おととい(1月20日)の私のメールの受信コーナーに「奈良公園内におけるリゾートホテルの建設反対」という署名活動のメールが入っていました。それによると、奈良県の知事が、奈良公園の中にリゾートホテルを建設しようとしている。しかもそこは「むささびや野鳥の生息地として知られている」のだそうです。なに、むささびがいるというのにリゾートホテル!? 許せない!というわけで、2017年2回目の「むささび」です。アメリカの大統領が保護主義を訴え、中国の指導者が自由貿易を呼びかける・・・世の中いろいろあっても、奈良のむささびイジメだけは許せない・・・!
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目次
1)メイ首相の「強硬離脱」宣言:結局メルケルの勝ち?
2)「トランプ文書」なんて信用できない
3)本当のニセモノ:トランプ=プーチン会談速記録
4)どうなる、北アイルランド
5)橋下徹さんの反「反ポピュリズム」論
6)どうでも英和辞書
7)むささびの鳴き声
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1)メイさんの「強硬離脱」宣言:結局メルケルの勝ち?
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英国のメイ首相が「単一市場」も含めてEUからの「強硬離脱」(日本経済新聞の表現)を表明したことは、日本のメディアでも大きく伝えられましたよね。1月18日付の日経は、「国民投票で示された民意を重視し、強硬離脱に傾いたメイ首相が、移民制限や司法権独立など英国の権限回復を優先させた」と伝えています。ここをクリックすると、1月17日にメイ首相が行った演説の動画とテキストを見ることが出来ますが、メイ首相は「英国がどのような国であってほしいのか自分に問いかけよう」とした上で次のように述べています。
- 私の答えははっきりしている。私は英国がこの変化の時代を生き抜いて、これまで以上に強く公正で団結力に富み、しかも外向きの国となることを望んでいる。
My answer is clear. I want this United Kingdom to emerge from this period of change stronger, fairer, more united and more outward-looking than ever before.
そしてメイ首相はそのような新しい英国を「真にグローバルな英国」(a truly Global Britain)と呼んでいます。一方、Newstatesmanのサイト(1月17日)に掲載されたコベントリー大学のマシュー・クオトラップ(Matthew
Qvortrup)教授のエッセイによると、
なのだそうであります。つまりメイ演説は、離脱に関する正式交渉を開始する前からメルケルに突き付けられた「最後通牒」(ultimatum)を受け入れることを認めたのと同じであり、「英国の弱い立場」(Britain's
weak position)を示したにすぎないということです。
- メイ首相は英国が単一市場を出ていくことを、否応なしに受け入れざるを得なかったのである。
The Prime Minister has been forced to accept that Britain will have to leave the single market.
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「英国は出て行く」(UK will be outside)とか「中途半端はあり得ない」(no half-way house)などの言葉を聴くと、かつてのサッチャー首相の強硬姿勢を想起させるけれど、教授に言わせると、メイは離脱交渉が始まる前から「陥落」(cave in)したのと同じことである、と。英国のEU離脱をめぐって昨年(2016年)7月にメイとメルケルが会談したのですが、その際にメルケルが明言したのが "there could be no Rosinenpickerei” ということだった。“Rosinenpickerei”はドイツ語で「いいとこどり」(英語で言うcherry picking)という意味なのだそうです。別の言い方をすると、去っていく英国には「選択の自由はない」(Britain was not free to choose)ということであり、メルケルのその立場は今でも変わっていない。
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メルケルはドイツ首相の座に11年間君臨しており、EU離脱をめぐる英国とのすったもんだも、メルケルを見てきている人間からすると「以前にもあった」という感じなのだそうです。2011年と2015年に起こったギリシャの債務危機、2008年の金融危機をめぐるドイツ国内の銀行とのさまざまな交渉などが例として挙げられる。これらの交渉事においてメルケルがとる姿勢は常に「待ちのゲーム」(waiting game)なのである、と。相手が自らの手の内を見せるまで、じっくり待ちの姿勢を貫くことです。それが「メルケル流」(merkeln)なのだそうです。
クオトラップ教授によると、メルケルが他の政治家と異なるのは「慎重な分析」、「舞台裏の外交駆け引き」、「ドイツの国益を追求する断固たる姿勢」であり、これが英国のEU離脱に関する交渉が始まってもいない時点から見え隠れするとのことであります。 |
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BREXITを支持するアメリカのドナルド・トランプが、大統領就任前、The Timesとのインタビューで、英国との間で2国間貿易協定を「早期に」(very
