2019年も終わりに近づいてきましたね。ミセス・むささびが飯能市の我が家の庭にある柿の木になっていた最後の二つの実を取ろうとよじ登ったのですが、二つのうちの一つが鳥に食べれられて下の写真のような状態になっておりました。皮だけ残して中身は空っぽ。がっくり、でもお見事!
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目次
1)MJスライドショー:美術館にて
2)英国選挙ガイド
3)この選挙は混乱を解消しない
4)下院議員の学歴
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声
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1)MJスライドショー:美術館にて
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ステファン・ドラシャン(Stefan Draschan)というフランスの写真家の"Coincidences at Museums"(美術館の偶然)という写真集は面白そうですね。美術館を訪れる人びとが展示されている作品の前に立ち止まって鑑賞する様子を後ろから撮影した写真集なのですが、彼らが着ている衣服、髪型、身体つきなどと美術作品の間に存在する「繋がり」がとても面白い。いずれも単なる偶然による繋がりなので、どの作品も「やらせ」ではないそうです。美術作品を鑑賞している人をテーマとする写真アート・・・考えるものですね!
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2)英国選挙ガイド
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英国では12月12日に下院の選挙が行われることになりました。下院選挙といえば、最近では2017年、その前は2015年に行われている、ということはわずか4年間で3度目ということになる。本来なら5年に一度のはずなのに・・・。というわけで、11月1日付のBBCのサイトに出ていた情報を中心に「極めて基本的な情報」(A really simple guide)だけ紹介しておきます。 |
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英国には"Fixed-term Parliaments Act"(議会任期固定法)という法律があって、特別の事情がない限り、議会は自動的に5年に一度解散されることになっている。つまり会期が5年以上ということは絶対にない。ただし議会の3分の2が了承すれば5年以内に解散ということはあり得る。この法律ができたのは2011年です。それ以後、2015年と2017年に解散しているので、今回の選挙は4年間で3度目ということになる。本来ならば次なる選挙は2017年から数えて5年目の2022年に行われるはずだったのですが、ジョンソン首相が10月31日に議会に選挙を提案、議会が了承したというわけです。
なぜ今選挙なのか?
それにしても、何故ジョンソンは議会に選挙を提案する気になったのでしょうか?もちろんBREXITを実現したいからです。首相になる前は「合意なき離脱も辞さず」などと強硬な発言をしていたのですが、いざ首相になってみるとそのような強気ばかりでは議会と付き合って行くことができないことがはっきりした。そこでEUとの協議の結果、英国が離脱するための合意案なるものを手に入れた。本来ならこの案を議会に提案して了承されることによって「合意離脱」が可能であったのですが、これまでの政府と議会の対立状況からすると、議会に提案してもまた蹴られてしまう可能性が高かった。それならBREXITを中心テーマとする選挙に訴えて、自分の提案に国民的な支持を取り付けようということになった。議会では最大野党の労働党が「合意なき離脱の可能性がゼロならば選挙もオーケー」ということを明言していた。2016年の国民投票以後、BREXITをめぐって全くの行き詰まり状態だった英国の政治が再び「正常」な状態に戻るかもしれないということです。
現在の議席数
10月31日現在の議席数は次のとおりです。 |
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下院の総議席数は650、完全小選挙区制だから選挙区の数も650です。2017年の選挙で保守党は317議席を獲得して第一党にはなったのですが、過半数の議席(326)獲得はできなかった。そこで北アイルランドの地域政党である「民主連合党」(Democratic Unionist Party:10議席)と協力関係を確立、辛うじて過半数を占めることができたのですが、それ以後BREXITをめぐる出入りがあって、現在は298議席ということになっている。
また上のグラフ中の「その他」には北アイルランドでDUPと対立するシンフェイン党(Sinn Fein 7議席)、今年の2月に保守党および労働党を脱退した議員が作った変革のための独立グループ(Independent Group for Change 5議席)、ウェールズの地域政党であるPlaid Cymru(4議席)、緑の党(1議席)および議長に与えられる1議席と空席の1議席が含まれます。
政党支持率は?
