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344号 2016/5/1
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美耶子の言い分 美耶子のK9研究 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
2016年も5月になってしまったのですね。熊本や大分がタイヘンな状態であるのとは裏腹に、埼玉県はまさに新緑の季節の到来です。上の写真、おそらく男の子がしっかりつかんでいるカメラはこの写真を撮った人物のものなのでしょうね。裸の男の子の緊張ぶりに思わず微笑まない人はいないのでは?ちょっとお尻に力が入りすぎている気がしないでもない!

目次
1)テロリストの人権
2)The Sunが伝えた「真実」
3)間もなくスコットランド議会選挙
4)大丈夫かなぁ・・・女王の誕生日記念昼食会
5)英国は行列の後ろに並ぶ・・・!?
6)鉄鋼産業の落日
7)どうでも英和辞書
8)むささびの鳴き声

1)テロリストの人権

2011年7月にノルウェーで起こった銃の乱射による大量殺害事件のことを憶えていますか?当時32才だったアンネシュ・ベーリング・ブレイビク(Anders Behring Breivik)という青年が起こしたもので、銃の乱射による犠牲者は69人だったけれど、この人はその直前にオスロにある政府庁舎を爆破して8人の犠牲者を出しているのだから合計77人を殺害したことになる。

そのブレイビクはその後21年の懲役刑を下されて服役中なのですが、4月20日付のBBCのサイトに出ていた記事によると、刑務所における扱いが欧州人権条約(European Convention on Human Rights:ECHR)に違反するというので不服を申し立てていたのが認められたとのことであります。彼が特に不服を訴えていたのが、ほぼ一日中(22時間~23時間)独房に閉じ込められ、他の服役者との接触を禁じられているということで、これがECHRが禁止している「拷問」にあたることが裁判で認められたということです。国側が4週間以内に控訴しないとこの判決が確定、ブレイビクが他の服役者と交わることが許されることになるのだそうです。

確かに欧州人権条約の英文版を見ると、第3条に "Prohibition of torture"(拷問の禁止)として
  • No one shall be subjected to torture or to inhuman or degrading treatment or punishment.
    何人と言えども拷問もしくは非人道的もしくは尊厳を傷つけられるような扱いや罰を受けてはならない。
と書いてあり、裁判長は判決の中で拷問禁止の原則は「テロリストや殺人者の扱いについても適用される」(This applies no matter what - also in the treatment of terrorists and killers)というわけで、一日中独房に閉じ込めて他者との接触を禁止することが拷問にあたると判断したわけです。

これがブレイビクが入れられている刑務所の独房。3つの部屋があり、炊事・洗濯も自分で出来るし、タイプライター、新聞、テレビから体操の器械やビデオゲームまであるのだそうです。。

あの銃乱射事件の現場に居合わせながら死を免れた人の中には、この判決について「驚きと怒りを覚える」(surprised, and then angry and upset)という人もいるし、被害者の家族支援を続けている活動家は「ちょっと失望した」(a little disappointed)というコメント発表している。またノルウェー人権問題研究所の関係者なども、刑務所での扱いが人権を蹂躙しているとは思えないとも言っている。ただ、むささびが紹介したいのは、あの事件の生存者の一人がBBC Radio 4の"Today"というニュース番組で語った言葉です。
  • (ブレイビク自身が他者の人間性を認めない犯罪を犯したことは事実であるけれど)だからと言って我々が彼の人権を認めないことが正しいとは限らない。それをしてしまうと、結局、我々は彼と同じ論理で動くことになってしまうと思うからだ。
    But that does not ever make it right for us to deny him the same thing. If we do that, we follow the same logic as him I think.
と主張している。BBCの記者が「テロリストに対して甘すぎる(naive)のでは?」と問いかけたのに対しては、およそ次のような趣旨の発言をしています。
  • これまで世界中でテロや暴力が起こり、独裁者が跋扈しているのは事実だが、にもかかわらずそのことについてまともな対策が打てていないのも事実だ。ブレイビクはノルウェー社会にとっては「敵」ではあるが、我々は自分たちの「敵」をどのように扱うかについて考えを改める時期に来ている。
  • ノルウェーは、自分たちの社会に害を及ぼすとされる人間をも人間扱いする国の見本(example)になれるかもしれない。そのようにして自分たちの人間性(humanity)を見せることで、我々が人間としてすべて平等であり、同じように価値のある存在(equally valuable)であることを示すことができる。それによって社会的な脅威とされている人間と言えども、暴力に対抗するより強靭なコミュニティを作るための一部となることができるということを示すべきなのだ。
▼ブレイビクによるテロ事件が起きたとき、ジョー・ネスボーというノルウェーの作家がニューヨークタイムズに寄稿したエッセイの中で、ノルウェー人は「勇気を持ってこれまでどおりに振る舞うべきだ」と言って、次のように述べていたのを記憶しています。
  • 一方の頬を打たれたら、もう一方の頬を差し出して「あなたのやるのはたったそれだけか?」と問うことであり、我々が自分たちの社会を作ろうとする方法が恐怖によって制限を加えられるような事態を断固として拒否することなのである。
▼ブレイビクが77人もの人びとを殺害したのに対して「懲役21年」というのも随分と寛大な気がしないでもないけれど、では彼を死刑にすればその社会が安全・安心の社会になるのかというと、もちろんそんな保障はどこにもない。それを現実だと考えた場合、「一方の頬を打たれたら、もう一方の頬を差し出して・・・」という発想もそれなりに現実味を帯びてくると思いません?そんな国だからノルウェーには当然死刑はありません。ウィキペディアによると、ノルウェーでは1905年に死刑制度が廃止されたのだそうです(1945年に一度だけこれが復活したことがある。第二次世界大戦時にナチス・ドイツのノルウェー占領に協力してナチスの傀儡政権を作ったクヴィスリングという軍人・政治家がその人だった)。