quickly)締結するという意向を示すと同時に、メルケルの難民受け入れ策が「破滅的な誤り」(catastrophic mistake)であると批判したことが、英国メディアでは大きく伝えられた。クオトラップ教授は、アメリカとの2国間貿易協定の締結は英国にとって結構なハナシかもしれないけれど、2015年の数字として英国の対EUの輸出額が2230.3億ポンドであり、それが対米輸出の5倍にもあたることを指摘しています。
さらに教授が指摘するのが、英国の主なる輸出が金融を始めとするサービス産業によるものであることです。英国政府統計局の数字によると英国経済の79%がサービス産業に依っている。サービス産業の代表格ともいえる金融業界にとって、EUの単一市場へのアクセス、熟練労働力の自由な往来ができなくなる痛手は大きい。そうなると金融業の多くがロンドンからEU域内に移転することも考えられる。教授によると、それで得をするのはドイツということになる。ヨーロッパ大陸における最大の金融センターはフランクフルトだからです。 |
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今年8月~10月のどこかでドイツ連邦議会の選挙が行われるけれど、英国の首相がEUの単一市場へのアクセスを求めないことを「自発的に」決めたことは、ドイツの首相にとってはトラブルのタネが一つ減ったことになり選挙にとってのプラス材料となる。さらにEUを離脱した国はEUの単一市場にアクセスすることが難しいということが英国の例で明らかになったのだから、これから英国にならってEUを離脱しようとする国にとっては思いとどまる理由の一つにはなる。ましてや金融センターとしてのフランクフルトの繁栄に繋がるともなると、移民受け入れ策で悪評サクサクだったメルケルにとっては願ってもない追い風が吹くということにもなる。
昨年、英国でEU離脱のキャンペーンが行われていたとき、離脱派が作ったポスターに「EUを離脱してドイツの前進を阻止しよう!」(Halt ze German advance)というのがあったらしいのですが、メイ首相は「強行離脱」を発表することで、却ってドイツの力を強くすることに貢献してしまったかもしれない(Mrs May will strengthen Germany at Britain’s expense)とクオトラップ教授は言っています。 |
▼要するにメイ首相の「強行離脱」宣言はやりたくてやったものではなく、「仕方なしにやったこと」と教授は言っているのですね。EU離脱後の英国について
"Global Britain" というキャッチコピーが使われていますよね。EUの傘の下を出て、グローバルに活躍するのだというわけですが、英国の場合、富を生み出す経済活動の8割がサービス産業とかなり偏った産業構造になっています。詳しく調べたわけではないけれど、トランプのアメリカの場合も、製造業の雇用者数が約1200万人なのに対して、サービス産業は1億2000万人もいる(アメリカ労働省のサイト)。英国に負けず劣らずサービス産業の国なのですよね。トランプがいくら「英国とは仲良くしたい」と言っても、産業構造の点で競合するものが余りにも多すぎるのでは?
▼個人的な背景は英国のこれからと直接的には関係ないかもしれないけれど、いちおうメルケルとメイの経歴を紹介しておくと、メルケルは1954年生まれの63才、メイは1956年生まれで61才です。両方とも父親が教会の聖職者だったことと、子供時代から大学時代まで「超」の字がつくような秀才だったことが似ている。両方ともいわゆる「理系」で、メルケルがライプツィヒ大学で物理学を、メイはオックスフォード大学で地理学を専攻している。メルケルはキリスト教民主同盟
(CDU) 党首になったのが2000年、首相就任は2005年だから党首歴16年、首相歴11年という信じられないような政治歴を有している。一方のメイは昨年(2016年)EUをめぐる国民投票のごたごた後に首相に就任したばかりというわけです。
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2)「トランプ文書」なんて信用できない
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Independent紙のジャーナリストであるパトリック・コバーンが最近投稿したエッセイで、トランプとロシアの関係を示すとされる文書の存在について、
と言っている。かつてトニー・ブレアがイラク爆撃を正当化するために錦の御旗のように扱った、あの文書をめぐるすったもんだのことです。結局、大量破壊兵器なんてなかったのですよね。今回のトランプ文書も「あやふやな文書」(dodgy
dossier)である点では同じである、と。コバーンは中東専門のジャーナリストなのですが
- 1990年代、私はイラクから逃げてきた亡命者と話をしたが、彼らはいずれも大量破壊兵器やフセイン一家をめぐるゴシップを示す多くの情報を持っていると主張した。彼らは一見信用がおけそうな詳細を見せてくれたが、どれもきっちり確認することができないような情報ばかりだった。つまりどれもが作り話であったことがすぐに分かってしまったのだ。
I talked to Iraqi defectors in the 1990s who claimed to have plenty of information about WMDs and gossip about Hussein’s family affairs. It did not take long to work out that they were making it up when they produced convincing but uncheckable details.
