1)「幸せ追求」が不幸を生む?
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あなたはハワイへ行ったことあります?むささびは一回だけあります。多少暑いかもしれないけれど、湿気がないから過ごしやすい。だいいち極寒の冬という季節がない。一年中ハッピーなところなのかもしれないと羨ましくもなりました。「ハワイ化」(Hawaiianisation)現象なんて言葉は聞いたことあります?つい最近まで私は聞いたことがなかったけれど、いちおう「ハワイにいるようなハッピーな気分でないと気がすまない症状」とでも定義しておきます。Prospectという雑誌に出ていたエッセイによると
のだそうです。エッセイを書いたのはアンディ・マーチン(Andy Martin)というケンブリッジ大学でフランス語とフランス文化を教えている先生です。「患っている」(suffering)というからには「ハワイ化現象」は必ずしも人間にとって望ましい状態ではないということになる。
マーチン氏がハワイに行ったときに、心理学者で「欝(うつ)」の研究をしているというハワイ女性と話をする機会があった。マーチン氏がイングランドから来たと言うと「イングランドのご出身だなんて、ラッキーですねぇ!」と言うので「どおして?」と聞くとその女性心理学者は次のように答えたのだそうです。
- イングランドでは、あなたが惨めな状態であったとしても誰も気に留めませんよね。イングランドでは惨めが当たり前だということですよ。
Because in England you can be miserable and nobody minds. They expect you to be miserable over there.
確かにハワイに比べれば、イングランドではハッピー人間よりしかめっ面人間のほうが多いかもしれない。アロハの島、ハワイではみんなハッピーで鬱病にかかる人なんていないのでは?と質問すると、その欝学者は「ハワイにだって欝病の人はいるのですが、ハワイにはハワイなりの問題があるのですよ」と答える。
- ハワイの問題は、ここではハッピーであることが期待される(当たり前とされる)ような部分があるということです。そのような状況では鬱病状態の人は、単に「鬱」な気分であるだけでなく、鬱であることに罪悪感を持ってしまうということなのですよ。鬱と罪悪感の二重の苦しみというわけです。
The problem with Hawaii is that you are expected to be happy so that when you are depressed, you are not just depressed, you feel guilty about being depressed too, so you’re doubly screwed
しかもハワイはアメリカの一部です。金持ち(affluent)であることが期待される世の中です。となると鬱で罪悪感にさいなまれ、なおかつ貧乏人となるとまさに三重苦(triple trouble)ということになる。
ハワイの鬱学者との会話を通じてマーチン氏が思ったのは、「ハッピーでなければならない」心理はどこにでもあるのではないかということ。鬱の広がりは人間が「幸福中毒症」(addiction
to happiness)に罹っていることの表れなのではないかということだった。最近のイングランドでは、有名なスポーツ選手が実は精神的に欝状態であったことを告白して話題になることが多い。そこでこの際、なぜ自分たちが惨めに感じるのかを理解することによって、過度な惨め感から解放されるということがあるかもしれない・・・というのがアンディ・マーチンがこのエッセイを書いた理由です。
- 気分が悪いということについて気分よく感じるということ。別の言い方をすると、自分が(人生に)失敗した人間であると考えてしまうことから脱出するためには、「失敗」についてしっかりした哲学が必要なのである。
We can feel good about feeling bad. In other words, we need a decent philosophy of failure to save everyone from thinking what failures they are.
とイングランド人のマーチンは考えたというわけです。
心理学者のフロイトは、『文化への不満』(Civilization and its Discontents)という著書の中で、人間が惨め感覚を持つには理由が3つあると言っているのだそうですが、そのどれもに共通しているのは「期待していたことへの失望感」(disappointed
expectations)であるとのことであります。フロイトにとっての「幸福の敵」(enemies of happiness)は
- 宗教。特に天国があるなどという考えを広めているキリスト教
- 18世紀におけるヨーロッパ各国の大航海。あたかも地上に天国があるかのような非現実的な期待感をふりまいた。
- そして心理分析(psychoanalysis)などという学問そのもの。何でも治癒可能という幻想を与えてしまったということ。
だった。
アンディ・マーチンによると、この世で幸福になれるなどという発想が出てくるのは18世紀(1700年代)後半以後のこと。それまではというと、幸せというものは人間が平和な状態で墓に入った時点で達成されるものであるというのが一般的な考え方だった。「天国というものはダンテの著書の中だけの話にすぎなかった」(Paradiso
was strictly for the pages of Dante)ということ。イタリアの詩人・哲学者のダンテが『神曲』という長編叙事詩を書き始めたのが1307年、Inferno(地獄篇)、Purgatorio(煉獄篇)ときて、Paradiso(天国篇)を書き始めたのが1316年頃と推定されるのだそうですが、それはあくまでも「詩」の世界の話であり、実際の世の中においては、人生は「悲しいことだらけ」(vale
of tears)という考え方こそが一般的だった。
それが18世紀も半ばを過ぎる頃に英国人のキャプテン・クック(Captain James Cook)とかフランス人のブーガンヴィル(Louis-Antoine de Bougainville)のような探検家が大航海に乗り出すようになって変わり始めた。
