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2009年6月21日 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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目次 1)ロンドン五輪へ、日本から高速鉄道 2)国の指導者:若ければいいってもんじゃない 3)国民一人当たりの負担に見る軍事大国 4)迷惑メール62兆通の環境被害 5)「子供なんか欲しくない」はタブー? 6)アフリカ支援には正確なデータを 7)どうでも英和辞書 8)むささびの鳴き声 |
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1)ロンドン五輪へ、日本から高速鉄道 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
6月18日付のThe Guardianのサイトを見ていたら、今月末から日本製の高速鉄道がロンドンのSt Pancras駅からKentにあるAshford InternationalとEbbsfleetという駅の間を走り始めるという記事が出ていました。 時速140マイル(約220キロ)で、これまで1時間半かかったルートが37分で行けるようになる。このルートはロンドン五輪(2012年)の際にロンドンからストラトフォードにあるスタジアムを結ぶ高速鉄道としての役割が大きいのだそうです。 6月29日から制限付きで走りはじめ、12月13日から通勤電車として正式運航の運びなのですが、Guardianによると運賃はSt Pancras=Ebbsfleet間の約40分間の距離を往復で24.30ポンド(約3900円)で、いまよりも34%高くなる。1週間の定期(travelcard)を買うと、いまより20%増の113.40ポンド(約18000円)になるのだそうです。ちょっと高いのでは?という声もあるらしけれどLord Adonis運輸大臣は
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2)国の指導者:若ければいいってもんじゃない | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
北朝鮮の金正日総書記の後継者としてKim Jong Un(金正雲)という人が指名されたという報道がありましたよね。年齢は25才(26才という説もある)ということで、もしこの人が本当に総書記に就任すると世界でも最も若い指導者ということになる。 The Economistによると、世界の「若き指導者」のトップ5は、
このうち最初の二人は選挙で選ばれた指導者ではない。現職最年少のアフリカ・マダカスカルのAndry Rajoelinaは今年、軍事クーデターで大統領になりはしたものの、BBCのサイトによると、未だ国際的に認知されていない。このリストには入っていないけれど、注目されるのがパキスタン人民党のBilawal Bhutto Zardari委員長は、1988年生まれだから今年21才。暗殺されたブット元首相の息子で、次期首相と目されている。そうなると就任時期にもよるけれど、この人が最年少の指導者ってことになる可能性もある。 現職の主なる指導者の年齢はというと、ブラウン英国首相は1951年生まれだから首相就任時(2007年)は56才、オバマさんは46才、サルコジさんは52才で大統領になっています。麻生太郎は昭和15年生まれだから今年で68才、鳩山由紀夫さんは1947年生まれだから、今年首相になると62才で就任ということになる。それで思い出したけれど、英国・保守党のキャメロン党首もたぶん来年には首相になるとされている。つまり44才で首相になるということで、これはブレアさんと同じ年です。サッチャーさん(1925年生まれ)は54才、ジョン・メージャー(1953年生まれ)は47才で、それぞれ首相になったわけです。
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3)国民一人当たりの負担に見る軍事大国 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
確かに中国はアメリカの次に来る軍事大国と言えるのかもしれないけれど、第1位のアメリカの軍事費たるや6070億ドルなのだから、かなりの差をつけられての第2位であります。世界の軍事費の総額は1兆4600億ドル、アメリカ一国だけで世界の軍事費の40%以上を使っているというのだから、とてつもない軍事大国ですよね。 ところで各国の軍事費をそれぞれの人口比で考えると、かなり違う図が見えてくるというのが、6月8日付のThe Economistの記事です。それによると、一番はイスラエルで国民一人当たりの軍事費は約2300ドルで、第2位のアメリカよりも300ドルほど多い。この計算でトップ5は次のとおりです。
