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408号 2018/10/14
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BREXIT 美耶子の言い分 美耶子のK9研究 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
上の写真、いまからちょうど50年前の1968年に撮影されたものです。撮ったのは報道カメラマンのブルーノ・バービーという人。おそらく東京なのでしょうが、東京のどの辺なのでしょうか?学生がデモをやっているのですが、バービーの説明によると「ベトナム反戦」がテーマのデモであったそうです。日本自体はベトナム戦争に直接かかわっていたわけではないけれど、それほど強く反対しない政府に対する怒りのデモだった。ネット情報によると、この年の10月21日に「国際反戦デーで新宿駅を学生が占拠」したと書いてありました。これは新宿なのでしょうか?

目次

1)アマゾン残酷物語?
2)ジャーナリズムをドラマ化すると
3)ホロコースト否定の後に
4)あなたは奇跡を信じますか?
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声


1) アマゾン残酷物語?

9月17日付のGuardianに
という見出しの記事が出ています。アマゾンはもちろんオンライン・ショッピングの最大手ですが、バーニー・サンダースはアメリカ民主党の上院議員です。いわゆる「民主党左派」で、2016年の大統領選挙の民主党の候補者選びで最後までヒラリー・クリントンと争った人物ですよね。この記事はアマゾンで働く労働者が如何に厳しく搾取されているかを告発するものなのですが、書いたのはジェームズ・ブラッドワース(James Bloodworth)という英国人の作家です。この人は今年6月に、英国企業における低賃金労働を告発する潜入レポート "HIRED" を出版して注目されています。



で、Guardianの記事ですが、筆者のブラッドワースは2年前の2016年に英国のスタフォードシャーにあるアマゾンUKの倉庫で3週間働いた。当時執筆中だった"HIRED"のための情報集めの一環として働いたのですが、この倉庫の従業員は約1200人、殆どが東欧からの移民で、特にルーマニア人が多かったのだそうです。勤務は10時間半のシフト制で、高さ2メートルの商品棚の間の通路を移動しながら然るべき商品をピックアップして歩く。そのための歩行距離は一日の勤務で24キロメートルに達することもある。そのようにして働いて得る時給が7~9ポンドだった。2016年当時の英国における法定最低賃金は1時間7.20ポンドだったからアマゾンのそれは最低ギリギリという感じだった。

▼むささびの記憶では、7ポンドは700円というのがおよその金銭感覚ですが、英国でビッグマック1個の値段はざっと2.30ポンドだから、アマゾンの倉庫で働くと1時間当たりビッグマック3個買えるということになる。

給料が安いこともさることながら、ブラッドワースが問題にしているのは、アマゾンの倉庫の仕事環境そのもので「品位(decency)、敬意(respect)、尊厳(dignity)のようなものが全く存在しない」ということです。つまり労働者が人間扱いされていない・・・と。例えば従業員がトイレや休憩のためのゲートを通って外へ出るわけですが、その際に通過しなければならない身体検査のための金属探知システムは通過するだけで15分もかかる。空港のテロ対策をさらに大型にしたようなものなのだそうです。


アマゾンのオーナー、ジェフ・ベゾス

さらに可笑しいのは、社内で使われる言語に「ダブルスピーク」(doublespeak)と呼ばれるものが非常に多いのだとか。「ダブルスピーク」は日本語で言う「モノは言いよう」にあたるもので、昔は「首切り」と言われたのに現在は「リストラ」と言い、「強姦」ではなくて「セクハラ」と言う類のものです。アマゾンでは"worker"(労働者)と言わに"associate"(仲間)と呼び、"fired"(クビになる)と言わずに"release"(釈放・解放される)と言うのだそうです。またアマゾンで嫌われるのは「無駄な時間」(idle time)なのだそうです。例えば仕事中に同僚と私語を交わすのもidle timeであり、トイレに行くことさえも遠慮せざるを得ないような雰囲気で、商品棚のすみに小便が入ったコーラのビンが置かれているのを筆者自身が見た・・・などなど。

筆者のブラッドワースによると、アマゾンのサービスを消費者として利用している限りにおいては、倉庫で何が起きているかは見えてこないし、メディアで取り上げられることもない・・・というわけで、「彼らの声にも耳を傾けるべき時が来ている」(It’s about time these people ere given a voice)と強調しています。