ブーガンヴィルが1771年に出版したに『世界周航記』(Voyage autour du monde)という書物がタヒチの人びとののんびりした生活をヨーロッパに伝えて大人気となった。アンディ・マーチンによると、『世界周航記』を読む限りにおいて、ブーガンヴィルによる大航海の目的は新世界の発見とかフランス帝国主義の拡張などではなくて「幸福の追求」(pursuit of happiness)にあったのであり、タヒチにおいてついにそれが見つかったと示唆している部分もある。この人に最も強烈な印象を与えたのは、タヒチ人の「あくせく働かない」(don’t have to work too hard)というライフスタイルだった。またブーガンヴィルのあとからタヒチに到着したキャプテン・クックの探検隊員たちもタヒチ人がサーフィンを楽しんでいる様子に強烈な印象を受け、サーフィンこそは「最も崇高なる楽しみ」(the most supreme pleasure)と表現している。
ブーガンヴィルやクックのような探検家が南半球から持ち帰った「幸福な生活」に関する見聞録は、当時の北半球(ヨ-ロッパ)の思想家たちに大きな影響を与える。この世に「幸福」などというものが実在するのか!というショックですな。フロイトもその一人で、彼は人間の精神構造をイド(id)と自我(ego)に分けて観察している。イドは快楽原理(pleasure
principle)に基づいて、本能のままに「今すぐあれがしたい」「これがしたい」という欲求を出して満足を求めるものであり、自我は本能的な欲求を現実にあった形にする役割や、その欲求をかなえるために必要なプランを立てるなどといった準備行動を作り上げる。こちらは現実原理(reality
principle)に基づいている。
アンディ・マーチンによると、フロイトの世界は「自我がイドの上にあって支配している」世界なのだそうです。理性が本能を支配するということです。探検家たちが持ち帰った「南の島の快楽生活」見聞録ですが、そのまま北半球のインテリたちに受け入れられるということはなかった。
アンディ・マーチンは、他にも南半球風快楽主義に異を唱えた人物を挙げており、例えばアルベール・カミユという人は『シジフォスの神話』というエッセイの中で、大きな岩を山頂まで運ぶけれど、運び終えたその瞬間に岩は転がり落ちてしまう・・・それでもまた同じ動作を繰り返す人物(シジフォス)を描きながら、最後の行でそのような生き方こそが幸せなのだと読者に語りかける、と言っている。カミユのライバルと言われたジャン・ポール・サルトルは「物事は常にうまくいかないものだ」(everything always goes wrong:tout est voue a l’echec)と言っているのだそうであります。つまり・・・
- サッカーの選手だろうが、泳ぐことが好きな人であろうが、あるいはロック音楽に興じていようが、必ず何かがうまくいかないものなのだ。ヴォルテール(フランス人哲学者)からウィトゲンシュタイン(オーストリア人)にいたるまで、哲学というものは常に過度な楽観主義の風船を潰すことに意義があったのだ。
Whether you play football or go swimming or rock-rolling something always goes wrong. From Voltaire to Wittgenstein, the point of philosophy has been to pop the balloon of excessive optimism.
と言いたかったようなのであります。
▼むささびの見るところによると、「ハッピーでないヤツはダメ人間」という「幸せ中毒症」は、英国ではサッチャー革命あたりから顕著になっている。サッチャー流の「個人主義」(刻苦勉励しないヤツは世の中の落ちこぼれという発想)がもたらした病気のようなものですね。日本?小泉改革とかいう人がいるけれど、どうもむささびにはピンと来ない。でも、この種の病はある。それは間違いない。 |
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2)新聞王国のリーダーがつまずくと・・・
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ちょっと古いし、このむささびが出る頃には何がどうなっているのか分からないけれど、9月20日付のThe Economistに「日本の新聞界」(The press in Japan)という記事が出ています。題して
Gotchaという表現はむささびの記憶によると、フォークランド紛争のときに英国海軍がアルゼンチンの戦艦ベルグラーノを砲撃して沈めたことを大衆紙のThe Sunが第一面の見出しに使ったものだった。The Economistが日本の新聞について書いている記事でGotchaという場合、誰が何を「やったぁ!」と言っているのかよくわからないけれど、記事の中身からするとやられた側が朝日新聞であることは察しがつきます。
むささびジャーナルでも触れたことですが、福島原発の事故にからむ「吉田調書」についての報道、いわゆる従軍慰安婦に関連する「誤報」の2件については、社長が謝罪の記者会見をやったりしたわけですよね。それらに追加して、任天堂の社長との「インタビュー」というのが実は同社のホームページから引用したものだったことが分かって謝罪記事を掲載したというものですよね。
ジャーナリズムの世界の教えに「同じことが3回あると、ストーリーとしてホンモノになる」(three examples make a credible story)というのがあるそうで、こうも過ちを繰り返すと朝日新聞がダメ新聞であるということが裏付けられることになってしまうというわけで、「現在、評判を維持・回復するための戦いを続けている」(battling for its reputation)。そして
- 日本でも体制的な日刊紙の中でも、最も影響力がある新聞の朝日新聞が、将来において弱腰になってしまうのではないかということが懸念される。
The fear is that the Asahi, the most forceful of Japan’s establishment-minded big dailies, will in future pull its punches.
