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2010年11月7日 |
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いつの間にか11月。11月という月はいまいち影の薄い存在ですよね。9月は暑い夏が終わってほっとする、10月は残暑もなくて気持ちのいい秋本番、11月は冬の12月までの中継ぎ期間というだけのこと。ただ私の印象によると11月は晴天の日が多い月だと思います。悪いこっちゃない。 |
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目次
1)ゴルバチョフの憂鬱
2)新聞の生き残りは「無料化」にある?
3)身障者外交官の登用を巡るreasonable論議
4)政治の世界で政党の影が薄くなっている
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声
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1)ゴルバチョフの憂鬱 |
10月27日付のThe Independent紙がAfghanistan: Russia steps in to help Nato(ロシア、アフガニスタンでNATOを援助)という記事を掲載しました。"The
Independent has learnt..."というような書き出しで始まっている記事というのは大体において「特ダネ」であることが多いですよね。「本紙の知るところによると」というのですから・・・。それによると、ロシアはこれまでにもアフガニスタンの軍隊や麻薬撲滅軍の訓練などに取り組んでいるけれど、このほどNATO軍に対してヘリコプターを数十機提供することで原則合意したのだそうです。ロシアといえばアフガニスタンに攻め込んだ結果、今から21年前の1989年、屈辱的撤退を余儀なくされた苦い経験を持っているはずなのに・・・と意外な気持ちでこのニュースを読んだわけ。
で、同じ日のBBCのサイトがゴルバチョフ元ソ連大統領とのインタビュー記事を掲載しています。見出しは「ゴルバチョフ氏、NATOのアフガニスタン勝利はあり得ないと発言」(Gorbachev: Nato victory in Afghanistan impossible)となっています。
インタビューにおけるゴルバチョフ発言のいくつかを紹介します。
アメリカがベトナムの二の舞いをしたくないのなら、アフガニスタンにおける撤退以外に選択肢はない(US had no alternative but
to withdraw its forces if it wanted to avoid another Vietnam)。 |
ゴルバチョフによると、ソ連軍の撤退を前にイラン、インド、パキスタン、アメリカとの間で合意ができていたのだそうです。すなわち・・・
アフガニスタンが中立で民主的な国となり隣国およびアメリカ、ソ連との友好関係を築くという合意であり、我々はアメリカがこの合意を順守することを希望したのだ。We
had hoped America would abide by the agreement that we reached that Afghanistan
should be a neutral, democratic country, that would have good relations
with its neighbours and with both the US and the USSR. |
そして・・・
アメリカは常にこの合意を支持すると言ってきていた。にもかかわらずアメリカは過激派を訓練することもおこなっていたのだ。この同じ過激グループが現在アフガニスタンやパキスタンでテロ活動を行っているのだ。The
Americans always said they supported this, but at the same time they were
training militants - the same ones who today are terrorising Afghanistan
and more and more of Pakistan. |
ゴルバチョフはまた現在のロシアの政治状況について次のように語っています。
非常に心配だ。ロシアは全体主義から民主主義と自由の体制に向かって半分しか進んでいないのであり、戦いはまだ続くだろう。我々の社会には民主主義を怖れ、全体主義の方がいいと考える人々がたくさん存在するということだ。"I am very concerned, we're only half way down the road from a totalitarian regime to democracy and freedom. And the battle continues. There are still many people in our society who fear democracy and would prefer a totalitarian regime. |
