musasabi journal 207
backnumbers uk watch finland watch
美耶子の言い分 どうでも英和辞書 green alliance
2011年1月30日
1月が終わります。とにかく関東地方はカラカラの天気が続きます。少しは雨が降ってくれないと土埃で家の中までざらざらです。今月は5回もお付き合いをいただきます。
目次

1)男性の肥満の方が深刻?
2)英国式ユーモアが通じない
3)英国・新聞業界のこれから
4)英国はエリートが牛耳る!?
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声

1)男性の肥満の方が深刻?


昨年(2010年)12月27日のDaily Mailに出ていた記事ですが、英国心臓病財団(British Heart Foundation)という組織がオックスフォード大学に依頼して行った英国人の健康調査によると、英国男性の平均体重が1986年~2000年の15年間で7.7キロ増えたのだそうです。女性は5.4キロです。

その15年間の英国における食糧事情を考えると、確かに食べ物の量が増えたということは言えるのですが、単に量の増加だけなら男の体重の増え方は4.7キロとなるはずなのだそうで、7.7キロも増えるはずがないとのことで、研究陣が到達した結論は、男の場合は運動量が大幅に減ったということ。食べ物の量が増えて運動量が減ったことが、意外なほどの体重の増え方につながったと言っています。ただ女性の体重増加は食べ物量の増加が理由で、運動量は変わらないのだそうです。

調査を行ったオックスフォード大学のPeter Scarborough氏は「移動には自転車よりもクルマを使い、仕事も坐ってやるものが多くなった」ことが男性のライフスタイルの問題であると言っています。2008年現在の調査によると、英国男性の25%が「肥満」のカテゴリーに入るのですが、20年前の1986年では7%に過ぎなかったことを考えるとタイヘンな数字ではあります。

▼要するに男はもっと運動しろ、ということを言いたいわけですが、この記事にはアメリカのカリフォルニアに住む男性からの投書があって「男の体重がどのくらいだろうと大きなお世話だ。本人がハッピーなら、ほっとけや(And may I ask who's business is it what a man weighs if he is happy let it go! )」と申しております。さらにグラズゴーの男性からの投書は次のように書かれています。
  • i am 100kg, my wife is 50kg,she loves me to bits and cooks well, i eat well she diets and exercises and stays in shape, get a life folks.
    おれは100キロ、女房は50キロでおれのこと愛してるし、料理もうまい。だからおれはたくさん食う。彼女はダイエットと運動やって健康です。いいじゃありませんか、皆さん。
▼結構です。でも投書するときくらいは、小文字だけってのはやめとけと言いたい。無精なんだよな、あんたは!


back to top

2)英国式ユーモアが通じない・・・


BBCのコメディ風クイズ番組、QIで「世界一不運な男(The Unluckiest Man in the World)」として、広島と長崎の両方で被爆した日本人男性のことをお笑いのタネにしたというので、ロンドンの日本大使館がBBCに対して抗議し、これにBBCが謝罪したというニュースは日本でも比較的大きく報道されましたよね。

私がチェックした範囲にすぎませんが、英国のメディアでこのことを報道したのはThe TimesとDaily Mailだけであったように思います。BBCも報道しなかったのでは?その番組の問題の個所はここをクリックすると見ることができますが、1月22日のThe Timesのサイトに掲載された東京特派員のRichard Lloyd Parryが伝えているのは、会場からの笑いを呼んだ司会者の発現と回答者(この人たちもコメディアン)の答えの部分です。

アロハシャツを着て、花を抱えるという極めて気楽な格好をした司会者が次のように発言して聴衆からの笑いを呼んだとなっている。

He’s either the luckiest because he survived an atom bomb twice, or the unluckiest.(彼は原爆を2回も受けておきながら生き残ったのです。幸運というべきなのか、不運というべきなのか・・・)

次に回答者のコメディアンが次のような発言をしています。

Is the glass half-full or is it half-empty? Either way, it’s radioactive, so don’t drink it.(コップに水が半分入っているのを半分は満たされているととるのか、半分は空っぽと考えるのかってことですが、どっちみち放射能に汚染されているんだから飲まない方がよろしい)

こちらの方が大きな笑いを誘ったようです。他にも笑いを誘った個所はあるのですが、司会者のStephen Fryという人の雰囲気のせいもあるのでしょうが、番組を通して会場には常に笑い声が聞こえているという状態であったわけです。

このことで私が興味を持ったのは、インターネット上でどのような意見が交わされているのかということだった。日本のネットに関して言うと


これはひどい。原爆の悲惨さを一つも理解していないとしか思えない。結局、西欧諸国の理解度はこの程度なのか?