▼むささびがオウム真理教の教祖といえども人権を尊重するべきだと確信をもって言えるか、自信は全くないけれ ど、BBCのラジオ・インタビューを紹介したいと思ったのは、ここ何年かの間に日本では「殺人事件の被害者感情 を尊重するべきだ」という趣旨の論調が受けているように思えるのが気になって仕方ないからです。理屈は非常に 分かりやすいけれど、「分かりやすい」ということと「まともだ」(日本という社会がより安全になることに役に立つ)ということは別問題ですよね。
むささびジャーナル関連記事
ノルウェーが抱える「平和のキズ」

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2)The Sunが伝えた「真実」
4月26日付の英国メディアのトップニュースは、どれも27年前に起こったある「冤罪事件」(miscarriage of justice)に関するものでありました。1989年4月15日、北イングランドの町、シェフィールドにあるヒルズバラ( Hillsborough)という名前のスタジアムでサッカーのFAカップの準決勝(リバプール対ノッティンガム)が行われ たのですが、観客がスタジアムへ入るにあたっての混乱で、リバプール・サポーターの観客96人が圧死するという 惨事が起こった。The Hillsborough Disasterと言われる事件です。


事故直後から警察の発表で、この惨事はリバプールからやって来たサポーターによる乱暴が原因で起こったものとされた。が、実はスタジアムの警備上のドジと警察の不手際によって起こったものであり、死亡したファンは警備担当と警察によって「不法に殺された」(unlawfully killed)ものだと陪審裁判で断定されたということです。つまりリバプール・サポーターは全くの濡れ衣を着せられていたというわけです。その意味では「冤罪事件」であるわけです。

The Hillsborough Disasterについては、ここをクリックするとBBCの日本語版で詳しく説明されているのを読むことができるし、ここをクリックすると、当日何が起こったのかについてBBCのビデオで実際に見ることができますが、事件後、犠牲者の家族が、死者まで出した惨事の原因が本当にリバプールからやって来た応援団による乱暴狼藉であったのかどうかを再度調査するように求めた裁判を起こしてこれまで戦ってきた。その結果、犠牲者の死因は警備上の不手際にあったのであり、リバプール・サポーターのせいではないという家族側の言い分が認められたというわけです。今回の陪審裁判の結果については、キャメロン首相までもがツイッターで
  • 真実を追求する長期間にわたる運動を行ってきた関係者に敬意を表する
    I would like to pay tribute to the extraordinary courage of #Hillsborough campaigners in their long search for the truth.
というコメントを発表したりして、単なるサッカーの世界の出来事ではなくなってしまっている。

ただ、この「冤罪事件」についてむささびが紹介したいのは、あの事件が大衆紙(と言われる)The Sunによってどのように報じられたのかということであり、それについてThe Sunがどのように対処したのかということです。


事件4日後の1989年4月19日付のThe Sunの第一面にでかでかとTHE TRUTH(真実)という見出しがおどった。「ヒルズバラ・スタジアム起こった大惨事の真実はこれだ!」というわけで、
  • Some fans picked pockets of victims
    ファンの中には犠牲者のポケットからモノを盗んだ者もいる
  • Some fans urinated on the brave cops
    勇敢なる警察官に小便をかけた者も
  • Some fans beat up PC giving kiss of life
    負傷者を救命するスタッフを殴るファンも
などと書き立てた。記事の本文は次のような書き出しになっていた。
  • 酔っぱらったリバプール・ファンが、無法にもスタジアムで救援作業にあたっていたスタッフに襲いかかった・・・ということが昨夜明らかになった。
    Drunken Liverpool fans viciously attacked rescue workers as they tried to revive victims of the Hillsborough soccer disaster, it was revealed last night.
そしてスタジアムで暴れまくったリバプールのファンの狼藉ぶりが事細かく報道されていた。リバプール・ファンやリバプール市民にとっては我慢できないような報道をされたわけで、市内ではThe Sunの不買運動まで起こるようになってしまった。