と書いている。
そしてThe Economistの記事は、先日(9月11日)の朝日新聞社長の謝罪記者会見にいたるまでの諸々を説明している。朝日新聞のドジに大喜びなのが読売新聞で、慰安婦問題で誤報をやった朝日から読売に乗り換えましょうと呼びかけ、新聞購読申込のためのホットラインを刷り込んだチラシまで配布しているのだそうですね。
- 朝日新聞の失態は、新聞に対する信頼が極めて強いという意味では最後の砦の一つともいえる国で起こっていることなのだ。日本人は地方役人、裁判所、警察などよりも新聞を信用している。インターネット時代のいまでさえも主要新聞は読者に宅配される。東京大学の林香里氏は「日本人は新聞が国と社会に忠実に奉仕していると考えている」と主張している。そのことがメディアの体制に対する「へりくだり」的な姿勢を醸成する。
The Asahi’s transgressions come in a country that is one of the last remaining redoubts of trust in newspapers. Japanese place more confidence in papers than in local officials, the courts or the police. Even in the internet age, the main papers are still delivered to readers’ letterboxes. Kaori Hayashi of the University of Tokyo argues that the public thinks of newspapers as loyally serving nation and society. It fosters media subservience to the establishment.
▼この文章の最後の部分(It fosters media subservience to the establishment...メディアの体制に対する「へりくだり」的な・・・)が林さんの発言の続きなのか、The Economistの記者の見方なのかはっきりしない(と思う)けれど、普通には後者ととられるような書き方ではある。 |
ただ、The Economistによると、朝日新聞は「他紙よりは勇気がある」(bolder than other papers)とのことであります。その根拠として挙げられているのは政治家によるスキャンダルをどこよりも数多く手がけているということ、そしていわゆる「記者クラブ制度におとなしく従っていない」(slavishly
adhered the system of kisha, or reporters’, clubs)ことを挙げている。日本の記者クラブの制度は、自分たちが承認した会員以外には役所などへのアクセスを制限しているものであり、最近の例として、宮内庁が「昭和天皇実録」へのアクセスを宮内庁記者クラブにのみ許したことを挙げている。
- 従軍慰安婦報道であれ、福島原発についての報道であれ、朝日新聞は記者クラブを頼りにしたわけではなかった。
Neither the Asahi’s comfort-women stories nor its Fukushima coverage drew upon the kisha clubs.
「朝日新聞はこれからもっと臆病になるかもしれない」(The Asahi Shimbun may now grow more timid)として、従軍慰安婦報道における誤りを認めるのに延々と時間がかかったのは、それを書いた記者たちが社内において上のランクになり権力をふるってしまったことが原因であるり、「典型的な日本の企業・官僚の階級社会における自己保身」(a typical Japanese corporate or government hierarchy concerned with its own preservation)の例であると言っています。
- 記者たちも結局のところ小役人と大して変わらないということだ。
Reporters are not so unlike functionaries after all.