アマゾンUKのスタッフの言葉

と、以上の記事が掲載されてから約2週間後のBBCのサイトに、アマゾンがアメリカおよび英国の従業員の給料を上げると発表したという記事が出ていました。アメリカの従業員の最低時給が??ドルから15ドルに、アマゾンUKの従業員についてはロンドンの場合は8.20ポンドから10.50ポンドへ、ロンドン以外の場所の従業員については8ポンドから9.50ポンドへとそれぞれ賃上げされるとのことであります。

▼アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスという人の推定資産は1600億ドル(18兆1000億円)なのだそうですが、BBCの計算によるとアマゾン従業員の真ん中あたりのスタッフの「年収」が、ベゾス氏が10秒間に稼ぐ収入と同じなのだそうであります。「資産18兆円」などと言われても「!?!?」としか考えようがないのですが、Guardianの記事の中で面白いと思ったのは「ダブルスピーク」(doublespeak)の習慣のことです。クビ→リストラ、脅し・苛め→パワハラ・・・数え上げればきりがないのでしょうが、言葉でごまかそうという発想は、どこか日本的な気がしません?

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2) ジャーナリズムをドラマ化すると

日本にいては見ることができない(と思う)のですが、つい最近までBBCのテレビで“Press”というタイトルのドラマをやっていたらしい。新聞の世界が話題なのですが、The Economistのコラムがこのドラマについて「ジャーナリズムの情けない側面」(journalism’s wretched side)に眼を向けており、「新聞業界が自分を見つめ直すための格好の機会を提供した」(perfect opportunity for industry navel-gazing)と言っている。


ドラマでは「リベラル」と目される「高級紙」のHeraldとギンギラギンの「大衆紙」であるPostという新聞で仕事をする記者や編集長たちが主人公になる。Heraldが部数の落ち込みに悩んでいる一方でPostの方はビジネスとしては順調に行っている。何やら現実の新聞の世界という感じですが、登場する記者たちはちょっと変わっていて、高級紙のHeraldで小売業界の暗部に切り込む調査報道の記者は北イングランド出身の冴えない人物として描かれる。反対にPostの記者はオックスフォード大学出身のスマート人間で明晰なる頭脳を働かせてテレビの子供番組批判などをやっている。

The Economistのコラムによると、ジャーナリズムの世界がドラマ化されると、記者たちは他人の過ちや欠陥をあげつらって喜ぶくせに、自分たちの欠陥を指摘されると怒りだしたりする、度し難い存在として描かれるケースが多いのだそうですが、“Press”というドラマでもこのようなジャーナリストが大きな顔をしている新聞の世界が描かれるわけです。ドラマでは記者も編集長も、インターネットの登場で新聞が危機にさらされていることを嘆いたりするけれど、現実の世界では「嘆いている」どころの話ではなくて、あちこちの紙媒体が消えているのだから、ドラマを見ていると2018年というよりも1998年の頃の新聞業界を見ているような気分にさせられる。


ただ“Press”には正しい側面も多々あった。新聞記者という職業が持っている「程度の低い社会的変質者」(a low level sociopathy)のような部分が正しく描かれている。例えば交通事故で死んだ人間がニュース価値のある人物であった場合は死者の遺族を訪問して話を聞きだしたりしなければならない。とてもまともな人間のやることではない。また新聞の世界には通常は民主主義は存在しないということ。編集長の独裁がまかり通る社会である、と。現実の編集長には「思いやりのある独裁者」が多いらしいのですが、記者以上に読者が何を望んでいるのかを本能的に知っている存在である、と。また“Press”というドラマが最も現実に近かったのは、ジャーナリズムの世界の人間の多くが度し難たいほどの「うぬぼれ人間」(self-importance)であるという部分だった。大衆紙、Postの編集長の妻と編集長の会話:
  • 妻:ニュースがなんだってのよ!自分の息子よりニュースの方が大事だっての? Fucking news! More important than your son?
  • 夫:そんなことはない。でも(ニュースが)お前よりは大事であることは間違いない。No, more important than you...
2017年職業別信頼度ワースト5(英国)
英国の世論調査会社、IPSOS-MORIが一般人を対象に、教師・裁判官・医者など約25種の職業人がどの程度信用されているのかを調べているのですが、上のグラフは昨年(2017年)の調査におけるワースト5の内訳です。「ジャーナリスト」への信頼度は下から4番目。ちなみにベスト5は看護婦(94%)、医者(91%)、教師(87%)、大学教授(85%)、科学者(83%)となっている。