というわけであります。
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トランプ文書の作成者と言われる英国人のクリストファー・スチール氏 |
今回の「トランプ文書」を作成したのは、英国の諜報機関(MI6)で20年以上にわたり対ロシア諜報を担当したクリストファー・スチール氏(53)ということになっているのですよね。コバーン自身、トランプ文書を読んでみたのですが、「全く信用できない」(complete disbelief)と感じたのだそうです。重要人物の名前があちこちにちりばめられ、情報が極めて微に入り細にわたっている割には確認のしようがないものばかりである、と。
コバーン自身、プーチンが権力の座についたころにモスクワ特派員をやっており、その際にもプーチンとその取り巻きが如何に無節操で暴力的な人間ばかりだとする情報がもたらされたけれど、どの情報も矛盾だらけでがっかりするようなものばかりだった。つまり本当にプーチンと取り巻き連中が情報提供者がいうほどに悪なのだとしたら、そのようなことが自分たちの外部に漏れるようなドジなことをするはずがないという矛盾に満ちていたということです。
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例えば今回の「トランプ文書」には次のような文章が載っていた。
- “Speaking to a trusted compatriot in June 2016 sources A and B, a senior Russian Foreign Ministry and a former top level Russian intelligence officer still active inside the Kremlin respectively, [said that] the Russian authorities had been cultivating and supporting US Republican presidential candidate, Donald TRUMP, for at least five years.”
2016年6月に信頼のおける同国人(むささび:ロシア人のこと?)と話をした結果、情報源であるAおよびB(一方はロシア外務省の幹部、もう一人はロシアの情報担当官でいずれも現在でもクレムリンで仕事をしている)が言うところによると、ロシアの政府当局者が、少なくとも5年間にわたって、アメリカ共和党の大統領候補であるドナルド・トランプと渡りをつけ、彼を支持する活動を行ってきた。
コバーンによると、上記のことを証明するために「とても存在するとは思えない」(unlikely to exist)情報源の名前が7つ挙げられていた。クレムリンというところは、上層部に上り詰めた人間でさえも(他者に)秘密を漏らしたりすることがあるところではあるけれど、それがばれてしまえば刑務所にぶちこまれるか、あっという間に銃殺刑にされてしまうところでもある。なのに幹部とされるAおよびBなる人物が、このような情報を明らかになどするわけがないということです。 |
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アメリカの主要メディアはいずれも、トランプに一撃を加えたくてうずうずしており、少々あやふやな文書でも使ってしまう、とコバーンは考えている。例えば1月11日付のNew York Timesは
という記事を掲載している。「まだその真実性が証明されたわけではないけれど、トランプにとっては痛手となる文書に違いない」というわけですが、記事の中でNY Timesは、「作成者であるスチール自身は過去の略歴からロシアを訪問することはできないにしても、ロシア語のネイティブスピーカーを雇ってロシア国内にいるロシア人の情報提供者を取材させると同時に自分自身でもロシア国内のコンタクトと連絡を取り合っている」などと報じている。
ただコバーンに言わせると、「ロシア語のネイティブスピーカーを雇ってロシア国内にいるロシア人の情報提供者を取材」というけれど、それほど重要な情報を握っている人間ならばロシアの保安当局が四六時中監視しており、もちろん電話も盗聴されているはず・・・というわけで、そのような状況で作成された文書がどこまで信用できるものなのか?と疑っている。
- 私に大量破壊兵器やフセインの個人生活などについてのほら話を吹き込んだ、あのイラクの亡命者だって、もっと真実性のあるストーリーを考え付くはずだ。
I suspect that those Iraqi defectors who used to tell me tall tales about WMD and the home life of Saddam Hussein would have dreamed up a more convincing story than this.
と結論している。つまり全く信用できない「トランプ文書」なるものを材料にしてトランプに攻撃を仕掛けているアメリカのメディアはどうかしている、と言っている。
▼コバーン記者はこの文書を全く信用していないのですが、1月16日付のThe Independentのサイトによると、英国の情報機関(MI6)の現在の長官であるサー・アレックス・ヤンガーが最近行ったスピーチの中で、ロシアによるハッキングに対して警戒を呼び掛けるなかで「トランプ文書」の作成者(クリストファー・スチール)が集めた情報を使ったりしている。またスチールという人はMI6の現役の諜報員であったころにはかなりの腕利きとして信用されていた人物である・・・とThe
Independentは伝えている。もちろんトランプは、例によってツイッターでスチールのことを「スパイ落第人間」(failed spy)などと呼んでいるのだそうですね。そりゃそうでしょうよ、文書の中ではトランプがモスクワのホテルで売春婦を雇い、かつて同じホテルに泊まったオバマ夫妻が使用したベッドの上におしっこまでさせたなどと報告されているんですからね。 |
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3)本当のニセモノ:トランプ=プーチン会談速記録
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12月10日付の保守派のオピニオン誌、The Spectatorに『ドナルド、ウラッドと会談:漏洩速記録』(When the Donald met the Vlad - a leaked transcript)という記事が出ています。プーチンとトランプがモスクワで会談、その際の「個人的な会話」(private talks)の文字記録です。これによると二人が会談したのは2017年2月14日となっている。雑誌への掲載が2016年12月10日・・・会談前に速記録が漏れてしまったんだから、すごいじゃありませんか。場所はクレムリンのアンドレイエフスキーとかいう部屋、アメリカからの「賓客」を迎えたプーチンが妙にかしこまっているのに対して、トランプの方はやたらと庶民的で明るい人物という感じで描かれています。会話の一部を紹介します。
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PUTIN: ロシアはいかがです?