というようなものを典型とする書き込みがたくさんあった反面、

Stephen Fry の発言は知的で、誠実でもある。他のゲストは原爆ネタで笑いはとりづらいと思って一歩引いたのではないか。これでいい、とは言わないが、日本の地上波バラエティの平均よりはずっと高品質。

と、冷静な見方をする人も結構おりました。で、英国ではどうかというと「日本は戦争責任について謝罪していないではないか」という、この番組とは無関係な日本批判がかなり掲載されていたのですが、番組そのものについては、英国人とおぼしき人たちの意見としては「英国的なユーモアであって悪意はない」とする意見が圧倒的だった。

ロンドンのDr Jamesという人は「侮辱的な部分は全くない、英国式ブラックユーモア」として次のように述べています。ちょっと長いけれど紹介すると:


laughing about an experience does not mean someone is laughing at people as supposed by some japanese here. the japanese have a culture of humour and so do the british. for viewers who lack an understanding of british humour, we often use it as a way of dealing with the dark and serious sides of life from illness to death to war and sex and religion. leave our british humour alone and respect our ability to know the difference between black humour and mocking.
ある経験を笑うということは、この場合日本人が思っているように、その人間を笑っていることにはならない。日本には日本のユーモア文化があるように英国にもそれはある。英国式ユーモアが分からない人のために言っておくと、我々は人生の暗い部分や深刻な事柄についても冗談を使ってやり過ごすのだ。病気・死・戦争・セックス・宗教・・・なんでもそうだ。英国なりのユーモアはそっとしておいてほしいし、ブラックユーモアと嘲笑の違いが分かる英国人の能力も買って欲しい。

念のために言っておくと、文章が全部小文字なのは原文どおりです。ギャグなんだから、それほど深刻にとらないでほしいと言っているわけですね。もう一つ英国人からのものと思われる意見を紹介すると:

The matter of whether you are British or Japanese is not important now, but of whether you can laugh about it if your loved ones are joked about in that way. Could you?
英国人か日本人かということはここでは関係ない。問題は、貴方自身の愛する人たちが、あのようなやり方でジョークとして扱われたら、笑えますか?ってこと。あれに笑えます?

この人はおそらく番組に批判的なのでしょう。ちなみにThe Timesに出ていた東京特派員の記事は、この二重被爆者に関して極めて同情的というか敬意を払うようなニュアンスになっています。ちなみにBBCの「謝罪」ですが、「日本人視聴者は、この話題がこの番組で取り上げるには不適切であると感じるということを、我々は理解する」(we understand why they did not feel it appropriate for inclusion in the programme)となっており、この「謝罪」について、番組司会者にコメントを求めたところMr Fry refused to commentであったと書いています。

▼正直言って、あまりいい感じではなかったと(私は)思うけれど、どう見ても二重被爆者を「笑いもの」にするという意図があったとも思えない。NHKがこのことを伝える中で、この被害者の妹さんだったか親戚だったかのコメントを伝えていました。意味としては「とんでもない、ひどいことだ」とBBCを非難するようなことをおっしゃっておりました。NHKはこの番組を見せたうえでコメントをとったのでしょうか?

▼このことはむささびジャーナルの英文版にも掲載させてもらいました。

back to top

3)英国・新聞業界のこれから


1月6日付のThe Economistが「勇敢なる新聞たち」(Bold newspapers)と題する記事を掲載しています。世界で最も過酷(the world’s most savage)と言われる市場で生存競争をしている英国の新聞業界の話題です。

同誌によると、英国では発行部数20万部以上の日刊全国紙(national daily papers)が9紙もあるのですが、発行部数は激減しているし、広告収入も一昨年(2009年)以来、インターネットに追い抜かれてしまっている。英国の新聞の発行部数を10年前と比較すると次のようになります。


2000年 2010年
The Sun 360万 270万
Daily Mirror 220万 110万
Daily Mail 230万 200万
Daily Express 98万 62万
Daily Telegraph 97万 63万
The Times 67万 45万
Financial Times 45万 40万
The Guardian 39万 26万
The Independent 20万 18万

このような過酷な業界だから、編集関係者が有名人の携帯電話を盗聴していたNews of the Worldという新聞のように、生き残るためには好ましからぬことをしてしまう新聞も出てくるというわけですが、The Economistによれば、英国の新聞社が生き残るために採用している方向性として主に3つある。