事件の真相究明を求める被害者家族の活動が延々と続く中で、事件から23年後の2012年9月13日付のThe Sunが "THE REAL TRUTH" という大見出しの記事を掲載した。「本当の真実」というわけですね。その前日に事件の究明委員会が、リバプール・ファンによる乱暴行為という事実はなく、事件の真相については警察(South Yorkshire Police)がもみ消しを図っているという趣旨の報告書を発表したのですが、The Sunの「本当の真実」という報道は、23年前の「真実」報道が誤りであったことを認める内容になっていた。
  • ヒルズバラ事件の本当の真実が昨日ついに明らかになった。96人の無実の命が奪われた悲劇から23年後である。
    THE real truth behind the Hillsborough disaster was finally revealed yesterday - 23 years after the tragedy claimed 96 innocent lives.
という書き出しの記事で、The Sunが23年前の報道について「深く恥じ入っており、実に申し訳ないと思っている」(deeply ashamed and profoundly sorry)という内容になっています。

2016年4月26日付のリバプール地元紙のLiverpool Echoの第一面。「嵐のあとに黄金の空が」という見出しでリバプール・ファンの無実の証明を謳っている。

それから4年後の2016年、リバプール・ファンの乱暴狼藉という説が完全に否定されてしまったわけです。今回の判決を伝える新聞各紙はいずれも第一面で大きく伝えていたのですが、なぜかマードック系のThe SunとThe Timesだけは一面トップという扱いではなく、中の面で報道していた。ちょっと可笑しかったのは、最初の版では第一面扱いにしなかったThe Timesが、あとになってやはり第一面で伝えるように方針を変えたという部分だった。

▼27年前の"THE TRUTH"という見出しの報道について、The Independentが、あの記事を書いたハリー・アーノルドという記者の証言を報道しています。それによると、あの日のリバプール・ファンの行動について彼が書いた記事では「~という噂がある」(allegations)というニュアンスであったのに、ケルビン・マッケンジーという編集長がこれらを「事実の報道」(statements of fact)というニュアンスに変えてしまった。書いた記者「これはダメだよ」(You can't do that)と抗議したけれど聞き入れてもらえなかったのだそうです。

▼今回の判決については国会でも取り上げられており、テレサ・メイ内務大臣が警察関係者の責任を追及する方針であることを明らかにしているのですが、ある労働党議員は「メディアと公職者との関係」(the media and public figures)のあり方についても追及されるべきだと主張しています。またジャーナリズムに関するブログには、The Sunほどひどくはないにしても、Sheffield Star, Daily Express, Daily Mail, The Mirrorのような新聞も警察の発表という形でリバプール・ファンの「行状」についての記事を掲載していたとのことであります。

▼むささびの読者ならご記憶かと思いますが、1980年代の英国では、いわゆる「サッカー・フーリガン」が暴れまわって顰蹙を買っていた。つまりThe Sunのこのような見出しも事実として受け止められる社会的な雰囲気がそろっていた。英国政府の統計によると1988年~89年のサッカー関連の逮捕者は6185人だったのですが、2007年~08年は3616人、2012年~13年には2456人という具合にかつてに比べると着実に減ってきている。それでも年間ざっと2500人もの逮捕者が出るのは、主として酔っぱらったファンによる行動が原因とされている。日本のサッカーやプロ野球では考えられないような話なのでは?

▼多少個人的な感情も含めて言うと、リバプールのファンは日本でいうとかつての「トラキチ」です。彼らにとって憎んでも憎み切れない相手と言えば、付近の大都会、マンチェスターのチームです。相手が「シティ」であれ「ユナイテッド」であれ、リバプールの町は負けるとしーんと静まり返ってしまうのだそうです。半世紀以上も前のむささびにとって、阪神タイガースは絶対的な憧れでありました。後楽園球場へ巨人との試合を見に行って、一塁側の観客席のキップしか手に入らないときは心細い思いで「ショート・吉田」や「サード・三宅」に拍手を贈っていて・・・止めます、これを話し始めるときりがない!

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3)間もなくスコットランド議会選挙


これまでにも何度か触れてきたけれど、来る5月5日にはロンドンの市長、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにおける議会議員の選挙が行われます。ロンドンの市長選挙は労働党のカーン候補が有利とされています。注目は3つの「地方議会」の選挙で、特にスコットランド議会議員選挙の行方は英国全体に与える影響という意味では大いに注目されています。まずはスコットランド議会そのものについて基本的な部分を確認しておきます。

労働党政権下における分権政策の結果、スコットランド議会が出来たのは1999年のこと。以来2003年、2007年、2011年と4年に一度選挙が行われ、今回で5回目です。全部で129議席を争うわけですが、現有議席で見ると、民族党、労働党、保守統一党、自民党、緑の党の順になっている。