So how are you liking Russia? |
TRUMP: いいねえ、すごいよ。驚きだ。Fabulous. Amazing. それにこの部屋。信じられない。趣味がいいよね、あんた。素晴らしい!
Fabulous. Amazing. And this room - incredible. You have beautiful taste,
my friend. Beautiful. |
金(ゴールド)はお好きですか?
You like gold? |
好きだねえ。トランプタワーでも金はふんだんに使ってる。
Very much. We used a tremendous amount of gold in the Trump Tower. |
ですよね。あのタワーはたいしたもんだ。テレビで見ましたよ。
Yes, it’s something. Truly. I have seen it on television. |
(天井を見ながら)ねえ、あそこのあのシャンデリアっていくらくらいしたのかね?
Those chandeliers there. How much were those? |
私には分かりかねるけど、調べてお知らせしますよ。
Well, I don’t know. But I will have this information provided to you. |
そうしてもらえると有難い。実はウチではワシントンDCにホテルを開業したんだ。ホワイトハウスの隣にね。そのホテルの天井が、ここのように高いのさ。だからあんなベイビー(シャンデリアのこと)を二つ三つ吊り下げたらかっこいいだろうと思うのさ。国賓なんかを迎える時にもそのホテルに泊まってもらおうってわけ。完ぺきだよね?It’s perfect, right? ホテルからホワイトハウスまでは歩いて来れるんだから。あんたが来たときは信じられないような格安料金にしておく。絶対気に入ってもらえるよ。保証する。 |
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それはご寛大なことで。
This is most generous. |
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寛大があたしの特長の一つなんだな。あたしの場合、どの部分をとっても素晴らしいわけだけど、寛大さとなると、これはもう「とびきり上等」(through
the roof)というヤツさ。でもそれは友だちに対してだけ。敵に対しては話が違うんだ。はっきり言って、あんたもあたしの敵にはならない方がいいと思うよ。アメリカにいるあの「脳糞野郎たち」(shit-for-brains)の場合は・・・あ、お兄さん、通訳の人、そう、あんただよ、いまの
"shit-for-brains" の部分、訳さなくていいからね。 |
選挙期間中にあなたはクリントン夫人を刑務所に入れると言っていたのに、そうしませんでしたね。何故なのですか? |
分かってる、分かってる。それについてはあたしの支持者からも文句を言われている。オルタナ・ライトとかいう右翼連中も、銃規制反対野郎(gun guys)たちも、その件では怒っている。あいつらは怒らせない方がいいよね。ただ・・・あたしには秘密兵器があるのさ。ここだけの話にしておいてよ(just between us)。 |
秘密厳守は私の専門ですよ。KGBで訓練されていますから。
I can keep a secret. I was trained by KGB, you know. |
へえ、知らなかったな、それは。あたしもKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)は大好きなんだよ。「超から揚げ」のジャンボチキンならバケツに一杯だって食えるもんね!
I did not know that. I love KFC. Their extra crispy tenders? I can eat
a jumbo bucket of those at a sitting. |
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この際、NATOの話でもしておきましょうか。
Shall we take this opportunity to talk about Nato? |
NATOの話?結構じゃないか、やりましょ。あんたから始めて。
Nato. Why not? Absolutely. Shoot. |
あなたが選挙期間中におっしゃったこと、あれは新鮮だった! |
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あたしの意見は簡単だよ。ヨーロッパの皆さん、ただ乗りはもう止めましょうってこと。大体、なんでアメリカがヨーロッパの防衛のために金を使わなければならないんだ?そもそもヨーロッパに軍隊なんて要るのかね。ロシアはヨーロッパを侵略するつもりなんかあるの?それはないだろうな。あたしの言っていること、間違ってるかね。間違いというものをやったことがないんだ、あたしは。間違ってるかね、あたしは? |
いえ、間違っていません。 |
だろ?そういうことだよ(There. Done)。複雑でも何でもない。 |
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鋭いですね、あなたは。
You are very perceptive. |
ありがと。あんたはいいヤツだよ、ディミトリー。
Thank you. And you’re a very nice person, Dmitri. |
私の名前はウラジミールですが・・・。 |
分かってるよ。時差ボケ、時差ボケ。
I knew that. Jet lag.