The Economistのリストにはトップ15の国が掲載されているのですが、オマーン、クエート以外にもサウジアラビアとバーレーンの中東の国が入っています。英国は国民一人当たり約1100ドル(軍事費の総額:653億ドル)で第9位。ちょっと意外なのはノルウェー(7位)とデンマーク(12位)と北欧の国が入っていること。中国もロシアも日本も入っていません。 |
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4)迷惑メール62兆通の環境被害 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
一度、むささびジャーナルで迷惑メール(spam)のルーツについてお話したことがある(と記憶している)けれど、6月15日付のThe Economist(電子版)によると、昨年(2008年)1年間に世界中で送られた迷惑メール(unsolicited e-mails)の数は62兆通なんだそうですね。62,000,000,000,000通と言っても何のことだかよく分からないけれど、これだけの数のメールを送受信・処理・遮断するために使われる電力は330億キロワット時で、1年間に平均的アメリカ家庭150万世帯が消費する電力であり、310万台のクルマが消費するガソリンの量(約75億7100万リットル)にあたるものだそうであります。別のサイトによると、これだけのガソリンを使うと、車で地球を160万周するのと同じ量のCO2が排出されるのだとか。 これらの数字は、コンピュータのウィルス退治で知られるMcAfeeがコンサルタントに依頼して、日本を含む世界11カ国を調査した結果判明したものなのですが、面白いと思うのは、これらのエネルギーの浪費は、迷惑メールの送り手というよりも受け手側の行動によるところが圧倒的に多いということであります。送り手が迷惑メールを送付するために使うエネルギー(受信する人のアドレスを見つけ出し、メールを作成・送付し、これをサーバー上に保管するのに使うエネルギーは、330億キロワット時の2%以下。むしろ受け手の側がクリックしてこれを見たり、削除したりするという行動によって使うエネルギーの方が大きいのだそうです。 昨年11月8日にMcColoと呼ばれるアメリカの迷惑メール配信サービスをプロバイダーが切断してみたところ迷惑メール数が7割も減ったのだそうです。McColoはその後別のところでサービスを再開したらしいのですが、11月8日の切断によって減らされた迷惑メールの数はクルマを220万台減らしたのと同じエネルギー節約につながったのだそうです。 ただ迷惑メールによるエネルギーの浪費は、普通のメールよりは少ないのだそうで、私が誰かにメールを送ることで排出される二酸化炭素は4グラムなのに対して迷惑メールの場合は0.3グラム。何故かというと、普通のメールの場合は送るにあたってコンピュータに文字を打ち込んだりという手間がかかり、それなりにエネルギーも使用するのに対して、迷惑メールの場合はすべてが自動的に行われるので一通・一通に要するエネルギーも少ないからです。 個人的なメールに比べると、「迷惑」の場合は送付する相手がメチャクチャに多いので、全体としてのエネルギー消費量もすごいことになってしまうわけです。The Economistによると、現在世界中で送付されるメールの8割が迷惑メールなのだそうです。
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5)「子供なんか欲しくない」のはタブー? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
女優さんは36才になるCameron Diazという人で、Cosmopolitanという雑誌とのインタビューの中で「女が子供をいらないと言うことはタブーになっている」として
と発言したのだそうです。この女性記者も別の雑誌に、子供を欲しいとは思わないという趣旨のエッセイを載せたことがあるらしいのですが、そのときにはそのような考え方があたかも犯罪であるかのように見られるものとは知らなかった。
彼女はエッセイの中で、子供がいないことのいい点について、旅行ができる、好きなだけ眠れる、読みたい本が読める等々の事柄を挙げて説明したのですが、それに対して「自分勝手(selfish)」、「女らしくない(un-sisterly」)、「不自然(unnatural)」、「悪者(evil)」など、ありとあらゆる罵声を浴びせる手紙やメールをもらってしまった。で、彼女はいまや「赤ん坊嫌いのジャーナリスト(baby-hating journalist Polly Vernon)というレッテルを貼られてしまったと言っています。 子供を欲しくないと思うことが悪いことのように言われるのは実にナンセンスであるというわけで、実は現代は子供なし社会になりつつあるとして、ヨーロッパの出生率は下がり続けていること、英国では大学出で年齢が35歳という女性の40%が子供がおらず、そのうち少なくとも30%がこれからも生む気はないと答えていることなどは「誰でも知っている」として、次のように締めくくっています。