ゴルバチョフによると、プーチン首相率いる与党は「民主主義から遠のいて権力の座にしがみつくためには何でもするという状態だ」(doing everything
it can to move away from democracy, to stay in power)とのことであります。
▼アメリカのアフガニスタン戦争を「ベトナム戦争の二の舞い」と言っているけれど、タリバンとベトコンという民族主義者を相手に戦争しているという点では似ています。ベトナム戦争の前提として「インドシナ半島の共産主義化」があり、アフガニスタン戦争の前提には9・11テロがあったのですよね。アフガニスタン攻撃のそもそもの目的はアルカイダを捕まえるということにあったはずなのに、いつの間にかタリバン攻撃が目的のようになってしまった。
▼ゴルバチョフは、ロシアにおける政治状況は民主主義とか自由などとは程遠いと言っています。素人ながら思うのですが、メドベージェフ大統領が国後島を訪問した理由には国内の政治状況があると考えるのが普通なのでは? |
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2)新聞の生き残りは「無料化」にある? |
英国の新聞、The Independentの発行元が最近新しい新聞を出し始めたというニュースが、10月下旬のBBCのサイトに出ていました。新しい新聞の名前は"i"(小文字のアイ)で、日刊紙なのですが、本紙のThe
Independentの掲載されている記事を抜粋してさらにコンパクトにまとめて掲載しているとのことです。「とのことです」というのは私自身、未だ読んだことがないという意味です。タブロイド版で56ページ、値段は20pで本紙の5分の1です。
The Independent紙は1986年の創刊だからいわゆる高級紙の中では最も新しい。現在のオーナーはロシア人の起業家、アレキサンダー・レベドフ。この人はEvening Standardの株を75%所有しているのですが、この人が取締役になってからEvening Standardは無料新聞になり、かなりの利益をあげるようになっているのだそうです。またDaily Mailや無料紙のMetroを出しているAssociated Newspapersグループともパートナーシップの関係にあるとのことです。
発行元では、"i"のセールスポイントは「簡潔な知性」(intelligence with brevity)と「深い記事が速く読める」(depth with speed of reading)ことであるとしているのですが、「結局、本紙の読者が安い方へ流れるだけなのでは?」という疑問の声もある。ただBBCによると、Lebedev氏もそのあたりのことは十分に分かっており、今回の"i"創刊は、本紙であるThe Independentを無料化するための布石なのではないかという声もあると伝えています。The Independentは発行部数が18万部で全国紙の中でも最も小さな新聞です。
新聞はインターネットに広告主を奪われて、世界中で生き残るのに四苦八苦であるわけですが、メディア王のルパート・マードックはネット時代に生き残るためには、オンライン新聞を有料化するっきゃないというわけで、英国で所有しているThe Times, The Sunday Times, the News of the World(the Sunの日曜紙)のオンライン版をすべて有料化しています。新聞業界紙のPress Gazetteによると、The Times, The Sunday Timesのサイトの有料化は今年の6月に始まったのですが、有料購読者は10月現在で約5万人だそうです。
▼マードックが、紙の新聞には未来はなく、これからはネット時代に生き残ることを考えなければならないと思っているのに対して、レベドフは新聞が紙媒体であることにこだわっており、「無料新聞」にこそ紙の新聞が生きていく道と考えているのかもしれない。従来の新聞ではもたないと思っている点では共通している。
▼個人的なハナシですが、私はThe Timesのオンライン版を有料で読んでいます。購読料はひと月で8・60ポンド。日本円に直すとおよそ1000円ということになるけれど、英国におけるお金の価値感覚からすると8・60ポンドは860円というところですね。紙のThe Timesは週日は1ポンド、日曜紙のSunday Timesは1・50ポンドだから、紙の新聞をひと月読むと30ポンドくらいになる。つまりネット版の値段は紙版の3分の1より少しだけ高めということになる。
▼日本で日刊紙のオンライン版が有料というのは日本経済新聞だけですよね。日経とThe Timesでは新聞の性格がちょっと異なるので値段をそのまま比較しても意味がないかもしれないのですが、日経のネット版はいくらなのかというと、紙の新聞を購読している人は「購読料プラス1000円」つまり5000円でネット版を読むことができるのだそうです。ネット版だけ読みたい人の場合は、4000円だそうです。
▼マクドナルドのビッグマックの値段は英国で2・29ポンド、日本では320円です。The Timesオンラインの一か月の料金8・60ポンドはビッグマックが4個弱買える値段です。オンライン日経の価格4000円はビッグマック12・5個分。かなり高いと思いませんか?