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▼上の漫画はEditorial & Political Cartoonsというサイトに出ていた政治漫画。ニューヨークにある自由の女神が、トランプ大統領の誕生について「なんて国になっちまったんだ」とがっくりしている様子です。それから上のプーチンとの会話、どのみちガセネタなんだから、どうでもいいかもしれないけれど、一応言っておくと、トランプは1946年生まれの70才、プーチンは1952年生まれの64才です。 |
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4)どうなる、北アイルランド
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日本のメディアでは伝えられていない(と思う)けれど、北アイルランドがちょっとややこしい政治状況に置かれています。1月14日付のThe Economistによると「フラストレーションが爆発寸前」(simmering frustration)なのだそうです。まずは北アイルランドの政治についての基礎知識の確認から。
ベルファストのストーモントにある北アイルランド議会 |
いまからほぼ20年前の1998年、ブレア政権のとき、それまで対立とテロを繰り返していた北アイルランドにおける政治勢力の間で「ベルファスト合意」(Belfast Agreement)という協定結ばれた。ここでいう「政治勢力」は大まかに言って二つに分かれる。一つは「北アイルランドは将来も英国に帰属すべしとするグループ」(unionists)、もう一つは「北アイルランドはアイルランド共和国に帰属すると主張するグループ」(republicans)です。この「ベルファスト合意」の結果として北アイルランド議会ができると同時に北アイルランド政府ができたのですが、「合意」によると、この政府は "unionists" と "republicans" の両者の代表によって権力をシェアする(power sharing)形をとることになっていた。
犬猿の仲のフォスター第一大臣(右)とマギネス副第一大臣(左) |
そして現在は議会の第一党であり"unionists"の代表であるDemocratic Unionist Party (DUP)と第二党であり "republicans"の代表であるSinn Fein(シンフェイン党)の二者によって成り立っている。首相にあたる第一大臣(First Minister)はDUPの女性党首であるアーリン・フォスター(Arlene Foster)が、副首相にあたる副第一大臣はシンフェイン党のマーチン・マギネス(Martin McGuinness)がつとめてきた。シンフェイン党はテロ活動で知られたIRAの政治組織だった。が、その副第一大臣のマーチン・マギネスがこのほど健康上の理由で辞任すると発表したことで、それまで目立たなかった北アイルランドの政治的な不安定さが露呈することになってしまった。
マギネスによると、フォスター第一大臣は「最もむき出しかつ愚鈍な偏見」(the most crude and crass bigotry)に満ちた人物であり、自分たち"republicans"の意見には一切耳を傾けることがないということになっている。彼女の愚鈍さの見本となったのが、彼女が環境大臣だったころの2012年に始めた「再生暖房インセンティブ」(Renewable Heat Incentive)という政策だった。農業施設、企業のオフィスのような普通の家庭以外の建造物の暖房に化石燃料ではなく木材ペレットを燃やそうという「グリーン・エネルギー」の利用を奨励するものだったのですが、これがタイヘンなコストがかかって税金の無駄遣いとされて1年でキャンセルされてしまった。
フォスターが第一大臣に就任したのは、2016年1月のことなのですが、「再生暖房インセンティブ」への関わりも含めて悪評サクサクという感じで、昨年12月には議会で不信任案が議論され、かろうじて否決されたりしていた。そんな時に副第一大臣のマギネスが辞任を発表したわけですが、実はいわゆる「権力シェアリング」の取り決めをした際に、両派の代表である「大臣」のどちらかが辞任する場合は、もう一方の大臣も辞めなければならないという約束ができていた。マギネスが辞任するということは、フォスターも第一大臣の座にとどまっていることができないということでもある。
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EUをめぐる国民投票で北アイルランドは「残留」が勝利したが、英国全体としては「離脱」。上の写真はEUに関連して北アイルランドの意思を尊重することを訴える残留賛成派の市民。 |
となると、次に来るのは選挙?ということになるけれど、そうなると政情不安がますます募るかもしれないという事情がある。というのは現在の議席数(108)が90にまで減らされることになっており、DUPとシンフェインの力が強くて他の政党(主なものだけでも4つある)が議席数を減らすという結果になる可能性が極めて高い。となると北アイルランド自体が「DUP対シンフェイン」という昔ながらの対立にさらされる可能性が出てくる。フォスター第一大臣は昔のIRAのテロ時代のことを話題にしてシンフェイン攻撃の材料にしたりしてシンフェイン支持者の反発を買うことが多い。また政策的にもアイルランド語教育の充実に充てる予算を削減しようとしたりというわけで、シンフェイン支持者の間では、議会における「権力シェリング」なんて止めてしまえという声も出てきたりしている。