というのがThe Economistの記事の最後の一行です。
▼朝日新聞の「吉田調書」と「従軍慰安婦」報道を日本の記者クラブ制度との関連で語るのは初めて聞きますね。この見方が合っているかどうかはともかく、この二つの「スクープ」が「横並び・どれも同じ」という日本の新聞のやり方とどこか決定的に異なっているような気がしないでもない。「どれを読んでも大して変わらない」という日本の新聞の性格を形作るうえで、記者クラブという存在が一定の役割を果たしているということもあるのでしょうね。もう一つ。噂によると、週刊誌は全部、朝日叩きの企画をやっているのだそうですね。もちろん朝日新聞のライバル新聞も。それを聞くと、日本の新聞の世界で朝日新聞という存在がいかに大きかったかとしみじみ思いますね。でないと、そこまで袋叩きにはならないもんな。
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3)ベルファストの憎悪犯罪
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BBCのRadio 4という放送局が最近放送したドキュメンタリーが「北アイルランドにおける憎悪犯罪(hate crime)が増加している」と伝えています。「憎悪犯罪」というのは主に人種の違いを理由に相手に暴力をふるったり嫌がらせをしたりする犯罪のことですよね。ヘイトスピーチというのも基本的には同じで、世の中に不満を抱いている人たちがそれを他の人種や民族の人びとをやっつけることで憂さ晴らしをするという、あれです。悲しいかな日本でもこの手のおふざけをやるレベルの低い人たちがいて、おかげで普通の人がいい迷惑を被っていると思うのですが、北アイルランドにもそれがあるというのが意外でした。
まずは北アイルランドについておさらいをしておくと、英本国からは船か飛行機で行くしかないのですが、ロンドンから首都ベルファストまでは飛行機で1時間強、リバプールからベルファストまでは船で8時間。北アイルランドの面積は1万4000平方キロでざっと福島県と同じ。全体の人口は約180万、ベルファスト(面積は神戸市の約4分の1)の人口は約48万です。
いまから100年ほど前までは、いまのアイルランドは英国(UK)の一部だったけれど、1921年にアイルランドが独立した。その際に北部のプロテスタントの住民があくまでも英国に残ることを主張、結果としてはこれが認められて現在に至っている。北アイルランドを語るときに必ず出てくるのがロイヤリスト(loyalist)とユニオニスト(unionist)そしてナショナリスト(nationalist)とリパブリカン(republican)という言葉です。最初の二つは英国との連合状態を希望する人たちであり、あとの二つは反対にアイルランドへの復帰を望む人たちのことです。前者の多くがプロテスタント、後者は主にカソリック教徒です当然ながら両者の間にはいまだに感情的な対立も激しく、ベルファストなどではそれぞれ違う区域に暮らしたりしている。
ただ・・・北アイルランドといえばこの二者の対立・抗争が話題になるけれど、その陰に隠れて黒人やアジア系移民らに対する嫌がらせは相当に頻発しているのだそうです。どのような嫌がらせがあるのかというと、あるジャマイカからの移民女性の場合、3年ほど前に移民としてやってきて、ベルファスト郊外の公営住宅に住み始めたところ、自宅の外壁に「黒人は出て行け」(Blacks out)といたずら書きされ、さらに自宅の窓に空き瓶やレンガをぶつけて破壊するというようなことが起こり始めて引越しを余儀なくされた。この人は「移民」とはいえ公認会計士という資格もあるような人で、それなりの職業に就き収入もある。
2011年の人口調査によると、北アイルランドで暮らす、黒人、アジア人、東洋人などの「少数人種」(ethnic minority)の数は3万2400人、全人口の1.8%だった。この数字は10年前の0.8%に比べると倍以上ということになる。
北アイルランド警察によると、昨年(2013年)7月から今年6月までの1年間で人種問題にからむ事件(incidents)が前年比で36%、件数でいうと830件から1132件へと増えている。また人種差別犯罪(racist
crimes)は525件から796件へと上昇している。ほとんどが首都ベルファストもしくはその近郊でのことです。北アイルランド警察では人種差別にからむ犯罪防止のための電話ホットラインを設けている。
警察によると、ベルファストの憎悪犯罪はほとんどが「ロイヤリスト」が多く住むエリアで起こっている。ここには旗屋があるのですが、最近売れるのがアメリカの超白人優越主義者の団体であるKu Klux Klanとかナチの旗なのだそうです。警察ではこれも憎悪犯罪に繋がる傾向として警戒している。
なぜロイヤリストの住む地域で民族主義的な憎悪犯罪が多いのか?彼らはアイルランド全体から見ると明らかに少数派であり、ブレア政権時代の1998年に英国とアイルランド共和国の間で結ばれたGood Friday Agreementという和平合意の結果、現在の北アイルランドが存在する、いわば二国間の妥協点として生まれたような部分がある。ロイヤリストの間には常に自分たちが除け者にされているという意識があり、それが嵩じて移民に対する敵対心もそこに原因があるのではないかという人もいる。
ただ、ベルファストのクイーンズ大学で紛争問題を研究するピーター・シャーロー(Peter Shirlow)教授は、ロイヤリスト地区における「よそ者への拒否反応」(mentality towards outsiders)にはもう少し根が深いと言っている。
- このあたりは地元意識がきわめて強い。同じ家族が同じエリアで肩寄せあって暮らしているような部分がある。お母さんが6番地、娘は8番地、おばあちゃんは12番地で暮らしているというような感じだ。そういうエリアだからどうしても少数人種などは遅れてやってきたよそ者ということになる。
Local here is very local. We are probably still more family-based in where we live. You know, mother lives [in house] number six, daughter lives in number eight, granny lives in number 12. Clearly ethnic minorities came late.