▼日経以外の日本の新聞はこれからどのようにネット時代を生きていこうとしているのでしょうか?無料新聞化を考えている新聞社はあるのでしょうか?英国の新聞のオンライン版と日本のそれとの違いは、英国の新聞の場合、どの記事にも最後に読者からの書込み欄があるのに対して、日本の新聞の場合は(私の知る限りにおいては)これが全くないということです。コラムや社説のような記事についてさえもない。
▼私の想像にすぎないので、間違っていたら直して欲しいのですが、日本の新聞サイトが書込み欄を作らないのは、そんなことをするとどんな書き込みがなされるか分かったものではない・・・という理由によるのではないか?つまり新聞サイトが読者の意見発表・交換の場でもあるというアタマは新聞社には全くない。そんなことにスタッフを割きたくない。読者は我々の記事を読んでいればいいのだ・・・ということです。それではたぶんネット時代には生き残れないと思います。だとすると無料新聞・・・ですか!?
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3)身障者外交官の登用を巡るreasonable論議
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11月1日付のThe Independent紙に身障者の英国外交官の海外赴任が外務省(英国の)によって拒否されたという記事が出ています。ちょっとだけ読むと、外務省の方が理不尽のように思われるかもしれないけれど、よく読むと仕方ないかもという気がしてきますが・・・。
話題の外交官はJane Cordellさんという女性で年齢は44才。カザフスタンにある英国大使館の公使(ナンバー2)として赴任することになっていたのですが、耳が全く聴こえない。外交官としての仕事をするためには読唇通訳というきわめて特殊な通訳を雇う必要があるのですが、それに要するコストが1年間で24万ポンド(約3000万円)もかかる。24万ポンドという金額は、Cordellさんの給料の5倍、駐カザフスタン大使館で仕事をする英国人スタッフ全員の給料を併せたものより多いのだそうです。
外務省は、Cordellさんの駐カザフスタン公使就任について、一旦は認めておきながら、身障スタッフを採用するについてのReasonable Adjustmentという規則に合致するかどうか検討した。この規則は身障者を採用するについて、雇用主が準備しなければならない装備などに要するコストが「理にかなった(reasonable)」ものであるかどうかを検討するように求めているもので、外務省としてはunreasonableとして公使としての採用を取り消した。Cordellさんはこれを障害者に対する差別であると雇用調停委員会に訴えていたのが、この調停委員会も外務省の言い分を認めたということです。
実はCordellさんが海外赴任をするのはカザフスタンが最初ではない。2年前には駐ポーランド英国大使館で安全保障問題を担当する一等書記官として仕事したことがある。そのときは身体障害にもめげず職業人として生きるお手本としてポーランドでも話題になって勲章まで貰ってしまった。そのことは英国外務省の省内報告書でも素晴らしいこととして紹介されていたのだそうです。
Cordellさんには気の毒だけれど、24万ポンドも余計に納税者のお金を使わなければならないというのでは、外務省の決定も「理にかなっている」というのが常識というもの・・・と思っていたら、同じThe Independent紙に、かつて駐ポーランド大使をしていたという人のエッセイが出ており、外務省の「常識」(common sense)に疑問を呈しています。
この人によると、この件についての外務省の対応と調停委員会の決定には大切なものが欠けている(something important is missing)のだそうです。
この障害者外交官を(公使という)幹部職員として支援するということ自体が、世界中の耳の障害者を勇気づける強力なシグナルの発信の役割を果たすのであり、政策的にも価値観を明確に打ち出すことになる。従ってお金を払う価値があるという発想が欠けているのである。the
idea that the very fact of supporting this disabled diplomat in a senior
overseas position itself sends a hugely powerful signal of encouragement
to deaf people round the world. That this has policy value in itself, and
is worth paying for. |
というわけです。しかも外務省をはじめとするお役所というものは、会計年度内にすべての予算を使い果たすということは極めて稀であり、24万ポンド程度のお金は必ず見つかるはずであり、それを彼女のために使うことで「身障者でも能力があれば幹部としての仕事させる国としての英国」を世界中に見せつけることが出来たはずであると指摘しています。この元大使は、その責任は外務省の大臣たち(Ministers)にあると言っている。