一つはルパート・マードックという人が経営しているNews Corporationが採用しているもので、自社発行の新聞のインターネット版を有料化するという方向です。この会社は、英国では高級紙といわれるthe Timesとthe Sunday Times、それに大衆紙のthe Sunとその日曜版であるthe News of the Worldを出しているのですが、the Sunを除いてすべてインターネット版はお金を払わないと全く読むことができない。料金はひと月8ポンド(約1000円)です。the Sunは読める部分もあるけれど、将来的にはこれも全面的に有料化されるのではないかと言われています。

Timesの有料化が始まったのは昨年の6月からですが、それ以前のTimesファンでネットの有料読者になった人は14%、たまにはTimesを読んでいたという人になると1%しか有料読者にはなっていないという調査がある。大体がBBCのサイトを読むようになるのだそうです。

尤もネット版の有料読者が少ないことはNews Corporationにしてみると想定内のことで、購読料や多くを期待できない広告収入などはあてにしていない、とThe Economistは言っています。彼らが収入源として狙っているのは、お金を払ってもネット版を読む熱心な読者(dedicated readers)で、例えばTimes主宰のワインクラブ、劇場ツアー、海外旅行企画などがそれで、TimesやSunday Timesのサイトには、そのような企画の広告がやたらと多いらしい。Timesワインクラブからワインを買う人は25万人にのぼるのだとか。ただ、News Corporationとしては、やはり新聞購読(紙媒体であれネット版であれ)読者を確保することが究極の目標で、そのためにはTimesが読者にとって「なくてはならないもの」(it hurts to cancel)となること。そのためにライバル会社が一番恐れているのが、News CorporationによるBSkyBという衛星放送会社の完全買収なのだそうで、それが実現してしまうと、新聞とテレビを抱き合わせで販売することができるようになる。

News Corporationがネットによる広告収入をあてにしていないのに対して、Daily Mailは反対方向に進んでいる、とThe Economistは言っています。 すなわちネットで広告収入が稼げると考えているということです。新聞としてのDaily Mailは保守的なのですが、高級紙と大衆紙の中間(やや大衆紙寄り?)的存在で、ライバルのDaily Expressを完全に壊滅させてしまった観がある。

Daily Mailの場合、インターネット版へのアクセス数が1か月3500万人(unique visitors)で、現在トップを行くNew York Timesに次いで世界第2位なのだそうで、New York Timesが間もなく有料化されるとDaily Mailが晴れて世界一ということになる。ネット版のコンテンツが紙のものよりも有名人のゴシップ記事が多く、なぜか水着の女性の写真が絡むようなニュースが頻繁に掲載される。気楽さが受けているというのがThe Economistの評価です。

News CorporationともDaily Mailとも違う第3の方向を進んでいるのが、ロシア人のLebedev氏が経営する新聞社ですが、この人についてはむささびジャーナル201号ですでに紹介しています。高級紙のthe Independentと中間紙のEvening Standard(ロンドンの新聞)を持っているのですが、紙の新聞にこだわっています。彼によると、特に若い人は新聞を読みたがっているが、そのために高いお金は払いたくない(young people do want to read newspapers--they just don’t want to pay much)のだそうで、Evening Standardを無料紙にしたところ部数が倍増して70万にまで達している。

またLebedev氏は20ペンスという安さで、高級紙the Independentの姉妹版の"i"も出しているのですが、部数がこれ以上には伸びないと言われるthe Independentとの抱き合わせで広告スペースを売ることで、両方とも生き延びるかもしれないと言われている。

News Corporation、Daily Mail、Lebedev氏は三者三様のやり方をとっているわけですが、三つともうまくいくということは考えられないし、ひょっとするとどれもダメかもしれない。しかし三者ともに読者が何を望み、何に対してお金を払う気があるのかについてはっきりした考え方をもっており、勇気に欠けるという批判だけは当たらない(none can be faulted for lack of boldness)とThe Economistは言っています。


▼確かに英国の新聞を見ていると、手を変え、品を変えという感じで読者獲得に懸命な姿がうかがえます。形を大きな版からタブロイドにして、電車通勤でも読みやすくしたり、新聞にCDの付録をつけてみたり・・・涙ぐましい努力ですが、変わることをいとわない姿勢そのものは本当に素晴らしいと思います。

back to top

4)英国はエリートが牛耳る?