北アイルランドの議会でただひとり白人以外の議員がいる。彼女は香港出身で、ロイヤリストとりパブリカンに二分されてしまった北アイルランドを一つにしようという「同盟党」(Alliance Party)という政党に所属している。その彼女によると、北アイルランド、特にベルファストにおける憎悪犯罪など今に始まったことではない。昔から非白人移民に対する差別はあった。それが目立たなかったのは、IRAのテロ活動を含めた武力闘争が盛んであったころはメディアが憎悪犯罪など取り上げることがなかったから。
実は人種差別は北アイルランドのどこにでもある。「よそ者」を対象にした嫌がらせや暴力沙汰はリパブリカン地区にだってあるというのは、東欧から移民してきたある女性。ただ暴力の被害にあった人間が仕返しを恐れて警察へ行くことをしたがらないだけなのだそうです。
この女性は北アイルランドを離れようと思っているのですが、その理由はコミュニティに溶け込むことができないということにある。いろいろな移民受入れ計画はあるけれど、個人レベルでの付き合いが極めて難しいとのことで
- 仕事のレベルではとても親密に付き合うのよ。でもそれを離れて自宅に呼ばれてお茶をやるなんてこと絶対にしない。私にとってはそのような交わりこそがいちばん大切なものなのに・・・。
You may work very closely with people on a professional level, but afterwards they won't even invite you home for tea. And that's something that I treasure the most.
▼白状すると、私、この話題はまったく見逃していました。北アイルランドというと、どうしても英国とアイルランドに挟まれた複雑な事情がある地域ではあるけれど、98年の和平以後はさしたる問題がないという印象を持ってしまっていた。
▼この記事、本当は日本における憎悪犯罪を考えるための参考になるかと思ったのですが、外国人排斥活動とか日本人を『国賊』呼ばわりして勤務先まで恐怖に追い込む、あの集団性のほうがはるかに悪質であると考えるようになりました。この手の人たちが出てきてしまったということに今の日本の病気があるということです。集団でないと何もできない、見方によっては可哀想な人たちということになるかもしれないけれど、とても同情などしていられない。
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恥ずかしながら、今さら・・・おさらい「北アイルランド」
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4)何のためのイラク空爆か?
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9月26日、英国下院で、イスラム国という「テロ集団」をアメリカが空爆していることについて英国もこれに加担すべくイラクにおける空爆に参加することを認める決議が採択された。賛成524:反対43という圧倒的多数による承認です。つまり新たなるイラク戦争への参加ということですが、9月25日付のGuardianにサイモン・ジェンキンズ(Simon Jenkins)というコラムニストが
というエッセイを寄稿しています。結論の部分から紹介すると:
- イスラムの戦争は英国には関係がない。戦争による犠牲者に対しては苦しみから解放するべくあらゆる方法で援助するだけの借りがあるの確かである。しかし彼らの政治を変革するために無能な我々がわざわざ手を貸す必要はない。それはアラブ人と近隣の国々の仕事である。英国兵や英国の納税者の仕事ではない。
Islam’s wars are not Britain’s business. We owe their human victims all the aid we can to relieve suffering. We do not owe them our incompetence in trying to recast their politics. That is a task for the Arabs and their neighbours, not for Britain’s soldiers and taxpayers.
要するにアラブのことはアラブにまかせろと言っている。
イラク空爆には歴史がある、とジェンキンズは指摘します。まずいまから26年前の1998年、クリントン大統領が、イラクが国連の武器査察団を受け入れないのはけしからんというので空爆したけれど、これは米国下院の承認なしで行われたものだった。覚えてます?モニカ・ルインスキーとクリントンとの不倫騒動のこと。98年の空爆は、あのスキャンダルのおかげで弾劾になるところだったクリントンがこれを回避するために行った目くらましであるという人もおりますよね。あの空爆でサダム・フセインの武器庫が破壊されたと言われたけれど、あとになってそれが事実でないと判明した。
それから2003年のトニー・ブレアはフセインのイラクが英国にとって「差し迫った脅威」(imminent threat )というわけでブッシュと一緒になってイラクを爆撃、おかげでイラクに自由と民主主義が確立されたことになっているけれど、「これも真実ではない」(another untruth)。防衛関係の研究機関であるロイヤル・ユナイテッド・サービス(Royal United Services Institute:RUSI)が行った調査では、2003年のイラク侵攻によって国際テロが減るどころかかえって増えてしまったとしている。
要するに前回(2003年)の空爆と今回のそれは何がどう違うというのか?イスラム国に対するヒステリックとしか思えない形容詞<「むかつく」(repulsive), 「集団虐殺的」(genocidal),「残虐」( atrocious),「怪物的」(monstrous),「筆舌に尽くしがたい」(unspeakable),「悪魔そのもの」( satanic)など>が並ぶ割には空爆によって何がどうなるのかについての説明が全く不十分であるというわけです。空爆だけでイスラム国に勝てるなどとは誰も思っていないけれど、では陸上軍の介入はどうかというと「問題外」(no question)と言っている。さらに英国政府はイスラム国との戦いはそれなりに遂行するけれど、イスラム国を共同の敵とするシリアのアサド政権やイランと手を組むということもしない。
この戦いに英国が勝ちたいのであれば、10年ほど前にブレアとブッシュがやったことをもう一度繰り返すという手もある、とジェンキンズは言います。今回の場合、イラク政府は英国軍の支援を大いに求めているだから、なりふり構わず地上軍だろうがなんだろうが動員して戦うこと。結果なんてどうでもいい(to hell with the consequences)。でもキャメロンはそれをやらない。なぜなのか?