The Economistによると、新聞記者は自分の仕事がとてつもなく重要なものであると思い込んでいる。確かに世の中の腐った部分との闘いに命をはる記者もいないではないけれど、大半の記者はそんなこととは無縁なところで仕事をしている。それでも「偉い記者」たちと仕事をすることで自分も偉くなったような気になったりすることはある。ドラマでは、記者の一人が「我々の仕事は真実を追求することにあるんだ!」(Our job is the truth!)と叫ぶ場面があるのだそうですが、

The Economistの記事は
  • しかしそんな言葉を誰が真面目にとるだろうか。現実の世界ではジャーナリストは政治家や不動産屋と同じような「人気」しかないという世論調査結果が出ているのだ。
    But with polls showing that journalists are about as popular as politicians and estate agents, it seems that not everyone agrees.
という文章で終わっています。ここをクリックすると "Press" の一場面を見ることができます。

▼むささびはジャーナリストとして生計を立てたことは(ほとんど)なく、その周辺でウロウロしながら生きていたので記者としての仕事そのものは全く知らない。一つだけ憶えているのは、ある新聞記者と話をしていて、むささびが「メディアの人たちって常識的なんだよね」と言ったら、その記者が「メディアは常識的であることが大切なんだ」と笑っていたということです。むささびの言う「常識的」というのは「ありきたり」(conventional)という意味だったのですが・・・。いずれにしても、(例えば)交通事故で身内を失った遺族を訪問して「顔写真を貰えませんか?」なんて、普通の神経では務まらないでしょうね。

▼そういえばはるか昔、NHKのテレビで『事件記者』というのがありましたよね。子供のころに喜んで見ていたのを憶えているけれど、自分が記者になりたいと思ったことはなかった。今のテレビで記者を主人公にするドラマというのはあるんでしょうか?もしないのだとすれば、どこかの局がやってもいいのでは?もちろん『事件記者』のような「面白おかしい」ことだけが売り物では大して受けないのではないかと思うけれど・・・。インターネットに押されて従来のジャーナリズムがあっぷあっぷという状態なのだから、それをきっちり語りながら自分たちの存在価値を主張するようなドラマなら行けると思うけど・・・。

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3) ホロコースト否定の後に

ホロコースト否定法 「否定法」を手直し
ユダヤ人を救ったことは事実だけど・・ イスラエルの対イラン政策
歴史修正には目をつぶる?

ちょっと古いのですが、7月5日付のBBCのサイトに "Holocaust centre: Leaders 'minimised Polish persecution'"という見出しの記事が出ていました。イスラエル国内にあるホロコースト記念館が、「イスラエルとポーランドの指導者たちが第二次大戦中のポーランドにおけるユダヤ人の大量殺害(ホロコースト)についてポーランドの関わりを矮小化しようとしている」と非難していると言っている。


イスラエルのナタニエフ、ポーランドのモラヴィエツキ両首相が連名である声明を発表した。それによると第二次大戦中のポーランドにおけるユダヤ人迫害に関連して、当時のポーランド亡命政府が大勢のユダヤ人を悲劇から救う活動を行い、それによって命を救われたユダヤ人が数多く存在したとのことであります。その声明に対してホロコースト記念館が「ポーランド人もユダヤ人殺害に大いに参加していたのは歴史的事実だ」と抗議のコメントを発表したというわけです。それにしても、いま何故そんなことが問題になるのか?話せば長いことながら・・・今年2月15日付のThe Independentにロバート・フィスクという中東専門の記者が寄稿したエッセイのハナシから。

