僚の説明能力不足には驚く」として、「科学技術予算に関する文部科学省の説明には、あきれるばかり」と言っています。あの委員会で仕分け委員の一人が「なぜ世界一でなければいけないのか?二番ではダメなのか?」という趣旨の質問をしましたよね。河野さんはこのことについても
世界で一番速いスパコンと二番目に速いスパコンで、科学技術の進歩にどれだけの差があるのか、あるいは、どれだけの速さのスパコンがあるとどういう技術にどれだけのメリットをもたらすのか、文科省は具体的に説明することができません。
と批判しています。 |
▼「なぜ世界一でなければいけないのか?」という質問について、仕分け委員会とは別のところで記者会見をした東大の教授やらノーベル賞受賞者やら、いわゆる「超一流」の方々が「世界一を目指さなければ二番にも三番にもなれないのですよ」というようなことを声高にしゃべっておりました。いかにも「なんという愚問を発するのだ、このアホは」という雰囲気でありますね。
▼河野太郎さんは、素晴らしいスパコンを持てば日本の国際競争力が高くなるという分野もあるということは認めながらも
しかし、このプロジェクトが日本に何をもたらすのか、その道筋は正しいのか、そしてそこにかける費用は妥当なのかといったことをきちんと説明する義務が文科省にはあると思います。
と言っている。そして |
スパコンは日本の将来にとって大切だ、日本は科学技術立国を目指すべきだなどという抽象論ではなく、具体的な予算の項目一つ一つの妥当性をしっかり議論しなければなりません。
と主張しています。 |
▼実にもっともな意見だと思いません?「科学技術立国を目指すべき」と言われれば反対はしにくい。でもだからお金はいくら使ってもいいというわけではないのは当たり前です。メディアの報道は(私の見る限りにおいては)、東大とかノーベル賞とかの先生方の言うことは鵜呑みで報道しても、「なぜ世界一でなければいけないのか?」という誰でも聞きたい質問をした仕分け委員はアホ扱いだった。
▼「仕分け」ついでにもう一つ。小学校で英語を教えることが決まっているのですが、文部科学省がタダで配布している「英語ノート」という「補助教材」を作るための予算が仕分け委員会で廃止に決まったというので、「全国から困惑の声が殺到している」と読売新聞のサイトに出ておりました。
▼小学校の英語授業は2011年から始まるらしいのですが「教科扱い」でないので教科書というものがない。しかも小学校だから英語を教えたことのある教師がいない。というわけで文科省が「英語ノート」なるものを無料で配ることになっている。すでに250万部が無料配布されている。それを今後も続けるための予算が8億5000万円なのだそうです。これがアウトと判定された。
▼読売の記事を読んでいると、あたかも日本全国の公立小学校が仕分け委員会に抗議の声を上げているかのように響くけれど、文科省に寄せられた「意見メールや電話350件のうち300件が『廃止反対』だった」というわけです。この程度の数のメッセージが送られたのに「困惑の声が殺到」ですか?!日本には2万2000以上の公立小学校があるのですよ。
▼「英語ノート」は小学校における英語教育の指導法が確立していないことからくる教師の不安解消と教える内容の地域格差を小さくすることが目的なのだそうです。教師の不安解消・・・つまり何やっていいのか分からない先生方が「これさえやってりゃいいのね?」と思える教材ということですね。そんなものもらって、急にまともに英語を教えられるようになるのでしょうか?日本全国の小学校が同じ教材を使えば「地域格差」が小さくなると考えているわけ?そのために8億5000万円も使うのですか?どうかしてるんじゃありませんか? |
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