最近、英国の政治で話題になった辞任劇が二つあります。ひとつは野党・労働党の影の財務大臣をつとめていたAlan Johnson、もうひとつはキャメロン首相の報道担当官だったAndy Coulsonの辞任です。Johnsonは不倫が理由で自ら身を引き、Coulsonは、かつて大衆紙、News of the Worldの編集長であったときに同紙の記者が有名人の電話を盗聴していたというスキャンダルにかかわっていたのではないかという疑念をもたれて辞めざるを得なかった。

BBC News Magazineのサイト(1月26日付)にAndrew Neilというジャーナリストが政治家の学歴についてのエッセイを寄稿しているのですが、辞任した二人に共通しているのは、いわゆる「中流階級」の出ではなく、council house boysであったという点です。council houseは市営住宅のことで「市営住宅暮らし」といえば英国では経済的に恵まれない、労働者階級の家庭の代名詞となっている。もちろん二人とも大学は出ていない。Andrew Neilによると、この二人は最近の政界では「絶滅の危機に瀕する人種」(endangered species)なのだそうです。

第二次世界大戦直後から1960年代初頭にいたるまでの約15年間に首相を務めた人物はいずれも名門私立学校(パブリック・スクール)の出身だった。Clement Attlee、Winston Churchill、Anthony Eden、Harold Macmillan、Alec Douglas-Homeらがそれで、最後の3人はいずれもイートン校の出身だった。

様変わりしたのは1964年で、この年に首相になったHarold Wilson(労働党)に始まって、Edward Heath、James Callaghan、Margaret Thatcher、John Majorまでの33年間はいずれも公立学校出身者が首相を務めたことで、政治的なリーダーの世界における階級性のようなものは消滅したかのように見えた。

が、97年のTony Blairがスコットランドのイートン校と言われるような私立学校の出身であったし、Gordon Brownもcouncil house boyからは程遠い育ちであり、現在のDavid Cameronはイートン、副首相のNick Cleggもウェストミンスター校という名門私立学校の出身者・・・というわけで、かつてのエリート時代に戻ってしまったような観がある。ついでにいうと、Osborne財務大臣も私立学校の出身で、彼らが通ったような学校の授業料は普通の労働者の平均年収よりも高いのだそうです。またCameron政権の閣僚の半数、国会議員の3分の1が有料の私立学校へ通った経歴なのですが、英国全体でこの種の教育を受ける人は7%に過ぎない。労働党のリーダー層も中流階級、オックスブリッジ出身者が主流です。党首のEd Miliband、辞任したAlan Johnsonを継いだEd Ballsと彼の妻(影の法務大臣)もオックスフォード出身です。

政治がエリートの世界に戻ってしまったかのように思える背景の一つには労働組合の衰退によって、労働者階級の出身者が政治指導者になるルートが絶たれてしまったことがあるけれど、教育制度にも理由がある、とBBCのサイトは言っている。私立学校と公立校の間のギャップの大きさです。私立学校に通う子供たちのほぼ3分の1が全国テストで、最優秀の成績を収める課目が3つはあるのに対して、公立校に通う子供たちの場合、そんな子供の数は、全体のわずか7.5%にまで落ちてしまう。ブレア政権が誕生したときのスローガンは"education, education, education"であり、労働党政権下での教育予算はそれまでの2倍にも上ったのに、私立と公立の間の成績の格差は2倍にまで開いてしまった。

Andrew Neilは「現代の政治指導者たちが頭脳明晰な人たちであることは誰も否定しないが、彼らを輩出するパイプラインはより狭く、より恵まれた環境の人物に絞られていること否定できない(Nobody can deny that our current crop of political leaders is bright. But the pipeline which produces them has become narrower and more privileged)と言っています。


▼このエッセイのタイトルはDoes a narrow social elite run the country?となっています。英国という国が、一部のエリートたちによって運営されているのか?というわけで、最近はどうもそのようだと言っているのですが、だからと言って英国が一握りの階級によって支配されていると言っているのではない。教育面における格差があって、それが社会的な格差に繋がっているという部分はあるけれど、それは政治的指導者が「エリート階級」の出であるということとは無関係であるように(私には)思えます。

▼記事の中に出てくる公立校出身の首相ですが、5人のうち3人(Wilson、Heath、Thatcher)はオックスフォード大学を卒業しています。またウィキペディアによるとJames Callaghanもオックスフォードに行く資格は得たことはあるのだそうです。さらにJohn Majorはグラマースクールという、公立ではあるけれどアタマのいい子供たちが行く学校の出身です。