ホロコースト否定法

今年の2月11日、ポーランド上院が、第二次大戦中にポーランドがナチスのユダヤ人迫害に加担したという言動を行うことを法律違反とするという法案を可決した。例えばナチス・ドイツが第二次大戦中にポーランドのアウシュビッツに作ったユダヤ人強制収容所を「ポーランドの」と呼ぶことは法律違反になり、罰金刑もしくは最長3年の禁錮刑が科せられるというわけです。


戦争中、ナチス・ドイツがポーランド領内にユダヤ人強制収容所を作ったことはよく知られている。フィスク記者によると第二次大戦が始まった頃(1939年)のポーランドの総人口のうち10%がユダヤ人だったのだそうです。しかし(ナチス・ドイツによる占領の有無にかかわらず)当時のポーランド政府がユダヤ人の存在を快く思っていなかったことは、政府の要職にユダヤ人を採用することは殆どなかったことでも明らかだ、とフィスク記者は言っている。

ユダヤ人を救ったことは事実だけど・・・

第二次大戦中にポーランドで暮らしていたユダヤ人が大量虐殺されたのですが、実際にはポーランド人も約200万人がナチスによって殺害されている。ポーランド人の中にはナチスへの反感からユダヤ人を匿ったりする動きもあったのですが、ナチスはポーランド国内のユダヤ人地区を監視するのにポーランドの警察を使った。強制収容所に送られる直前のユダヤ人を監視するのはポーランド人の警官だったということです。その意味では、ポーランド人がユダヤ人迫害に手を貸したことは間違いないし、ポーランド東部のイェドバブネという町ではポーランド人によるユダヤ人虐殺事件まで起きている・・・とフィスク記者は指摘している。


ヨーロッパの国々にはこの種の悲しい過去があちこちにある一方で、中にはユダヤ人に救いの手を差し伸べようとした人もたくさんいる。それは事実かもしれないけれど、ナチスのユダヤ人迫害に手を貸したポーランド人が数多くいたことは事実であり、それを国を挙げて否定しようというポーランド政府の試みがイスラエル政府やユダヤ人の反感を買っているのも当然だ・・・とフィスク記者は言っている。

「否定法」を手直し

実際にはフランス政府やアメリカ政府もポーランドの「ホロコースト否定法」には批判的で、そのことは公言されてきたのですが、このポーランド、イスラエル両首相の会談の結果、ポーランドが2月に作った「ホロコースト否定法」が手直しされたのだそうです。「最長3年の禁固刑」という部分が削除されたのがそれで、ポーランドが以前ほど厳しくホロコーストへの関わり否定にこだわらなくなったということです。それに応じる形でイスラエル側もポーランド非難のニュアンスを緩和することになったというわけで、そのあたりがイスラエルのホロコースト記念館を中心とする専門家には気に入らないということです。


BBCによると、ポーランド右派政権のモラヴィエツキ首相は、これまで自国の歴代政権が、若者たちが自国のことを恥ずかしいと思うような歴史観を教育してきたことを常々批判しており、昨年(2017年)の首相就任以来これを改めることを約束、その一つのがナチのホロコーストに関して「ポーランドは悪くない」と主張することであり、その「成果」が「ホロコースト否定法」だったというわけです。

イスラエルの対イラン政策

でも、モラヴィエツキ首相は何故一度決めた法律を改正までしてイスラエルに歩み寄る気になったのか?また禁固刑はなくなったとはいえ、ホロコースト否定そのものに変わりはないにもかかわらず何故イスラエルはポーランドと握手する気になったのか?そのあたりのことについては、7月16日付のThe Economistが解説しているのですが、要するにイスラエルのネタニエフ政権による反イラン政策が絡んでいるとのことであります。


ネタニエフ政権側の思惑。最近はEUの中でも中・東欧諸国との関係強化に力を入れている。これら諸国によるパレスチナ支持をけん制すると同時にエルサレムがイスラエルの首都であることを認めさせる。さらにEUによるイランへの肩入れ弱める。EUはアメリカなどによる対イラン経済制裁に批判的。ネタニエフ政権としてはEUの中でもポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの4か国を「ヴィシェグラード・グループ」(Visegrad Four)としてEUの中でも特に親密な関係を構築する相手と見なしている。

歴史修正には目をつぶる?