このエッセイについては、読者からの書き込み投書が250件以上もあり、女性とおぼしき読者から「よくぞ言ってくれた」という類の投書がかなりの数でありました。「子供がいない女性に対して厳しく当たる人たちは、その女性が自分と同じようにひどい目にあっていないことが癪に障るのよ(those that are bitter at other childless women are merely bitter because that woman hasn't suffered the misery they have)というのが典型的なものです。 が、そうでない意見もある。男性とおぼしき読者は「ちょっとおおげさなんじゃない?(Are you not overstating your case?)」として、37才の女性ジャーナリストに子供がいないということなど珍しくもなんともないし、誰もアンタの私生活などに興味はない。「実際には何も問題がないのに勝手にもめごとをでっちあげているのでは?(I think you are making up a conflict where there is, in fact, none) と申しております。 BACK TO TOP |
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6)アフリカ支援に必要なのは正確な数字だ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
5月24日付のFinancial Timesのサイトが、アフリカについてのデータが当てにならないという趣旨の記事を掲載しています。この記事は、FTのMichael Holman前アフリカ担当部長とヨハネスブルグにあるBrenthurst Foundation財団のDr Greg Mills理事の二人の名前で書かれており、正確な統計に基づかないアフリカ援助の問題点を指摘している。 例えば国際救済委員会(International Rescue Committee:IRC)が昨年(2008年)1月に発表した「コンゴ共和国では、1998年以来、戦争による死者が540万人」という数字。これは本当に正しいのか?Andre LambertとLouis Lohle-Tartというベルギー人の国勢調査員は、1998年にEUからの要請でコンゴ共和国の人口調査をしたことがある人たちなのですが、彼らによると戦争による死者数は約20万人なのだそうです。彼らによると、「防げたかもしれない病気による死者は数百万にのぼるかもしれないが、それは1970年代からの数字の合計であり、コンゴがMobutu Sese Sekoのような独裁者に支配されていた時代も含めてのことだ」とのことです。 またユニセフなどは、「アフリカでは1年間に400万人の5歳以下の子どもたちが防げたかもしれない病気で死んでいる」とか「マラリアによる死者は年間約100万」と言っているけれど、それは正しい数字なのかというと実は良く分からないのだそうです。証拠がないのです。 にもかかわらずこれらの数字の多くが信頼できるものとされているのは、情報源が国連であったり世界銀行であったりするからで、ソマリアのような破たん国家における幼児死亡率など実際に分からない。でも世銀は2000〜2005年における子供の死者数は1000人あたり133人としている。
というわけで、アフリカ支援のための国際的な援助計画を進めるにあたって、アフリカの諸政府における統計局に対して資金提供をすることで正確な数字を出せるようにすることが最初のステップであるべきだとしている。筆者によると、アフリカ諸国の多くが内戦を経て独立を果たしたあと、政府の統計部門の充実が独立直後の混乱期に無視されてしまう傾向にあるのだそうです。 筆者は、アフリカ諸国の政府の統計局を充実させると同時に民間部門との協力で、Africa Commercial Indicator(アフリカ商業指標)というような新しい指数を作るべきだとも言っている。この指数は、アフリカの貧困の度合をビジネスの面で表すもので、例えば地元の企業によるビール、ソフトドリンク、砂糖、塩、電気、セメントなどの商品の販売・購入額や輸出の数量や金額などを含めたものにするべきだということです。
FTの記事はここをクリックすると読むことができます。 BACK TO TO |
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7)どうでも英和辞書 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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values:価値観 value(価値)という言葉が複数形(values)になると「価値観」という意味になる・・・と英和辞書には出ています。「道義・慣習などの価値基準」とも書いてある。オバマ大統領が中東訪問に先立ってBBCとのインタビューに応じて彼なりの中東政策について話をしました。インタビューのことを伝えるBBCのサイトの書き出しは
