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むささびの鳴き声
070 「異端」の意味

麻生首相が漢字の読み方を間違えたというので、いろいろ言われています。「頻繁(ひんぱん)」を「はんざつ」と読んだり、「未曾有(みぞう)」が「みぞゆう」になり、「踏襲(とうしゅう)」を「ふしゅう」とやってしまったり等々。フォーサイトという雑誌の2009年1月号に掲載された『異端妄説』というコラムも、そんな麻生さんを批判しているものの一つで、書き出しは次のようになっています。

内閣総理大臣が漢字を知らないということは、笑いごとで済むような話ではない。この国の日本語能力の低下の象徴であるとともに、国家指導者の人材がいかに不足しているかを如実に物語っている。

で、締めくくりは

これからわが国の総理になろうという人物にはせめて漢字検定3級のテストぐらい受けてもらう必要がある。国語ができない国家運営の責任者の率いる日本など、国際社会でだれが信用するものか。

となっている。かんかんに怒っているわけであります。

私、「頻繁」とか「踏襲」ていどは読めるけれど、漢字検定3級(それってどんなものなのですか?)に受かる自信は全くない。自慢ではないけれど、妻の美耶子によると、私は「基本的な常識に欠ける」のであります。自分の常識度はともかく、美耶子さんは確かにいろいろ知っております。であるので、子供たちも「常識問題」については、母親を頼りにしていたのでございます。はっきり言って、その点は大いにコンプレックスを抱いて生きております、私は。

そのコンプレックス人間によりますと、麻生さんの間違いなどは「笑いごとで済むような話」なのでございます。『異端妄説』のコラムニストには、「なにをキャンキャン吠えてんのさ」と言いたい。私たちが麻生さんに期待するのは、この国から少しでも貧困や犯罪や差別をなくすことであり、漢字の読み書きではない。「踏襲」を「ふみおそい」と読んでも構いません。寒空に社宅を追い出されるような人をなくしてくれればよろしいのであります。

『異端妄説』が褒めている政治家に宮沢喜一さんがおります。筆者によると、宮沢さんは「総理としての実績はいまひとつだったが、教養の深さでは天下一品だった」のだそうです。漢学に詳しく、英語はペラペラで、ビル・クリントンもびっくりだったのだそうです。しかし教養が「天下一品」であったとしても「総理としての実績はいまひとつ」なのでは、しゃあないんじゃありませんか?(麻生さんのための注:天下一品は、"てんか・いっぴん"と読みます。"てんか・ひとしな"ではありません。食堂じゃないんだから)

それから「国語ができない国家運営の責任者」が率いる国は、国際社会で信用されないと言いますが、ブッシュさんは「子供」の複数形をchildrensとやったりしていた。彼が国際社会の信用を落とした(とされている)のは、英語の間違いが多かったからではないでしょう。イラク戦争が間違っていたからであり、国内的には金融危機を招来するような政策をやってしまったからでしょう。"childrens"とは関係ない。

ところで「異端妄説」というコラムの名前はどういう意味なのでしょうか?「異端」は「少数派」と似たような意味であろうし、「妄説」はYahoo!の辞書によると「根拠不明のでたらめな話」とか「取るに足らぬ話」となっています。つまり、今回のコラムも「取るに足らぬ話」として笑って無視すればいいのでしょう。それを鬼の首でも取ったようにキャンキャン言ってしまった私もお恥ずかしい・・・。ボクメンダイシモナイ(「面目次第もない」の反対)。

ただ、このコラムニストの言っていることは、とても「異端」とは思えない。私、何故か、コラムニストのような人たちは、まずは「異端」であるべきだと思っております。100人中・99人が「右」と言ったら「ひょっとして左なんじゃない?」とか言ってその場をしらけさせるような存在です。麻生さんの漢字力については、どの新聞も、どの雑誌も、どのテレビ番組も「みぞゆう」を取り上げて「首相たるもの、情けない!」と嘆いていたはずです。私の考えによると、「コラムニスト」といわれる人が(しかも匿名・ペンネームで)、そんなことをわざわざ取り上げて「笑いごっちゃない!」などと書くのは、勉強のできる沢山の"お利口さん"が、出来ないヤツ(少数)をよってたかって嘲笑しているようで、読んでいて不愉快であったわけでございます。この人、ひょっとして「異端」の意味を知らないんじゃないの?!

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