The Economistなどによると、ヴィシェグラード4か国は、ナショナリストの色彩を強めており、EU主要国(ドイツ、フランス、ベルギーなど)に比べるとイスラエルに対して友好的な態度を見せている。昨年(2017年)7月にハンガリーの首都、ブダペストで開かれたヴィシェグラード首脳会議にはイスラエルがゲストとして招かれている。

ハンガリーでも右寄りのビクトル・オーバン政権に対して国内のユダヤ人グループが批判的な動きを示している。ハンガリー出身の資産家、ジョージ・ソロス氏(ユダヤ人)が肩入れしている「開かれた社会」財団に対してオバーン政権が批判的でもある。グローバル資本主義者であり、ハンガリーを支配しようとしていると非難したりしている。

ただイスラエルのネタニエフ首相はどちらかというとソロス氏には冷淡で、ハンガリーの右翼勢力によるソロス批判とは一線を画している。
  • ネタニエフは自分の政治目的にポーランドやハンガリーが協力的である限り、彼らが歴史を修正しようとしていることには構わないということのようだ。
    He seems content to let Poland and Hungary revise history as long as they serve his political purposes.
とThe Economistは言っている。

▼むささびがこの記事に興味を持ったのは、第二次大戦中のポーランドの振る舞いについてポーランド人自身が自問自答を迫られているという現実が日本などと似ている部分があるように思えたからです。歴代の政権は、自国の若者たちに対してポーランドの歴史を恥じるべきだというような教育をしてきたというわけで、現在の与党(法と正義党)が方向転換を図っているというわけですからね。日本で言われる「自虐史観」に対する反動としての「自慰史観」ですね。それがいま世界中で起こっているのですね。英国でも過去の植民地主義に対する反省に対する反動のような現象が見られる。BREXITは正にその表れであると言える。アメリカのトランプ、日本の安倍政権・・・みんな同じです。

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4) あなたは奇跡を信じますか?

英国人とアメリカ人、言語が同じなので同一視されがちだけれど、何かが微妙に異なるように(むささびには)思える。その理由の一つがキリスト教という宗教に対する姿勢なのではないか。というわけで、英国のYougov、アメリカのPew Researchという代表的な世論調査機関が行ったアンケート調査の結果を見てみました。設問はいずれも「あなたは神を信じますか?」(Do you believe in God?)というものだった。


その結果分かったのは、英国人の約3割が「信じる」と答えているのに対して、アメリカ人の場合はこれがほぼ8割にのぼっている。しかも「信じる」と答えたアメリカ人の半数以上が「聖書の言葉を文字通り信じている」と答えている。ただ英国人について興味深いのは、神を信じるというのは3割にすぎないけれど、「何らかの崇高な霊の力」(some sort of greater spiritual power)の存在を信ずると言う人が2割もいる(アメリカでは1割以下)ということです。
英国における宗教

そしてもう一つ決定的な違いだと思うのは「神も霊も信じない」とする意見が英国では10人に3人以上いるのにアメリカでは1人だけという部分です。英国における宗教人口の分布を見ると、英国では「無宗教」という人が4割を超えている。


ところで、聖書には「マタイによる福音書」という部分があり、その中にイエス・キリストによる「奇跡」(miracle)として、5000人の群衆の腹を5切れのパンと魚2匹だけで満たしたというストーリーが出ています。必ずしもこのストーリーを話題にしているわけではないけれど、9月30日付のBBCのサイトに現在の英国人が「奇跡」というものをどの程度信じているのかについての調査結果が出ています。それによると5人に3人の英国人が「何らかの奇跡はあり得る」(some form of miracle is possible)と考えているのだそうであります。ただ・・・イエス・キリストによる奇跡を信ずるか?と問われると「信ずる」という人の数は5割に下がるのだそうです。

