musasabi journal

2003 2004 2005 2006 2007 2008
2009 2010 2011 2012 2013 2014
 2015 2016 2017  2018 2019   
440号 2020/1/5
home backnumbers uk watch finland watch green alliance
BREXIT 美耶子の言い分 美耶子のK9研究 むささびの鳴き声 どうでも英和辞書
あけましておめでとうございます。2020年最初のむささびです。よく続くものだ、と我ながら呆れるやら感心するやらです。文字どおり道楽でやっているのですが、この道楽の問題点は相手(読者)が必要だということであります。お付き合いを頂いている皆さまには心より感謝いたします。いつまで続くものなのか、見当もつきません。それまで適当にお付き合い頂ければ本当にありがたいです。

目次

1)トランプの「本能外交」
2)ゴーン氏、レバノン行きの報道ぶり
3)英国人の哀しい欧州懐疑論
4)認知症のノスタルジック対策
5)どうでも英和辞書
6)むささびの鳴き声


1)トランプの「本能外交

トランプ政権がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことについて、ドイツの週刊誌シュピーゲルの英文サイト(1月3日付)が「トランプの宣戦布告」(Trump's Declaration of War)という記事を掲載、戦争が不可避になる可能性もある(conflict could be inevitable)として、
  • It is the price for instinctual foreign policy devoid of experts. そのような事態は、専門家を抜きにした本能による外交政策が払わなければならない代償だ。
と言っています。記事を書いたのは、マキシミリアン・ポップ(Maximilian Popp)という中東問題担当のシュピーゲルの記者です。


むささびは知らなかったのですが、(この記事によると)12月31日にイラクのバグダッドにあるアメリカ大使館をイスラム教シーア派の武装組織が襲撃、アメリカ大使が命拾いするという事件があったのですね。それに対抗するように1月2日、アメリカがバグダッドに向けてミサイル攻撃、その中でソレイマニ司令官が殺害された、と。

シュピーゲルの記事はまず、トランプの外交政策について、これまでのアメリカのやり方とは完全に縁を切っている(complete break with traditional U.S. foreign policy)と言っています。つまり国務省の外交専門家を排除するとともに、交渉、妥協、利害調整(weighing of interests)のような外交につきものの活動を全く無視しているというわけです。
  • トランプは自分のカリスマ性と想像力さえあれば問題は解決できると主張した。Trump claimed that he could solve conflicts purely with his charisma and his imagination.
 GoogleやFacebookのような企業を見ろ、彼らだって自分たちの力で世界を作り変えてきたではないか、外交だって同じだ・・・というわけです。が、国際政治の世界ではシリコンバレーのようには物事が進まない。トランプのやり方が失敗に終わっていることは誰の目にも明らか(obvious to all)ではないか、と筆者は言います。殺害されたソレイマニ司令官はイランでもナンバー2の重要人物とされており、彼を殺害することは宣戦布告にも等しい行為である、と。全く時期を同じくして、アジアでは北朝鮮の独裁者である金正恩による核実験が脅威となっている。イランも北朝鮮も、トランプが「解決」(containing)を約束していたはずなのに、今や世界で最も危険な脅威の原因となっているではないか、というわけです。


ソレイマニ殺害は「きまぐれトランプ」(Trump's capriciousness)を絵に描いたような行為である、と筆者は言います。方針転換を繰り返しながら脅しやサプライズ・アタックを繰り返す・・・そのやり方によってアメリカはイラク=イラン=シリア紛争の泥沼にはまり込んでしまった。

アメリカがトランプの指揮下においてイランとの核合意を破棄して以来、イランはトランプによる「最大の圧力」に呼応して、中東におけるアメリカの施設を攻撃するなどの行動をとってきている。そのように行動することでイラン側は、アメリカを交渉のテーブルに引っ張り出せると考えていた。が、現状を見ると、相互攻撃の繰り返しが「大惨事」(catastrophe)にまで発展する可能性を作り出してきたともいえる。ソレイマニ司令官のような人物を殺されてイランは黙っているわけにはいかない。
  • トランプは「戦争には興味がない」などと言っているが、彼の行動を見れば、正に戦争に向かって突き進んでいることは明らかではないか。Trump has said he isn't interested in war, but his course of action is heading toward exactly that.