BBCのサイトに出ていた支持率は下記のとおりです。 |
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保守党がリードしているように見えるのですが、これらの政党をBREXITに対する態度で区別してみると、賛成は「保守党+BREXIT党=47%」で、それ以外をBREXIT反対と仮定すると、わずかとは言え、そちらの方が上回ってしまう。ちなみにEU離脱に対する各党のスタンスを挙げると:
保守党:合意してEU離脱 |
変革グループ:EU残留 |
労働党:もう一度国民投票 |
ウェールズ党:EU残留 |
スコットランド党:EU残留 |
緑の党:EU残留 |
自民党:EU残留 |
BREXIT党:合意なきEU離脱 |
民主連合党:EU離脱だが政府の合意案には反対 |
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ということになる。最大の問題は労働党がEU離脱についての態度をはっきりさせていないことなのですが、少なくとも「合意なき離脱」路線でないことははっきりしている。有権者(18才以上)は約4600万人なのですが、年齢によって投票率が異なる。2017年の選挙の場合、20~24才の投票率が59%であったのに対して、60~66才は77%だった。
ちなみに2017年の選挙における年齢別の政党支持率は次のようになっており、年寄りは保守党、若者は労働党びいきという数字がかなりはっきり出ている。 |
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ではBREXITに対する年齢別の見方はどうか?下のグラフに見る限り、40才代の半ばを中心に年齢が高くなるに従ってEUからの離脱を望む人口が増えてくるように見える。 |
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ただこのグラフは2016年の国民投票における投票行動を数字化したものです。英国の世論は、実はそれからの3年間で混乱と分断を繰り返しただけでなく、メディアでもBREXITが話題にならない日はなかったのではないかと思うくらい、英国中がその話題に明け暮れた。今あの時と同じような国民投票を行った場合、この3年間の混乱が影響しないとは考えられない。
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▼11月4日付のGuardianとのインタビューで労働党のコービン党首は、この選挙で勝利した暁には「政権発足から3か月以内に”賢明なる合意案”を求めてEU側と交渉し、6か月以内に再び国民投票を行う」としている。党のホームページによると、その国民投票は「2016年の繰り返しではない」(It won’t be a re-run of 2016)。何が違うのか?「選択肢が”賢明なる合意案”か”EU残留”かである」(the
choice will be between leaving with a sensible deal or to remain in the
European Union)、そこが違うというわけです。もちろん、その”賢明なる合意案”というのが、コービンやメイがEUとの間で取り付けた合意案と何がどう異なるのかについては何も言っていない。常識的に考えてそれほど劇的に異なるものを提示できるとは思えない。 |
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3)この選挙は混乱を解消しない
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10月31日付のThe Economistが12月12日の選挙について論説で語っているのですが、この選挙の中心テーマがBREXITであることは否定できないけれど、実際にはそれ以上のものであり(a
lot more than that)しかも結果の予想がつかない(unpredictable)と言っています。
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子供がサンタを信じていることを笑うけど、大人の中にはいまだにボリスを信じている人だっているんですよ! |
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ボリス・ジョンソンがこの選挙で勝って英国のEU離脱を実現することを狙っているのに対して、労働党のジェレミー・コービン党首は、もし労働党が勝って政権についたならば国民投票をもう一度行うと言明している。つまり場合によっては2016年の国民投票の結果(EU離脱)がひっくり返ることになるわけです。 |
将来像が違いすぎる
「再国民投票」だけでも大混乱必至であるわけですが、The Economistによると、保守・労働両党の描いている英国の将来像が極端に異なることも気になる。保守党が「より自由な資本主義」(more
freewheeling form of capitalism)を目指しているのに対して、労働党は経済運営の中心に国家を置こうとしているように思える。例えばボリス・ジョンソンが、戦後の英国が守ってきたはずの福祉国家の象徴であるNHS(国民保健サービス)の民営化を匂わせているのに対して、コービンはサッチャーさんが民営化した鉄道を再国有化すべきだと発言したりしている。 |
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左から保守・労働・自民・BREXIT・緑の各党への支持率 |
