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musasabi journal 163 | |||||||
2009年5月24日 | ||||||||
なんだか、あっと言う間に5月も終わりですね。一昨日、電車で都内へ出かける用事があったのですが、マスク姿はごく少数でありました。一枚700〜800円もするマスクがあるんですか!?私の妻が近所のチェーン薬局で見つけました。かと思うと、コンビニには、7枚200円というのもあった。 |
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1)リタイヤを遅くするとアルツハマーの危険が減少する | ||||||||
調査チームは382人全員のリタイヤ年月日を比較検討した結果、1年長く仕事を続けると約6週間ボケ(dementia)の発症が遅くなるということが分かったのだとか。 この調査結果について、英国アルツハイマー協会(The Alzheimer’s Society)は、
と、ほとんど当たり前のようなコメントを出しています。 The Timesによると、英国の認知症人口は約70万、うち約42万人がアルツハイマーなのだそうです。今回の調査の対象となった男性の平均退職年齢は63.3才、平均アルツハイマー発症年齢は75.6才です。 今回の研究に資金提供を行ったアルツハイマー研究財団(Alzheimer’s Research Trust)のRebecca Wood理事長は、
と言っています。この記事についての読者の投書を二つ紹介すると・・・
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2)ロールスロイスも不況には勝てない? | ||||||||
で、ロールスを1台買うといくらするのか?というと、ざっと30万ポンド(45万ドル:4500万円)するのだそうです。すべてが手作りでオーダーメイドというこのクルマ、昨年は1212台売れて、BMWに買収されて以来最高の販売台数を記録した。不況で工場も稼働停止に追い込まれたりしたけれど、最近では1週間に25台という割合で生産を再開しているのだそうです。ただ昨年並みの売り上げは難しい、と執行役員のティム・パービスさんも認めている。 ロールスの顧客は以前はアメリカ、特にカリフォルニアのビバリーヒルズの住民であったそうですが、昨年は中東のアブダビや北京などの後塵を拝している。 自動車メーカーはどこも同じですが、ロールス・ロイスにとっても中国が最大の成長市場となっており、4月に開かれた上海モーターショーでは、やや小型で「ベイビー・ロールス」というニックネームで知られるGhostシリーズを発表している。このクルマの価格は17万ポンドというから、従来のものよりもかなり安い。狙いは企業向けというよりもオーナードライバー層なのだそうです。 パービスさんによると、最近の売れ行き不振の背景の一つにアメリカにおける住宅価格の下落があるけれど、もう一つの理由として「このご時世に、クルマごときに30万ポンドも払うのはおかし」という世の中の雰囲気もあるとのこと。ただ世界経済が復調しても、「ガソリンを食う」パワフルなエンジン搭載のクルマの将来性は疑問、というわけで、いずれはロールスロイスのハイブリッド車が誕生することになるだろうと言われています。「そうなったとしても、創設者のヘンリー・ロイスは気にしないでしょうね」(I'm sure that Henry (Royce) would not have minded)とパービスさんは言っています。
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3)底なし!?議員の経費スキャンダル | ||||||||
ついにこの問題をめぐってMichael Martin下院議長が辞任に追い込まれる事態にまで発展してしまった。なぜ下院議長が責任をとらなければならなかったのかというと、議員の経費についての規則が下院の規則であり、それにまつわる不正は一義的には議長に責任があるということなのですが、BBCのサイトによると、「議長が国民に対して充分な悔恨の念を示さなかった(he has not expressed sufficient remorse to the public)」ことが、メディアはもとより下院議員らの批判も浴びてしまったのが主なる辞任理由になっている。下院議長が辞任に追い込まれたのは1695年にSir John Trevorという議長が賄賂を受け取ったことが発覚して以来のことだそうです。 5月12日付のThe Economistは「議会の評判がどうしようもないくらい地に落ちている(The reputation of Parliament is at a desperately low ebb)と言っています。