で、どのような選挙結果が予想されるのかというと、民族党(SNP)がトップであることは揺るがないけれど、第二党がどこになるのかが問題です。おそらく労働党であろうと言われているけれど、それでも労働党はかなり議席を減らすのではないかと言われており、ひょっとすると保守党が第二党ということも考えられる。また自民党に代わって緑の党が第四党になる可能性は大きい。


次に選挙制度ですが、日本と非常に似ている。まずスコットランド全体を73の選挙区に分け、それぞれ一人ずつ議員が選ばれる。つまり小選挙区制(First Past the Post: FPTP)です。次にこれとは別に全国を56の「地域」(regions)に分け、1地域につき一人ずつ「追加議員」(Additional Members)が選ばれるのですが、これは比例代表制で、党が決めた候補者が各党の獲得票数に応じて選ばれる。つまり総議席の129は小選挙区(73)+比例代表(56)の合計というわけです。

第一党間違いなしのSNPで注目されるのは、スコットランド独立を選挙戦でどのように位置づけるのかということですが、発表されたマニフェストには「独立」について
  • SNPは常にスコットランドの独立を支持するが、この選挙はそれを問うものではない。
    The SNP will always support independence - but that is not what this election is about.
と書かれている。またSNPのニコラ・スタージョン党首は、マニフェストの発表会における演説で、SNPが政権の座にあり続けるであろうこれからの5年間で「二度目の独立に関する国民投票の実現に向けて訴えていく」(making the case for a second referendum)と言っている。すなわち「SNPの勝利=二度目の独立投票」ではないということです。ただ独立についてはSNPのみならず躍進が期待される「緑の党」もこれに賛成しており、SNPにとっては心強い味方になる。

▼むささびは現在、あるオンラインのグループに参加してスコットランドの選挙について語り合っているのですが、スコットランド人と思われる参加者の発言として、SNPが余りにも強くなりすぎることへの疑問が出されていました。その理由を聞いて「なるほど」と思いました。彼によると、いまのスコットランドの政治が「独立」というテーマでのみ議論が行われすぎているとのことです。教育・福祉・環境問題などなど、他にもいろいろと課題があるのに・・・。

▼その「独立」にしても、前回の国民投票では「55%:45%」という僅差とはいえ、独立反対の意見の方が多かったという事実は争えない。つまりSNPにしてもかなり用意周到に世論を形成していかないと再び独立否決ということになりかねない。ちなみにSNPは英国のEU離脱には反対の姿勢を明確にしており、スタ-ジョン党首は、もし6月23日の国民投票で離脱が決まった場合、スコットランドで独立の是非を問う二度目の国民投票を求める世論が盛り上がるだろうと言っています。
考えてみると英国という国の統治はタイヘンな仕事ですよね。英国がEUから離脱すると、スコットランドが英国から「離脱」しかねないのですから。

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4)大丈夫かなぁ・・・女王の誕生日記念昼食会

現在のエリザベス女王が生まれたのは1926年4月21日だから今年で90才。というわけで最近の英国メディアはそのことをお祝いする報道でいっぱいという感じです。英国女王の場合、実際の誕生日とは別に国内外でいわゆる "Queen's Birthday Party" が開かれるけれど、特に今年は英国全土でさまざまな催しが開かれるようです。その一つとされているのが6月12日にロンドンのバッキンガム宮殿近くの "The Mall" と呼ばれる通りを舞台にして開かれるバースデー・ランチ(誕生記念昼食会)。名前がThe Patron's Lunchという名前になっているのですが、プライベート・アイ(Private Eye) という雑誌に出ている "No such thing as a free lunch for Brenda"(ブレンダにただ飯はないのだ)という記事によると、これが女王の名前にキズがつきかねない「稀に見る広報上の大失敗」(rare PR disaster)に終わるかもしれないのだそうでありす。"Brenda"(ブレンダ)というのはこの雑誌がつけたエリザベス女王のニックネームです。

記事によると、この昼食会を取り仕切るのはエリザベス女王の孫にあたるピーター・フィリップス(Peter Phillips)で、オーストラリアに本社を置くSEL(Sports and Entertainment Limited)というPR会社のオーナーなのだそうです。昼食会には1万人のゲストが参加するのですが、チケット代がお一人様150ポンド(2万7000円)となっている。ただこの行事には小売業の大手、マークス&スペンサーのような有名企業もスポンサーとして関わっているだけでなく、BBCがこれを中継するという手筈まで整っている。そこまで準備されており、しかも「非営利」(non-profit)のはずのイベントのチケットがなぜ150ポンドもするのか?それが誰にも分からないというのが「稀に見る広報上の大失敗」が囁かれる理由です。

エリザベス女王の場合、2002年には戴冠50周年、2007年にはダイヤモンド婚を祝福するコンサートなどが開かれたけれど、どれも入場無料だったし、2006年の80才の誕生日もウィンザーの教会での礼拝に出席、その後道端で住民たちと握手をした程度だった。