今やアメリカとイランの関係こそが世界が直面する最大の危機となっているけれど、米朝関係も似たような状態であることに変わりはない。これらはいずれもトランプの外交政策の失敗の例であると言えるけれど、アメリカ政府およびヨーロッパの人びとが学ぶべき教訓もある。すなわち「あからさまな喧嘩腰」(blatant pugnacity)の態度は選挙キャンペーンには向いているかもしれないけれど、外交の世界とは無縁なものであるということです。
  • 外交政策には常に根気と危険がつきまとう。必要なのは忍耐力であり、謙虚さであり、妥協も辞さないという態度なのだ。 Foreign policy is both arduous and dangerous. It requires endurance, humility and a willingness to compromise.
オバマ前大統領によって達成されたイランとの核合意は、中東問題のすべてを解決したとは言えないかもしれないし、イランによる脅威が続いており、殺害された司令官はそのようなイランを代表する「危険人物」かもしれない。
  • にもかかわらず、イランとの問題を一つ一つ片づけようとしたオバマの姿勢は正しかったのだ。Nevertheless, Obama's attempt to break down the Iran problem into its component parts was the right approach.


大きな紛争の解決には「一歩一歩」(step-by-step)という姿勢が欠かせない。かっこよく一挙に解決などという事態はないものと考えるべきなのだ。そちらが核兵器開発を放棄する、我々は経済制裁を解除する・・・というやり方だ。ヨーロッパはこれからもこのやり方にこだわるべきなのだ。Europe should continue taking this approach.

外交の世界には勇猛かつ驚きに満ちたリーダーシップ(courageous, surprising foreign-policy initiatives)など全くあり得ない、と言っているのではない。ドイツのブラント首相(1969年~1974年)がソ連との間で追求した友好親善政策は、世界をより安全なところに変えることに成功した。しかしそれは慎重にも慎重を期して進めなければならなかったのであって、決して派手なものではなかった。
  • 外交は重い仕事なのだ。大いなる慎重さが要求される。それを有していない人間は、偶然によって戦争の引き金を引いてしまうことになるのだ。 Diplomacy is a serious undertaking. Those who don't approach it with the gravity it deserves risk triggering a war by accident.
というのが、マキシミリアン・ポップ記者の結びです。

▼BBCによると、英国のジョンソン首相はアメリカによるイラン攻撃について事前に知らされることはなかったとのこと。安倍首相はどうなのか?アメリカは英独仏の3か国に「理解」を求める連絡をしたけれど、それは事後のことだった。いずれにしてもジョンソンは苦しいのでは?2003年のイラク戦争の際、トニー・ブレア(首相)がブッシュ大統領と行動を共にして爆撃に加わったときのことを思い出します。あれがブレアの致命傷となってしまった。未だに彼の信用度は回復していない。

▼昨日(1月4日)テレビを見ていたら、トランプがアメリカの福音派キリスト教徒の集会で、自分の対イラン政策の正当性を訴えて拍手を浴びていた。この種の人びとは、キリスト教徒以外の邪悪なる宗教(特にイスラム教)は力ずくで撲滅させるべきだと信じ込んでいる。それからイランとの核合意を成立させたのがオバマ大統領であることも、トランプの心理に影響しているのでは?オバマのやることは何から何まで気に入らないというのが彼の姿勢だから。ひょっとすると、それもまた福音派の影響かもしれない。

back to top

2)ゴーン氏、レバノン行きの報じられ方


保釈中のカルロス・ゴーン・日産自動車前会長がレバノンへ渡航した件について、12月31日付のBBCのサイトが東京特派員による「カルロス・ゴーンと日本の人質司法制度」(Carlos Ghosn and Japan's 'hostage justice' system)という記事を掲載しています。記事を書いたのは、ルパート・ウィングフィールド=ヘイズ(Rupert Wingfield-Hayes)という東京特派員です。

筆者によると、日本に暮らしていると、本当に犯罪が殆ど起こらない国で暮らしているかのような錯覚に陥る。なぜ日本ではそれほど犯罪が少ないのか?単一民族文化の国(homogeneous culture)だから?所得格差が小さいから?完全終身雇用の国だから?いろいろと理由が語られるけれど、その一方で筆者の見るところによると、逮捕されることに恐怖を覚えている(terrified of being arrested)日本人はたくさんいる。