というわけであります。 ところで、このスキャンダルが特に大問題となり、下院議長の辞任にまで発展したのは、Daily Telegraphという新聞が与野党含めて、不正請求をした政治家のリストを暴露したことによるところが大きい。このことについて、BBCのサイトが「ジャーナリズムの勝利か?」(A triumph of journalism?)という記事を掲載しています。 それによると、このリストを掲載した日のTelegraphは売上げを9万部伸ばしたと推定されています。それだけではない。同紙のサイトもアクセスを大きく伸ばし、ネット広告の収入も大きく伸ばした。とにかくやり方がうまかった。夜のテレビ・ニュースが始まる10時の約2時間前に新しい情報をサイトで伝え、9時に追加情報を掲載、10時にはフル情報を伝えるというぐあいで、何せTelegraphの独占情報だから、テレビ・ニュースも「Telegraphの最終情報によると」というふうに名前が何度も報道されたということです。 ケント大学でジャーナリズムを教えるTim Luckhurst教授(自身が昔はthe Scotsmanの編集長だった)は、
英国の場合、新聞は「高級紙」と「大衆紙」というふうに読者層が分かれてしまっている。Telegraphは保守派の高級紙とされていて、読者も保守派インテリ層に限られているという傾向があります。発行部数はせいぜい60万〜70万というとことではないかと思います。(日本では大新聞は800万部とか1000万部とかいわれている)。つまりTelegraphの特ダネも、Telegraphだけにとどまっていると大したことにはならない。 そのあたりのことについて、Tim Luckhurst教授は、「このスキャンダルについては、おそらくTelegraphではなく、BBCによって知った人の方が多いだろう」として、「放送メディアも他紙もTelegraphのジャーナリズムを利用して、自分たちのすぐれたジャーナリズムを作り上げたのだ」(broadcasters and other newspapers have used the Telegraph's journalism to create more excellent journalism of their own)として
もっともTelegraphにとっていいハナシばかりではない。BBCのサイトによると、同紙が不正請求議員のリストをどこからどのようにして入手したのかということで、警察の捜査が行われる可能性もある。これについては、TelegraphのBenedict Brogan副編集長は
と言っている。Luckhurst教授は、この点については
とTelegraphの肩を持っています。
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4)「民主党よ、しっかりしろ」というThe Economist | ||||||||
政府の借金がGDPの2倍、輸出志向の経済の成長は幻想、少子高齢化社会の急速な進展・・・このような状況下にあって、与党・自民党の政策はほとんど期待の持てないものばかり。日本が抱える問題の根底には政治がある(Japan’s problems are political at root)。そしていま戦後初めて、野党が自民党に代わる実現可能性を持ったもう一つの力になり得る状況になっている。 The Economistは、最近の西松建設スキャンダルによって、小沢代表が民主党にとっての「選挙を勝つうえでのお荷物」(electoral liability)になってしまっていると言っている。小沢の後継者によって、新しい改革によって年金や医療、雇用などの問題を解決し、より責任のある政府と官僚を実現すると期待されてはいる。 が、後継者とされる二人はとてもフレッシュとは言い難い。鳩山氏は、小沢の取り巻きによって支持され、小沢氏自身が背後で政治を操ることになるのではないかと言われている。一方の岡田氏は前回の選挙で民主党が惨敗したときのリーダーであった人物であり、何よりも致命的ことに、彼は小泉の郵政民営化(人気が高かった)に反対した人物でもある。つまり鳩山氏も岡田氏もカリスマ性に欠けている。ただ、岡田氏は少なくとも議員の世襲に反対するキャンペーンをはることでは泣き所をついてはいる。 民主党はみじめな過去からの明確に決別しているとは思えない。昔の社会党にように「飼いならされた野党(tame opposition)」の立場に甘んじてきた。民主党議員には元社会党が多い。元自民党の鳩山氏も岡田氏は自民党の出身であり、両者とも、自民党の議員と同じで、とてつもない財産家であるという弱みもある。 The Economistは、小沢が去った後、元首相だのメディアの親玉だのといった人々が選挙後の大連立を再開するだろうと言い、そもそも岡田氏も鳩山氏も「自民党のはみ出し派閥」(errant LDP faction)としか見られていないのだと決めつけている。もっとも自民党の改革派から民主党に鞍替えを考えている議員もおり、民主党の未熟さを考えると、自民党からの離脱者は大歓迎かもしれない。というわけで、
として
と締めくくっています。
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5)鳩山・民主党の誕生とむささびの感慨 | ||||||||
