@国の将来は灰色、自分の将来はバラ色!?
英国の世論調査機関のサイトを見ていたら、英国という国の諸々の状況についていろいろな見方があるという面白い結果で出ていました。例えば次のようなケース。外国人ジャーナリストを対象に行った調査によると,彼らの53%が「英国では何もまともに稼動しない(nothing in Britain works)」と考えているのに対して、英国人自身の何と85%が同じように考えている(特に鉄道について)。 英国の将来については悲観・楽観が47%で拮抗している。つまり英国人たちは英国という国ついて余り楽観的でない・・・という風にとれる数字となっている。
ところが「国の将来」ではなくて「アナタやアナタの家族の将来は?」という問いについては「悲観的」と答えた人はたったの27%、「楽観している」と言った人の68%を大きく下回っている。 同じことが教育にも言えるそうで、「公立学校における教育をどう評価するか」という問いかけには、小学校については45%が「良い」と回答し、中学校については「良い」とした人は27%しかいない。ところが公立の学校に子供をあげている両親に対して「アナタのお子さんが通っている学校の教育は?」と聞くと、「ダメ」と回答する人はたったの4%で、77%がgoodもしくはexcellentとしている。
こうした結果について、この調査機関のコメンテイターは「英国の両親たちは英国の教育全般については悲観的な見方をしながらも、自分の子供が通っている学校は他とは違う。優れた教師に恵まれているからだと思っている(政府の教育政策のお陰だとは思っていない)」と分析している。同じことが世の中全般についても言えて「英国全体については悲観的なかが自分たちの生活についてはハッピー。悲観的な部分は政府がダメなせいであり、ハッピーな部分は自分の努力のせいだ」と考えているということです。
このような分析が正しいとするならば、現政権の課題は、国民がハッピーに感じている部分も実は政府の施策のお陰であるということを分かって貰う必要がある・・・とコメンテイターは書いています。しかしそれは難しいですよね。大体において「全体像」(general picture)はマスコミが描き出すものが多い。しかもマスコミは政府の批判をすることが仕事だと思っている節がある。となると何を信用すればいいのか・・・。案外難しい。日本にもこの種のことはあるのでは?
A英国でも深刻な年金の将来
年金生活者が現在の生活水準を維持しようとすれば、将来、英国人は増税を受け容れるか、一生懸命老後に備えた貯蓄に励むか、70歳まで働くっきゃない・・・ということが最近、政府の年金調査会(Pensions Commission)の報告書の中でうたわれています。
現在のところGDPの10%が年金に当てられているのですが、現在のような生活を維持するためには2050年までにはこれが15%に膨れざるを得ず、10%のまま増やさないでいこうと思うと「生活水準は現在より21%下がる」とのことで、現在の男性平均退職年齢も63から67へと引き上げなければならなくなる。女性の場合の年金支給開始年齢は現在の60歳から65歳(つまり現在の男性と同じ)まで遅れることになるのだそうです。
現在、賢明な政策を打つ必要があるのですが、これから特に重要なのは2020年という年だそうです。「1950年代後半から60年代初期という比較的出生率が高かった頃に生まれたベビーブーマーたちが年金生活者となる年だから」とThe Economistは指摘しています。 BBCのサイトをによると、2002年の時点での年金生活者の数は1090万人、2031年にはこれが1500万人にまで上昇するものと推定されています。
英国もいずこも同じ少子・高齢化社会を迎えています。現在のところ一人の年金生活者を支える働いている人の数は3・5人ですが、30年後にはこれが2・5人に減るのだそうです。つまりそれだけ年生活者に回されるお金が少なくなるということですな。
年金調査会ではまた、退職前の英国人の貯蓄の低さも問題にしています。それによると35歳より上の労働者の約60%である960万人が老後の貯蓄が足りないとしており、これを25歳以上にまで幅を広げると1200万の人達が「十分にお金を貯めていない」(not saving enough)としています。 はっきり言って年金問題というのは深刻なのは実感していますが、抽象的な数字だけでは英国のことまではよく分からないというのが正直なところです。
年金調査会(Pensions Commission)の報告書そのものをご覧になりたい方は、BBCのサイトを通じてこれを読むことができます。
D短信
マッチを捨てて罰金刑
道路にマッチを捨てたからというので60ポンド(約12000円)の罰金を言い渡されてしまったというついてない話がリバプールであった。街路にタバコの吸殻を捨てると罰金になるのですが、市内に住むゲイリー・コルバート氏が捨てたのは、タバコでなくてマッチ「その程度で60ポンドとは、ふざけんじゃねぇ」というわけでカンカンに怒っております。しかるに市議会関係者は「ゴミはゴミ。マッチだってゴミには違いない。道路を汚した人間は絶対に罰する」と厳しく主張しているのだそうです。コルバート氏によると、彼と同じような罰金刑を言い渡された人は24人もいたのだとか。
▼確かにきついですね、この判決は。きっとリバプールの道路は相当に汚れていたのでしょう.
夫人の同意なしの立候補は受け付けない!
ルーマニアの国会議員選挙が11月にあるのですが、農民党の場合、男の候補者は立候補にあたり必ず夫人の支持を得てからするべしというお達しをだしているそうであります。農民党党首はその理由として「選挙資金は各候補者が自分で調達することが必要で、これには夫人の協力が欠かせないので」と言っています。このニュースを伝えた地元紙、Editie Speciala de Olteniaは、農民党委員長のコメントとして「わが党の候補者の夫人の中には夫の立候補に反対する人もいる。選挙運動がきついからな。それに夫人にさえ支持されないような候補者じゃ当選もないだろうからな」と述べているそうです。
▼夫人にさえ支持されないような・・・という部分は当っていますね。
自転車泥棒
Berliner Kurierという新聞が伝えるところによると、ベルリン警察にとって頭痛の種の一つが自転車泥棒なのだそうで、昨年1年間だけで23.153台の自転車の盗難届けがあったとか。犯人は麻薬常習者であることが多く、彼らは盗んだ自転車を売って、麻薬料金を稼いでいるというわけです。しかるに先ごろ逮捕された自転車泥棒は44歳の女性で、逮捕されたときに隠していた自転車の数は80台もあったのだそうです。彼女の場合は麻薬とは関係なし。ただ盗むのが趣味と言った感じで、自宅の敷地内に盗んだ自転車を積み上げていたそうです。ベルリン警察では心当たりのある人は自分の自転車があるかどうか見に来て欲しいと呼びかけています。
▼趣味で泥棒とは困ったものです。あのドイツにもそんな人がいるのか!?
E編集後記
●先日、全く久しぶりに落語を生で聞く機会に恵まれました。三遊亭円楽門下によるホール落語でした●私はそこそこ面白いとは思ったのですが、落語も本当に昔のような娯楽ではなくなったのだ、芸能になってしまったのだということがよく分かりました●昔に比べると娯楽のバラエティが余りにも多くなりすぎて落語を楽しもうなんて人は殆どいないみたいですからね●噺家さんたちはそのあたりは承知の上でやっているのでしょう。いちばん最初に出た下っ端の名前が「三遊亭きつつき」ってぇんです●入場料金が高いので余りたびたびはいけませんが、また行ってみよう。
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