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The Economistによると、選挙の結果登場する次なる英国首相が反EUのジョンソンであれ、社会主義者のコービンであれ、英国経済への打撃は避けられない。ただ、どちらが首相になっても危なくなるのは現在の英国という国の姿そのものなのだそうです。ボリス・ジョンソンがEUとの間で取り付けた合意案によると、国境問題をめぐって北アイルランドはこれまでになくアイルランド共和国の方へ近づくことになる。コービンはというと、政権をとるためにはスコットランド党(SNP) の協力が重要だけれど、SNPといえばスコットランドの独立をめぐる二度目の国民投票をやろうとしている。世論調査に見る限り、今度は独立派が勝つ可能性は大いにある。
「敗者」だけが残る
つまり現在の英国(UK)をそのまま続けたいという有権者、あるいはコービンの社会主義路線もイヤだし、ボリスの何でも民営化路線も不安だという有権者は、投票用紙を手にして「どうすればいいんだ」と嘆くことになる。しかも現在の世論分断状況を見る限り明らかなのは、どのような結果が出るにせよ、誰もが自分たちは負けたと思ってしまうということであり、不満分子が非常に多いということになる。2016年の国民投票では52%対48%で「離脱」が勝ったけれど、48%の残留派はまるで自分たちが負け犬そのものであるかのような気分を味わった・・・それと同じような結果になるであろう、とThe Economistは言っている。
それにしても誰が「敗者」の側に回るのか、全く予想がつかない。世論調査によれば保守党が労働党を12ポイントもリードしている。しかしティリザ・メイは2017年の選挙戦を20ポイントもリードしている状態で始めたはずなのに、終わってみれば過半数割れ政権しか作れなかった。今回は前回の選挙にはなかった要素もある。例えば強硬離脱路線のBREXIT党は前回の選挙では存在さえしていなかった。彼らが保守党票のある部分をさらっていくことは避けられない。またEU残留を鮮明にしている自民党(Lib-Dem)が労働党支持者を惹きつけることも大いに考えられる。
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ある意味この選挙のカギを握っているナイジェル・ファラージBREXIT党党首(55才:上)とジョー・スウィンソン自民党総裁(39才:下)の二人。ファラージは議員としては立候補しないけれど、ジョンソンでは飽き足らないEU離脱派の票がBREXIT党に流れるのではないかと言われているし、労働党のはっきりしない態度に嫌気がさしたEU残留派が、最初から「残留」を打ち出しているスウィンソンの自民党に投票するのではないかということです。 |
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2017年に選挙が行われた際にThe Economistは英国の政治には「中間がない」(missing middle)ことを嘆いた。今では中間勢力ともいえる自民党がかなりの人気を得ている。とはいえ保守・労働の主要2党に関しては「中間」には関心を示していないように見える。選挙というものは、本来、中間層を取り合うもののはずであるけれど、BREXITに関する限り「中間」を訴える政党は存在しない。保守党も労働党も極端に走っている。自民党でさえも「筋金入りの残留派」にのみターゲットを絞っているとしか思えない。つまりこの選挙は誰もが極端に走って英国の「分断」を促進する選挙であると言える。
「文化の分断」?
これまでは政治的な分断といえば、経済政策における「右翼vs左翼」と相場が決まっていたけれど、最近の英国では「新しい亀裂」(new fissure)とでも言うべきものが登場してきている、とThe Economistは言います。それはそれぞれの有権者が持つ「文化」(考え方・感じ方・価値観など)が生む亀裂であり、それがこれまでにはなかった政治的な戦場(political battleground)を生み出している、と。政党が自らを売り込むべき相手が違ってきているということで、それをさらに激しくしたのがBREXITだった。具体的に言うと、保守党は「反ヨーロッパ」や社会的保守主義などをうたい文句にして、いわゆる「労働階級(working class)」の票を獲得しようとしている。この人たちはもともと労働党の支持基盤であったはずなのに。 |
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一方の労働党は社会的なリベラリズム(進歩主義)や国際主義を好み、EU残留を望む都会派の有権者を狙っている。この人たちは大体において経済的に恵まれた層に属している。政党がこのような路線を進もうとする限り、政治の分断がますます先鋭化することは避けられない。経済政策における対立や分断は話し合いで妥協することはできるけれど、「文化」に根差す分断はそうはいかない。
過去3年間、英国政治が陥ってしまった「BREXITをめぐる分断」が、この選挙をもってしても解消しないという可能性は大いにある。自民党やBREXIT党のような少数党の伸びによって従来の二大主要政党が多数議席を獲得できないという事態も大いにあり得る。いわゆる「地滑り的勝利」(land-slide victory)など、「夢のまた夢」ということです。 |
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1年後の英国・・・?
ジョンソン保守党の勝利が僅少差によるものだったとなると、彼はティリザ・メイと同じように保守党内の強硬派にてこずることになる。また労働党が政権を取ったとしても単独では無理だろうから、他党の協力を求めざるを得ない。というわけで・・・
- この選挙の結果は英国にとって重大な結果をもたらすものになるだろう。が、今からの1年後の英国が、相も変わらず「BREXITをやり遂げる」方法をめぐって揉めていたとしても、驚くに当たらない。 The coming election will have profound consequences for Britain. But don’t be surprised if a year from now the country is still arguing about how to “get Brexit done”.