そうなると昔のテロ時代に逆戻りということになりかねないので、ロンドンの中央政府としては北アイルランド担当大臣を派遣して両派間の融和を図る努力をしているわけですが、実はここにもすんなりとは行かない事情がある。BREXITです。現在のメイ政権は国民投票の結果通りにこれを推進しているけれど、昨年の国民投票における北アイルランドの結果は「56%対44%」でEU残留派が勝利している。北アイルランドは英国内では唯一、EUと陸続きで国境を接しているエリアです。このままEU離脱が実現すると、北アイルランドとアイルランド共和国の間の自由な往来が難しくなり、それがまた北アイルランド内における「英国残留組」と「独立組」の対立に繋がらないとも限らない。メイ政権の頭痛のタネが一つ増えてしまっているということです。
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5)橋下徹さんの反「反ポピュリズム」論
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1月12日付の毎日新聞のサイトに
という見出しのインタビュー記事が出ていました。アメリカの大統領選でトランプが勝ち、英国ではBREXITが勝利したことについて語っているのですが、テーマは「ポピュリズム」です。最近のメディアではかなり頻繁に使われる言葉ですよね。大体において「大衆迎合」という日本語があてられることからしても、否定的に語られることの多い。ただ橋下さんによると、ポピュリズムを批判するメディアや知識人たちの態度は「上から目線」であり、それが大衆に嫌われたのだと主張しています。ポピュリズムを批判する人を批判する、反「反ポピュリズム」論ですね。このインタビューは非常に長いものなので、むささびの能力をもってしては「短くまとめる」のは無理。というわけで、彼の発言の中からポイントと思われる部分のみ数点ピックアップしてみます。皆さまのディスカッションの材料になるかもしれない・・・。 |
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- 1. 悪いのは「既存の政治」
既存のワシントン政治やEUのどこかに問題があるから国民はトランプ氏を大統領に選び、EUからの離脱を判断したのに、(メディアや知識人たちは)その国民の判断を低教育レベルの低所得者の感情的判断だ、ポピュリズムだと徹底的にバカにする。
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- 2. 「良いポピュリズム」もある
国民の多数意思で政治をやっていくのが民主政治です。その場合、国民を徹底的に信じなければなりません。しかし国民の声も絶対的に正しいものではない。だからこそ修正を繰り返しながら正しいものに近づけていく姿勢が必要です。<中略>ポピュリズムが全て悪なのではなく、良いポピュリズムを目指さなければならない。
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- 3. 「専制エリート政治」の方がいいのか?
ポピュリズムを悪とするなら、それと反対側にある「専制エリート政治」の方がいいのか。ポピュリズム、民主政治にはいろんな問題があり、ヒトラーを例に「民主政治は独裁政治につながる」という批判もある。しかし、専制エリート政治を振り返ると、旧ソ連のスターリン、北朝鮮の金一家、アフリカの独裁体制、そして中国と、これらの体制の方がはるかに弊害がある。
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- 4. オバマの核廃絶論
例えば(オバマ氏の)広島訪問の時の核廃絶についての演説に、メディアは拍手喝采しました。でも彼はその裏で、30年間で1兆ドル(約110兆円)かけて旧式の核兵器を近代化する政策を承認しました。「核なき世界へ」というフレーズだけで実現可能性は検証せず称賛するのは危険ですね。
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- 5. 右翼政党をポピュリズムだと一蹴するな
欧米では、国民生活に直結するところで不法移民やテロ、経済格差の問題がある。きれいごとを言っている状況じゃないのに、既存の政治家や知識層はその不平不満をきちんとすくい切れず、国民がノーを突きつけた。(右翼政党の)このような政治運動をポピュリズムだと一蹴せず彼ら彼女らの問題意識を丁寧に探り、合理的な解決策を見いだしていく。それこそが「寛容の精神」じゃないですかね。
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- 6. ポリティカル・コレクトネス
(この選挙でアメリカ社会が分断されてしまったように見えることについて)選挙で分断されたのではなくて、元々そういう状況にあったんですよ。メディアや知識層は「ポリティカル・コレクトネス」というもので無理やり蓋(ふた)をしていただけ。その蓋をトランプ氏が開けちゃったということじゃないですか。社会の不平不満をとにかく隠し続ける政治もあれば、一回蓋を開けて、きちっと対処していく政治もある。僕は後者の方が本来の政治だと思う。きれいごとで蓋をして隠していくことは問題の先送りにしかならないと思いますよ。
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というわけです。橋下さんは他にもいろいろ言っているので、詳しくは原文をお読みになることをお勧めします。
このインタビューには分かったようで分からないカタカナ政治用語が二つ出てくる。一つは「ポピュリズム」で、もう一つは「ポリティカル・コレクトネス」です。「ポピュリズム」については「民衆の利益と伝統的な価値観を重んじる大衆主義」という説明もあるし、「一般大衆の利益や権利、願望、不安や恐れを利用して、大衆の支持のもとにエリートや体制側と対決しようとする政治思想・政治姿勢」というのもある。前者だと「普通の人たちの意見に耳を傾ける政治姿勢」だから、悪いことではないけれど、後者の場合は、権力を握りたさに「普通の人たちの意見を利用する」となって、何やら「騙しの技術」という感じになる。「どっちが本当のポピュリズムなのか?」と聞かれると「どっちも」としか言いようがないとむささびは考える。つまり「ポピュリズムとは何か」などということは、議論しても意味がない。