この特派員が日本の検察について奇妙な感覚を持った最初の事件は、Megumi Igarashi(五十嵐恵)というアーティストが「わいせつ物」を配布した罪で逮捕されたことだった。2014年のことで、Megumi Igarashiは「ろくでなし子」という名前で知られており、自らの女性器を型どりデコレーションしたアート作品の制作で知られる芸術家だった。(筆者によると)日本人のほとんどが彼女の「作品」を面白がって、彼女のことを「ワギナ・アーティスト」などと呼んで楽しんだりしていた。

が、検察当局は違った。彼女をわいせつ物陳列罪を理由に逮捕、3週間にわたって拘禁(incommunicado)した。「あんなアホらしいことで何故3週間も拘禁するのか?」(Why on Earth would they hold her for three weeks over something so silly?)という筆者の疑問に対する日本人の友人の答えは「それが可能だから」(Because they can)というものだった。つまり検察は何でも好きなようにできる力を持っているということです。

これが英国だったらどうだったか?英国で告訴なしに検察が拘禁できるのはテロの容疑者だけで、それも期間は最長で14日に決まっている。が、英国ではそれさえも「長すぎる」として問題視されているのだそうです。日本の場合、スリの場合でさえも23日間も拘禁できるのだそうですね。BBCの記事はMegumi Igarashi以外にも検察にいじめられた経験を有する政治家や社会運動家を紹介しています。ゴーン逮捕の問題に関連して、かつて政治資金規正法違反で検察の調べを受けたことがある石川知裕・前衆議院議員は検察の心理について
  • 東京地検は自分たちが正義の守り手(gatekeepers of justice)だと思い込んで仕事をしている。現在のような所得格差が激しい時代において、自分たちこそが金持ちをやっつける(nailed the rich)存在であることを国民に印象付けることを切望しているのだ。
とコメントしています。

 

一方、12月30日付のNew York Timesもこのニュースを大きく報道しているのですが、ゴーン氏が広報担当者(女性)を通じて発表した声明文を載せています。声明文自体はごく短いのですが、一語一句そのまま報道することで、この問題についてのゴーン氏側の言い分を伝えています。原文はフランス語のようなのですが、New York Timesが掲載した英文のものをそのまま紹介します。

私は今、レバノンにいる。もはや、自分を有罪と決めつけている日本の歪曲した司法制度の下でのとらわれの身ではなくなったのだ。そこでは差別が見境もなく蔓延し、基本的な人権が侵害され、日本自身が順守しなければならないはずの国際法や条約が全くもって軽んじられているのだ。

私は司法から逃れたのではない。不正と政治的な迫害から(自らを)解放したのだ。そして今、こうしてメディアと自由にやりとりできる身となったのであり、それを来週から始めるつもりでいる。
I am now in Lebanon and will no longer be held hostage by a rigged Japanese justice system where guilt is presumed, discrimination is rampant, and basic human rights are denied, in flagrant disregard of Japan’s legal obligations under international law and treaties it is bound to uphold.

I have not fled justice — I have escaped injustice and political persecution. I can now finally communicate freely with the media, and look forward to starting next week.

New York Timesは、検察がゴーン氏がその妻と何らかのコミュニケーションをとることを禁止、7か月間にわたって一切の会話も許されなかったことを紹介、検察が自宅の家宅捜査を行ったときの様子について「検察は自宅になだれ込んでくるや、自分の電話、パスポート、日記、彼女が獄中の夫に書いた手紙などを押収していった」という妻の証言を伝えています。

▼この件についてSNSに出ていたコメント(日本人)を一つだけ紹介します。
  • カネにものを言わせてのことかもしれませんし、彼自身が巨大資本で辣腕を振るったことの負の側面は厳然としてありますが、しかし、それでも、日本の排外主義的な司法と企業を出し抜き、その閉鎖的体質を世界に晒すことになった点については見事です。
▼もう一つ、ここをクリックすると、弁護士の郷原信郎さんによる『日本の刑事司法は、国際的な批判に耐えられるのか』というエッセイが出ています。

