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むささびの鳴き声
092 世界ランクは5位、自己評価は最下位の日本

BBCの国際放送部門であるBBC World Serviceが毎年行っている世界の国のイメージランキング(BBC World Service Country Rating Poll)が3月7日に発表されたことは、たぶん日本のメディアでも報道されたと思いますが、ランキングの性格からしてさほど詳しくは伝えられていないかもしれないので紹介させてもらいます。

この調査は25カ国で行われ、アンケートへの参加人数は約2万9000人(いずれも成人)です。アンケートの質問は

Please tell me if you think each of the following countries is having a mainly positive or mainly negative influence in the world. 
次に挙げる国が世界に与える影響は「主にいい影響」だと思いますか?それとも「主に悪い影響」だと思いますか?

となっていて、答えとしてはMainly positive(主にいい影響)、Mainly negative(主に悪い影響)、Neither/neutral(どちらでもない)の3つのいずれかを選ぶようになっている。

調査結果は2010年の数字と2011年の数字を合わせて平均を出してランキング評価したものです。平均的にイチバン評価が高いのがドイツで、Mainly positiveが62%で、Mainly negativeの15%を大きく上回っています。英国は2位(58%が「好い」、17%が「悪い」)、日本は5位(57%対20%)、アメリカは8位(49%対31%)、中国は9位(44%対38%)などとなっており、イスラエル(21対49)、パキスタン(17対56)、北朝鮮(16対55)、イラン(16対59)などが下位に来ています。なお2011年だけの数字に基づくランキングでは、ドイツ、英国、日本がベスト3となっています。

一般的なランキングよりも面白いのは国別の詳細です。例えば日本について、BBCの解説文は Japan continues to have very favourable ratings globally in 2011(2011年における対日評価は相変わらず極めて好意的である言える)としていますが、中国人の対日評価は18対71で悪印象を持っている人が圧倒的に多い。アジアでいうと、対日イメージがいちばんいいのはインドネシアで85対7、二番目がフィリピンで84対12、韓国の対日イメージも68対20とかなり高いものになっている。アメリカ人は69対18、英国人は58対26という割合で親日的。ちょっと意外なのはロシア人の対日評価で、65%が好意的というわけで英国人のそれを上回るのですが、悪いイメージを持っている人はたったの7%と異常に低い。なのに日本人でロシアに好印象を持っているひとは10%しかいない。

英国について最も好意的なのはどこの国の人たちだと思いますか?答えは韓国で、85対8の割合でpositiveな感覚を持っている人が多い。中国人の英国観は48対37で好意的な方が多いのですが、昨年(2010年)の数字に比較するとネガティブなものが16ポイントも増えている。奇妙なのは日本人の対英感覚で、英国が嫌いという人は3%しかいないのですが、positiveなイメージをもっている人も37%と大して高くない。「どちらでもない」というのが60%もある。つまり影が薄い存在ということでしょうね。

中国についていうと、アフリカではいずれも「好意的」が上回っており、アジアではパキスタン、インドネシア、フィリピンでの評価が高いのですが、ヨーロッパではロシア以外はいずれもネガティブな印象を持たれてしまっている。なぜかドイツ、フランス、スペインなどで特に低いのですね。北朝鮮に対するイメージでは、ガーナ(37対21)以外はいずれもネガティブがポジティブを上回っているのですが、中国人の51%が悪印象をもっており、好印象の34%を上回っている。

最後にそれぞれの国の人たちが自分たちの国をどの程度評価しているのかを見たところ、日本はちょっと変わっていることが分かります。アトランダムに並べてみます。

自国に対する評価:世界に与える影響
好い影響 悪い影響
アメリカ 64% 29%
中国 77% 17%
日本 39% 9%
英国 69% 23%
パキスタン 40% 17%
インド 77% 6%
フランス 68% 18%
南アフリカ 69% 13%
ロシア 77% 4%
ドイツ 87% 4%
韓国 84% 9%
ブラジル 84% 6%

パキスタンと日本を例外として、皆さん自国に対する評価が高いのですね。特に変わっているのは日本で、他国からの評価では5本の指に入るくらい高いのに自己評価となるとこれほど低い国は他にない。4割にも満たないのですからね。それから英米の人たちの「自己批判指数」の高さが目立ちますね。

貴方はこれをどのように解釈しますか?もう一度言っておくと、質問は「それぞれの国が世界に与える影響」についてです。日本人の場合、半数以上が日本について「どちらでもない」という答えをしているけれど、英米の場合は9割以上が良し悪しをはっきりさせている。日本人の態度は、悪く言うと「はっきりしない」(indecisive)、良く言うと「控え目」(modest)というわけで、いずれにしても他国の人たちは「日本人って、いったい何を考えているのだろう?」と思ったりするかもしれない。私はそれで結構だと思っているのですが、はっきり言って他国の人たちには説明はしにくいですね。[2011/3/13]


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