「ポリティカル・コレクトネス」(political correctness)は毎日新聞の定義によると「差別的な意味や誤解を生じないよう政治的に妥当な表現をすること」となっている。「きれいごとを言う」とか「事を荒立てない」ことによって「その場を丸くおさめる」態度のことですよね。橋下さんに言わせると、アメリカのメディアやインテリは、社会に現存する問題(テロリズム・不法移民など)に対して正面から正直に向き合おうとせず「無難に」収めようとしたので、反対の姿勢をとるトランプに負けたのだ・・・ということになる。 |
▼橋下さんの反「反ポピュリズム」論は、むささび360号で紹介したフランス人のエマヌエル・トッド氏の意見とほぼそっくり同じですよね。つまりアメリカ国民は「自由貿易と移民がアメリカ社会に不平等と停滞をもたらした」と考えており、それを問題にする候補者(トランプ)を選んだのであって「有権者は理にかなったふるまいをした」のだということです。そしてトッド氏は、そのような有権者の意思表明を「ポピュリズム」として非難するのは止めましょうとも言っている。ところがトッド氏も橋下氏も、トランプの推進しようとしている政策については、ほぼ何も語っていない。口角泡を飛ばして「現状」を否定する割には「否定の後」に何が来るのかについては語らない。
▼核軍縮についてトランプは、「アメリカは核戦力を大幅に強化、拡大する必要がある」とツイッターで述べたなどと報道されている。実現できもしない(と橋下さんが言っている)「核なき世界」を呼びかけるオバマと、最初から「核戦力を強化しよう」と主張するトランプ・・・あなたならどちらをとります?
▼既存の政治家・インテリ・メディアなどの至らなさを指摘するのはいいけれど、ヨーロッパの右翼政党の支持者の問題意識を「丁寧に探る」と何が見えてくるのか?オバマやヒラリーが銃規制を訴えましたよね。トランプ支持者に言わせればとんでもないハナシだった。彼らの問題意識を「丁寧に探る」と銃犯罪が減るかもしれないってこと? |
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6) どうでも英和辞書
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A-Zの総合索引はこちら |
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Dutch reach:ダッチ・リーチ
最近、英国人の友人から教わるまで「ダッチ・リーチ」なんて聞いたことがありませんでした。あなたは聞いたことあります?これは運転手がクルマのドアを開けるときの開け方なのでありますよ。「ダッチ」だから「オランダ式」ということ。オランダは自転車天国です。それだけに自転車に関係する事故も多い。よくあるケースなのが、運転手がクルマのドアを開けたところへ自転車が突っ込んできて・・・という事故。
オランダはクルマは右側通行だから、運転手は原則として左側に坐る(左ハンドル)。クルマが道路の右側に停まる、運転手が自分のドアを開けるのですが、普通は左手(ドアに近い)を使ってドアを外側に向かって押し開けません?その際、運転手の顔はどちらを向いていますか?注意深い運転手ならバックミラーを見て、後ろから自転車が来ないか確認したりしますよね。でもそれもやらずに前をむいたままドアを押し開けてしまい、そこへ自転車が・・・となることは非常に多いのだそうです。
ちょっと分かりにくいかもしれないけれど、上の図を見てください。左側に坐った運転手がドアを開ける際に右手で押し開けている。実にやりにくいけれど、とにかくそうやってドアを開けようとしている。すると身体も顔も否応なしに後ろ向きになる。そうすることで自転車との衝突事故を防ごうというわけで、オランダではこれを学校はもちろんのこと、自動車教習所で徹底的に教え込むのだそうです(これをやらないと免許証が貰えない)。当たり前ですが、日本でこれをやる場合は右ハンドルの運転手は左手を使ってドアを開けるようにする。ここをクリックすると「ダッチ・リーチ」を動画で見ることができます。
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7) むささびの鳴き声
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▼橋下徹さんの「反・反ポピュリズム論」を紹介しておきながらこんなこと言うのもヘンなのですが、むささびは橋下さんの言うことには殆ど賛成できない。例えば英国のEU離脱について彼は「EUに問題があるから英国人はBREXITを支持したのだ」と言っている。「自分たちの国は自分たちで管理する、EUの官僚たちに支配されるのはご免だ、EUなんかに加盟しているから移民が増えて自分たちの職が失われたのだ」と・・・橋下さんに言わせれば、これは「当然の主張」であるということになる。むささびがBREXITに反対するのは、かつてはヨーロッパを舞台に戦争で殺し合い、破壊し合った国々が集まって共同体を作ることで、二度とそのようなことがないようにしようと思って作った機構を守ることが、英国にとっても世界にとっても大切であると考えるからです。同じような考えの人が1600万人いた(離脱派は1700万人)。つまり1600万の人が「EUには問題があるかもしれないが離脱はすべきでない」と考えたということ。そのような主張のどこが「上から目線」なのか?