▼今後何がどうなるのかということについては、むささびには分かりっこないけれど、むささびにとってはっきりしているのは、ゴーンが会社のカネを何億円くすねようと、自分には関係ないということ。それは企業が社内問題として処理するべき話だということ。こんなことを検察に訴えた企業も企業だし、国家権力を盾に正義の味方のように振る舞う検察・警察は本当に気持ち悪い。これらの記事を読んだ人びとが日本に対して抱く印象は、現在の日本人が中国や韓国に対して描いているイメージと同じでしょうね。国家権力の行使も気持ち悪いけれど、それを受け容れる日本人の感覚はもっと気持ち悪い、と。

back to top

3)英国人の哀しい欧州懐疑論



ちょっと古い記事ですが、2016年3月12日付のThe Economistに
  • 欧州懐疑論のルーツ The roots of Euroscepticism
という見出しの記事が出ています。イントロは
  • なぜ英国人は他のEU加盟国のヨーロッパ人に比べると、EUに対して乗り気でないのか?Why Britons are warier than other Europeans of the EU
となっている。この記事はEU加盟継続の是非を問う国民投票(2016年6月23日)の約3か月前に掲載されたものです。国民投票ではEU離脱派(BREXIT)が勝利、そしていまEU離脱が実現されようとしているわけですが、この記事は、英国人のヨーロッパに対する複雑な心理を解説しようとするものです。


欧州合衆国を作れ

第二次大戦が終わったばかりの1946年、英国人であるウィンストン・チャーチルがスイスのチューリッヒ大学で講演、これからのヨーロッパは二度と第二次大戦のような悲劇を繰り返すことがないように団結するべきだとして、
  • (アメリカにならって)「欧州合衆国(United States of Europe)」とでも言うべき機構を作るべきだ We must build a kind of United States of Europe.
と呼びかけた。思想的にはこれが現代のEUのルーツです。が、チャーチルはこの演説を次のような言葉で締めくくっている。
  • 英国、英連邦諸国、偉大なるアメリカ(そして願わくばソ連)は、この新しいヨーロッパの友人であり支援者となって、ヨーロッパが輝いて生きることに力を貸さなければならない。Great Britain, the British Commonwealth of Nations, mighty America, and I trust Soviet Russia - for then indeed all would be well - must be the friends and sponsors of the new Europe and must champion its right to live and shine.
要するに英国は「欧州合衆国」を応援するけれど、その構想の中に英国は入っていないということです。この構想の中心となるべきなのは、ドイツとフランスであり、英国ではないということです。チャーチルに言わせれば、50か国以上の植民地(英連邦)を従える英国はヨーロッパの一員というより、世界をリードする存在であるということです。


チャーチルの呼びかけが組織として実現したのが1951年に設立された欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)だった。当初は独仏以外にイタリアとオランダ、ベルギー、ルクセンブルクの4か国を加えて6か国の加盟で発足、6年後の1957年には、これをさらに発展させて6か国間の経済統合を実現することを目的とした欧州経済共同体(EEC)が出来た。EEC加盟国の経済が極めて好調な成長を示していたこともあって、英国の態度は1960年代になって変化し始め、EECへの加盟を申請するけれど、二度にわたってフランスのドゴール大統領によって拒否された末に、1973年になってようやくEECへの加盟に成功する。そして47年後の2020年、英国はEUを離脱しようとしているわけです。47年もの間、加盟国であり続けて、なぜ今さら離脱なのか?

The Economistがまず挙げるのが、英国のEEC加盟そのものが「打算」によるものだったということ。EEC加盟国が示す好調な経済成長のおこぼれに預かりたかっただけ。ドイツやフランスのような「二度と戦争はするまい」という「切実な」動機はなかった。


The Economistはさらに第二次大戦に対する英国人と欧州人との間には戦争に対する心理的な差があると指摘します。即ち、英国人が第二次世界大戦を「誇り」をもって振り返るのに対して陸続きの大陸を舞台に敵同士として戦ったヨーロッパの人びとが抱くのは「あんなこともう二度とごめんだ」という感情的な拒否反応です。あの戦争は英国がヨーロッパをナチズムの暴虐から守った戦争・・・と英国人は信じているのとは大違いです。

The Economistによると、自らを英雄視するようなこの感覚のおかげで、英国人は「さっそうたる島国」(plucky island nation)精神に取りつかれてしまい、欧州諸国と運命を共にするという感覚が持てない。それに輪をかけて、大英帝国であった頃の記憶から抜け出すことができない英国人も存在する。保守党議員の中には、EUに代わって英連邦経済圏を作ろうと提案する人間もいるのだそうです。