- どう見てもこれは国内向けのジェスチャーとしか思えない。これからの新しいイラク戦争には戦略も戦術もない。これはショーであり、世界のひのき舞台で偉そうな顔をして歩くためのお守りのようなものだということだ。
It looks suspiciously as if this is all for domestic consumption. The new Iraq war has no strategy, not even tactics. It is a show, a token, a pretence of a strut on the world stage.
ジェンキンズによると、イスラム国という集団そのものが、遅かれ早かれ内部分裂を起こし始めることはアフガニスタンのタリバンを見ればわかる。それなのにキャメロンはこの集団を「英国の安全保障に対する脅威」(threat to Britain’s national security)であるとしている。この集団のテロ活動に参加した英国の若者が帰国してテロ活動に走るというわけですが、そうであったとしてもそれは英国内で警察が扱う問題でありイラクで彼らを爆撃する理由にはならない。
- 英国はかつてIRA(アイルランド共和国軍)のテロ活動という脅威をも生き延びたのだ。いま現在、イスラム過激派によって英国の存在そのものが危機に陥っているわけではない。そのような主張は実にアホらしい。キャメロンは自分自身の国を信頼していないということだ。
Britain survived a far greater menace from the IRA without crumbling. Its existence is not threatened by jihadism. The claim is ludicrous. Cameron must have no faith in his own country.
ジェンキンズは、アジアを挟んで東側が大いなる経済成長を遂げているのに、西側は極端に不安定な状態にあることについて、この現象を過去200年間にわたる西欧の帝国主義的な進出とお節介政策と関連付けて考えざるを得ないとしている。そして欧米によるさらなる介入政策が平和と和解(peace
and reconciliation)もたらすとはとても思えない・・・というわけで、いちばん最初に紹介した文章を結論にしています。
▼ジェンキンズは空爆反対の意見ですが、世論はどうなっているのかというと、下院の議決直前の世論調査ではイスラム国への空爆に賛成が57%・反対は24%とかなりの差で賛成の意見が多くなっています。約2か月前の8月中旬の時点では「賛成37%:反対36%」だったのですが、9月に入って英国人の殺害が伝えられたことが流れを変えてしまったようです。ただ冷静に考えると、ジェンキンズの言うとおりで、アメリカも9・11のリーダーだったオサマ・ビン・ラディン本人を殺害することはできたかもしれないけれど、テロそのものは全くなくなっていない、どころか増えている。
▼イラク空爆といえば思い出すのは2003年のあれですよね。ここをクリックすると、2003年3月19日におけるブレア首相の下院演説の動画を見ることができ、ここをクリックすると2014年9月16日のキャメロン首相のそれを見ることができます。ブレアのそれに比べるとキャメロンの演説は妙に淡々としている(と思う)。キャメロン演説については賛成524:反対43だったのですが、11年前のブレアの場合は賛成412:反対149と、結構反対意見が多かったのですね。尤も軍事介入といっても、ブレアが提案したのは全軍を動員するフルスケールの戦争だったので慎重意見がかなり強かったということですね。
▼9月16日の演説の中でキャメロンが次のように述べている部分があります。
- This is not 2003, but we must not use past mistakes as an excuse for inaction. (いまは2003年ではない。しかし我々は過去の過ちを(いま)何もしないことの言い訳に使うことは許されない)
▼ちょっと不思議な気がするのは、キャメロンのこの発言が英国内でなんの物議も呼ばないということです。現在の首相が、自分の2代前の首相のやったことを
"past mistakes"(過去の過ち) と言ってしまっているのに・・・。もちろんキャメロンは保守党の首相であり、ブレアは労働党なのだから、前者が後者のやったことを「失政」呼ばわりすることに不思議はない。ただ2003年のイラク戦争については圧倒的多数の保守党議員が賛成したのですよね。そのことを踏まえるとブレアの政策を「過ち」とすることは、これを支持した保守党の行動もpast
mistakesのうちに入るはずなのに・・・。 |
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5)香港:"lose-lose"状態のキャメロン首相
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10月2日付のWall Street Journal (WSJ) のサイトに "Cameron's Silence on Hong Kong"(キャメロンが香港について沈黙している)という記事が出ています。前日(10月1日)、バーミンガムで開かれた保守党大会におけるキャメロンの演説の中で香港の状況に関する言葉が全くなかったということを話題にしている。WSJによると、キャメロン演説ではイラク、アフガニスタン、イスラム国、EUなど外交問題にからむテーマもかなりカバーされていた。例えば次のようなくだりです。
- 歴史の中でも最も危機的な状況において、人々は我々の国旗(ユニオン・フラッグ)が翻るのを見てきた。そしてその旗が何のためにあるのかをみんなが知っていた。それは自由であり、正義であり、正しいことのために立ち上がるということであったのだ。
When people have seen our flag in some of the most desperate times in history, they have known what it stands for. Freedom. Justice. Standing up for what's right.