小沢さんが辞任を発表してからというものメディアの論調は、ほとんどすべて「鳩山が代表になるということは、小沢の傀儡ができるということであり、世論とかけ離れている」というニュアンスのものだったように思います。つまり岡田さんを代表に選べば、小沢の金権政治に代わってミスター・クリーンの登場ということで「えらいぞ民主党!」というわけですね。 でも選ばれたのは鳩山さんだった。私は政治の世界の内側のことなど知らないから、民主党内部でなにがあったのかなど分かりません。だから私の感慨など実際とは全くかけ離れたものなのかもしれないけれど、私は民主党は開き直ったのだと思いました。メディアによる小沢降ろしキャンペーンに対して「小沢の何が悪いってのさ」という開き直りです。 ちょっと古いけれど、4月1日付の朝日新聞に、ジャーナリストの立花隆さんが、民主党の小沢さんが代表(当時)を辞めないと言い張っていることについて大いに批判的なエッセイを寄稿していました。読みました?非常に長いエッセイだったのですが、結びの部分が立花さんの小沢さんに対するメッセージのすべてだと思います。すなわち・・・
立花さんによると、もろもろの世論調査から見ても明らかなことは、日本人が望んでいるのは「小沢抜きの政権交代」なのだそうです。なぜ「小沢抜き」なのかというと、「小沢がやっていることは、昔の金権時代に角栄がやったこと、金丸信がやっていたこととそっくり」であるからであり、しかも世論調査によると、西松事件についての小沢の釈明に「ほとんど誰もが納得していない」からである、ということになる。しかしこのエッセイを読む限り、立花さんが「小沢じゃダメ」の根拠にしているのは、
ということでしかない。 つまり立花さんの言い分は、検察や新聞の言っていることが全て正しいということを前提にしている(としか思えない)。西松建設事件が検察の横暴であり、新聞やテレビの報道が、その検察や西松建設側(小沢の側ではない)の「関係者」からのリーク情報に基づいた、きわめてアンフェアなものなのではないかという、私自身の疑いについては何も納得のいく説明をしていない。つまり立花さんこそ、彼のいわゆる「悪質・小沢」論について「万人の納得のいく説明」をすべきだと思うわけです。「検察と朝日新聞がそう言っている」では説明にならないわけです。 鳩山・民主党が誕生した翌日(5月17日)の朝日新聞は、鳩山さんが「小沢院政」の疑念を明確にぬぐわなければならない、と言っています。他の新聞も似たようなことを言っていた。朝日新聞の記事は「自前のグループをもたない岡田氏が集めた95票」の重みを受け止めよとも言っています。この記事を書いた前田直人という記者は、鳩山さんが集めた「124票の重み」はどのように受け止めるのでしょうか?それは全て「悪質な金権小沢」の言いなりになっているアホな124票ということなのでしょうか? 最初に言ったように、鳩山さんが代表になったことについて「良かった」と思い、そのように思っている自分が昔と変わってしまったという感慨を持ってしまったわけですね。昔なら立花さんのエッセイを読んで「なるほど・なるほど」と納得行ったような気分になっていたはずなのに、いまはそれをアンフェア(正しくない)なものとしか思えないでいる。自分がそのような感覚を持つということが以前では考えられないことであるわけです。 鳩山・民主党の誕生は、メディアも一部となっている「永田町の常識」が拒否されたということだと、私は思ったりしているわけです。私が思う「永田町の常識」というのは「誰がやっても同じじゃないんですか?」という「町の声」を生み出す、あれです。これまでの常識なら、鳩山さんを代表にすると選挙に勝てないというわけで民主党が分裂して、小沢さんが新党を結成して・・・で、自民党の政権が続く。メディアは自民党をひたすら「批判」する。結果として起こるのは、自民党もイヤだけど、民主党も分裂ばかりして頼りない。そして「誰がやっても・・・」ということになる。そういう常識が覆ったということです。 正直言って、私、民主党の政策なんか大して知らないのだから、自民党よりも民主党政権の方がいいと思っているわけではない。しかし「誰がやっても同じじゃないんですか?」病は退治されるべきだと思います。AがダメならBでやってみようという、当たり前のことをやってみたいと思っているだけであります。BがダメならCでいくか、またAに戻るかすればいいわけですからね。 ラジオを聴いていたら、小沢さんが選挙参謀として活動することについて、麻生さんが「民意を反映していないのでは?」と言っておりました。つまり民意は「小沢抜き民主党」を望んでいるのだから、これで選挙では民主党は勝てないだろうと言っているのですよね。麻生さんのこのコメントは、私には「小沢抜き民主党が相手なら、オレでも勝てる」という意味だと思いました。立花さんは、この麻生さんのコメントをどのように思うのでありましょうか? 民主党の代表に鳩山さんがなっても、岡田さんがなっても、私にしてみればどっちでもよかったのですが、検察のおかげで誕生するミスター・クリーンだけはカンベンしてほしいとは思っていたわけです。その意味からすると岡田さんはついてなかったと言える。自分はその気がなくても、「検察のおかげ」にされてしまうわけですから。