あなたはEUを信頼ますか? 
EU委員会が2015年に加盟国の国民を対象に行った調査。

▼英国人と欧州人との違いの一つに第二次大戦に対する心理があるという指摘は面白い。毎年クリスマスの時期になると、女王のメッセージが発表されます。国民的な団結心のようなものを象徴する行事なのですが、昨年(2019年)のメッセージでは最初の部分で「今年、私たちは重要な記念日を祝いました」(we marked another important anniversary)と言うから、何かと思ったら、75年前に第二次世界大戦中の連合軍がノルマンディーに上陸した、あのD-Day作戦実施のことだった。おそらく英国人にしてみれば、あの戦争もD-Dayも欧州大陸を救った正義の味方としての英国を憶えておこうということなのですよね。

back to top

4)認知症のノスタルジック対策

上の写真、何だと思います?昔ながらの英国のパブですよね。でもこれはリバプールの近くにあるウィラル(Wirral)という町にある病院の中に作られた、認知症患者のためのパブなのです。ここで実際にビールを飲みながら楽しい時を過ごすというわけではない。映画のセットのようなものだと思えばいいわけです。

 
1940年代の英国の家庭ならどこにでもあったリビングルームの典型。

Medical Life Sciences Newsという医療関係のサイトを見ていたら
という見出しの記事が出ていました。現在英国には約85万人の認知症患者がいるとされているのですが、英国の国民保険制度(NHS)の傘下にある病院が、認知症患者のためにノスタルジアをそそるようなティールームを作ったり、病棟内に1950年代の写真を飾った休憩所を作ったりすることを始めているというわけです。現実的との接点を失った患者は、そのようなセッティングの中ではストレスを感じることが少ない(less stressful surroundings for patients who have lost touch with the present)ということです。
 

このサイトは医療関係の専門サイトなのですが、記事によるとこのやり方は「医療的にも経済的にも意味がある」(makes medical and economic sense as well)とのことです。そのような環境では患者の緊張感を和らげるし、不必要にまごつくこともないので、倒れたりすることも少なく治療行為も少なくて済み、それが公費による医療費の負担減にも繋がるということです。NHSの認知症担当者は
  • 病院は誰にとっても恐怖を呼び覚ますような場所であるけれど、特に認知症の人びとは、普通とあまりにも異なる環境に混乱したり、興奮したりすることが多い可能性がある。 Hospital can be a frightening place for many people but can prove a bigger challenge for people with dementia who might feel more confused and agitated in an unfamiliar environment.
とコメントしている。
 

エアデイル病院に作られたティールーム

例えばウェスト・ヨークシャーにあるエアデイル病院(Airedale Hospital)が作ったButterfly Tea Roomsには昔を思わせる大きな壁画が飾られ、その傍には赤い公衆電話ボックスがある。あるいはロンドンのロイヤル・フリー病院(Royal Free Hospital)には、かつての海辺の風景を思い起こさせるような写真が様々に飾られているという具合です。

ある病院の主任看護婦の観察によると、認知症の患者は意味のある活動(meaningful activity)に参加し、心理的な刺激(mental stimulation)を与えられることによって、よく眠れるようになるばかりでなく、興奮することも少なくなって、夜中に起きて動き回って何かにつまずいて倒れたりすることも少なくなる。


ゲーム、昼寝、1950年代のテレビセットでその時代に流行った番組を見る等々・・・レトロな環境に身を置くことによって「ハッピーかつ刺激的だった過去」(happier and more alert past)への旅を楽しむ・・・アルツハイマー協会で企画部長を務めるエマ・ブールド(Emma Bould)さんは、病院がそのような環境を提供することで、認知症患者の独立心を養い、不安を減らして精神的にも肉体的にも優れた環境を提供する場になる、とコメントしている。

▼あるサイトを見ていたら、認知症について「脳細胞の死滅や活動の低下によって認知機能に障害が起き、日常生活・社会生活が困難になる状態の総称」と定義していました。認知症=物忘れとイメージするのは間違いで、理解力や判断力が低下することで日常生活・社会生活が困難になる状態も含まれる、と。自分自身が認知症的な現象が顕著なむささびですが、上の記事を読んで「ほんとかなぁ」と首をかしげてしまった。1960年~70年代の日本の風景写真が飾られている部屋に行くと落ち着いたりするものなのですかね。

▼一つだけはっきりしているのは、2019年大晦日の紅白歌合戦が認知症治療には全く役に立たないということですね。5分程度しか見なかったけれど、あれはひどかった。都はるみを出せとは言わないけれど、どれもこれもひどかった。あんなものに付き合っていたら余計に調子が悪くなる。

back to top 

5) どうでも英和辞書
A-Zの総合索引はこちら 



trousers:ズボン

アメリカ人が"pants"と言った場合、それはズボンのことであり、英国人が"pants"と言った場合は、下着としてのパンツのことであるというわけです。ではアメリカ人は下着としてのパンツのことを何と言うのか?あるサイトには"underwear"と書いてあった。