となっている。オバマさんは、アメリカの価値観を押し付けることはしないけれど、法の支配、言論と宗教の自由などは「万国共通の価値観」(universal values)であるとも述べたのだそうです。 「価値観」って何ですか?私の解釈によれば、人間が生きていくうえで、何を大切だと思い、何をそれほど大切でないと思うのかについての基準のようなものであります。つまり極めて個人的なものなのではないかということです。例えば「世の中、金がすべて」というようなことです。法の支配などは「制度」のことであって、私の考える「価値観」というものとは別物という気がする。 安倍さんが首相であったころ「価値観外交」という言葉が流行ったのを憶えています?私の感覚からすると、「価値観」と外交なんて絶対に結びつかないと思う。それにしても安倍さんの価値観とジョージ・ブッシュやトニー・ブレアの価値観が同じであるとは到底考えられない、と思ったことを記憶しています。 inclusive:開放的な むささびジャーナル164号で紹介したとおり、ブラウン政権の欧州担当大臣、Caroline Flintが辞職したときの辞表の中で、ブラウン内閣が開放的でないという趣旨の批判をしたときに使ったのがinclusive government(開放的な政府)という言葉だったですね。女性を閉め出してしている、というので怒って辞めてしまったわけです。 inclusiveはinclude(含む・含める)という言葉の形容詞ですが、さまざまに異なる意見の人々を「包み込む余裕のある」という意味にも使えます。つまりinclusive governmentというのは、いろいろな人に門戸を開放している政府ということですね。openと似てはいるけれど、この場合はドアを開けてあるという意味で、入るかどうかは皆さん次第。inclusiveな態度はもう少し積極的です。 1997年にブレアの労働党政権が誕生した当初、何かにつけて言っていたのがinclusive societyを作ろうということだった。あのときに言っていたのは、社会的な弱者(身体障害者とか)も参加する社会の建設ということだったと思うのですが、inclusive societyを理念として掲げるということは、その当時の英国がどちらかというとexclusive societyであった(とブレアさんたちは考えていた)ということですね。exclusiveは排他的ということです。 agony aunt:人生相談コラムニスト agonyは「苦痛」とか「苦しみ」とかいう意味ですよね。agony auntが人生相談の先生という意味になるのは、きっと苦しいときに知恵を貸してくれるのが「叔母さん」だからでしょうね。手持ちの辞書によるとこれはBritish Englishで、米語ではadvice columnistというのだそうです。米語の方が分かりやすい。 Daily Mail紙にZelda West-Meadsというagony auntがいるのですが、そのコラムを読んでみたら、自分の夫にネットを通じて付き合っている女性がいることが分かった奥さんからの相談というのが載っておりましたね。 7年前にも同じようなことがあり、そのときはダンナの方が女性と家を出て行ったけれど3か月して戻って来た。それなのに、それなのに、性懲りもなくまたやっているというわけですが、今回の相談でちょっと可笑しいのは、ダンナの方が「この女のところへ行くということは、90%ない」(He has said he is 90 per cent sure he will not go to this other woman)と言い張っているらしいことですね。ダンナさんがいつも言うのは"he will never find anyone better than me"ということ。つまり「世の中でお前ほどいいヤツはいない」ってことですな。だのに何故こんなことを繰り返すの?というのが「相談」であります。 それに対するZeldaのアドバイスは「きっとほかの女性と付き合っていても見つからないと思ったんでしょう」(Maybe he thought he could have an affair and not be caught out)というわけで、
とアドバイスしています。要するに「ダンナの女癖は、ぜったい直らないのだから、別れてしまいなさい」と言っているんでしょう。これ以上はここをクリックしてお読みください。アホらしくて付き合ってらんないもんな。 BACK TO TOP |
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8)むささびの鳴き声 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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