記事によると、このイベントで得をするのはピーター・フィリップスとSELだけではない。実はチケット代は150ポンド+売上税(VAT)が加算されることになっており、当然のことながらVAT収入は政府の収入になる。英国のVATは価格の20%というのが普通。ということはチケット1枚につき30ポンドのVATが加算される。これが1万枚だから、合計30万ポンドの収入となる。この催しを取り仕切るフィリップスやSELが政府に対して売上税の免除を求めた形跡もなければ、政府(例えばキャメロン首相やオズボーン財務相)がこれをオファーしたという話もない。この種のイベントでは大体において売上税は免除されるのだそうで、それが全くないというのも不自然だということ。

で、昼食会そのものですが、肝心のエリザベス女王は特別に作られるロイヤル・ボックスに坐るけれど、大衆の前で「食べる」という行為はせず、事前に宮殿で軽食をおなかに入れてくるのが普通で、150ポンド払った参加者がサンドイッチなどを食している間もロイヤルボックスにいるだけ。しかも「それほど長い間はお付き合いしないはず」(she won’t be hanging around for too long)なのだそうです。なぜならその日の午後にはウィンザー城で女王杯馬術のポロの決勝戦が行われることになっており、女王の気持ちはそちらの方に飛んでいるはずというわけです。

▼このニュースを伝えるPrivate Eyeですが、隔週刊の風刺ニュースを中心にした雑誌です。日本でいう「週刊誌」という位置づけなのだろうと思うけれど、日本の週刊誌よりは少しだけおとなしいかも。それと日本の雑誌のようにポルノめいたヌード写真がわんさか載っているというようなこともない。いわば正統派風刺雑誌という感じですかね。創刊1961年というから、まだ60才にはなっていないのですね。でも発行部数が20万を超えているというのはさすがの存在感であります。

英国王室の公式サイトによると、誕生日の記念行事として次のようなものが書いてあります。
▼このうち最初のウィンザー城におけるパーティーも有料で、昨年の11月に2万5000枚の切符が売りに出されたのですが、ほぼ即日完売だったそうです。このパーティーと昼食会のサイトを見ると分かるのですが、それぞれのイベントにはスポンサー企業がロゴ入りで紹介されている。日本の皇室行事では考えられないことなのでは?こんなこと真似する必要は全くないけれど・・・。それとちょっと不思議なのは、王室の公式サイトには「昼食会」については「主催者に問い合せてくれ」という趣旨の一文が載っていること。見方によっては、王室もちょっと腰が引けているという気がしないでもない。Private Eyeのいわゆる「広報上の大失敗」というのはこのあたりを指しているのかも?

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5)英国は行列の後ろに並ぶ・・・!?
 

4月21日から24日までの日程でアメリカのオバマ大統領が英国を公式訪問したのですが、その間の発言の中でメディアが最も数多く見出しとして使ったのは、キャメロン首相との共同会見の中で言った次の言葉でしょうね。
  • UK is going to be in the back of the queue...
"queue" は「行列」です。つまり「英国は行列の後ろに並んでもらうことになる・・・」という意味です。英国で6月23日に予定されているEUへの残留の是非を問う国民投票に関連して英国の記者が、
  • もし英国がEUを離脱することになったら、どうなると思いますか?正直にお答えください
  • Truthfully, what happens if the UK does decide in June to leave the European Union?
という質問をしたのに対して大統領が答えた中に入っていたものです。意味としては、アメリカがヨーロッパの国々と貿易協定などを結んだりする場合、EUという大貿易圏と結ぶことを優先することになるだろうから、EU圏外の個々の国との交渉はどうしても後回しにならざるを得ないということだった。

オバマ大統領は、公式日程が始まる4月22日のDaily Telegraphに「英国はEUに加盟していることで、より大国でいられるのだ」(As your friend, let me say that the EU makes Britain even greater)という趣旨のエッセイを寄稿したりして、離脱派からは「英国の問題に口を挟むな」として反発を買っていた。そこへこの発言だから、どのメディアも飛びついてしまったというわけです。オバマとキャメロンの会見は、ここをクリックすると動画が、ここをクリックすると文字起こしが出ています。「行列の後ろ・・・」発言はその中のわずか数文字という短い発言であったのですが、今や英国を二分しているような話題だけに大きく取り上げられてしまったというわけです。


実は大統領がこの発言をする前に、EU離脱派のリーダー格ともいえるボリス・ジョンソン・ロンドン市長がThe Sunに寄稿「英国とアメリカは英国がEUを離れた方が良き友人同士でいられますよ、オバマさん」(UK and America can be better friends than ever Mr Obama... if we LEAVE the EU)と訴えたりしていた。ボリス・ジョンソンは、この寄稿文の中でオバマが大統領に就任した際に、ホワイトハウスに飾られていたウィンストン・チャーチルの胸像を移動したことに触れ、オバマの祖先は英国の植民地だったケニア出身だから、チャーチルや英国が嫌いなのだという趣旨のことを述べたりしていた。