▼Jane Cordellさんが訴えを起こしたのは今年の1月。つまりまだ労働党のブラウン政権であったころのことです。ということはこの元大使に批判されている「外務省の大臣たち」というのはDavid Milliband外務大臣(Foreign Secretary)と彼の下にいた副大臣(Ministers)たちということになります。元お役人が政治家のイマジネーション不足を批判しているということです。この元駐ポーランド大使(a former ambassador to Warsaw)はCharles Crawfordという人なのですが、現在何をしているのかは書いてありません。
▼それにしても「どうせ予算の使い残しがあるのだからそれを有効に使え」と言うのはかなり思い切った発言です。しかもそれをやらないのは「大臣の怠慢」と言っているのだからかなり変わっています。私が知っている英国の元外交官は、この記事については外務省の方を支持しています。 |
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4)政治の世界で政党の影が薄くなっている |
最近のThe EconomistにThe party's (largely) overという見出しの記事が出ています。「パーティーはほぼ終わった」という意味ですが、ここでいうパーティーは宴ではなく政党という意味です。世界的な傾向として、政党の党員の数が減っているということを伝えている記事で「政府にとってはいいニュースではないかもしれないが、民主主義にとっては必ずしも悪いことではない」(bad news for governments, but not necessarily for democracy)と言っている。
例えばアメリカ。これまでは“50-50” nationと言われ、政治は民主党か共和党かの二者択一で行われてきた。4年前にギャラップが行った世論調査によるとアメリカ人の7割が、民主党もしくは共和党員であると答えている。それが最近では民主党:共和党:独立系=30-30-30という傾向になってきており、Pew Researchの世論調査では自分を「独立系(independent)」と考える人が37%でイチバン多くなっているのだそうです。ドイツでも従来の主要政党であったSocial Democrats(社会民主党)よりも、第三政党と目されてきた緑の党への支持率の方が高くなっているのだそうですね。
英国はどうか?いまから60年前、1951年の選挙では全投票者の97%が労働党か保守党のどちらかに投票したという記録があるのですが、今年の5月の選挙でこの「二大政党」に投票したのは全体の65%となっている。1950年代の英国における三大主要政党(保守・労働・自民)の党員数を全部合わせると400万人くらいいたのが、現在では50万人を下回るのだそうです。議会図書館の資料によると、2009年現在の党員数は、保守党が25万、労働党が16万6000、自民党は6万人。1950年代における保守党は300万、労働党も100万の党員を抱えていたとされています。
かつての英国では、労働者階級(working-class)が労働組合による組織労働者として存在しており、それが労働党を支えていたのですが、それはあくまでも労働者としての自分たちの利益追求を目的として存在しており、党も社会民主主義という思想を基にしていた。The Economistによると、有権者の多くが「中流意識」を持つようになって、左翼とか保守とかいう思想的なものではなく、具体的な政策を掲げる政党や活動を支持する傾向が出てきた。緑の党の躍進もそうだし英国のNational Trustは政党ではありませんが、1971年当時は25万人だった会員が今では370万人にまで増えている。
政党の影が薄くなるということは、政治が「部族的」(tribal)なものでなくなり、選挙民の政治意識が高まっていることを意味しているとも言えるのかもしれないけれど、英国エセックス大学のPaul Whiteleyという先生が36カ国の政治状況を調査したところによると、政治の党派色が強い国ほど、ガバナンス(public administration)がうまくいっているという結果が出ているのだそうです。つまり政党が強い力を持っていると、短期的には受けが悪くても国や社会のために必要とされる政策を党として推し進めることができる。反対に党派政治が弱いと難しい政策を推進するときに必要な政治の力が発揮されないということもある。アメリカ・カリフォルニア州の住民投票の場合、投票者は問題ごとに投票するので政党が基準にはならない。それが同州が抱える財政危機の原因になっているという声もある。
選挙民の党派性が衰退する一方で、それに適応した新しいアイデアも生まれているようです。アメリカの大統領選挙における予備選のやり方を、これまでのように民主・共和両党の党員たちがそれぞれ党員集会を開いて候補者を一人だけ選ぶのではなく、党員以外の誰もが参加して2名を選ぶというやり方にしようというものです。そうなると州によっては一つの党から2人の選挙人が当選ということもある。ワシントン州ではすでに行われており、カリフォルニア州でもそのやり方が許可されたのだそうです。