なのに「なぜキャメロン氏は、香港については正しいことのために立ち上がることがないのであろうか?」(Why isn't Mr. Cameron standing up for what's right when it comes to Hong Kong?)というのがWSJの疑問であるわけです。
WSJによると、香港で大デモがあり、ロンドンの中国大使館前では3000人もの人が集まって連帯集会を開いたにもかかわらず、キャメロンの口から香港のことが出たことはまったくなかった。
- 香港など語るに値しないという意味なのか?
Didn't they warrant at least a mention?
香港問題については、ニック・クレッグ副首相が、在英中国大使を呼んで英国政府が香港のデモ隊の側に立っている(we are on your side)と伝えるつもりである、と語ったそうなのですが、WSJは
- それは手始めということだ。英国政府はかつての植民地(香港)には、そのようなことどころではない借りがあるはずだ。
That's a start, but the British government owes its former colony far more than that.
として、1984年の共同宣言において、香港返還後は2047年までは、言論と集会の自由について現在の制度が維持されること、万一中国がこの義務に違反した場合は英国側にこれを遂行させる義務があることが決められているではないか、とWSJは主張しています。つまり現在の状況に沈黙することは英国側の義務違反ではないかと言っている。
これから中国政府の出方によっては天安門事件の再現という事態になりかねない。中国は外国からの批判に極めて敏感に反応するのだから、キャメロン首相はアメリカ、EU、国連などに対して香港の民主化を働きかけることによって、天安門事件の再現という事態が防がれることにもなると言っている。
一方、Guardianなどが伝えるところによると、ハンプシャーにある化学メーカーのChemring社が過去4年間で18万ポンド(約3000万円)相当の催涙ガスを香港の警備当局に輸出していたことを伝えている。この報道の出どころはBBCのDaily Politicsという番組なのですが、Chemring社に輸出許可を与えていたことについてハモンド外相は、あくまでも合法的な輸出であり、英国が輸出しなくても海外のどこかの企業がやっていたはずだ、と言っている。
▼何をやってもうまくいく状態のことを "win-win situation" と表現することがあるけれど、国際問題研究所(Chatam
House)のロデリック・ワイ(Roderic Wye)アジア問題担当によると、香港問題については、英国は“lose-lose situation"という状態なのだそうです。つまり何をやっても非難される状態ということです。デモ隊の側についた発言をすると、中国政府が「デモを煽った。内政干渉だ」と非難するであろうし、沈黙を続けるとデモ隊が「裏切りだ」と非難する。そしてデモ隊の非難には正当な根拠があるということです。 |
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6)どうでも英和辞書
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purr:ホッとする
purrという単語を研究社の辞書でひくと「(猫などが)気持ちよさそうにゴロゴロとのどを鳴らす」とか「〈自動車のエンジンなどが〉低い音を立てる」などという訳が出てくる。9月23日付のBBCのサイトによると
なのだそうであります。「スコットランドについての結果について女王が "purr" したとキャメロンが語った」ということですよね。スコットランドの独立が否決されたことについて女王が「(猫などが)気持ちよさそうにゴロゴロとのどを鳴らす」というのもおかしいけれど、要するに「ホッとしていた」ということではないかとむささびが勝手に考えた訳であるわけです。
日本のメディアでも報道されたかもしれないけれど、9月23日にニューヨークを訪問したキャメロン首相が元市長であるマイケル・ブルーンバーグ(Michael Bloomberg)のオフィスを訪問した際に、建物の中を二人で歩きながら例の国民投票のことが話題になった。で、キャメロンが言うのに、電話で女王に独立否決という結果を伝えたところ
とのことだった・・・と、この会話が取材中のテレビの音声として入ってしまい、これが英国メディアに大々的に取り上げられたというわけ。当然ながら首相のような人が女王との会話の内容を口外することは規則違反ですが、バッキンガム宮殿ではこの件についてはノーコメントだったそうです。
こういうことをカメラの前で喋るから「キャメロンは軽い」と思われたりするのかもしれない・・・というのはむささびのような物知らずの言うことで、キャメロンとしてはこのような「失言」を英国人に見てもらうことで、「あいつはいいヤツ」という印象を与えたかったのかも?そもそも女王の「投票は注意深く」なんて発言もひょっとするとやらせではないのかという記事も出ていました。
後日談ですが、Daily Mailのサイトによると、キャメロン首相の発言として「まことに申し訳ない」(extremely sorry)とのことで、バッキンガム宮殿に電話して謝罪すると言っていたとのことであります。まさかその際の女王との会話を公表するってことは、ないよね。Daily
Mailのサイトにはキャメロン発言について読者からの投稿がいろいろ掲載されていた。二つだけ紹介すると:
- I forgive you Dave. Just make sure you win in 2015.