普通の英国人は、オバマが英国とEUの問題について干渉するかのような意見を述べたことについて、「不適切」という意見が多かったのですが、英国がEUから離れても英米の「特別関係」に変化はないという意見が最も多いようであります。



▼キャメロン+オバマの記者会見の文字起こしを読みながら、むささびが「あれっ?」と思った個所があります。会見は、キャメロン、オバマの順で発言し、続いて記者からの質問に移った。最初は英国のITVの記者で上に紹介した発言を引き出したのですが、二番目が米ブルーンバーグ通信のジャスティン・シンクという記者が指名された。シンク記者はオバマさんに対して、EUへの移民問題やリビア情勢について質問しながら
  • もう一つ、大統領は日本訪問に際して広島へ行く予定はありますか?それと・・・
    I’m also wondering if maybe you could talk about whether you plan to go to Hiroshima when you visit Japan, and....


    とやり始めた。

▼それをオバマさんがさえぎって "Oh, come on, man. You’re really stretching it"(ちょっと、アンタは質問が多すぎるんだよな)とやった。結局、オバマさんは広島行きについては、「アジア関係の質問はアジアでやってくれ」でお終いにしてしまった。シンク記者の質問の「それと・・・」以下は、キャメロン首相に「ドナルド・トランプについてどう思うか」を問いかけるものだったのですが、これも「それはアメリカの選挙の問題だから」というので、まともには答えなかった。

▼オバマさんが英国におけるEU問題の国民投票に干渉するかのような発言を繰り返したことに離脱派(Brexit)の皆さんは怒り心頭という感じで「アメリカはメキシコからの移民を無制限に受け入れることもしないし、自分たちの国境線は断固として守ろうとするではないか。なのに英国にはEUに対して主権を放棄しろと言っている。ダブルスタンダードもいい加減にしろ」というものが多かった。

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6)鉄鋼産業の落日
 
最近の英国メディアで大きな話題となっているのが、鉄鋼産業のこれからのことです。ひょっとすると日本には伝わっていないかもしれないけれど、昨年あたりからこの分野における工場の閉鎖やリストラが相次いでおり、今年にはいってからもインド系の鉄鋼メーカーで英国内で最大と言われるタタ・スチールが従業員約1万5000人のうちの3000人の人員整理を発表しているし、タイ資本のSSIも北イングランドのRedcarにある工場を閉鎖、2200人が解雇されている。

英国というと19世紀初頭の「産業革命」(Industrial Revolution)を思い起こします。蒸気機関、紡織機、鉄道、造船・・・あらゆる産業分野で世界のトップを走っていたのですが、どの分野でも鉄や鋼は使われたわけで、日本が明治維新で開国してから7年後の1875年当時、英国は世界の銑鉄(pig iron)の47%、鋼(steel)の40%を生産する国であったわけです。尤もこの分野における世界一の座は、20年もするとアメリカやドイツに明け渡してしまうのですが、それでも英国が鉄鋼産業の中心であったことは事実です。それが21世紀のいまでは、中国の70分の1、日本の10分の1で、ヨーロッパの中でも独仏伊よりも低くなっています。



要するに英国内で鉄鋼を生産しても然るべき収益があがるほどには売れないということです。なぜか?業界関係者は英国のエネルギーコストが高いことや中国から輸入される安い鉄鋼との価格競争に勝てないことなどを理由に挙げている。BBCの記事によると、2008年のリーマンショック以来、鉄鋼に対する需要が世界的に低迷しており、価格下落は英国だけではないのだそうです。世界最大の生産国である中国が自国経済の足踏みで国内における鉄鋼の売り上げが停滞しており、メーカーが低価格で海外に輸出することに力を入れ始めた。

英国における中国からの鉄鋼輸入は、2013年の30万3000トンから2014年には68万7000トンにまで増加している。英国はEU諸国からも年間470万トンの鉄鋼を輸入しているのですが、価格がかなり違う。EU諸国からのものはトン当たり約900ユーロなのに中国からのものは約600ユーロという具合です。これに対して英国も含めたEUが中国に対して不当に価格を低くしているとして反ダンピング課税などの手段を講じているのですが、事情が急に好転するとも思えない。生産規模が違いすぎるのだから。



それにしても鉄鋼産業の不振がなぜ今ごろ問題になるのか?鉄鋼産業における雇用件数は約1万8000人、英国人が働く職場(3100万件)の1700分の1にすぎないわけです。そんな産業の不振がなぜこれほど問題になるのか?一つには「関連業界」(鉄鋼プロセス・鉄鋼販売・スクラップ販売など)への影響が大きいということが言われているけれど、どうやら英国の製造産業そのものへの影響を懸念するということが大きいようであります。「自前でモノを作る」という能力が失われることへの危機感です。