政治における党派性の薄まりが主要政党が多数議席を獲得することがなくなり、政治的な不安定さを引き起こすこともある。英国のように小選挙区制で多数決がモノを言う政治の場合は一党支配を生み出しやすいとされてきたものですが、最近はそうでもなくなっている。今年の英国の選挙では、どの党も絶対多数を占めることができず、いわゆるhung parliamentの状態となって連立政権が誕生している。そう言えば今年の選挙では「第三勢力」ともいえる「緑の党」が初めて国会議員を出しましたよね。
これまで「独立系」の候補者は政治の世界ではアマチュア理想主義者と目される人々が多かった。これを政治の主流に取り込もうという動きもある。英国のIndependent NetworkやJury Teamのような組織は独立系候補者を組織化して力を持たせようという運動に取り組んでいる。彼らによると、今年の5月に行われた選挙における独立系候補者数は前回(2005年)の選挙の2倍なのだそうです。今年の選挙における独立系候補者の獲得票数は約15万票で、1987年当時の1万票と比較すると如何に独立系が伸びているかが分かる。
▼The Economistの記事によると、英国の場合、人口のおよそ10%が政党の党員もしくはサポーターであると答えています。日本はその約半分の5%が政党との係わりがあるとしています。また別のサイトによると昨年(2009年)現在で、日本の政党で党員がイチバン多いのが自民党で、約100万人、次いで共産党が40万4000人、公明党が40万人ときて、民主党が26万4000人、社民党が3万2000人となっています。ただ増減という点から見ると、自民党の場合、10年前は320万人もいたのが3分の1以下に減っているのに対して、民主党は2万5000だったのが26万となってなんと10倍にまで増えている。
▼政党というと何やら胡散臭いものとされていて、「党派を超えて協力・・・」ということがあたかも美しいことであるかのように語られることが多いと思うのですが、The
Economistの記事が指摘するように、政治の世界で政党の影が薄くなるというのは、それほど望ましいことなのかは疑問ですよね。 |
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5)どうでも英和辞書 |
shellacking:打ちのめされる
アメリカの中間選挙で民主党が大敗したことについてオバマ大統領が記者会見で使ったshellackingという言葉が世界中のメディアの見出しとして使われました。大統領のコメントは下記のとおりです。
I'm not recommending for every future president that they take a shellacking like I did last night.I'm sure there are easier ways to learn these lessons.
これから大統領になる人に対して、私が昨夜こうむったような完敗の苦渋を味わうことはお勧めしないでしょうね。このような教訓を学ぶためにはもっと容易な方法があると思いますね。このような教訓を学ぶためにはもっと容易な方法があると思います。 |
確かに失敗はあったかもしれないけれど、ここまでひどい結果になるとは思わなかったと言っているわけですね。この記者会見のことを報じる英米のメディアのどれもがshellackingという言葉を見出しに使っている。アメリカのChristian Science Monitorの"Obama calls midterm elections a 'shellacking' for Democrats"という見出しがその典型です。
この言葉はもっぱらアメリカやオーストラリアでdecisive defeat(決定的敗北)という意味で使われるもので、英国では使われないのだそうです。BBCによると会見に出席した英国の記者たちは意味が分からず、辞書を調べたりするのに大慌てであったと伝えられています。
110%
最近のBBCのサイトに「最近流行りの言葉遣いで気に障るもの50例」というエッセイが出ており、その一つとして視聴者が挙げたのが「110%」という表現。「絶対に間違いない」ということを表すために使われる表現ですね。日本語では「120%」というのが普通だと思うけど・・・。競馬の予想などで「第3レースは4-7で120%間違いないすよ、ダンナ」とかいう具合です。英国の場合、最近では500%という表現も使われるようになっているのだそうです。
で、かつてトニー・ブレアが首相であったとき、財務相であったゴードン・ブラウンが「私は断固としてブレアを支持しております」と言うのに"I'm
101% behind Tony Blair"と発言したことがあって、そのときは「えっ?101%しか支持していないのか?」(What?
