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むささびの鳴き声
069 政治は家業?

ラジオを聴いていたら、小泉さんの引退についてディスカッションをやっていたのですが、ある政治記者が、最近の世界的な金融危機のおかげで、小泉流の改革路線はもう消えたのも同然だ、というようなことを言っておりました。つまりアメリカ流の市場原理主義・金融資本主義の破綻とともに小泉改革もアウトだというわけであります。書き始めると長くなるし、自分自身もそれほど考えがまとまっているわけではないけれど、いま金融危機だから昔のやり方がいい、といわんばかりの思考方法は間違っていると思います。なぜあのとき小泉さんの「官から民へ」があれほど支持されたのか?ということをちゃんと振り返っておく必要があります。

というわけで、森嶋通夫さんの『サッチャー時代のイギリス』(岩波新書)をもう一度読み返しています。森嶋さんはサッチャー流のやり方(市場原理主義)には批判的な人だったはずなのですが、私が非常に興味を覚えるのは、サッチャーさんという人が、なぜ10年以上も首相であり続けることができたのかということであります。

就任当時は、彼女の政策のお陰で失業者は増えるは、ホームレスが道にあふれるはでタイヘンだった。フォークランド紛争がなかったら、彼女は一期で終わっていたという人もいる。それほど不人気だったわけです。でもとにかく英国人は彼女を10年以上、首相として持ち続けたのです。

日本の場合、小泉改革のお陰で格差は広がるは、ワーキングプアは激増するは、地方は疲弊するは・・・ろくなことないじゃないか、という論議が最近特に盛んですよね。サッチャー時代の最初のころと似ています。ちなみに私のとりあえずの感覚としては、小泉改革は間違っていた、という考え方はいまいち信用できないということでございます。

ところで、辞める小泉さんも、自分の息子を跡継ぎにさせるのだそうですね。日本の政治家に二世だの三世だのが多いことについて、ある政治記者に「何でまた彼らはそれほど政治家になりたがるのでしょうか?」と素朴なる疑問をぶつけてみました。「要するに彼らは政治家を"家業"だと思っているのだ。つまり二世だの三世は"家業を継ぐ"という感覚なのだよ」というのが答えでありました。なるほど・・・酒屋の息子がこれを継ぐという、あれですね。家業は英語でいうとfamily businessですね。日本では政治家は職業(profession)ではないということか。[2008/9/28]

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