例えばかつて海軍提督を務め、今では英国議会の「国家安全戦略委員会」(Joint Committee on National Security Strategy)という組織のメンバーでもあるロード・ウェスは、鉄鋼産業は防衛のために必要な存在であると主張しています。英国の航空母艦建造に使われた鉄鋼の98%が英国製であることからもわかるとおり、防衛機器の生産を自前で行うためにも鉄鋼産業を潰すわけにはいかないと主張しています。中には鉄鋼産業の国営化を主張する意見も出ています。

戦後の英国の鉄鋼産業は国営化と民営化の間をシーソーのように揺さぶられてきています。
  • 1951年:労働党政権が国有化
  • 1953年:保守党政権がほぼ民営化
  • 1967年:労働党政権が再国有化
  • 1988年:保守党政権が再民営化
という具合です。1988年にBritish Steelという名前で民営化された鉄鋼企業は1999年にオランダ企業との間でコーラスという合弁会社を設立したのですが、2007年になってその会社がインド資本のタタによって買収されて現在に至っているというわけです。再度国有化すべしという声に対してキャメロン首相は「どのような選択肢も除外するつもりはないが、国有化がまともな答えであるとは思えない」(We are not ruling anything out. I don't believe nationalisation is the right answer)と言っています。

▼鉄鋼産業はこのグラフにある「第二次産業」に属するわけですよね。英国の場合、第二次産業の数字には建設業の8%、エネルギー関係の1%が含まれており、鉄鋼産業が含まれる「製造業」は9%です。日本の場合はこれが約17%ある。英国は1980年初頭からのサッチャー革命以後、圧倒的にサービス産業の国になっているのですが、ちょっと極端すぎるとも言われます。日本の場合は、どのみち英国が歩んできた道を追っているけれど、国際的な活動が中心のサービス産業は英国ほどにはなかなか発展することがない、と。
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7) どうでも英和辞書
  A-Zの総合索引はこちら 

CV:履歴書


"Curriculum Vitae"(カリキュラム・ヴィータイ)の略で、就職活動などで必ず使うあれ。自分を売り込むための書類だから、それまでの業績とか獲得した資格などを並べ立てるのが普通ですよね。然るに米プリンストン大学のヨハネス・ハウスホッファ助教授(心理学と公共政策)が、通常のCV以外に "CV of Failures"(失敗の履歴書)なるものを用意してツイッター上で公開している・・・ということがGuardianに出ていました。つまりこれまでに挑戦はしたけれどうまくいかなかった諸々をリストアップして説明しているわけです。例えば・・・
  • 2014年:ハーバード大学助教授の職に応募、失敗
  • 2010年:チューリッヒ大学研究生向け奨学金を得られず
  • 2008年:ストックホルム大学経済学博士課程に失敗
  • 2003年:ケンブリッジ大学医学部大学院に入れず
というぐあいです。これ以外に学術誌に応募して蹴られた論文、資金提供を受けようとして失敗した研究事業の例なども列挙されています。なんでまた「失敗の履歴書」なんて作るのか?ハウスホッファ助教授によると「物事を幅広く考えるため」(to give some perspective)なのだそうであります。

どういう意味?ハウスホッファ助教授によると、彼のこれまでを振り返ると、ほとんど何をやってもうまく行かないことだらけなのに、履歴書にはうまくいったことしか書かないから、あたかも自分が何をやってもうまくやれる人間のように見えてしまう。中にはうまくいかないことで自分を責めたりすることもある。

つまり・・・?世の中、テキトウ(stochastic)ものだってこと。履歴書を送るのはサイコロを振るのと同じってこと。相手だって気分のいい日と悪い日がある、たまたま悪い日に当たると、うまくいかないこともあるってこと・・・ということを自分にも他人にも言いたくて「失敗の履歴書」を作ったのだそうであります。

要するに少々うまくいかなくてもくよくよするなってことなのですが、この助教授の失敗歴を見ていると、彼の人となりを示す格好の情報になっていることが分かりますね。考えてみると「失敗の履歴」という発想は面白いと思いませんか?トライはしたけれどダメだったことのリストです。単にアタマの中で考えた「夢」ではなく、他者にそれを提案したり、お願いしたりした結果、拒否された事柄のコレクションは別の意味でのその人の「略歴」(世の中とのかかわりの歴史)なのですよね。「何が出来るか」ではなくて、「何をやろうとして失敗したか」を通してその人を見るという発想です。

ツイッター上でCV of Failuresを発表して以来、ハウスホッファ助教授はその世界ではタイヘンな話題になってしまっているのだそうで、自分のCV of Failuresの最後を
  • 2016年:この失敗の履歴書は私のあらゆる学術的な仕事よりも注目を浴びた。
と、「失敗を超えて」(Meta Failure)という情報で締めくくっています。
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8) むささびの鳴き声
▼Yahoo Newsのサイトを見ていたらジャーナリストの江川紹子さんによる「日本の『報道の自由』を考える~本当の問題はどこにあるのか」というエッセイが出ていました。むささびには非常に納得のいく内容であったので、まだお読みになっていない方はご一読をお勧めします。かなり長いものだったので、むささびの能力では要領よくポイントだけまとめることができません。一か所だけ抜き出して紹介します。