Only 101?)と揶揄されて口ごもってしまったらしい。ブラウンという人は善人なのに言葉遣いが上手くないんだよね。
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6)むささびの鳴き声 |
▼尖閣諸島沖の中国漁船衝突を撮影したビデオ映像がインターネット上に流出した問題ですが、あれがYouTubeに掲載されると何がまずいんでしたっけ?「たっけ?」というような聞き方をするのは、こんなことを今さら聞くこと自体が世事に疎いことを証明するものなのかもしれないので、おそるおそる質問したってことです。政府が断固として秘密だと言っているものを出しぬけにインターネットに流してしまったのだから、国家機密の漏洩にあたる由々しき事態である・・・これは何となく分かるのですが、そもそもなぜこのビデオ映像が国家機密なのかということが、私には分からないので、どなたかに説明してほしいわけです。
▼新聞をよく読み、テレビのニュースをよく見ていれば、こんな疑問は持たない、そういう類の疑問なのでしょうか?私、確かに新聞は読まないしテレビもほとんど見ないのですが、ラジオは比較的ちゃんと聴いているつもりです。でもラジオでは、それまでさんざこのビデオの全面公開を主張していた自民党の谷垣総裁が、「わが国の危機管理は一体どうなっているのか」という趣旨の発言をしているのを放送したけれど、自民党の願いどおり「全面公開」されたのだから、よかったんじゃありません?
▼尖閣とは全く関係ありませんが、ちょっとしたPRを。私の旧い友人で元英国の外交官として日本で勤務していた人が、南イングランドで、主として日本人の旅行者を対象にホームステイ・サービスを行っています。ロンドンから南へ電車で1時間ほど行ったところにHaslemereという町があり、彼らはそこで暮らしています。ダンナさんの元外交官(いまは引退の身)はウォーキングの達人で、最近は英国一行を引率してアフリカのモロッコまでウォーキングをやってきた。
▼彼が奥さんとやっているホームステイは、日本から英国へ来る訪問者に自分たちの家を滞在場所として提供するだけでなく、自分たちで地元を案内することも含まれています。Haslemereという町はSurreyにあるのですが、イングランドにしては珍しく丘からの眺めが素晴らしいところです。このサービスは有料なのですが、プロがやっているB&Bと違って、それぞれの客の好みに合わせてプログラムを組むので、一定の料金体系というものがない。目安としては一泊二日、朝食・夕食・案内など含めてざっと100ポンドというところです。
▼英国が全く初めてというより、何度か訪問したことがあるけれど、普通の企画ツアーでは物足りないという人に向いているかもしれない。彼ら夫婦は日本語もできるけれど、彼らのサービスを利用する場合は基本的な英語は使える方がいいかもしれません。
▼私は旅行会社の企画ツアーなるものには参加したことがないのですが、それには普通の英国人と言葉を交わしたり、食事をしたりお茶を飲みながら四方山話をするというようなことは含まれているのでしょうか?あるいは近所のスーパーで買い物をするとか・・・。何はともあれ、彼らが作ったホームページを見てやってつかあさい。写真が非常にきれいです。これはこの元外交官がカメラを趣味にしているからで、確かに腕はいい。
▼今回もお付き合いをいただき有難うございました。
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