▼「トランプ現象」の場合は理論的には「修正」はきく。4年後の選挙で落とせばいいわけですから。でもEU離脱にはその理屈は通らない(とむささびは考えている)。共同体を一度「や~めた」と言って出て行った国が、簡単に「もう一度入れて下さい」というわけにはいかない。それよりも英国の「離脱」で弾みがついて、あちこちの国で同じような動きになる可能性だってある。つまりEU解体の可能性です。おそらく橋下さんの論理からするならば「それが国民の意思ならいいんじゃないですか」となりませんか(トランプもそう言っている)?本当にそれでいいのか?英国のEU離脱派の最大の弱点(だとむささびが考えているの)は、自分たちの主張を通した後にヨーロッパや世界がどうなるのかということについての展望が全く語られないということ。「英国はどうなる」ということは語るのですが・・・。
▼トランプが就任式で "America first!" と叫んでいましたよね。世界のことや地球のことより「まずアメリカだ!」ということですよね。「アメリカはもう世界をリードするような国ではない、我々は自分たちが食っていくだけだ」と言っているのと同じです。英国はどうか?メイ首相は、EU離脱後は
"Global Britain" として世界を相手に生きていくのだと宣言している。少なくとも「理念的」には「外向き」(outward-looking)です。
▼トランプが「まずアメリカだ!」と叫んで喝采を浴びている一方で、あのダボス会議(むささびは余り好きでない)で中国の習近平が「自由貿易とグローバル経済」を強調する演説する様子が見られるとは(むささびは)思いませんでした。確かに時代は変わっているのですね。ボブ・ディランじゃないけど、"Times they are changin'"なのですね。シンゾー、分かる?習近平の言葉を「単なるきれいごと」と切り捨てるのは簡単だけど、"America first!"と叫んでいる国との「同盟関係」だけが頼りというのではなくて、シンゾーも少しは「きれいごと」も言ってみては?
▼一方、英国のメイ首相とトランプの首脳会談が1月27日(金)に行われることが決まった、と英国メディアが伝えています。これでメイさんはトランプとのお目通りを許される「最初の外国首脳」(first
foreign leader)なのだそうですね。BREXITファンであるトランプは英国との間で早急に「2国間貿易協定」を結びたいとThe Timesとのインタビューで語っているわけですよね。EUのメルケルには批判的なわけですが、外国との交渉事は「2国間でいきたい」と思っているのですかね。その方が力的にはアメリカの方が上だから相手をねじ伏せるのも容易である、と。だからTPPなんてとんでもないということになる。シンゾー、分かる?
▼日本記者クラブの会報(1月10日号)にちょっとショッキングな数字が出ていました。トランプの勝利についてのものなのですが、アメリカの主要100紙のうち52紙がヒラリー・クリントンを支持、はっきりトランプを支持したのは2紙だけであったのですね。残りの48紙は中立であったということでしょうか?いずれにしても52対2なのにトランプが勝ったということは、新聞が持つ政治的な影響力はほとんどゼロに近いということなのか・・・。
▼「新聞」と言えば、大統領就任前のトランプが、The Timesとの単独インタビューを行って「英国とはうまくやっていく」(I'll do a deal with Britain)と明言した。この単独インタビューでThe Times側の「記者」の役割を果たしたのが、マイケル・ガブ(Michael Gove)という保守党の国会議員であり、EU離脱運動の先頭に立って「英国はすごいんだ!」と叫んでいた人物です。殆ど最初から内容が分かってしまっているような会話を、「高級紙」の代表格のように言われてきたThe
Timesが「単独インタビュー」として第一面に掲載する・・・ここにも落ち目の英国エリートの姿を見るような気がします。
▼お元気で!
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