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6)どうでも英和辞書 | ||||||||
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consensus:合意 consensusという英語を辞書サイトで調べたらmajority of opinion(多数意見)とかgeneral agreement(一般的な合意)という言葉が出ておりました。いろいろな人がいろいろな意見を持っていて意見を統一しなければいけないときがありますよね。The consensus of the group was that they should meet twice a month(月に2回、会合を開こうというのが、グループとしてのまとまった意見だった)というわけですね。つまり(私の日本語によると)これは「合意」です。 どことなく似ている言葉にconsentというのがある。informed consentというのは、患者が医者からもろもろの情報を与えられたうえで、「分かりました。先生のいうとおり手術します」ということですよね。これ、私の日本語によると「同意」であるわけさ。 consentが個人の意思に基づいた積極的な行為であるのに対して、consensusは「全体をまとめよう」ということが主目的である行為ですね。マーガレット・サッチャーの言葉として、"democracy is based on consent, not consensus"(民主主義というものは同意に基づくべきものであって、合意に基づくものではない)というのがある。彼女の「合意」嫌いは有名で、次のコメントがサッチャリズムの本質を表現しています。
このコメントは、彼女に党首の座を譲ったエドワード・ヒースが、サッチャーのやり方は独裁的だと批判したことに応えるものだった。ヒースが「合意政治」(consensus politics)を大事にしたのに対して「アンタみたいな人が英国をダメにしたのよ!」と反批判したわけですね。きついんだよな、マギーは・・・。 fraternity:友愛・博愛 民主党の鳩山代表が、代表選挙中の演説の中で、自分の政治信念は「友愛」であり「愛ある政治を行いたい」という意味の言葉を使ったところ、記者の一人が「今時、愛なんて女学生も言わない」と批判したのだそうですね。それに対してジャーナリストの高野孟さんが「不勉強が過ぎる。たぶんこの記者は、愛がloveだと思っていて、fraternityという言葉を知らない」と怒っております。 フランス革命の理念が「自由・平等・友愛」であることは、子供のころからよく聞かされたものですね。フランス語でいうとLiberte, egalite, fraternite、英語ではLiberty, equality, fraternityとなる。高野さんの怒りはここをクリックすると読めますが、彼はまた旧民主党の結党理念の中に「友愛」というのがあるのだ、として次のような文章を紹介しています。
鳩山さんの意図を多少なりとも理解していれば、「女学生も言わない」とは言えなかったとは思うけれど、実は私も「愛ある政治」という言葉を聞いたときに、poltics with loveという意味かと思って「何だそりゃ?」と感じたのであります。「友愛」という言葉にはそれほどの違和感を持たなかったのに、です。 いずれにしても、フランス革命の「自由」は資本主義、「平等」は社会主義の理念ですよね。いまの世の中、この二つが思想的にはアウトという状況にある(と多くの人が言っている)。最後に残ったのが「友愛」です。もともと理念のハナシだから、どんな言葉を使っても甘く響くのは仕方ないよね。 privilege:特権、特典 最近、英国内務省が、英国入国を拒否された外国人のリストの一部を名前入りで公表して話題になったことがあります。どういう人が拒否対象になったのかというと、過激な意見をばらまいて、憎しみを増長させ、ひいては社会を不安定に陥らせるような人々(fostering extremism or hatred )であります。例えば、パレスチナ過激派ハマスの活動家、武闘派ユダヤ人、アメリカの白人優越主義者等々です。 この件についてJacqui Smith法務大臣(ダンナさんがポルノ・フィルムを見て、その料金を「経費」として請求した、あの女性大臣)の行った発言の中に出てきたのがprivilegeという言葉であります。
つまりprivilegeというのは、権利(right)などと違って、上から与えられる有難い特典であり特権という意味です。彼女のアタマでは、英国に入国できるということは「有難いこと」なのですね。政治家の夫だからと言ってポルノ・フィルムの鑑賞料金を政府に払ってもらうのは、たぶんprivilegeではないだろな。 |
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6)むささびの鳴き声 | ||||||||
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