とThe Economistは結論しています。
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▼確かにこの選挙、どこかおかしい。ボリス・ジョンソンがBBCとのインタビューで、ナイジェル・ファラージが呼び掛ける「保守・BREXIT党同盟」を拒否している。かつては強硬離脱派の先頭に立っていた二人なのですが、ジョンソンによると、強硬離脱のファラージと組むと保守党支持者の中の穏健派の票が労働党に行ってしまうということだった。ボリスにとってさらなる頭痛のタネ(とむささびが思っている)は、あのトランプがツイッターでボリスがEUとの間で交わした合意案を「やるべきでなかった」と批判していること。離脱後の英国にとって、最大のお友だちはアメリカです。そのアメリカの大統領に「あんなことやるべきじゃなかった」などと言われて、これといった反論もできないでいる。しかもそのトランプが「ファラージとの連帯」を呼び掛けたりしている。いまの英国で(保守党支持者も含めて)おそらく最もバカにされている外国の政治家といえばトランプです。その人間に選挙のやり方までとやかく言われて何もできないでいる・・・。この選挙、どこかおかしい! |
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4)下院議員の学歴
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ちょっと古いけれど、今年の5月10日付のThe Economistの政治コラムが、英国における「忘れられた存在」について語っています。それは大学卒の資格を持っていない人びと(people without degrees)のことで、英国の人口の約70%がそれにあたるのだそうです。特に政治の世界でその傾向が目立つ。例えば今から40年前(1979年)の女性議員の数は全体の3%に過ぎなかったのに今では32%にまで増えている。なのに同じ期間に非大卒議員の数は40%から30%へと減っているのだそうです。要するに現在の下院が有権者の多数を占めるはずの非大学卒の人びとの意見を反映しているのか?ということです。
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男女の下院議員数の推移 |
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英国下院のサイトに出ていいる情報によると、2017年の選挙で当選した議員650人のうち82%が大学卒だった。グローバルノートというサイトに出ていた統計によると、2017年の英国(25~64才)における大卒者の割合は45.74%だった。下院議員の82%が大卒というのは外国と比較して多いのか、少ないのか?ある日本のサイトに出ていた数字によると、衆参両議院議員(713人)のうち大学出は672人となっていた。つまり94%が大学出ということになる(25~64才の日本人に占める大卒の割合は51.44%)。
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大学卒の下院議員数の推移:% |
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下院のサイトに出ている議員の学歴に関する統計情報はとても面白い。1979年から2017年までの約40年間における保守・労働両党議員の学歴を数で比較すると、「大卒者」の数では殆ど違わないのに、小・中・高校を私立校ですごした議員の数となると俄然差が出てくる。私立校出身者は圧倒的に保守党議員に多い。このサイトでは私立校のことを "fee-paying school"(有料学校) と呼んでいる。要するに金持ちの子息が行く学校ということです。サッチャー政権が誕生した1979年の時点では、保守党議員の73%が私立校出身なのに労働党では18%しかいなかった。それでも過去40年間で私立校出身の保守党議員の数は確実に減っている。でも労働党の私立出身者は増えても減ってもいない。 |
私立校出身の下院議員数の推移:% |
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ついでに言っておくと、いわゆる「オックスブリッジ」出身の議員の数となると、やはり保守党の方が多い。サッチャーからこれまでの40年間で、保守党の首相は5人(ジョンソン、メイ、キャメロン、メージャー、サッチャー)いるのですが、メージャー以外全部オックスフォード出身です。労働党はどうか?キャラハン(1976~79年)から現在まで3人(キャラハン、ブレア、ブラウン)の首相を出しているけれど、ブレアだけがオックスフォードで学んでいる。
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OXBRIDGE出身の下院議員数の推移:% |
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▼「オックスブリッジ」について言うと、前回(2017年)の選挙で当選した317人の保守党議員の約3分の1(108人)がオックスブリッジということになる。労働党は232人のうちの20%だから46人。下院サイトにはオックスフォード大学とケンブリッジ大学の内訳が出ていないけれど、むささびの想像では圧倒的にオックスフォード出身者の方が多いのでは?ついでと言っては何ですが、あるサイトによると、日本の場合、衆議院では定員475人のうち100人(約20%)、参議院では定員の約16%(38人)が東大出だそうです。
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5) どうでも英和辞書
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A-Zの総合索引はこちら |
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woke:目覚めている
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"woke"は"wake"(目覚める)という動詞の過去・過去分詞ですよね。10月30日付のBBCのサイトに
- Barack Obama challenges 'woke' culture オバマ前大眼統領が「目覚め」文化に挑戦
という見出しの記事が出ていました。最近、シカゴで行われたオバマ財団の集会で演説したバラク・オバマが若い聴衆に訴えたのは"The world
is messy."(世の中、汚いものなのだ)と訴えたのだそうです。何のこと?と思ったら記事は続けて
- I get a sense among certain young people on social media that the way of
making change is to be as judgemental as possible about other people.