▼日本の首相の学歴ですが、戦後に限っていうと、東久邇宮稔彦王も入れて菅直人まで32人のうち「大学」と名の付くところを出ていないのは田中角栄(中央工学校)、鈴木善幸(農林省水産講習所)の二人だけ。宇野宗佑さんが「神戸商業大学・中退」となっているほかは皆さん大学出です。ちょっと意外なのは、東大出の首相というのが、戦争直後から1980年代までは幣原喜重郎、吉田茂、片山哲、芦田均、鳩山一郎、岸信介、佐藤榮作、福田赳夫、中曾根康弘とかなりの数いたのに、90年代から現在までとなると、宮澤喜一さんと超短命だった鳩山由紀夫さんだけだったのですね。

back to top

5)どうでも英和辞書

A~Zの総合索引はこちら

How are you?:ごきげんいかが?

Toni Summers Hargisという、アメリカ在住の英国人が書いたRules Britanniaという本は、アメリカ人が英国人と付き合う際に気をつけた方がいいと思われることを書いているのですが、当然、アメリカ英語と英国英語の違いにも触れられています。例えばHow are you?というあいさつ言葉に対する受け答え。アメリカ人の場合は、GreatとかFineのような言葉で終わってしまう。極端にいうと何も言わなくても大して問題にはならない。つまり問いかけも答えもさしたる意味は持っていない。「こんにちは」「あ、どうも」というようなものです。アメリカ人は少々調子が悪くてもI'm OKなどと答える。しかるに英国人の場合はHow are you?をマジメに考えて答える傾向があって、I am not really goodと答えたりするのだそうです。さらに(この人によると)英国人は調子がバッチリなのにHow are you?と聞かれて、Not too bad(悪くはない)とひねくれた答え方をしたりするので、アメリカ人には不自然に響くけれど気にするなとも言っております。


back to top

6)むささびの鳴き声

▼エジプトが揺れていますね。1月28日付のBBCのサイトにFrank Gardnerという安全保障担当の記者の記事が出ています。それによると、軍隊の動きが決定的な要因(deciding factor)になるとのことです。エジプトでは軍隊・軍人はイスラエルとの戦争(1967年~1973年)でも国を守った愛国者として国民的な尊敬を集めているのだそうです。その数は約34万人、Mohammad Tantawiという元帥の指揮下にある。この元帥はアメリカ寄りとされている。ムバラク大統領自身が軍人上がりであり、いまのところ軍はムバラクを支持しているとされている。

▼一方、デモの取り締まりにあたる警官隊は内務省管轄で、その数は国境警備隊も入れて約33万人なのですが、給料も低く、教育程度も劣る人たちであり、現在のムバラク政権の初期には待遇改善を求めて暴動まで起こしたことがあるのだそうです。そのときは軍隊によって鎮圧された。今回も実弾発射などで死者が多数でている責任は警官隊にありということで、政府の要請で軍隊が出動した際には、彼らが警官隊をコントロールしてくれるのではないかということで市民から歓迎されていた、とBBCは伝えています。

▼ただ中東問題ならこの人、と言われるThe Independent紙のRobert Fisk記者がカイロから伝える記事(1月28日付)によると、エジプトでは警官こそが特別な存在であり、国の祝日として「警官の日」(National Police Day:1月25日)というのがあるくらいなのですね。1952年1月25日、スエズ動乱として知られる英国との紛争の中で、英国軍がIsmailiaという運河の町にある警察署を襲い、50人のエジプト警官を殺害、これが全国的な反英暴動のきっかけとなった。Robert Fiskは、今回のデモには「ある種のエジプト民族主義」(a kind of Egyptian nationalism)が垣間見えると言っています。

▼それにしても、チュニジアから始まった中東諸国の民主化運動の報道に接すると、結局のところ上から抑えるという形での国の統治は長続きしないということを表しているように思えますね。欧米vs中東を支配者vs被支配者という図式で見ると、後者(中東諸国)に理があるように思うけれど、後者自身の民主化は、結局欧米をモデルにしたものになるのではないかと思ったりもする。

▼そのように考えると、たとえば最近の中国も結局のところ欧米が歩いてきた道をたどっているということになるのかもしれない。アメリカが世界の覇権を握っていた時代は過ぎ去ったのかもしれないけれど、それにとって代わるとされている国々もアメリカ的なもののやり方を取り入れながら進んでいるということです。

▼というわけで、ひょっとすると私も自分でも信じられないくらいにアタマが「欧米化」しているのかもしれないですね。寒い日がつづきます。お身体を大切に・・・。

back to top



←前の号

messages to musasabi journal