この調査は、18才以上の英国人約2000人を対象に今年の8月に行ったのですが、BBCのサイトには次のような数字が紹介されています。
  • 62%:これは何らかの形の奇跡が可能だと考える人の割合ですが、18~24才という若年層では75%がそのように考えるという結果が出たのだそうです。
  • 43%:これは過去において「奇跡が起こってくれますように」と祈った経験があるという人の割合です。
  • 37%:少なくとも月に一度は教会の礼拝に参加すると答えた成人のうち約4割(37%)が聖書の言葉通りの奇跡がキリストによって起こされたと信じている。更にそのうちの半数が過去において自分が祈ったとおりの奇跡が起こった経験を有している。その一方で、自分がキリスト教徒であると答えた人の約4割が、生まれてこの方奇跡を祈ったことなどない(never prayed for a miracle)と答えている。
  • 29%:自分がキリスト教徒であると答えた人の約6割が、これまでに奇跡を祈ったことがあると答えているけれど、その結果自分の祈りが通じたと答えた人は29%だけだった。


BBCのサイトには、かつてはコカイン中毒だった女性のキリスト教徒とのインタビューが出ています。"practising Christian"と書いてあるところを見ると、かなり熱心なキリスト教徒なのでしょうが、年齢は出ていない。彼女の言葉によると
  • 17才のときにコカイン中毒で、高層アパートの屋上から道路へ飛び降りたことがあるの。でも死ななかった。それどころか骨一本も折ることがなかったのよ。
    At 17 I had crack psychosis and jumped off the top of a tower block and survived. Not only did I survive, but I didn't break one bone.
飛び降り事件のあと麻薬リハビリ・センターに通って回復したのですが、その過程において同じような境遇にいた女性を助けるという経験もしたのだそうです。彼女は東ロンドンにある教会に通っているのですが、実はその教会の牧師さん自身がかつて麻薬常習者で、暴力事件に絡んで刑務所入りしたこともあるという経歴の持ち主です。その牧師さんによると「キリスト教の信仰そのものが死者の中からキリストが蘇った(Jesus rose from the dead)という奇跡がルーツになっている」と語っている。

▼英国人はそれほど信心深いとは思えないけれど、宗教の話などは大して嫌いではない。20年以上も前の世論調査で、"Do you believe in God?" というのがあった。答えは"Yes"というのが21%、"No" が13%だったのですが、一番多かったのが"Doubt but believe"の23%でありました。疑わしいけれど信じる・・・!?つまり「神なんていない」と思いながらも「ひょっとしたら・・・」という人が一番多かったというわけです。いまも大して変わっていない。トランプのアメリカに対してむささびが違和感・距離感を感じるのは、支持者の間に見える宗教的熱狂があるからです。

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5) どうでも英和辞書
A-Zの総合索引はこちら 

exclamation mark:感嘆符(びっくりマーク)


米語では "explamation point" と言うのだそうですね。驚きや感銘などを表現するのに使われるのが「!」(感嘆符)ですよね。"That's wonderful!" "What a beautiful day!" etcというわけですが、ジャーナリストの間では歓迎されていない。例えばThe Economistの記者向けのガイドではその存在すら認められていないし、高級紙とされるThe Timesの場合は「殆ど不必要」(Nearly always unnecessary)、Guardianは「使うな」(Do not use)と言っている。

英国の著述家、マーク・フォーサイスによると、本当に相手の注意を惹く必要があるとき(Stop!とか)以外は感嘆符は使わない方がいいとのことで、特に強調しているのは事実(facts)に感嘆符は使うべきでないということ。それが「驚くべき事実」(amazing fact)であったとしても、です。“The pyramids are 5,000 years old!!”(ピラミッドは5000年前に作られたのだ!!)などがその典型。その事実が驚きに値するものであったとしても、それが「事実」である限り感嘆符の対象にはなり得ないとのこと。

以上はどちらかというと「インテリ」の世界の話です。ネバダ大学でジャーナリズムを教えているミニョン・フォガーティ教授の観察によると、感嘆符は最近ではメールやSNSにおける投稿でかつてよりもはるかに頻繁に使われている。利用者が必ずしもプロの書き手でないということもあるのですが、感嘆符を使うことで文章に親しみを感じさせることができると思っている人が多いのだそうです。