赦してやるよ、デイビッド。とにかく来年の選挙には必ず勝つんだよ!
- He is an embarrassment to the country, an ignorant oaf !
あいつは国の恥だ。何も分かっていない、アホ野郎!
やっぱりただのアホだったのか、この人は・・・。
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7)むささびの鳴き声
▼The Economistが朝日新聞の問題を語っている記事の中に、読売新聞が朝日新聞の購読者に配布したというチラシのことが出ていましたよね。ネットを調べたらそのチラシの実物の写真が出ていました。The Economistではこのチラシが朝日の購読者の家庭に配布されたとなっているけれど、このネットでは「読売新聞を購読している世帯に折り込まれた」となっている。いずれにしても、「朝日が謝罪しないのは許せない」とか「読売はこれからも正しい報道を続けてほしい」などという「読者の声」がわんさか載せられ、下の方に「読売新聞ご購読のお申し込みは」というので電話番号が掲載されている。でも、こんなチラシ見て、「そうだ、読売にしよう!」なんて人、います?読売の販売担当はそのように考えているのですよね。新聞の読者もなめられたものであります。私はとっくに新聞読者であることをやめてしまったけれど・・・。
▼このチラシには合計17人の読売の読者(もちろん匿名)のコメントが印刷されているのですが、年齢が記入してあって、それを数えたら70代が3人、60代:9人、50代:3人、40代:2人だった。The
Economistの記事は、東大の林香里という先生の言葉として「日本人は新聞が国と社会に忠実に奉仕していると考えている」というのを紹介しているけれど、どのような年代の日本人がそのように考えているのか?読売新聞のチラシにコメントを寄せた読者がたまたまこのような年齢であったというだけで、実際にはあらゆる年齢層の日本人が新聞(朝日新聞も含む)を信頼しているということなのか?
▼もう一つ、The Economistの記事の中でむささびが「おやっ?」と思ったのは、朝日新聞の発行部数が720万、読売新聞の部数が920万と書かれていることです。私などのアタマでは読売は1000万、朝日は800万というのが決まった数字だったけれど、The
Economistのいう数字が正しいとすると、両方ともいつの間にか80万部も減っている。読売も必死で「誤報の朝日を止めて正しい読売に変えましょう!」と呼びかけているわけですね。
▼もう昔の話のようになってしまったスコットランドの独立否決ですが、ちらっと紹介したラーメン・温泉大好きスコットランド人からメールがあり、彼が独立賛成に入れた大きな理由として、UKと一緒にいると「違法かつ愚かなる外国の戦争」に関わるようになること、スコットランドに配備されている核兵器をいつまでも除去できなくなることなどを挙げています。もちろん独立運動がこれで終わりではないことも強調しています。
▼今年で新幹線が50才ですよね。英国でも結構この話題が取り上げられております。Daily Mailなどは大きな写真とともに報道しているのですが、私、個人的に残念な気がしないでもないのは、エリザベス女王が1975年に国賓として来日したときに名古屋から東京まで新幹線に乗ったということに触れた記事がゼロであったこと。ほぼ40年も前のことなのですね。本当は東京から京都まで乗るつもりであったのですが、国鉄のストにかち合ってそれがかなわず、鳥羽からの帰路、名古屋から乗車したのですね。女王が外国で公共の乗り物に乗るのは極めて珍しいと言われておりました。北イングランドのヨークに鉄道博物館(National Railway Museum)があるのですが、そこには実物の新幹線が展示されています。
▼北海道の夕張市立診療所で院長を勤めた森田洋之という人を知らなかったのは、むささびだけですか?たぶんそうでしょうね。ここをクリックすると彼の医療観が詳しく出ているのですが、イントロには次のように書かれている。
- 市の財政破綻により市立病院が無くなり、街から救急病院が消えた夕張市。高齢化率45%のなか悲惨な現実が待ち受けるかと思われたが、結果はその真逆だった。
死亡率、医療費、救急車の搬送回数、全てが下がった。
▼この町のあるお婆ちゃんは、具合が悪くなっても救急車を呼ばない。
- なぜか。だって、もう、命の終わりを受け入れてるんですね。救急車っていうのは、この命を助けてくれ、っていう叫びのもとに呼ばれるものです。あのお婆ちゃんは、助けてくれって思ってないんです。最後まで自分の家で生活したいって思ってるんです。
▼このトークは一読の価値があります。本当です。これから寒くなります。例によってダラダラ、クダクダ、失礼しました! |
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