知らなかったのですが、来る1月12日はロンドン地下鉄の乗客が「ズボンを履かない日」(No Trousers On The Tube Day)なのだそうですね。ズボンを履かないということは、いわゆる「パンツいっちょ」で地下鉄に乗るという意味です。2002年以来の行事というから、今年で18年目ということになる。主催はもちろんロンドン地下鉄ではない。アメリカのImprov Everywhereという変人グループが何の意味もないアホらしいことをする運動として始めたもので、ニューヨークの地下鉄が発祥の地で、いまやロンドンも含めた「国際アホらしいこと記念日」(international celebration of silliness)として27か国で開かれているらしい。

このイベントには誰でも参加できるけれど、約束事が一つだけある。地下鉄の駅や車内で自分と同じような格好をしている人間を見かけても「あっ、アンタもやってるの?」というような声をかけたりしてはならないということ。要するに「パンツいっちょなんて当たり前じゃん」という顔をしていなければならない。

これって、日本のどこかの町でもやっているのですかね?でも地下鉄当局にとっては迷惑だべな。

 
back to top

6)むささびの鳴き声 
▼正月3が日があっという間に過ぎてしまいました。むささびは全くテレビを見なくなりました。その代わりベッドに横になってラジオを聴くのが習慣のようになっています。最近のラジオのトーク番組は、リスナーからの投稿を読むことで時間を潰している感があるのですが、むささびが苦手とする投稿は、「お正月は家族団らんを楽しみました」という類のものなのよね。なぜか「家族団らん」なるものに「排他性」を感じてしまう。それから「世間さまと同じことをやれることの幸せ」もイヤですねぇ。「大晦日には紅白を見て、年越しそばを食べて・・・」というあれ。他人(ひと)が何を楽しもうと、むささびがとやかく言うべきことではない?だよね。

▼大晦日にテレビ朝日が『朝まで生テレビ』という番組をやっていました。大晦日と言っても実際には1月1日の午前零時半から5時間ほどの放送だったらしい。むささびがYoutubeで見たのはその録画です。ウィキペディアによると、あの番組は1987年に始まったのですね。むささびが見たのは何年ぶりだったでしょうか?結論から言うと、15分程度は我慢できたけれど、それが限度だった。

▼政治家、政治学者、ジャーナリストら左右にそれぞれ6~7人ずつ分かれて議論する。真ん中に司会者(田原総一朗)が坐っているのですが、何を話題にするにせよ14~15人もの「ゲスト」が話をするのだから、トークをしている人たちはそれなりに楽しいかもしれないけれど、見ている方にとっては面白くないのが当たり前ですよね。NHKの「紅白歌合戦」と同じく、「朝ナマ」もいい加減に止めた方がいいと思う。

▼「ヤフーニュース」を見ていたら、記事リストに「フジ安宅アナ 一般女性と結婚」というのがあり、思わず笑ってしまった。意味はもちろん、「安宅」という名前のフジテレビのアナウンサーがある女性と結婚したということですよね。それにしても「一般女性」というのはどういう意味?この記事の提供元であるサンスポの見出しは「会社員女性」となっていました。それを「一般女性」に変えた「ヤフーニュース」の見出し担当者の意図は何だったんですかね。

▼むささびの想像によると、安宅アナの結婚相手を見出しで表現するために許された文字数は4つだった。「会社員女性」だと一つ多い。どうしよう、どうしようってんで苦し紛れにつけたのが「一般女性」だった。半世紀以上も前にむささびは新聞社で見出しを付けたりするセクション(整理部と言います)で仕事をしたことがあります。記者が書いてきた記事に見出しをつけるのですが、大体において考える時間は長くて5分、普通は2~3分だった。ヤフーニュースの担当者には同情しますね。

▼ある人から来た年賀状に「ヒモトレ」という健康法のことが書いてありました。ズボラ健康法だそうです。実はこのところむささびは左腰が痛くて困っているのよね。その年賀状には「身体にゆるくひもを巻くだけでバランスが良くなり、コリや痛みが軽減します」と書いてある。ネットを検索したら確かに出ていました。へぇ~、そんなものあるのか、一度やってみよう。世の中、ズボラに限る!

▼だらだらと失礼しました。今年もよろしく。

back to top

←前の号 次の号→