その意味では時流に乗っているとも言えるのが、あのドナルド・トランプですよね。彼がツイッターを使い始めたのは2009年のこと、最初のツイッターが発信されたのが同年5月4日、自分がやっているTVショーについて「絶対、見てね~!」という意味のメッセージだった。4月17日付のDaily Mailによるとそれ以来、感嘆符付きのメッセージは9261件に達する。昨年(2017年)1年間だけで3661件あったのだそうです。例えばロシアや中国の立ち振る舞いについては "Not acceptable!"と言い、米軍によるシリア爆撃については"Mission accomplished!"とくる。今年のアカデミー賞の表彰式について、会場にいた女優のキム・ノバクについて "Kim should sue her plastic surgeon!"と整形手術に文句をつけたりした挙句、表彰式そのものについては"This cannot be the Academy Awards. AWFUL!!!!!!!!!!!!!!!"と叫んでいる。


アメリカの小説家、F・スコット・フィッツジェラルドも感嘆符嫌いの一人で「感嘆符を使うのは、自分で自分が言ったジョークを面白がって笑うのと同じ」(An exclamation point is like laughing at your own jokes)と言っている。一説によると、1970年のころのアメリカのタイプライターの中には "!"のキーそのものがないというものもあったのだそうです。
 
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6)むささびの鳴き声 
▼国民民主党の今井雅人という衆院議員(56才)が、同党を離党して立憲民主党系会派への入会を求める考えである・・・と毎日新聞のサイトが伝えていました。その記事によると、今井さんという人は、2009年に旧民主党から立候補して初当選したのだそうですが、その後は「日本維新の会→維新の党→民進党→希望の党→国民民主党」という組織に属してきたのだそうですね。これら5党の中で、政治的スタンスをむささびが知っている組織はゼロです。毎日新聞の記事によると「野党再編に向け、自分なりにどう動けばいいか考え行動する」と言っているらしいのですが、要するにどのような日本を作りたくて政党に所属するのかを他人が分かるように説明する能力がないのでありましょうか?この人、もう56才、普通の社会ならあと10年したら現役引退の年齢です。

▼その今井さんがこれから所属しようという「立憲民主党系会派」(立憲民主党とは違うんですか?)ですが、産経新聞論説副委員長の榊原智という人が『「社会党」への道を歩む立憲民主党と国民民主党』という見出しのエッセイを書いています。かなり長い記事なのですが、書き出しと締めくくりは次のようになっている。
  • 書き出し:立憲民主党と国民民主党が、「日本社会党」への道を歩んでいる。この2つの党が政権を担うのは無理だろう。
  • 締めくくり:現実的な安全保障政策を掲げる政党が野党第1党にならなければ、国会で建設的な論議を期待するのは難しく、国民の選択肢も広がらない。残念な話である。
▼立憲民主党がかつての社会党のようになりつつあることを嘆いているのですが、むささびは全く反対ですね。社会党のようになるのなら大いに応援したい。榊原さんは、現在の日本にとって最大の脅威は中国と北朝鮮なのだから日米安保体制をさらに充実させよう・・・と訴えている(ように見える)けれど、むささびによると、現在の日本にとっての最大の「敵」は大地震を中心とする自然災害です。戦争と異なり国際交渉などで回避できるものではない。絶対的な「敵」です。敢えて出来ることがあるとすれば、最大限のお金を使って被害を少なくすることだけ。つまり榊原さんが熱心に説いている(ように見える)防衛装備の充実予算の大半を災害対策費として準備しておくこと・・・そのために立憲民主党が社会党への道を歩むのなら、むささびとしては大歓迎ということであります。

▼前回の「鳴き声」で、むささびの自宅の庭にある柿の木が2年連続で豊作であることをお伝えしました。あれからミセスと二人でしゃかりきになって収穫、しみじみ後悔しています。量が多すぎて全部など食べられっこないから。他人にあげるとしても数に限りがあるだろうし・・・20個ほどでもまとまると結構重いのでありますよ。結局捨てるしかない。それなら収穫などしないで鳥たちが食べるままにしておけば良かった・・・かな?それにしても何故、2年連続豊作という事態が起こったのか?むささびの想像によると7~8月の酷暑が原因なのではないか。あのおかげで地面の下まで温まってしまい、それが成長に影響したということ。「となりの客は、よく柿食う客だ」とかいう早口言葉があったっけ。お元気で!あなた、柿食べます?

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むささびへの伝言