▼「国境なき記者団」というNGO(本部・パリ)が発表した「報道の自由ランキング」によると、日本の自由度は180ヵ国中、72位なのだそうです。ここをクリックすると、そのランキングというのが出ている。確かに日本は72位で、前後には香港(69位)、韓国(70位)、タンザニア(71位)、レソト(73位)、アルメニア(74位)、ニカラグア(75位)などの名前が出ています。ちなみにランキングのトップ3はフィンランド、オランダ、ノルウェー、ボトム3は(下から)エリトリア、北朝鮮、トルクメニスタンとなっている。江川さんによると、このランキングは「学ぶところがあまり感じられない」ものであり、「ランクの低さに衝撃を受ける必要もないのではないか」と言っている。

▼「国境なき記者団」によるランク付けはともかく、江川さんは彼女なりに、現在の日本において「報道の自由」がおかしくなっていると考えており「本当の問題はどこにあるのか」と問いかけている。彼女によると、日本のいたるところで「怒られることを避ける」という傾向が蔓延しており、メディアも含めて世の中全体が委縮しているように見えるというわけで、いくつか例を挙げています。一つはプロ野球選手だった清原が覚せい剤を所持していて逮捕されたことに関連して、阪神甲子園球場にある「甲子園歴史館」が、清原が高校時代に甲子園大会歴代最多の13本塁打を打ったバットなどを展示スペースから撤去したということ。江川さんが「歴史館」に事情を聞いたところ
  • 「展示を続けても、中止しても、きっと何か言われる。それなら、『後手に回った』と言われるより、たとえ過剰と言われても先手を打った方がよい、という判断です」

    と言われたのだそうです。
▼展示を続けることの善し悪しではなく「きっと何か言われる」ことへの警戒感というか恐怖心のようなものに駆られる形で物事を決めたということですよね。覚せい剤の問題とホームラン記録は別ものであり、現在の清原が何かの事情でクスリに手を出したとしても、かつて高校野球で13本ものホームランを打った男がいたのだということを展示するのは意味のあることだ・・・などとは考えなかった。考えたとしても「何か言われる」ことを避けることの方が大切だ、と。つまり「怒られることを避けた」ということですよね。

▼もう一つはNHK。江川さんによると「4月末をめどに公式ツイッターでの外部アカウントのフォローを外すと発表した」のだそうですね。ツイッターというのをやったことがないむささびには「外部アカウントのフォローを外す」というのが何のことなのか分からないのですが、江川さんの記事によると、NHK広報局の初代ツイッター担当者を務めた浅生鴨という人は、あるネットメディアとのインタビューで次のように語っているのだそうです。
  • NHKに限らず、日本全体が怒られることを避けている。若い国は冒険をしてどんどん踏み外していく人たちがいるのでしょうが、国として年をとっているのだろうという印象があります。間違わないんだ、ということに固執している。間違うことが許せない、回りも許さない、そういう傾向にある。やり直せる社会にならないと、萎縮しちゃう気がしますよね。
▼で、江川さんは、日本における「報道の自由」の問題を「怒られることを避けようとする風潮」との関連で考えてもいいのではないかと言っているわけです。安倍政権によるメディアへの弾圧を糾弾するのもいいけれど、誰から強制されたわけでもないのに「きっと何か言われる」ことへの警戒心で「委縮」しているのだとしたら、そこから自分を解放するのは自分自身でしかない。このように考えていくと、「報道の自由ランキング」ではなく、それぞれの国の普通の人びとの「自由度ランキング」のようなものを作ってみたくなりますね。あるいは「委縮度ランキング」(International Cowardice Ranking)とか。

▼ところで「国境なき記者団」によるランキングですが、日本に関する説明文の見出しが「"国家秘密"に手を出すな」(Don’t mess with “state secrets”)となっており、"国家秘密"の例として福島の原発事故、皇室のプライバシー、国の防衛に関する情報となっています。第1位のフィンランドは「最優等生」(Top of the class)5年連続で首位を占めているのですね。第2位のオランダでは報道の自由は「聖なる自由」(Sacred freedom)であり、第3位のノルウェーは報道の自由については「ほとんど完璧」(Almost flawless)となっています。この種のランキングというとなぜか北ヨーロッパの国が上位を独占しますよね。そして日本のメディアではほぼ必ずと言っていいほど「北欧を見習え」という意見が叫ばれる(と思う)けれど、あれ、どの程度マジメに言っているのですかね。あまりにも社会的な事情が違いすぎて見習いようがない部分もあると思うけど・・・。
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