とオバマさんが語ったと書いている。最近の若者たちは「変革する」(making change)ということを、他人について決めつけるような評価をすること・・・という意味ですよね。それが「目覚め文化」である、と?世の中で起きていることについて無関心ではないということらしい。だとしたら分かるな、むささびには。別の英語で言うと "social awarenes"ということになる。
"woke"自体は悪いことではないけれど、それが高じて自分と同じように考えないような人間を見下すような態度をとることは間違っている、とオバマは言いたいのでしょうね。ネット情報によると、今から4~5年前に"Black
lives matter"という黒人の人権運動が盛んであった頃に「意識が低い」と自分たちが見なす人間に対して"stay woke!"と呼びかけることが流行したのだそうです。オバマに言わせると「世の中、あんたらが言うほど甘くはない」(world
is messy)と忠告する必要があるってことでしょうね。
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6)むささびの鳴き声
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▼10月28日付の共同通信のサイトに『河野防衛相「私は雨男」と発言』という記事が出ていました。都内で開いた政治資金パーティーで、災害派遣された自衛隊員らの苦労をねぎらう話のイントロとして「私はよく地元で雨男と言われた。私が防衛相になってから既に台風は三つ」と発言、会場からは笑い声も起こったのだとか。共同通信の記事は「相次いだ台風や大雨で多数の死者が出ただけに、発言は軽率だとの批判を浴びる可能性がある」という言葉で結ばれていました。
▼実際には共同通信以外にも、似たような報道をした新聞やテレビがたくさんあったようです。「不謹慎との声が上がりそうだ」(朝日新聞)、「問題視される可能性もある」(時事通信)等々。共同通信の記事は佐賀新聞、西日本新聞、東京新聞などの地方紙によって幅広く使われています。そしてその翌日(10月29日)付の朝日新聞が「河野防衛相が『雨男』発言を謝罪」という見出しの記事を掲載しています。同様の記事はほぼどのメディアのサイトにも出ている。環境大臣の小泉進次郎氏などは、記者会見で「どんなことであっても被災地のみなさんが傷つくようなことは、厳に政治家として慎まなければいけないことだ」と語ったりしている。
▼で、最初に紹介した共同通信の記事に関するむささびの素朴なる疑問なのでありますが、河野大臣のコメントが「批判を浴びる可能性がある」なんてどうして分かるのでありましょうか?「出席者の一人が、批判を浴びる可能性があると語った」とでも言うのなら、素朴なる疑問も感じないのですが、いきなり「可能性がある」と言われると、「何を根拠にそう言うのですか?」と聞いてみたくなるよね。
▼ついでに小泉さんに言っておくと「被災地のみなさんが傷つくようなことは、厳に政治家として慎まなければいけない」なんて、今さら言うまでもないことです。特に「政治家として慎まなければいけない」という部分はくだらない(silly)と思います。もっとひどいのは自民党の二階俊博幹事長で「みなさんのご批判の対象になるようなことはできるだけ避けるように努力することが大事だ」と述べたと伝えられています。なぜこの発言がひどいものだと(むささびが)考えるのかについてはアホらしいので止めておきます。どのみち選挙でこの人たちに投票する気などないのだから。
▼「雨男」発言について河野さん自身は後日「撤回はしない」と語っているのだそうですね。これもどうでもいいことです。むささびが腹を立てるのは、政治メディアが「雨男云々」などということを記事にする割には、河野太郎氏が担当している「防衛」という事柄に直接関係することをきっちり書いていないのではないかということです。つまり災害復旧に使われるべきお金が、トランプが売り込むミサイル購入に充てられている(かもしれない)ということについて書いていないのではないかということです。さらには自民党政府でなければ違う税金の使い方をしたかもしれないということについても書いていない。その代わりに「雨男発言」なんてことを取り上げてキャンキャン騒いでいる。おかげで「政府」といえば「自民党」に決まっているという風潮が根付いてしまった。それが不愉快だっつうの。
▼雨男の河野太郎とは関係ないけれど、最近ではイングランドの北部が豪雨に襲われています。一日でひと月分の雨が降ってしまったロザラム(Rotherham)という町では付近の川があふれて救急隊が出動したりしています。 |
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▼お元気で! |
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